遅くなってすいません。色々と書きなおしてたらこんなに間があいてしまいました。それでは楽しんでいただける事を願います
すべてを手に入れてみせる
「どうすんのよ!! 指名手配されちゃったじゃない!!」
明日菜が叫んでいる
しかし、その怒りの矛先はいつもはネギなのだが今回は違った。
矛先はネギ達の前で酒を飲んでいる一人の人物だった
「落ち着きなよ、明日菜。多分おっさんにも考えがあるのさ」
早乙女が明日菜を宥める
ネギ達の視線は目の前の男性に注がれる
「ん? なんだよ、そんな熱い視線で見るなよ。照れるじゃねぇか」
「……はぁ、これからどうするんですか? ラカンさん」
時は遡り、フェイトの仲間であると思われる女性からの攻撃を受け、転位装置が破壊された時
「ネギ先生! なんか兵隊っぽい人達が一杯向かってきてるよ!!」
「どうするの!?」
「皆さん、落ち着いてください。ここは逃げずにありのままを説明しましょう。
疑われるかもしれませんが逃げるよりはマシです」
ネギは仲間達にそう告げる
しかし
「おい、お前ら! こっちに来い!!」
「え?」
周りを見回すと、裏路地に繋がる道の前で一人の男の人が手招きをしていた
「貴方は?」
「俺はジャック・ラカンだ! そこの見ているだけで馬鹿を思い出す赤毛とその他、さっさと来い!」
「貴方が英雄ジャック・ラカンさん!? 来いと言われましても、この現状を説明しないと」
「うるせぇな、そんな時間はないんだよ。ラカン超絶手加減気合いパンチ!」
「へぶっ」
ネギはラカンから飛んできた衝撃波で意識を失い、その場に倒れ伏す
ラカンは倒れたネギを俵のように持ち、走っていく
「ほれ、行くぞ」
「は、はい」
そうして彼等はラカンの案内に従い、彼の隠れ家へと行く事となった
そして現在
「完ッ全に裏目に出てるじゃねぇか!!」
「ガッハッハッハ、ワリ。まぁいいじゃねぇか、そんなに気にすんなって。
帝国も今は指名手配してるが、そこまで馬鹿じゃねぇからな。すぐに手配は解けるって」
「うぉぉぉ、このオッサンまったく反省の色が見えへん」
「そんなに褒めるなよ」
「褒めてねぇよ!!」
小太郎と長谷川が怒鳴るがラカンはまったく気にせずに酒をあおり続ける
「良いじゃねぇか。どうせお前らはしばらく表に出ないんだし」
「え?」
「なにせ、お前ら弱すぎるからな。俺様の超絶手加減気合いパンチで気絶してるようじゃ駄目駄目だ」
ラカンの言葉にネギは顔を伏せる
「ネギだったか? お前が魔法世界に来たのは何でだ?」
「魔法使いとは、何かを知るためです。……そして、誰かが決めた立派な魔法使い(マギステル・マギ)ではなく、本当の立派な魔法使いになるためです」
「なら、今お前がやるべき事は?」
「強くなる事です!」
「教えを請う相手は!」
「貴方です! ジャック・ラカンさん!!」
ネギはそう言い、ラカンの目を真っ直ぐ見詰める
「上出来だ、今からお前は俺が鍛えてやる」
「有難うございます!!」
「あ、授業料はこんぐらいな」
「お金、取るんですか!?」
side ムラサメ
夕映達と合流してから、帝都郊外でこれからの事を話す事になった
「ムラサメ、お前誰に会いにいったんだ?」
エヴァが上目遣いで睨んでくる
「女性というのは本当ですか?」
「なんだその情報は。俺はちと造物主に会って来ただけだ」
「……待て、女性じゃなかったのには安心したが聞き捨てならない単語が聞こえたぞ」
「気にすんなよ。取り敢えずアイツからの情報で『除草剤』の在り処は大分絞れた。近いうちに動くぞ」
俺の言葉にその場にいる全員の顔が真面目な物になる
まぁチャチャゼロは相変わらず笑っていたが
「あの、ムラサメさん。動くのはいつごろですか?」
「ん? 今すぐ」
「え”、もう動くんですか?」
「当り前だ、さっさと終わらせんとそれだけ開発と量産が進んじまうからな」
「そう、ですね。わかりました、行きましょう」
「エヴァもそれでいいな?」
「私はどのような時でもお前と共に進むと決めている。好きにしろ」
「そうかい、じゃあ行くか」
俺はテレポートロータスを咲かせ、中に入る
さぁ、動こうか
side 三人称
メガロメセンブリア郊外には廃墟が多い
これは未だ癒えぬ大戦の傷跡であり、人々が忘れてはならない光景である
廃墟というだけあり、その周辺は建物の崩落や瓦礫が多くあるため、メガロメセンブリアの市民は決して近づかない
しかし、それは市民に限った場合であり、近づく者はいた
それは脛に傷を持つ者達が多かった
彼らは人が近づかないのを良い事に、廃墟に好き勝手にアジトの様な物を作っていた
そんな中にも例外というものは存在する
それは一見すると、周りにある廃墟と同じなのだが、中に入れば床に廃墟にはおよそ相応しくない機械の扉が存在した
その扉の奥には開けた空間が広がっていた
中では10人程の男達が何かをしていた
この男達はいずれも新聞を読んでいる人間ならば知らない筈のない人物ばかりだった
彼等は何かを中心に円陣を組み、言葉を紡ぎ続けていた
中心にあったのは直径50㎝程のカプセルのようなものだった
「ようやく、だ。後少しで完成する」
「ぐふ、ぐふふ。これさえあれば……」
「だが、完全なる世界に庇護を求められなかったのは痛いな」
「関係あるものか。これが完成すれば、あの忌々しい代行者を消す事が出来る。
そうすれば私たちは英雄となり、完全なる世界などに頼らずとも市民が、騎士が我々を守護する」
「それもそうだ」
男達の下卑た笑いが木霊する
彼等の頭の中では既に英雄として崇められている自身の姿とそれに伴う富と名誉の事だけだった
そこには市民の、世界の為に働くという感情は皆無であった
そんな中、部屋の中に突如として大輪の花が咲いた
花の中からは代行者と数人の女性が出てきた
「ムラサメ、ここでいいのか?」
「あぁ、見ろ。いるだろう、屑が」
「何故、代行者が! どうしてここが分かった!? ここは我等しか知らぬ筈だ!!」
「どうでもいいだろう? これから壊れる貴様等には」
ムラサメの宣告を聞いた男達は顔を青白くするが、一人の男が笑みを浮かべる
「ふん、壊れるのはどちらかな? こちらには貴様も知っての通り除草剤があるのだぞ?」
その言葉で他の男達も立ち直り杖を構える
「ここで貴様等を消せば英雄だ!!」
「富、名声、何でも手に入る!!」
男達はエヴァンジェリン達の方を見ながら叫んだ
「代行者を消したら次は貴様等だ!!」
「まぁ、待て。見れば中々に良い容姿だ。代行者を消したら我等のモノにしようではないか」
「それはいい!!」
下卑た笑いが木霊する
その言葉にムラサメよりも先に彼女達が沸点を超えそうになる
「貴様等、どこまで腐っているのだ」
「反吐が出ます」
「もういい、黙れ」
ムラサメはそう言い、左手を前に突き出す
すると、笑っていた男達の一人の右腕が落ちた
「へ?」
腕を落とした男は何が起きたのか分からなった
そして、床に落ちている腕を見、血を噴き出している自らの腕を見た
「ひ、ひぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ! なんで、なんで、私の腕がぁぁぁぁ!!」
「馬鹿な! 魔法を使った様子もない、植物を使った訳でもないというのに!!」
男達は杖をムラサメ達に向けようとするが、瞬間、手が熱くなる
見れば、自分達の指が地面に落ちていた
「なにが、なにが!!」
「気付かないのか? ほれ、そろそろ出てくるぞ」
ムラサメがそう言うと、初めに腕をちぎられた男が突如苦しみ出す
「いぎぃぃぃぃぃ、痛い、頭がいだいぃぃぃぃ」
男がそう言うと、彼の頭がナニカに破られた
そして、男だったモノが倒れるとそこには血にまみれたクワガタがいた
「蟲? まさか!!」
「その通り、そいつが痛みの正体だ。さぁ、食い荒らせ」
ムラサメがそう命じると、クワガタは高速で飛びまわりながら新たな獲物へと向かう
男達がクワガタに気を取られている間にムラサメは召喚陣を作りだす
する、中から蟲が飛び出してくる
出てきた蟲は成人の大きさを優に超える羽の生えたムカデと、60㎝程の蚊が出てきた
そこから始まったのは、蟲達による容赦のない攻撃
クワガタに食い荒らされ、ムカデに体を貫かれ、蚊に血を吸われつくす
エヴァンジェリンと夕映達は後ろでその惨劇を見ている
エヴァンジェリンはそうでもないが、夕映は顔を背けていた
しばらく経ち、
「もういいか、帰っていいぞ」
ムラサメは蟲達に指示を出す
蟲達はムラサメの足元に出来た召喚陣を通り、彼の別荘に帰っていった
残されたのは肉塊に化した人間だったモノと、かろうじて生きている男が2人いるだけだった
生きていると言っても、時間の問題ではあるが
ムラサメは彼等を一瞥もせずに『除草剤』に向かう
「後は、これを破壊して、此処を消滅させるだけか」
この時、既にムラサメの意識から男達は消えていた
故に気づかなかった
陰に隠れて無傷で生き残っていた男が胸元からボタンのついた装置を取り出すのに
しかし、ムラサメは気付かずとも、エヴァンジェリンは気付いた
「貴様、何をするつもりだ!!」
「ひ、ひひ。『除草剤』に近づいてくれてありがとうよ。それは威力は申し分ないんだが、範囲が狭くてな、それがこれからの課題だったんだ」
男はそう言い、ボタンを押す
瞬間、『除草剤』が光り、
爆発した
「ムラサメェェェェェェ!!」
この展開までようやく来る事が出来ました。後、2話程で完結させる予定です。
まぁ、その間に番外を挟む予定ですけどね。
ここからは批判が多く出るかもしれない展開になってしまうかもしれません。
ですが、楽しんで最後までお付き合いしていただけることを願います
ではまた次回