遅くなりました。なんだか筆が進まなかったものでして・・・・・
今回は閑話です、ではどうぞ
後、壊れたタカミチですが感想であったTAKAMITIを正式に使わせて頂きたいと思います。
後継者とそれぞれの想い
side ネギ
学園祭での鈴さんの話を聞いてから僕は『立派な魔法使い』というのが何なのかを、
考える事が多くなった
今まで僕は魔法は正しい事に使う事が正しいと思っていた
でも鈴さんの話を聞いたらそれも分からなくなった
そんな事を考えていると、明日菜さんがやってきた
「ネギ、今いい?」
「あ、はい。大丈夫です」
明日菜さんは僕の前に座って
「ネギ、魔法使いってなんなんだろうね」
そう言った
「……前の僕なら良い事をする人達です、と答えるんでしょうが、正直に言って今は分かりません」
「そう」
僕たちの間になんとも言えない空気が流れる
すると
「ねぇネギ、そろそろ夏休みよね」
「そう言えばそうですね」
「……夏休みにさ、その『魔法世界』に行ってみない?」
「え?」
「だって、ここでウダウダしてても絶対に分からないじゃない。なら、実際に見に行ってみない?」
こういう時、明日菜さんは本当に凄いなと思う
僕は悩んでいる時間が多いだろうから
「そう、ですね。悩んでいるよりは良いかもしれませんね」
そうなったら学園側にも許可を貰わなくてはいけない
「あの場にいた他の皆には私から声を掛けておくからね」
「お願いします」
明日菜さんはそう言って部屋から出て行った
僕も学園長先生に話に行こう
side 近衞 近右衛門
学園祭での後始末をしていたわしの下にネギ君がやってきた
なんでも夏休みに魔法世界のメガロメセンブリアに行きたいとの事
鈴君の件で彼なりに思う所があったようで、自分の目で魔法使いを見たいと言った
その目はただの甘ったれた子供の目ではなく、前を見ようとする目だった
ようやく、尻のタマゴの殻がとれたかの
じゃが、どうしたものか
正直に言って、メガロメセンブリアに今のネギ君達を送るのは危険の一言に尽きる
「……ふむ、君の言いたい事は分かった。じゃが、この件に関してはそう容易く許可する訳にいかんでな。夏休みまではまだ時間はある、しばし考えさせてくれ」
「は、はい。よろしくお願いします」
わしはネギ君を部屋から出すと、すぐさまタカミチ君を呼び出し、この事を話す
「それで、君はどう考える?」
「正直言って反対ですね。彼等は弱すぎる、そして足元が固まっていない。そんな彼等がメガロに行けば良い様に言い包められ、上層部の傀儡となるのがオチですね」
「ふむ、やはりそう思うか」
「えぇ、今のメガロは危うすぎる。せめてもう少し力と確固たる意志が欲しい所ですね」
「…………ふむ」
タカミチ君の言葉にはわしも賛成だ
じゃが、ネギ君は今こそ一人の魔法使いとして歩み始めようとしている
ならば、その背中を押してみたいとも思う
まぁそうは言っても、わしは彼にそこまで期待をしている訳ではない
精々、使えるようになって欲しいといった程度だ
「タカミチ君、君ならばどうする?」
わしはタカミチ君に尋ねる
ここで何を、どうするのか、を聞かないのは彼ならば問題はないと理解しているからである
「鍛えます。彼等がどうしても魔法世界へ、『真実』を見たいと言うならば鍛えるべきです」
「それしかない、か。じゃがムラサメ殿達は一切協力はしてくれん、どうしたものか……」
わしとタカミチ君が考えていると、
「学園長、一つ僕に考えがあります」
「ほぅ」
「彼等を魔法世界に送るんです」
「どういうことかの? 先程まで無理だと言っておったではないか」
「えぇ、言いました。今の彼等がメガロメセンブリア『に』行くのは反対だ、と」
それだけ言えばわしにも分かった
「なるほど、そう言う事か。それで誰に彼等を任せるのじゃ?」
「わかってるでしょうに。元『紅き翼』ジャック・ラカンです」
やはり、か
「確かに彼なら面白がってやってくれるじゃろう。じゃが彼は基本、帝国から動かん。どうやって彼等を彼の下に届ける?」
「……ネギ君達が魔法世界へと転位する際に『偶然』問題が起き、転位場所が帝国にずれるとかが起きないと無理ですかね」
なるほど、『偶然』か
「ふむ。『偶然』ならば致し方ないの。……それにしても君も黒いの」
「何を言いますか。僕が誰の直属か忘れたとは言わせませんよ?」
「ふぉふぉ、これは一本取られたわい。ならばその方向で話を進めるとしよう。
ジャック・ラカンへの連絡は頼んだぞ」
「わかりました。それでは」
そう言ってタカミチ君は部屋から出て行った
その後ろ姿を見ながら思う
「……頼もしくなった。彼ならばわし等、老いた者と今後育つであろう若き者との架け橋となってくれるじゃろうて。師匠、貴方もこの様な気持ちを味わったのですかな…………」
わしは静かに、己が老い、そして後継者が育っている事を感じた
今夜は旨い酒が飲めそうじゃ
side エヴァ
近頃、ムラサメの様子がおかしい
度々、別荘に潜っては何かをしているかと思えば、何かと連絡を取っている
その様子に私は覚えがある
いつ見たのだろうか
私は自分の記憶を掘り起こす
……あぁ、そうだ
あれはムラサメが大戦に参加する前と同じなんだ
ムラサメはまた戦いに行くのだな
その考えに至った時、私は決心した
今度はムラサメに付いて行こう、と
ムラサメが何と戦うのか、大体の予想はついている
それは世界を敵にまわすだろう
でも、それでも私はお前と共にあろう
あの時、私はお前に救われた
だから今度は私がお前を助ける番だ
side 夕映
ふぅ、疲れました
まったくムラサメさんときたら、いきなり私を呼び出したかと思えば別荘へと連れて行って
生物の調査を行わせるんですから
それにしても今回の調査はどうにも危険な生物が多かったですね
一体ムラサメさんはあの生物達をどうするつもりなんでしょうか
どう考えても物騒な事にしかなりませんよね
「ムラサメさん、貴方は一体なにをするつもりなのです…………?」
私はそう呟きながら、目を閉じ、今までの出来ごとを思い返してみる
思い出すのはやはり修行の事
エヴァンジェリンさんからは魔法使いの心構えと基礎を
フェイトさんからは土の魔法を
ムラサメさんからは命の意味と覚悟、そして…………
そこまで考え、私は目を開け、自分の懐から一枚のカードを取りだす
それは仮契約のカード
絵の中の私は大樹を背に微笑んでいる
そして上に書かれている称号は『大樹の巫女』
その称号を見て、私は自分の頬が緩むのを感じた
そうです、何も悩む事や、疑問に思う事はないです
私はあの人に付いて行くと決めたのですから
貴方の進む道が例えどのようなものであろうとも、私は貴方と歩むと決めたのだから
短くてすいません。今回はこんな感じです。
さて、次回から本格的に終演に向かいますが、その間にも何回か番外を入れたいと思っています。たとえば10月ですからハロウィンネタや、エヴァか夕映のムラサメとも絡みなどです。
ではまた次回
今回はおまけはなしです