せっかくのクリスマスなんで番外を書きました。
本編の方が後、1話入れてエピローグで終わりそうなので、少し休憩も兼ねて投稿します。
番外 クリスマスは誰の誕生日?
注、これは本編にはまったく関係がないので時系列はあってないものです
エヴァンジェリン達はムラサメの家に集まっていた
別段なにかをするでもなく、ただ集まって話しているだけだ
そんな時、彼等の前に魔法陣が現れ、中から見慣れた4人が出てきた
「「「「メリー・クリスマス!!」」」」
出てきたのは七大魔王アスモデウス、蠅の王バアルゼブル、夜の魔女リリス、明けの明星ルシファーだった
彼等が突然現れる事は今に始まった事ではないので余り驚かないが、今回は違った
何故なら彼等の格好がいつもの服ではなかったからだ
彼等は皆、赤と白を基調とした服をきていた
ぶっちゃけていうとサンタクロースの格好だ
まぁ、リリスだけはミニスカートのサンタ服だったが
「おぉ、久しぶりだな。どうした?」
「どうした? どうしたと聞いたか? ムーちゃん」
アスモデウスはそう言いながら、懐から何かを取り出す
エヴァンジェリンは何か魔道具かと思い警戒するが出てきたのは一枚のチラシだった
「なになに……、クリスマスを皆さんで祝いましょう。各々クリスマスにちなんだ格好で参加してください、か。それでそんな格好なんだな」
「おぅよ。で、ムーちゃんも誘いに来たって訳」
アスモデウス達は笑顔で頷いた
ムラサメも笑顔になりながら言った
「面白いな、やるか」
しかし、その言葉に待ったを掛ける人物がいた
「ちょっと待て」
それはエヴァンジェリンだった
「エヴァ、どうした?」
「お前らクリスマスがどんな日か知っているのか?」
エヴァンジェリンの問いに、ルシファーやリリスは笑顔で答えた
「「イエス・キリストの誕生日」」
「そうだな、キリスト教における『神聖』な、いいか『神聖』な日だ。それでお前達はなんだ?」
「アスモデウス」
「バアルゼブル」
「リリス」
「ルシファー」
「うん、つまりは?」
「「「「悪魔だけど何か?」」」」
エヴァンジェリンは一度、大きく息を吸い叫んだ
「なんで悪魔がクリスマスを祝うんだーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」
エヴァンジェリンはゼイゼイと息をしながら突っ込んだ
しかし、彼女の渾身の突っ込みにも彼等は動じずに反論した
「だって、遊びたいじゃないか!」
「悪魔だからって差別するな!」
「サンタ服って可愛いから着てみたかったんだもん!」
「俺は元天使だから!!」
どれが誰の反論かは想像に難くない
アスモデウスは言うだけ言うとムラサメの方を向き言った
「それで、参加してくれるか?」
「勿論だとも。だが、俺はクリスマス関連の服は無いぞ」
「大丈夫だ。ムーちゃんにしか出来ない事がある。ちょっと来てくれ」
アスモデウスはそう言うとムラサメの耳に何かをささやく
するとムラサメの顔に笑みが広がっていく
それは純粋な笑みではなく、悪戯を思いついた悪ガキの笑顔だった
その笑顔を見たエヴァンジェリンは嫌な予感しかしていなかった
「あ、エヴァちゃんと夕映ちゃんはコッチに来て」
「む?」
「なんですか?」
「いいから、いいから」
エヴァンジェリンと夕映はリリスに連れて行かれた
ちなみに抵抗は一切しなかった
何故なら抵抗しても無駄という事が分かり切っているからだった
リリスは二人を男性陣から離れた所に連れて行き、何かを呟く
すると、二人の顔が真っ赤になった
三人はそのまま何かを話しているのでムラサメ達は放っておく事にした
そして、クリスマスの夜
麻帆良学園はクリスマス一色となり、賑わっていた
その中には見慣れた顔もあった
近右衛門はそんな様子を見ながら頬を緩ませていた
「ふぉっふぉ、平和じゃ。そして静かで良い」
その時だった
『メリークリスマス!! メリィィィクリスマァァス!!』
上空からそんな声が聞こえた
何事かと思い、上を見上げると
「な、なんじゃそりゃーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
そこには巨大な木のソリと木で作られたトナカイ?とソリに乗る二人の男がいた
学園の結界のお陰で一般の生徒達はなにかのアトラクションと思うからだ
しかし、裏の関係者は気付いていた
ソリに乗っている存在の圧倒的存在感、そして魔力
それは白と黒の翼を広げながらソリの上から何かをばらまいていた
それ雪の結晶のような花だった
花は上空から降り注ぎ、地上に落ちると弾けて消える
その幻想的な光景に皆、言葉を忘れ、見惚れていた
しかし、近右衛門は別の意味で見惚れていた
何故ならソリに乗っているのはムラサメとハロウィンの時に自分を急襲してきたルシファーだったからだ
近右衛門は他の連中は何処かと辺りを探す
そして、気付いた
木のトナカイをよく見てみると、一頭はトナカイではなく山羊の頭で、もう一頭は蠅の顔だった
「そんなトナカイがいるかーーーーーーー!!」
クリスマスといえど近右衛門に休息は訪れない
「いや〜、楽しいな。こうやって上空からばらまくのって」
「まったくだ」
「くそ、ジャンケンで負けなければ……」
「来年こそは……」
どうやら彼等は来年もヤル気のようだった
ムラサメ達が家に戻ると、リリスが笑顔で迎えた
「おかえり〜、楽しかった?」
「まぁそこそこだな。ところでエヴァ達は?」
「んふふ〜。ムラサメ君、部屋に行ってみなよ」
リリスは笑いながらムラサメに部屋に行くように促す
「? おう」
ムラサメが部屋に戻ると、そこには大きな箱があった
どのくらい大きいかと言うと人が二人程入りそうなくらいだ
しかも箱が時々動いていた
不審に思ったムラサメが箱を開けると、そこにはミニスカサンタの格好にさせられたエヴァンジェリンと夕映が詰められていた
「……なにしてんだ? お前ら」
エヴァンジェリン達は顔を真っ赤にしながら、何かを呟く
「………です」
「あ? なんて言った?」
「………です」
「聞こえないんだが」
「うわーん! エヴァンジェリンさん、やっぱりこんな事恥ずかしすぎて言えませんよ!」
「わ、私も無理だ。あー、そのムラサメ? 気にしないでくれ」
エヴァンジェリンと夕映はそう言うとサンタ服のまま部屋から出ていった
「エヴァ、夕映」
「ん?」
「なんですか?」
「メリークリスマス」
「「メリークリスマス(です)」」
「ちなみマスター、リリスさんに何て言われたんですか?」
「……私がクリスマスプレゼントって言えばムラサメも堕ちるって」
「無理です。言えません」
「ケケ、ソリャ無理ダ」
はい。そんなこんなでクリスマスな話でした。
本編の方は近いうちに投稿します。
アスモデウス達は番外だと使いやすいなぁ