今回はかなりの難産でした。更新が遅れた事を深くお詫びいたします。
前回ですが皆様から様々な突っ込みをいただきました。本当に申し訳ございません。色々と修正しました。この作品では詠唱もありということにしてください。
ではお楽しみください
さぁ!!戦争を始めよう!!
side ムラサメ
学園祭も二日目が終わろうとしている
俺はそんな事は関係なく畑仕事や新作料理の作成を行っていたのだが
家の近くに突如、何かの気配を感じた
(なんだ、この気配。人間?いやそれにしては存在が希薄だ)
まぁ、とりあえずは確かめてみるか
俺は気配を感じた方へと歩いて行くと
「あぁ、どうも。久しぶりですね、『代行者』」
そこには、あの人類馬鹿代表ナギの仲間、アルビレオ・イマがいた
「……なんの用だ?」
「そう殺気立たないでください。今回はお願いがあるんです」
「お願い?俺の土地に無断で暮らしていた不法滞在者がよく言えたもんだ」
「やはりばれてましたか。えぇ、その不法滞在者からのお願いです。私にこの学園で過ごす許可をくれませんか?
ちょっと訳ありでして、この体も一種の霊体のようなものでして」
なるほど。こいつの気配が薄いのはそういった理由か
「……勿論、ただとは言いません」
そういってアルビレオが取りだしたのは
一冊の本と一つの衣装だった
「……なんだ、それ?」
「よく聞いてくれました。これこそ私の秘蔵の品『イジリ解体新書』と『ネコミミセーラースク水』です」
「……帰れ」
「おや、残念です。…………まぁ冗談はここまでとしましょう。本来の土産はある情報です」
「情報?それこそいらないな、俺は自然から情報を集められるからな」
「いえ、この情報は貴方は知らない筈ですよ。メガロメセンブリアの馬鹿達が対代行者用に作成している『特別な』
除草剤の事です」
「除草剤、だと?詳しい事を聞かせて貰おうか」
「取引は成立ですか?」
「……成立だ。俺はお前がこの土地に存在する事を許可する」
「有難うございます」
アルビレオは礼を言うと、すぐに除草剤に関しての情報を話し始めた
どうやら除草剤と言うのは名ばかりでその実態は周囲の環境を全て破壊、汚染する核兵器のような
魔法だった
それを儀式魔法、遅延魔法の知識を流用し爆弾の様にしたものらしい
「_____と言った所ですかね。まぁこれは私の私見ですが恐らくはそんなに量産は出来ないでしょう。
なにせ発動すれば周囲を破壊しつくす代物です。暴発でもしようものなら目も当てられません」
アルビレオは情報を話し終えたのか一息ついた
「一つ聞くぜ」
「なんですか?」
「お前は魔法使いだろう?なのに何故最高機密ともいえる情報を俺に話した?対価とはいえ何故だ?」
俺の質問にアルビレオは先程までのふざけた表情を消し言った
「……私は正直に言って連合いえ、メガロメセンブリアに失望しているんですよ。彼等は『正義』の旗の下に好き勝手をしている。
あぁ、中には例外もいますよ?………『正義』は免罪符ではないというのに」
そう言った時のアルビレオの表情は怒りと悲しみが混じったものだった
「……わかった。これ以上は聞かん、後は好きにしな」
「有難うございます」
「あ、一応言っておくが俺に無意味に干渉するなよ?」
「わかってますよ。わたしは人をからかうのは好きですがその為に龍の尾を踏む趣味はありません。
…………ですが貴方となら面白そうな悪戯が出来る、とも思いますよ」
それだけ言うと今度こそアルビレオは消えていった
本と衣装を置いて行って
どうしろってんだ、これ
「…………エヴァに使うか」
この時、エヴァが背筋に寒気を感じたのはどうでもいいこと
side 超
研究所の地下にある開けた場所
そこにはこの時の為に準備してきた全てがある
私は彼等の前に立つ
まず機樹人達を、次に葉加瀬、龍宮、茶々丸、後ろに整列している田中シリーズ、最後に最後尾にて起動の時を待つ
疑似鬼神兵を見る
「諸君、時は来た、まずはこの時を、準備を終えられた事に感謝をする」
私は一度、深呼吸を行う
肺に溜まった空気を全て出し、新たな空気を取り込む
それは一つの儀式だ
「諸君にはこの計画に賭ける想いはあるか!!叶えたい願いはあるか!!私にはある!!絶望を知り、それでも
諦める事の出来ない想いがある!!小さな頃は奇跡に憧れた、英雄に憧れた!!いつか誰かが叶えてくれると思っていた!!
だがそれでは駄目だった、待っていたのは絶望だけだった。ならばどうする?絶望を抱えたまま沈むのか?そのまま諦めるか?
否!!断じて否だ!!誰もが叶えてくれないのなら、誰もが諦めるのなら、自身でソレを叶えよう!!自身の力で現実としよう!!
いざ進もう、誰にも認められずとも、否定されようとも自らの魂に、想いに恥じぬ戦いを始めよう!!己の為の戦争を始めよう!!」
演説をしながら思う、我ながら似合わない事をしているな
口調を、訛りを忘れてしまっていたが構わないだろう
これが最初で最後なのだ
私に後はない
今回の一番の障害である二人には機樹人の参号と四号に相手して貰う
一応は援護として龍宮も回しはするが
茶々丸には学園のシステムの掌握を、葉加瀬、壱号には私のサポートを
田中シリーズと疑似鬼神兵には魔法生徒の相手を、残った機樹人は遊撃の役割だ
戦争を始めよう
『正義』を魔法を否定する戦争を始めよう
side タカミチ
僕は学園長に頼まれて超 鈴音の調査を行っていた
しかしいくら調査をしても尻尾すら掴めなかった
だが、その彼女がついに行動を起こした
現在学園は武闘祭に参加していた田中と呼ばれる機械人形の大群に取り囲まれていた
その時だった
『タカミチ君!!状況は分かっておるな!?』
学園長からの念話が入った
『えぇ、彼女が行動を開始しました』
『そうじゃ、理由は分からんが止めなくてはならん。彼等は一般人を無視し世界樹へと向かっておる。
君もすぐに向かってくれぃ!!わしは超君を止める、君は世界樹の防衛を……ぬっ!?』
『学園長!!』
突如学園長からの念話が切れた
何かが起きた
それだけは分かる
だが今は何が起きたかを知る必要はない
僕は世界樹へと向かおうとしたが、上空から落ちてきた物体に足を止められた
「くっ、なんだ!?」
僕は落ちてきた物体に目を向ける
それは大戦時に見た樹獣に似ていた
しかし所々に機械が見えることからムラサメさんの樹獣ではない
相手は動かない
ならば抜けてしまおう
僕は彼?の隣を走りぬけようとした時、巨大な拳が迫ってくる
出所は目の前の存在
「……君はなんだい?」
「参号、〇〇の願いを叶えるため相手をして貰う」
参号、ね
つまり最低でも後二人はいる訳だ
それにしても〇〇か
彼女が何を想って彼等を造ったのかは分からない
だが、彼等の存在が、その意味がこの騒動の鍵を握っている気がしてならない
僕は一度、深呼吸をする
「……参号君、君達が何をしようとしているのかは分からないがどうやら避けられる戦いではないようだね。
ならば高畑・T・タカミチ全力を持って相手をさせて貰う」
side 学園長
彼が現れたのはタカミチ君と念話をしながら世界樹に向かっていた時だった
「……四号君じゃったか。どうしても戦うのかの?」
「当然だ、それが〇〇の願い、〇〇の想い。私はソレを叶える、その為に此処にいる」
彼からは覚悟が、本物の覚悟が感じられる
これは戦いを避けるのは無理じゃな
想い、か
この言葉こそが彼の覚悟の基盤
これを崩すのは容易ではない、か
「いいじゃろう、関東魔法協会理事…………いや」
わしは名乗りを上げようとしてとどまった
彼の覚悟の前に役職は不要
唯一人の『人間』として相手をさせて貰おう
「魔法使い近衞 近右衛門、相手を仕ろうぞ」
さて戦争がはじまりました。ここからが学園祭編本番です。楽しんでいただけるように頑張ります。
今回はおまけは無しです。すいませんちょっとネタ切れというかなんというか。
今回出てきた本と衣装を使ってもいいんですがアレは本編で使う予定なので
そんなわけで再び皆さんの力を作者に貸してください。皆さんのこんなシチュエーションが見たい!!というものを教えてください。
ではまた次回に