今回から悪魔編です
最初はすぐに終わらせるつもりでしたが、ちと長くします
かなりオリジナルを交えた話となります。ではどうぞ
PVが300万、ユニークが37万を突破しました!!
ありがとうございます!!これからもこの作品を楽しんでください
すべては復讐のために
side ???
日光の入らない暗い部屋の中、一人の男が佇んでいた
男の顔はわからない
男の足元には何かの魔法陣が描かれていた
「遂に遂にこの時が来た。復讐の時だ」
男は狂っていた
あらゆる感情が消えていた
「憎き『千の呪文の男』は死んじまったらしいが、その息子の場所は分かったんだ」
男は遂に知った
「ガキには恨みは無いが、関係ない」
男には家族がいた
愛しい妻と目に入れても痛くない程の娘
男は魔法使いだった
大戦時に連合の魔法使いとして戦っていた
しかし、あの『紅き翼』が『千の呪文の男』が大戦に参加してから彼の人生は狂い始めた
最初は憧れた
自分には到底たどり着けない高みだったからだ
次に感じたのは恐怖
彼らが、彼が敵に回ったらどうなるのか
そして、最後が怒り
彼の活躍で確かに大戦は終わったかもしれない
だが、彼の魔法は威力が高すぎた
ある日、彼が敵の魔法使いと戦っていた時にお互いに上級魔法の撃ち合いになった
そして敵側だった魔法使いが放った上級魔法が一つの民家に当たった
それは男の家だった
男がその事を知ったのは三日後
男は走った
大事な家族の元へ
しかし、既に家族は物言わぬ死体となっていた
不器用な自分と付き合ってくれた妻
自分の後ろを楽しそうに付いてくる娘
その二人の姿が脳裏から離れない
男は『千の呪文の男』を恨んだ
逆恨みと言ってもいいだろう
真に恨むべきは敵対した魔法使いだろう
しかし、男は思わざるをえなかった
何故、もっと迅速に事態を終わらせられなかったのか
何故、俺の家族を救えなかったくせに『英雄』などと呼ばれているのか
一度、こびりついた恨みは簡単には落ちない
そこから男は変わった
あの不器用ながらも優しそうな男はもういなかった
残ったのは復讐のみ
男は強さを求め続けた
邪法にも手を出した
しかし、そんな男の元に一つの情報が届いた
『千の呪文の男、死亡』の情報だった
男はそれからというもの抜け殻になってしまった
毎日、酒を飲み酔い潰れる毎日
そんな生活が5年程続いたある日、男は一つの情報を耳にはさんだ
『千の呪文の男の故郷が悪魔に襲われた』
男はざまぁみろ、と思った
次の情報を聞くまでは
『助かったのは千の呪文の男の息子と少数の女子供だけ』
驚いた、息子がいたのか、と
次には男の身は怒りに燃えた
俺の家族を殺しておきながら、と
男はそれから酒を断ち、再び修行を再開した
目的は復讐
『千の呪文の男』が死んだのならその息子を殺そう
既に男は狂っていた
だが、もう止まれない
そして現在、男は遂に完成させたのだ
上級悪魔を召喚する術を
男は唱える
悪魔を召喚する言葉を呪詛を
そして魔法陣が光り、魔法陣の中心から何かが現れる
出てきたのは20代前半と言った外見をした男だった
しかし、内抱している魔力は半端では無かった
そして、ただ存在するだけでひれ伏したくなるような圧倒的存在感
男は歓喜した
これならば確実に復讐を果たせる、と
「人間、貴様か?我を呼んだのは」
「はい、その通りです」
「ふむ、我を引き寄せるほどの狂気、憎悪。素晴らしい!!それで人間よ、我に何を望む?」
「復讐の一助となっていただきたいのです」
「まぁ、だろうな。それで我に頼むからには代償が必要だぞ?」
「承知しております。代償は我が身、我が魂、全てです」
「全て、とな?」
「はい、しかし確実に復讐をしていただけるならば」
「面白い、面白いぞ人間。いいだろう、お前の願いは叶えてやる、このアスモデウスに全てを委ねよ」
悪魔、アスモデウスはそう告げると男の全てを喰らった
そして悪魔の元にあらゆる情報が入る
復讐の対象である少年の事、少年の所在地、そして男が知る限りの少年の経歴
「なるほど、この少年が対象か。……そういえば記憶の中にはこの子供の村は悪魔に襲撃された、とあるな。
これは使えるな」
アスモデウスは一人つぶやくと彼の足元に魔法陣が描かれ中から一人の男性が現れる
見た目は紳士然とした初老の男性
「これはアスモデウス様、このヴィルヘルム・ヨーゼフ・フォン・ヘルマンに如何なる用ですかな?」
「つまらん挨拶はいい。ヘルマン、貴様はとある村を襲撃した事を覚えているか?」
「勿論です。あれは中々に良い仕事でしたからな。まぁその後に倒されてしまいしたが。そういえばあの才能あふれる少年は
健在だろうか。折角現界したんですから会ってみたいですな」
「それはちょうどいいな。そんな貴様に朗報だ、俺はこれからその少年の元に向かう。貴様も来い」
「なんと。差し支えなければ理由を聞いても?」
「俺を召喚した人間の願いだ。その少年に復讐をしてくれ、とな」
「それは、また。それでその人間は?」
「俺に全てを捧げた」
「して私を呼んだ理由は」
「何、俺が終わらせれば早いだろうが、折角全てを捧げてくれたのだ。ならばそれなりに報いてやるべきだろう?」
アスモデウスは嗤った
「なるほど、故に少年と因縁がある私を呼んだのですか」
「そうだ、異論はあるまいな」
「あるはずがありません。して場所は?」
「日本だ」
悪魔達は動きだした
行く先は何も知らない少年の元へ
side 小太郎
京都の件で謹慎を喰らっていたのだがつい最近解放された俺は修行をしていた
勿論あのネギ・スプリングフィールドと忍者と再戦し勝つためだ
「こんなんじゃ駄目や!!もっと強くならんとあいつ等には勝てん!!」
しかし、どうすればいいのか
修行の相手はいない
何故なら自分はハーフだ
「さて、どうするかな。そういえばあいつ等は麻帆良学園の生徒だったな。いっその事もう行くか?」
俺がそんな事を考えていた時、目の前に魔法陣が現れ中から二人の男が現れた
直感でわかった
あれは人間やない
俺は息を潜め様子を窺う
「む、ここはどこだ?」
「日本というのはあってるでしょうが些かずれたようですな」
「やはり久々の転移ではこんなものか」
「まぁ仕方ないでしょう。では行きますか、少年ネギ君の元に」
ネギ!?どういう事や!!??
「そうだな、ところでさっきからこっちを見てるのは誰だ?」
ばれてた!!
俺は観念して彼等の前に出る
「あんたら何者や?どうして俺がいるんが分かったん?」
しかし男は答えない
「無視すんなや!!お前らネギになんの用や!!」
俺がネギの名前を出すと若い方が反応した
「貴様、ネギ・スプリングフィールドを知っているのか?」
「だったらなんや!!」
「答えろ、奴の詳しい居場所を」
「誰が答えるか!!知りたきゃ俺を倒してみるんやな!!」
「ヘルマン」
「はっ。少年、喧嘩を売る相手を間違えたな」
「へっ、そんなんやってみなきゃ分からんやろ!!」
「やれやれ、悪魔パンチ!!」
俺はいつの間にか吹き飛ばされていた
「な、なにが」
「もう一度聞くぞ、ネギ・スプリングフィールドはどこにいる」
「誰が教えるかい」
「……ヘルマン、もういい。『観る』ことにする」
「わかりました。少年正直に答えていればこんな事にはならんだに」
年取った方が俺の体を抑える
そして若い方の手が俺の頭に載せられ
「が、がぁぁぁぁぁぁぁ!!」
頭が、頭が痛い!!
なんや!?なんなんや!?
「ふむ、なるほど。此処か、行くぞヘルマン」
「はっ。この少年は?」
「放っておけ、俺が『観た』んだ。記憶は吹っ飛んでいるさ」
俺はそんな言葉を聞きながら意識を失った
次に目覚めた時には俺は何も覚えていなかった
自分が何なのかさえ分からなかった
だが、ネギが危ないということだけは覚えていた
ネギが誰なのかは分からないが行かなければならん気がした
俺は傷ついた体を引きづりネギの元へ行く
役者は揃い始めた
残る役者は未だ何も知らない『偽りの英雄』の息子
そして劇にイレギュラーは付き物である
本来なら居るはずのない悪魔と代行者
この二つが舞台に登ればどうなるか
それは誰にも分からない
全ては一人の男の憎悪から開かれた舞台
しかし、男はもういない
全ては流れるままに
やっちまった感が強いです。
まぁ、こういうのを書いてるほうが楽しいんですけどね
犬が記憶を失う描写はこうしました
だって原作みたいにただボロ雑巾にされるだけで記憶を失うとは思えないんですよ
記憶というのはそう簡単には消えませんからね