学園祭もそろそろクライマックスです。はたして鈴はどうなるのか
お楽しみに!!
書きなおしはしません。このままいかせて頂きます。感想をくれた皆さん有難うございます。たびたび迷う作者ですがよろしくお願いします
うちはどうすればいいんやろ
side 木乃香
うちの足は動かんかった
超さん、ううん鈴さんの話を聞いてしまったからや
聞かなければ良かったと思う
でもうちは聞いてしまったんや
鈴さんの心の叫びを
魔法、父様やおじいちゃんの関わってきた世界
修学旅行を機に私も踏みいった世界
鈴さんを止める為に走りだしたネギ先生や明日菜達の表情は優れない
でも、彼等は走る事が、足を動かす事が出来るんや
皆にはあるんやろうか
自分の信じる『正義』が
うちにはそんな凄いもんはない
うちはただうちの力で皆の為に何かしたいと思っただけや
うちはどうすればいいんやろ
「……様、嬢様、……このちゃん!!」
「え?」
うちは誰かに呼ばれてる事にようやく気付いた
うちの目の前にはせっちゃんが心配そうな顔で立っていた
「せっちゃん」
「お嬢様、大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫や。でもなネギ君達みたいに足が動かん」
「……」
「なぁせっちゃん、うち等は正しいんかな?うち等は鈴さんを止めてもええんかな?うち等は、うちはどうすればいいんや?」
「それは…………」
せっちゃんは答えに詰まる
あぁ、せっちゃんも分からへんのか
「木乃香」
うちは呼ばれた方を見るとおじいちゃんが立っていた
「おじいちゃん、うちはどうすればいいんや?」
「それはお前自身が答えを出さねばならぬ事じゃ。他人から与えられた答えで動いてはならん」
そこにいたのはいつもの飄々として機があればうちに見合いをさせようとするおじいちゃんじゃなかった
いるのは毅然とし、前を見据えている大人がいた
「……じゃあうちは動けへんよ。だってうちには鈴さんが間違ってるなんて言えへんもん」
「木乃香、お前はそれでいい。その優しさは時にお前を傷つけるじゃろう、だがその優しさを
捨ててはならぬぞ。優しいからこそお前はわしの自慢の孫なのじゃから。じゃからお前の足が動かない事をわしは責めん、いや誰にも責めさせはせん」
おじいちゃんはそう言ってうちの頭をなでてくれる
おじいちゃんはうちの頭をなでながらせっちゃんの方を向いて
「刹那君、お主はどうする?」
と聞いた
「わ、私もどうすればいいのか分かりません」
そう言ってせっちゃんは明日菜達を見る
向こうでは鈴さんと明日菜達が戦っていた
side ネギ
「鈴さん、化学式を止めて下さい!! こんな事はしちゃ駄目です!!」
「お前は私の話を聞いていたのか? 私を止めたいならお前らの大好きな『正義』で
止めて見せろ!! 何も考えず、ただそれは悪い事だ、だからやめろなんて幼子の言う事だ!!」
鈴さんの言葉が僕の心に刺さる
でも、そんな事言われてもわからないよ
僕はどうすればいいかなんて
信じてきた魔法使い、信じてきた『正義』
それを真っ向から否定された事なんてなかったんだから
父さんならこんな時どうしたんだろう
そんな考えで足が止まる
「何を足を止めている。隙だらけだ」
「え?」
急に僕の上に影が出来たかと思えば大きな巨人の拳が迫っていた
駄目だ、これはもう避けられない
僕は目をつぶる
しかし、僕が殴られることはなかった
僕はゆっくり目を開けるとそこにはアーティファクトで拳を受け止めている明日菜さんがいた
「あ、明日菜さん?」
「こんの馬鹿ネギ!! 今は考えてる場合じゃないでしょ!! 超さん、ううん鈴さんを止めないと!!」
「でも、僕には分からないんです。鈴さんが間違ってるかなんて分からないんですよ!!」
「そんなもん私にも分からないわよ!! でも、それでも…………」
「私の拳を受け止めながら話とは余裕だな。少し出力を上げよう」
「あぐっ、きゃあぁぁぁぁ!!」
明日菜さんが押しつぶされそうになる
「明日菜さん!! 魔法の射手風の5矢!!」
僕は咄嗟に魔法を唱えて巨人の拳をはじいた
「明日菜さん、大丈夫ですか!?」
「平気よ。それよりもあんたはどうするの?」
「ぼ、僕は」
「私は馬鹿だからさ、未来の事とかはよく分からない。でもね、鈴さんの計画が成功したら今が滅茶苦茶になるっていうのは分かる。だから私は鈴さんを止めるわ」
「でも!! それじゃあ未来が!!」
「別の方法を探せばいいじゃない!! 皆で協力して、探せばいいじゃない!!」
「明日菜さん。そうですね、皆で探しましょう!!」
side 鈴
ネギの目から迷いが消えた
ふん、『正義』で私を倒す事を決めたか?
「鈴さん、僕はもう迷いません!! 貴方を止めます!!」
「ほぅ、それは私の話を与太と決め『正義』の名の下に潰すか?」
「いいえ!! 貴方の話が与太だとは思いません。でも、貴方の計画は『今』を壊してしまいます!!だから、僕は貴方を止めます。それで、その後皆で考えます!! そんな未来を避ける方法を!!」
その言葉に私の中の何かが切れる音がした
またか、また貴様はそんな戯言をほざくのか……!!
いいだろう、貴様がそんな戯言をほざくなら言ってやろう
現実を教えてやろう
私は拍手をする
「素晴らしい、素晴らしいよ。そんな言葉が出てくるとは。流石は『何もしなかった英雄の子』だ」
「え?」
「教えてあげようか、未来でお前達は今と同じ言葉を言ったのさ。『皆で考えれば』ってな。
そのままどうすればいいのか分からずに動かなかったのさ。魔法使いを止める事もしないで、協力もしない。ただの置物みたいにな!!!」
「う、嘘よ!!」
「ふん、いい加減に気づいたらどうだ? お前達は『ガキ』だと」
あぁイラつく
そんな甘い言葉が通用する時は既に過ぎたんだ
私だってそんな事は考えたさ
でも無理だったからこそ私はこの方法をとったんだ
もう止まる事は出来ない
だから未だに甘い戯言を言っている目の前の奴等を叩き潰してやる
「樹獣の種、起動!!」
その言葉と共に私が心臓付近に移植した最後の樹獣の種が起動する
side ムラサメ
世界樹を通して全てを見聞きしていた俺は額に汗が流れるのを感じた
汗が流れ出た理由は唯一つ
鈴が行った事である
樹獣の種を人間に植えると言う事は格と能力的には劣るが俺と近しい存在になるということである
「無茶をする……。頭がもたなくなるぞ」
いきなりネットワークに接続し、その力を振るうのだ
その負担は半端なものではなく下手をすれば廃人へとなってしまう程のものだった
正に背水の陣である
そして、それは同時に鈴がこの計画に賭けている想いの表れ
「見届けさせて貰うぜ、お前の覚悟を、生き様を」
俺は一人世界樹へと向かう
side ネギ
鈴さんが何かを呟くと彼女の雰囲気が変わった
俯いてた顔を上げると顔に血管のような植物の根の様な何かが張っていた
「……ネットワークとの接続は良好。壱号はそっちの連中を頼む、私はこの二人を相手にする」
「わかりました、お気をつけて〇〇」
「壱号も」
「さぁ行くよ!!」
鈴さんの動きは速かった
瞬動を使ったのか一瞬でこちらとの距離を詰め僕の腹に向けて崩拳を放つ
崩拳は僕の魔法障壁を簡単に打ち砕きそのまま腹に突き刺さる
ボキボキと嫌な音が響く
「ネギ!! こんのぉ!!」
明日菜さんはハマノツルギを振りかぶるが鈴さんはそれに焦る事なくつま先で地面を軽く叩く
すると彼女の足元から樹で出来た壁が出来あがり明日菜さんの一撃を防ぐ
「嘘…………」
ハマノツルギが当たっても消えないなんてあの壁は魔法じゃないの!?
「どうした? 何を呆けてるんだ? それとも諦めたか? 認めたか? 自分達はただの『ガキ』で何も出来ないといういことを!!」
鈴さんは再び地面を叩くと巨大な樹の槍が僕等に迫る
「雷の暴風!!」
槍と雷がぶつかり合う
鈴さんの言葉が頭の中で反芻される
そう、かもしれない
僕は魔法使いと言っても10歳の子供で、まだ何も知らない
いや、知ろうとしなかった
魔法使いにも汚い、裏があると言う事を
魔法は良い事に使われるのが常識
でも彼女の話は僕のそんな常識をいとも簡単に砕いてしまった
だけど、それでも!!
「鈴さん、僕は確かにどうしようもない『ガキ』で甘い戯言しか言わないかもしれません。
だけど僕はこの甘い戯言を捨てません。これを捨てたら僕は僕で無くなる気がするんです。
だから僕は貴方を止めます、止めて皆で考えます。未来を変える方法を!!」
「なるほど、あくまでも甘さを捨てないか。ならばお前達と私達は平行線だ!!
私は決してお前達のお前の考えを認めない!!」
意地と意地のぶつかり合い
お互いに譲れないものがあるからこそぶつかり合う
僕の想いは鈴さんからしたら決して許す事の出来ない戯言
でも、その戯言こそが大事なんだと僕は思う
side 鈴
ネギ達と戦い始めてから既に10分が経過する
化学式の完成には15分を要する
後、5分だ
5分経てば私の想いは叶う
私はもう100以上樹を創りだしている
生命を創りだす
それは私に異様なまでの負担をかけていた
既に私の体は内出血だらけだろう
骨は軋み、脳は酷く痛む
目からも血が出てきたようで既に前は見えない
だけどネットワークを通じてネギ達の場所は分かる
まったくなんて悪循環だ
目が見えないからネットワークを使い、そうしたことで更に脳に負担がかかる
先程から荒い息が聞こえる、どうやらネギの方も限界のようだな
「ラス・テル マ・スキル マギステル 影の地統べる者 スカサハの我が手に授けん 三十の棘をもつ愛しき槍を!! 雷の槍!!」
ネギの最後の攻撃であろう雷の槍が飛来してくる
私も最後の力を振り絞り、今までの中で一番大きな樹の槍を創りだしネギに向かわせる
雷と樹はお互いに相手に殺到する
その時だった
私の脳が遂に限界を迎えた
姿勢が崩れる
そのタイムラグは致命的だった
既に雷の槍は目の前に迫る
「母上ーーーーーーーーーーーーーー!!」
しかし雷はいつまで経っても当たらない
私は血を拭い前を見る
そこには雷の槍を真正面から受け止めた壱号の姿があった
ついに〇〇の中身が判明、まぁ予想はついていたでしょうが
あと1〜2話で学園祭は終わります。
ではまた次回
今回はおまけはなしです、楽しみにしている方申し訳ありません