ようやく舞台が開きます
原作とかなり違うことになることをご了承ください
では、お楽しみください
評価8000、お気に入り登録3000ありがとうございます
この期待にこたえられるように頑張ります
計画始動、動き出す役者たち
side アスモデウス
「ヘルマン、状況はどうだ?」
「は。九割が完了したというところでしょうか」
「そうか」
ヘルマンの言葉を聞き、再び考え事に戻る
ムーちゃんと話した結果の計画の概要は一部の生徒を拉致、その後少年に連絡を入れ
舞台に上げる
そこからはアドリブとなる
何故ならそちらの方が楽しいからだ
勿論、拉致する人間にも目星は付けている
その対象は魔力を持ち、なお且つ少年と関連する少女達である
そしてその中でもこの舞台の中心となるのがムーちゃんに教えて貰った
『神楽坂 明日菜』という少女
彼女は魔法無効化の体質らしい
ならば、それを利用しない手はない
その体質を利用するための魔道具の作成がヘルマンに任せた作業だ
それにしてもムーちゃんはよくもまぁこんな事を思いつくものだ
「くく、舞台が開くのが楽しみでしょうがねぇ」
この計画、どうなっても楽しめそうだからな
だが、一応俺も準備をしておかなきゃな
そう、舞台にイレギュラーは付き物だからな
そうだろ?ムーちゃん
side ムラサメ
アーちゃんからの連絡が入り、計画の準備のほとんどが完了したらしい
さぁて坊主はどう動くかな?
「ムラサメ、いいか?」
「ん、エヴァか。どした?」
「…………」
エヴァは何も言わずに俺を睨んでくる
「エヴァ?」
「……………………」
正直言って怖い
「エヴァさん?何でしょうか?」
「…………指輪」
「は?」
「綾瀬に指輪渡した」
……………そういうことですか
「あ〜、エヴァ。あれは魔法発動体として渡しただけで他意はないぞ?」
「本当か?本当だな?」
エヴァが詰め寄ってくる
「本当だって、あれは単なる魔法発動体だ。肌身につけられる物がいいだろうと思ったから指輪にしただけだ」
そう言うと途端にエヴァの顔が綻んだ
ちょっとその様子が可愛いと思ったのは秘密だ
「そ、そうか。ならいいんだ、邪魔したな」
エヴァはそれだけ言うとスキップでもしそうな調子で部屋から出ていく
スキップしそうな程に安心したのか
う〜む、これはエヴァにも何かあげるか
まぁその辺はおいおい考えるとしてだ
今は舞台の事だ
夕映を舞台に出すための手はずは整っている
ヘルマンが動き出した時に夕映も気づくようにするだけだからな
だが、すぐには行かせない
一応、坊主の戦いぶりを見てみたいからな
だが、こういった物事には必ずイレギュラーが発生するからな
それに、気になる事もあるからな
俺も動けるように準備はしておくか
side 学園長
わしが執務をこなしていた時、わしの元に一つの報告が上がって来た
内容はまたも侵入者が入ってきたとの事
しかし、今回は前回と違い侵入者はすぐに見つかった
侵入者はどうやら狗族の少年らしい
そしてその少年はネギ君の生徒である村上 夏美に保護されたとの事
わしは一応、遠見の法でその様子を窺う事にした
女性の部屋を見るのは気が引けるが、もしその少年が害となるかもしれないと思うと
無視はできない
わしが部屋を見ると、確かに狗族の少年がいた
しかもその少年は京都でネギ君に喧嘩を売ったあの少年だった
「なぜ、この子が此処に?」
一応、タカミチ君に連絡を入れいつでも行けるようにしてもらう
そのまま30分程経ち少年が目を覚ました
しかしどうも様子がおかしい
会話内容を聞いているとどうやら記憶を失っているようだ
これは放っておいても大丈夫かと思い、魔法を切ろうとした時
聞き捨てならない言葉が聞こえた
『ネギが危ない』
その言葉の意味はわからない
だが記憶を失った少年が唯一覚えていた言葉だ
無視はできない
わしはタカミチ君に彼をこちらに連れてきてもらおうとした時
ソレは現れた
突如、窓が開いたかと思えば部屋の中に一人の男が立っていた
一目でわかった
この男が見つからなかった侵入者だ、と
『おや?部屋を間違えたかな。いかんな、これでは怒られてしまう』
男はそんな事を言っていた
しかし、今の言葉でわかった事がある
侵入者は少なくとも二人いると言う事だ
『…………おや?そこに寝ているのはあの時の少年じゃないか。元気かね?』
『……それ以上、こちらに近づかないでください』
男が狗族の子に寄るとその間に一人の女生徒が立ちふさがる
マズイ!!
わしはタカミチ君に直ぐに行くよう指示した
しかし、遅かった
男は女生徒を軽く吹き飛ばし、狗族の子に近づく
狗族の子は殴りかかるがいとも簡単に避けられ壁に叩きつけられる
男はその様子を見た後、女生徒を抱え部屋から出て行った
『すいません、学園長。間に合いませんでした』
『……気にするな、とは言わん。タカミチ君、直ぐに追ってくれんか』
『わかりました。この子はどうしますか?』
『悪いとは思うが放っておく。今は生徒の命の方が大切じゃ』
『わかりました』
タカミチ君との通信が切れた時
「学園長!!大変です!!」
一人の魔法先生が飛び込んできた
「何事じゃ!!」
「先程、大浴場に使い魔のような者が現れ生徒を多数さらったようです!!」
「大浴場じゃと?」
まさか、同時に行動を起こしていたのか
「さらわれたのは誰か分かるか?」
「お孫さんとそのクラスメイトです」
「なんじゃとぉ!?」
まさか木乃香が狙いだったのか
「後、もう一つ」
「まだ何かあったのか!?」
「ネギ先生がそれを追って一人で」
「馬鹿者!!さっさと連れ戻さんか!!一人では何が起こるか分からんのだぞ!!
連れ戻すなり、増援を送るなりせんか!!!!」
「は、はい!!」
くっ、そんなことも判断出来んのか
やはり迎撃、しかも決められた場所でしか戦ってこなかったツケが回って来たか
一部の魔法先生を除いて咄嗟の判断力が無さ過ぎる
これはわしも動いた方がいいかもしれん
前線に出るなど何十年ぶりか
だが、孫娘やその仲間の命がかかっているのだ
この老骨に鞭を打つなど何でもないわい
それにしてもムラサメ殿、何を考えているのですか
流石に今回の件は度が過ぎますぞ!!
わしはこの場にいない彼に向かって愚痴をこぼしながら侵入者の元に向かう
役者は舞台にあがる
『未だ何も知らない偽りの英雄の子』、『王に使える悪魔』、『歴戦の魔法使い』
そして『学園最強の魔法使い』
しかし、まだ舞台の全容は見えない
今、舞台にあがっている役者は脚本家であり、またクライマックスを彩る役者の存在を知らないのだから
また、主役の一人である『知識の少女』も未だ舞台にあがっていない
しかし幕は開かれた
一つの学園を巻き込んだこの舞台
後は脚本家にもどうなるかは分からない
どうでしょうか、原作と違い最強とうたわれる学園長を動かしました
これから彼がどう動くのか楽しみにしてください