今回は計画発動までの下準備という感じです
ではお楽しみください
現在計画水面下にて進行中
side 学園長
「それで侵入者は見つかったのかの?」
「いえ、未だ見つかっていません。学園長どうしますか?」
「やはり一般の生徒を対象に情報収集でも」
「駄目だ、我々魔法使いが一般人を巻き込む事だけは…………」
先程からずっとこの調子じゃ
どいつもこいつも見栄と体裁を取り繕うのに一生懸命で本気で情報を集めようともせん
しかし、今日はガンドルフィーニ君が静かじゃのう
普段の彼ならこういうときは率先して動くはずじゃが
すると
「学園長」
「なんじゃ?ガンドルフィーニ君」
「一つ気になる場所が」
ほぅ、何やら思い当たる所があるようじゃな
「それはどこかな?」
「裏山です」
…………そう来たか!!
確かにあそこはわしの権限を持って立ち入り禁止にしておる
「あそこはないじゃろう。あったとしても問題はないわい」
そう、もし侵入者があの山に入っていれば既にこの騒動は終わっておる
侵入者の死という結果を残しての
じゃがムラサメ殿からは文句というか愚痴が来ないようじゃからそれはないじゃろう
「何故ないと言えるのですか!?あそこの山に居るのは『立派な魔法使い』とは程遠い犯罪者です!!
侵入者と結託しているやもしれないんですよ!?」
その言葉を聞いた魔法先生達の間にざわめきが増え始める
「ガンドルフィーニ君」
「それに!!我々は『正義の味方』です!!その我々が一般人に被害が出る可能性を放置するわけにはいかないでしょう!!
あそこを調べる許可を!!」
「ガンドルフィーニ!!!!黙らんか!!!」
わしが吼えようやく彼は喋るのをやめた
しかし遅すぎた
既に他の魔法先生達にその考えが広まってしまった
これに反応を示さないのは神多羅木君、弐集院君、瀬流彦君、タカミチ君、明石君だけか
これ以外の先生方は全員がガンドルフィーニ君の考えに賛同しかけておる
ざわめきは広がっていく
わしは大きく息を吸う
タカミチ君達はわしが何をするのかわかったのか苦笑いしながら耳をふさぐ
「渇っっっっ!!!!!!!静まらんか!!馬鹿共!!!!」
学園長の一喝で周りが静かになる
「ガンドルフィーニ君、あそこの調査は認められん。これも何度目かはわからんが彼との契約はわしの師匠との
契約であり、師匠が亡くなる前にわしに引き継がれたものじゃ。それを破るということはわしに師匠を裏切れと
言っているのと同義じゃ。君はわしを不義の人としたいのか?」
「しかし…………、何かが起きてからでは遅いのです!!」
ガンドルフィーニ君はなおも食い下がる
彼も悪い人間ではない、むしろ一般の事を真摯に考えて居る良い魔法使いなんじゃが
良くも悪くも模範的な魔法使いすぎる
ならばなおの事調査を諦めて貰わねば
「それでも調査を認める訳にはいかん。不干渉、これが契約の絶対条件なのじゃから。頼む、この場はわしの顔を立てては
くれんか?」
「…………。わかりました、今回は学園長の顔を立てましょう」
「すまん。では解散じゃ、各魔法先生は警戒を続けてくれ。…………あぁ、タカミチ君と神多羅木君は残ってくれんか」
その言葉を皮切りに魔法先生達は解散していく
残ったのは学園長とタカミチ、神多羅木だけとなった
「神多羅木君、ネギ君の調子はどうじゃ?」
「…………流石と言わざるを得ません。私の教える事をスポンジの如く吸収していきます。
今ならそこらの者には負けないでしょう。ですが」
神多羅木君の顔が曇る
「何か気がかりなことが?」
「えぇ、なんといいますか彼は焦っている。このままではいつか大怪我をするでしょう。
その前になんとかしたいのですが。私には無理かもしれません」
「ふむ、その辺りは今度ネギ君と話す事にしよう。これからも頼むぞ神多羅木君」
「はい」
神多羅木君はそう言うと下がって行った
「さて、タカミチ君。君に残ってもらったのは他でもない。今回の件をどう思う?」
「やはりその事でしたか。僕の考えではムラサメさんが絡んでいるのは確実かと」
「何故そう思う?」
「ここ麻帆良の魔法使いは優秀です。その彼らが全員動いているのに侵入者の手がかり一つ見つけられない
というのはあり得ないかと。となれば考えられるのは侵入者が相当の腕の持ち主、もしくはムラサメさんが
関与しているかです。前者はどれだけ優秀でも手がかり一つ無いのはおかしいですからね」
やはりタカミチ君もその結論にたどり着くか
まぁそうじゃろうな、わしも此処の魔法使いの腕は信用しておる
その彼らでも手がかり一つ見つけられないとしたらやはりムラサメ殿が関与しとるじゃろう
だが、わしとしては彼とは友好的な関係でいきたい
だからこそ契約を守る事にしておるのじゃから
まぁ、もっともらしい事を述べてはおるが一番の理由はムラサメ殿から叱責が来ない事だがの
彼はこの土地の主である
だから侵入者の情報などは彼にも入る
いつもなら入ってきた瞬間にわしらが迎撃し、追い払うため何も言ってこないが余りにも時間がかかると
わし個人が怒られる
しかし、今回はそれがない
侵入者が此処に来てから既に一週間が経つと言うのにだ
となれば彼が関与しているのは明らかである
「そうなると、厄介じゃの。こちらからは彼に干渉は出来ん。後手に回るしかないのかの」
「そう、なりますね。やれやれ面倒な事にならなければいいのですが」
「それは無理じゃろう。どうなっても面倒な事になるのは見えておる」
「ですよね」
「「は、はははははは」」
学園長室に二人の渇いた笑い声が木霊する
side ムラサメ
さて、計画の方も段々と出来あがってきたのだが現在俺はエヴァの元で講義?を受けている
講義の内容は『悪魔』についてだ
恐らくはアーちゃんの正体を知ったためであろうが、ぶっちゃけ面倒だ
「______ということだ。アスモデウスがどんな奴かわかったな?何か質問はあるか?」
「ないさ、ようするにアーちゃんが友だってことだろう?」
「お前は!!何を!!聞いてたんだ!!!!!!」
「アーちゃんとは何か?」
「そうだ!!だからこそ私が懇切丁寧に説明してやったというのに!!!それをお前は〜〜〜〜〜〜!!!」
…………どうしよう、怒らせちった
こういうときは
「茶々丸、まかせた!!」
「わかりました、マスター落ち着いてください。ムラサメさんが困っています」
「茶々丸、私はムラサメを心配しているだけなんだ。奴はアスモデウスなんだぞ?
ムラサメに何かがあってからでは遅いのだ」
「マスター。…………大丈夫です」
「大丈夫?」
「マスターの知るムラサメさんは負けますか?」
「…………負けない。というか想像がつかない」
「ならばそれでいいのでは?」
茶々丸とエヴァの会話はなんというか本人の前でするものじゃないと思うんだが
こうも目の前で言われると流石に照れるぞ
俺は居ずらくなったので用事を済ませることにした
まぁこれも計画のために必要なファクターだが
side 夕映
私が図書館探検部の皆と遊んでいた時、一通のメールが入りました
差出人はムラサメさんでした
そして内容を見たときには思わず席から立ち上がってしまいました
その内容は
『渡したい物がある。すぐに俺の屋敷に来い』
でした
内容が内容でしたので少しの間呆然としていると
「夕映、どうしたの?」
のどかが心配したようでこちらを見ていました
「な、なんでもないですよ?わ、私少し用事が出来たのでちょっと出てくるです!」
私は早口にそれだけ言うと急いでムラサメさんの元に行く事にしました
その時、後ろのほうでハルナが
『むむ、なんだかラブ臭が…………』
とか言ってましたが無視です
私はある程度走ってから人がいない場所に入りムラサメさんに渡されていた転位札を起動し
彼の屋敷へと転位しました
「お?来たか」
ムラサメさんはいつも通り切り株に座っており
私が来たのを確認するとこっちに来いと手招きをしました
「ムラサメさん、渡したいものってなんですか?」
「おぅ、これこれ」
そういって彼が取り出したのは樹で作られた指輪でした
「あ、ああああああの。これって指輪ですよね?」
「そうだな、指輪だな」
「そ、そそれはつまり」
「…………これは魔法発動体だぞ?お前さんが考えているようなもんじゃないぞ?」
「そ、そうですよね。でも何故これを?私は既に杖を持っていますが?」
「あれは携行しづらいだろ。敵はいつ来るかわかんねぇんだ。なら指輪とかの身につけられるもんが良いだろう」
そういうと彼は指輪を私に投げ渡しました
「あ、ありがとうです。えと、じゃああの杖はどうすれば?」
「好きにしていいぞ、とっておくも良し、返すもよし、だ」
「では一応、あちらも戴いておくです」
「そうか、じゃあもういいぞ。今回呼んだのはこれを渡すためだからな」
「そうですか、ありがとうございました」
私がお礼を言うと彼は笑いながら屋敷に戻っていきました
私も戻るとするです
…………それにしても男の人から物を貰ったのは初めてです
しかもそれが指輪とは
ハルナに見つかるとうるさそうですから今はつけない様にしておくです
ちなみに後日、エヴァンジェリンさんに指輪が見つかった時物凄く睨まれました
どうでしょうか?次回あたりから悪魔(ヘルマン)が動き始める予定です
後はネギをどう登場させるかが問題です