今回は戦いがメインです。
学園祭もあと少しで終わりを迎えます。この学園祭では主人公はムラサメではなく超と考えてもいいかもしれません
では楽しんでください
想い故に
side 三人称
世界樹の西に位置する広場では一つの戦いが始まっていた
戦っているのはかつて『紅き翼』の一人として戦い、今はNGOとして活躍する
高畑・T・タカミチ
それに相対するは機械と樹木が融合した異形の姿を持つ機樹人参号
タカミチは既に自らの手をポケットに入れ彼の十八番である居合拳を持って戦っている
目に見えぬ速度で繰り出される拳撃
しかし参号はそれを防御もせずに受け続けながらゆっくりとタカミチに近づいて行く
参号は別段何かをしている訳ではない
単純に彼が硬すぎるのだ
故にタカミチの居合拳は彼に当たっても彼を止める事は出来ない
「くっ、効いてないのか!?ならば……」
タカミチは己の手に魔力と気を合わせ咸卦法を発動する
「豪殺居合拳!!」
大砲の如き拳が参号に当たるがそれすらも彼は少しよろけるだけで済んでしまう
そして参号は遂に自分の拳の届く範囲にタカミチを捉えた
「いくぞ」
参号は言葉少なく拳を繰り出す
それは先程の歩みの速度とは違い居合拳に勝るとも劣らない拳速だった
タカミチは咄嗟に両手を交差しソレを防ぐが
「ぐぅっ」
防御した両腕の骨が軋む
踏ん張りもきかずにタカミチは2m程吹き飛ばされた
「まったくどんな威力をしてるんだか。これは咸卦法だけでは駄目だね」
彼はそう言うと右手をポケットから出す
それは両手による居合拳を止めた、ということ
「参号君、これから見せるのはまだ誰も知らない僕の新技だ。ムラサメさんの別荘での
修行の成果を君に見せよう」
「……来い」
タカミチは己の右腕に力を溜め始める
しかし参号も力が溜まるのを待つほどお人好しではない
彼はタカミチに向かいその拳を繰り出し続ける
タカミチはその拳を左手の豪殺居合拳のみで防御していく
しかし先程まで両手でなんとか防げていた拳を片手で防げる筈もなく徐々に追い詰められていく
そして遂に参号の拳がタカミチのボディを捉えた
「捉えた……!!」
「そうだね、でも僕もちょうど終わった所だよ」
タカミチも力を溜めていた拳を構える
「受けたまえ、我流拳『気突鬼(きつつき)八連』」
タカミチと参号の拳がぶつかり合う
合わさった拳は一つ
しかし周囲に響いた音は八つ
「どういうことだ?何故私の拳が……」
参号の繰り出した拳はまるで何回も杭で打たれたかのようにへこみ破壊されていた
「気突鬼は一瞬で複数回の拳を繰り出し相手を粉砕する技」
「……なるほど。恐ろしい技だ」
「これで君の拳は使い物にならない。投降してくれないかい?」
「なにを言っている。勝負はこれからだ!!まだ私はあの人の為に何もしていない!!
お前の技は見せて貰った、次はこちらの番だ!!」
参号は残る拳を構える
すると彼の肘の部分にある機械と背中に付いているスラスターが起動し唸りを上げる
唸りは止まらず段々とその勢いを強くしていく
「受けろ、ブーストナックル」
瞬間、参号の姿が消えいつのまにかタカミチの懐にまで入り込み拳を叩きこむ
叩きこまれた拳は肘の機械の勢いを受け先程よりも遥かに威力が増していた
「ぐぅ……お、がぁぁっ!!」
タカミチの体から嫌な音がした
それは彼のアバラが何本か折れる音だった
タカミチは受け身を取ることも出来ずに地面に叩きつけられる
「ぐく、参ったね。君にも隠し玉があったとは」
「当然だ。私は負けるわけにはいかん」
「それは僕も同じでね」
「故に」
「だから」
「お前は此処で終われ」
「君は此処で寝ていろ」
タカミチは再び右手に力を溜める
今度は己の防御に回していた気も込めてだ
対する参号も残りのエネルギーの9割をスラスターに送る
そして、二人が動いたのは同時だった
「気突鬼十連!!」
「オーバード・ブーストナックル!!」
二人に拳はお互いの体に突き刺さる
参号の体に十回の衝撃が突き刺さりその巨体が吹き飛ばされる
タカミチの体も同じく吹き飛ばされる
地面に叩きつけられた両者はピクリとも動かない
しかし
「まだだ、まだ斃れる訳には……いかん。いかんのだぁぁぁぁ!!」
先に動いたのは参号
続いてタカミチが
「まだ動ける、まだいけるさ。そうだとも!!」
二人は体を引きずりながらも拳を構え最後の力を込めて殴った
そして両者はほぼ同時に倒れた
「すいません、学園長。僕は此処までです」
「……すみません〇〇、私はここまでです」
両者はほぼ同時に意識を失った
世界樹より東の地点、そこではもう一つの戦いが繰り広げられていた
それは麻帆良学園学園長 近衞 近右衛門と機樹人四号の戦い
「どうした?避けるだけか、魔法使い!!」
四号は己の右手に付いているガトリングガンを撃ち続ける
「そんな訳無かろう。魔法の射手 雷の100矢」
それに対し近右衛門も無詠唱による魔法で反撃をする
その戦いぶりには老いが感じられなかった
「ふん、腐ってもこの学園最強の存在か」
「こんな無詠唱の魔法如きでわしの実力を測って欲しくないのぅ。雷の暴風」
近右衛門が放った雷が四号に迫る
しかし四号はそれに焦る様子も見せずに左手を前に突き出す
すると雷は彼の左手の中に吸収されていき
「お前の雷だ、返すぞ」
近右衛門に対して撃ち返された
「ぬぅっ。魔法反射じゃと!?」
「あの人の科学力をなめるな」
「いやいや、超君には本当に驚かされる。だが、それにも限界があろう?」
「……」
近右衛門の言葉に四号は答えない
それを肯定の意と捉えた近右衛門は間髪をいれずに魔法を撃ちこみ続ける
これは純粋に経験の違いだろう
機樹人達は確かに強い
だが、まだ生まれたばかりの存在である
故に長き時を戦い続けてきた近右衛門に己の機能を簡単に見抜かれた
「……流石だな。だが我の機能はこれだけではない!!」
四号はそういうと背中に装備されていた武器を展開する
それは全長3メートルはあろう長大な砲身を備えたエネルギー砲
砲の先端にエネルギーが充填されていく
「やらせんよ……!!逆巻き荒べ風の神、轟き狂いて撃ち砕け雷の神、二柱の神を持って全てを薙ぎ払え!!『天壊』!!」
「ブレイク・シュート、ディスチャージ…………!!」
近右衛門が唱えた魔法と四号の砲撃がぶつかり合う
最初は拮抗していたが段々と砲撃が魔法によって削られていく
そして遂に近右衛門の天壊が四号を貫く
「ぬぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
四号は叫びを上げながらその場に膝をつき倒れ伏した
「ここまでじゃな。悪いが通して貰う」
近右衛門はそう言いながら四号の横を通り過ぎようとする
しかし
「いかせん、貴様を通す訳には……いかん」
四号は地面に伏しながらも近右衛門の足を掴む
その満身創痍の体のどこにそれ程の力が込められているのか
近右衛門はその手を振りほどく事ができない
「その執念、見事。だが君に貫かねばならない想いがあるようにわしにも守るべき物がある。
雷の暴風」
近右衛門は伏している四号に魔法を叩きこむ
「がぁっ、ぐく。……そうだ、所詮我等は平行線、互いに抱える想い故に……その道が重なる事は無い。だからこそ!!どんな手も使わせて貰う!!龍宮殿!!」
『了解だよ』
「なに!?」
四号の叫びと共に近右衛門の足元に弾丸が撃ち込まれる
それはただの弾丸ではない
それは龍宮が作戦前に超によって渡された特殊弾
撃ちこまれた場所を中心に大樹の檻を造るという物だった
檻は四号と共に近右衛門を閉じ込める
「まさか、このような物まで用意しているとは……!!」
「言ったはずだ、どんな手も使うと」
「だが、この程度ならば破るのは容易い」
「させると思うか?弐号、伍号!!後は頼んだぞ!!」
四号が叫ぶと同時に上空から新たに二人の機樹人が現れる
彼等は遊撃に回されていた機樹人達
その彼等を近右衛門一人への対処に回すのだから彼らが彼をどれだけ警戒しているかが分かる
弐号と伍号は檻の前に陣取り、近右衛門が魔法を撃つ度にそれを邪魔する
「魔力が切れるまでつきあってもらおう、近衞 近右衛門」
「敵ながら天晴。いいだろう、わしの魔力が切れるのが先か、君達が倒れるのが先か、勝負といこう」
(すまぬ、後は頼んだぞ。タカミチ君、そして…………ネギ君)
side ネギ
「一体なにが起きてるのよ!!」
明日菜さんが大量にいるロボットを倒しながら叫ぶ
「わかりません、ですが今はこのロボット達を何とかしましょう!!」
刹那さんが刀を振るう
その横では木乃香さんが皆の傷を癒し、古さんが拳を振るう
僕達は世界樹の手前で戦っていた
突如現れたロボット達、彼等の目的はわからない
でも彼らは皆、世界樹を目指している
ならここで食い止めなきゃ!!
僕も魔法を唱え続ける
その時だった
地面が震える
何事かと顔を上げると大きな鬼がこちらに向かってくる
「なんなのよ、あれ」
全員が呆然としてしまった
それは致命的な隙だった
僕達にロボットが殺到する
しかしロボット達の攻撃はいつまで経ってもこちらに届かない
何故なら
「大丈夫で御座るか?」
忍者刀を持った長瀬さんが其処にいた
「長瀬さん!!」
「なにやら良く分からんでござるが手を貸すで御座る」
「ありがとう御座います!!」
「ではあのデカブツは拙者が受け持とう」
長瀬さんはそう言うと大きな鬼に向かっていく
しかし、彼女は突如弾き飛ばされた
鬼は動いていなかった
何が起きたのか、と目を凝らすと鬼の手の上に何人かの人影が見える
人影は鬼の手から降り真っ直ぐにこちらに向かってくる
ロボット達はその人物を確認すると道を譲る
そこから判断されるのはその人物がこの騒動の主犯
そしてその人物は
「超……さん?」
どうでしたか?今回は色々とオリジナル技を書きました。解説は下に書きます。
技解説コーナー!!
茶々丸「それでは今回はタカミチ先生の技『気突鬼』について説明してもらいましょう」
タカミチ「うーん、そうだねあの技についてはもう知っているだろうから会得した経緯でも構わないかい?」
茶々丸「問題はありません」
タカミチ「僕はムラサメさんの別荘で修行していた時なんだけどね、休憩していたら森の奥から何か音が聞こえてね、気になった僕はその音がする方へ向ったんだ。
するとそこには全長100メートルは越そうかという巨木があってね、その木に向かって嘴を繰り出している鳥がいたんだ」
茶々丸「それがキツツキですか?」
タカミチ「うん、まぁその大きさは2メートル程あったんだけどね。でもその嘴の速さといったら、僕はそれを見た瞬間にひらめいたんだよ。これは会得すれば居合拳を超える技になるのではってね」
茶々丸「なるほど」
タカミチ「こんなところかな。本当にムラサメさんの別荘はすごいよ。あそこの生き物たちは見ているだけで色々な影響を僕に与えてくれる」
茶々丸「それはすなわちこれからも技が増える、ということですか?」
タカミチ「それは秘密、かな。では今回はこのあたりで」
茶々丸「はい、ありがとうございました」
おまけ 「アスモデウスは今」
アスモデウス「あ〜暇だ。暇だ、ひ・ま・だ!!」
???「なにを叫んでいる」
アスモ「あぁ?バアルか。なにって暇なんだよ。ったく会合なんかなければムーちゃんと遊んでられたってのに」
バアル「ムーちゃん?あぁお前を負かした奴か」
アスモ「そうだぜ、しかも俺と気があうんだ」
バアル「ほぅ、お前とか。それはまた・・・・・・」
アスモ「なんだよ」
バアル「いや、俺も興味が湧いたな。よし今度そいつに会いにいこう。
他の王にも声をかけてな」
アスモ「それは・・・・・・面白そうだな」
バアル「だろう?ならばさっさと会合なんぞ終わらせるぞ」
アスモ「おぅ!!」
まさかの麻帆良に再び魔王の影迫る!!どうなる、待て次回!!(あるのか?)