第3話 出会い
母さんに頭を撫でられながらヴァリエール邸内に入ると、高そうな調度品や絵画が並び、まさにお金持ちといった印象を受けた。
まぁ鎧や剣も多かったのはスルーしておこう。
俺と両親はそのままゆっくりと歩を進め公爵がいる部屋へと向かった。
ついにご対面かと少し緊張していると、頭を撫でていた母に伝わったのか
「大丈夫よ? 優しい方だから」
と俺に小さな声で伝えてくれた。
少し緊張が解けた気がした。
父はそのまま目の前にある扉を開いていった。
「かわいいなぁ! エレオノールとカトレアは!!」
「や、止めてくださいお父様!」
「お髭がくすぐったい」
父さんは静かにドアを閉めていった。
「よし、散歩に行こうか!」
「そうね、30分くらいでいいかしら」
父さんと母さんは何事もなかったかのように来た道を戻ろうとする。
いいのか?あれ?
数歩歩いたところで怒声と何か大きなものが壁にぶつかる音がしたことで、父さんと母さんは足を止め、少し冷や汗をかきながら振り向いた。
「カリーヌ殿は気づいていらっしゃるようだ。
風は欺けないということか」
「そう……みたいね」
少し足取りが重くなった両親は、少し汗ばんだ手で俺の手を掴みながら再び部屋へと向かっていく。
母さん? 優しいんじゃなかったんですか!?
ゆっくりとドアを開けると見事な笑顔でこちらを出迎えてくれた公爵夫人と娘2人。
そして所々痣ができているラ・ヴァリエール公爵の姿がそこにはあった。
とりあえず緊張は吹っ飛んだが、夫人が少し怖かった。
「ようこそドリュウズ殿」
「私の息子のためにパーティを開いてくれるとは有り難いことです」
口調は少し硬いがお互いの表情には笑顔があり、親交の深さを表している。
母さんは母さんで公爵夫人と井戸端会議的な何かを始めたようだ。
必然俺は残った二人の相手をするわけだが……片や笑顔でこちらをじっと見ているし、片や少し警戒している。
流石にこのままでは気まずいので、話しかけてみることにした。
「初めまして。 僕の名前はレッド・ド・ドリュウズです」
すると少し不機嫌そうに
「エレオノール……エレオノール・アルベルティーヌ・ル・ブラン・ド・ラ・ブロワ・ド・ラ・ヴァリエール」
嬉しそうに
「カトレア・イヴェット・ラ・ボーム・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールです。 仲良くしましょうね?」
と答えてくれた。
この時エレオノール様は9歳、カトレア様は6歳だった。
2歳にしては少ししっかりしているように見えるため悪印象はそんなないはずなんだけど、なんで不機嫌なのかな?
と思っているとカトレア様が
「ドリュウズさんがいらっしゃったことで、お父様との触れ合いが終わってしまったのが不満みたいなの」
と小さな声で教えてくれた。
ツンデレか!?と思ったがその言葉は胸の内に秘めておくことにした。
エレオノール様は不機嫌そうではあるが、流石に初めて来た小さな子が気になるのか、チラチラとこちらを窺っていた。
だが俺はそれ以上に未だこちらをニコニコしてみているカトレア様が非常に気になる。
気になった俺は直接聞いてみた。
「僕の顔に何かついていますか?」
「いいえ」
「ではどうなさったのですか?」
「ただ貴方にも私と同じようなお友達がいるのだなぁって思いまして」
友達? 俺は生まれてからまだ両親と使用人以外との接触は殆どなかったし、同年代なんて尚更だ。
誰のことを言っているんだ?
「えっと…俺にはまだ友達と呼べる人はいないんですが」
「うーんなんて言ったらいいか、私の友達みたいな友達?」
カトレア様の友達ってことは、動物たちか?
ってことはまさか……ポケモンのことか?!
何故知っている?まだ俺はムクホークしか出していないし、しかも俺との関連性は無いはずだ!
目に見えて動揺している俺を見て、エレオノール様は不思議がっているし、カトレア様は笑顔のままだ。
そしてカトレア様は驚愕の事実を俺に告げた。
「お昼頃に私の部屋のベランダに大きな鳥さんが飛んできたの。
お父様やお母様は私を守ろうと急いで駆け付けて、その鳥さんに魔法を撃とうとしていたわ。
でもその鳥さんは唯私をじっと見つめるだけで動かなかったの。
だから私は魔法を止めてくれるように頼み、危ないから下がりなさいというお母様の言いつけも聞かずにその鳥に近寄って行きました。
しばらくその鳥を近くで見つめていたら、急に飛び立ってしまったの。
不思議に思っていたのだけど、レッド君を見た瞬間なんとなくあの鳥さんがレッド君の友達のような気がして」
ムクホークお前何やってんだ!!!!
なんでよりによってヴァリエール邸にくるんだ?!
普通森とかじゃないのか?
あぁ、これはヤバい。
動揺したことでその鳥に心当たりがあることはバレてしまったし、まだエレオノール様は気付いていないようだが……とりあえずカトレア様に内緒にしてもらえるように頼まないと!
「出来ればあいつのことは内緒にしてくれませんか? まだ両親にも教えていないので……」
「分かりました。 でも後でまたあの子に会わせてくださいね?」
カトレア様はムクホークと再び会うのが楽しみなのか、先ほどよりも楽しそうにしていた。
因みに俺はこれからどうしようか考えを巡らせることで手いっぱいだった。
これからどうしたものやら……
母さんに頭を撫でられながらヴァリエール邸内に入ると、高そうな調度品や絵画が並び、まさにお金持ちといった印象を受けた。
まぁ鎧や剣も多かったのはスルーしておこう。
俺と両親はそのままゆっくりと歩を進め公爵がいる部屋へと向かった。
ついにご対面かと少し緊張していると、頭を撫でていた母に伝わったのか
「大丈夫よ? 優しい方だから」
と俺に小さな声で伝えてくれた。
少し緊張が解けた気がした。
父はそのまま目の前にある扉を開いていった。
「かわいいなぁ! エレオノールとカトレアは!!」
「や、止めてくださいお父様!」
「お髭がくすぐったい」
父さんは静かにドアを閉めていった。
「よし、散歩に行こうか!」
「そうね、30分くらいでいいかしら」
父さんと母さんは何事もなかったかのように来た道を戻ろうとする。
いいのか?あれ?
数歩歩いたところで怒声と何か大きなものが壁にぶつかる音がしたことで、父さんと母さんは足を止め、少し冷や汗をかきながら振り向いた。
「カリーヌ殿は気づいていらっしゃるようだ。
風は欺けないということか」
「そう……みたいね」
少し足取りが重くなった両親は、少し汗ばんだ手で俺の手を掴みながら再び部屋へと向かっていく。
母さん? 優しいんじゃなかったんですか!?
ゆっくりとドアを開けると見事な笑顔でこちらを出迎えてくれた公爵夫人と娘2人。
そして所々痣ができているラ・ヴァリエール公爵の姿がそこにはあった。
とりあえず緊張は吹っ飛んだが、夫人が少し怖かった。
「ようこそドリュウズ殿」
「私の息子のためにパーティを開いてくれるとは有り難いことです」
口調は少し硬いがお互いの表情には笑顔があり、親交の深さを表している。
母さんは母さんで公爵夫人と井戸端会議的な何かを始めたようだ。
必然俺は残った二人の相手をするわけだが……片や笑顔でこちらをじっと見ているし、片や少し警戒している。
流石にこのままでは気まずいので、話しかけてみることにした。
「初めまして。 僕の名前はレッド・ド・ドリュウズです」
すると少し不機嫌そうに
「エレオノール……エレオノール・アルベルティーヌ・ル・ブラン・ド・ラ・ブロワ・ド・ラ・ヴァリエール」
嬉しそうに
「カトレア・イヴェット・ラ・ボーム・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールです。 仲良くしましょうね?」
と答えてくれた。
この時エレオノール様は9歳、カトレア様は6歳だった。
2歳にしては少ししっかりしているように見えるため悪印象はそんなないはずなんだけど、なんで不機嫌なのかな?
と思っているとカトレア様が
「ドリュウズさんがいらっしゃったことで、お父様との触れ合いが終わってしまったのが不満みたいなの」
と小さな声で教えてくれた。
ツンデレか!?と思ったがその言葉は胸の内に秘めておくことにした。
エレオノール様は不機嫌そうではあるが、流石に初めて来た小さな子が気になるのか、チラチラとこちらを窺っていた。
だが俺はそれ以上に未だこちらをニコニコしてみているカトレア様が非常に気になる。
気になった俺は直接聞いてみた。
「僕の顔に何かついていますか?」
「いいえ」
「ではどうなさったのですか?」
「ただ貴方にも私と同じようなお友達がいるのだなぁって思いまして」
友達? 俺は生まれてからまだ両親と使用人以外との接触は殆どなかったし、同年代なんて尚更だ。
誰のことを言っているんだ?
「えっと…俺にはまだ友達と呼べる人はいないんですが」
「うーんなんて言ったらいいか、私の友達みたいな友達?」
カトレア様の友達ってことは、動物たちか?
ってことはまさか……ポケモンのことか?!
何故知っている?まだ俺はムクホークしか出していないし、しかも俺との関連性は無いはずだ!
目に見えて動揺している俺を見て、エレオノール様は不思議がっているし、カトレア様は笑顔のままだ。
そしてカトレア様は驚愕の事実を俺に告げた。
「お昼頃に私の部屋のベランダに大きな鳥さんが飛んできたの。
お父様やお母様は私を守ろうと急いで駆け付けて、その鳥さんに魔法を撃とうとしていたわ。
でもその鳥さんは唯私をじっと見つめるだけで動かなかったの。
だから私は魔法を止めてくれるように頼み、危ないから下がりなさいというお母様の言いつけも聞かずにその鳥に近寄って行きました。
しばらくその鳥を近くで見つめていたら、急に飛び立ってしまったの。
不思議に思っていたのだけど、レッド君を見た瞬間なんとなくあの鳥さんがレッド君の友達のような気がして」
ムクホークお前何やってんだ!!!!
なんでよりによってヴァリエール邸にくるんだ?!
普通森とかじゃないのか?
あぁ、これはヤバい。
動揺したことでその鳥に心当たりがあることはバレてしまったし、まだエレオノール様は気付いていないようだが……とりあえずカトレア様に内緒にしてもらえるように頼まないと!
「出来ればあいつのことは内緒にしてくれませんか? まだ両親にも教えていないので……」
「分かりました。 でも後でまたあの子に会わせてくださいね?」
カトレア様はムクホークと再び会うのが楽しみなのか、先ほどよりも楽しそうにしていた。
因みに俺はこれからどうしようか考えを巡らせることで手いっぱいだった。
これからどうしたものやら……