第10話 初めての戦闘
今日も俺はあの森に居る。
まぁ今回は実験じゃなくてニューラのご機嫌とりなわけですが……いやぁ昨日寝ている間に還したこと思いのほか納得いかなかったみたいで、ずっとそっぽ向いちゃててどうしようか迷ってるんです。
とりあえず撫でてみたり喉元くすぐってみたりしてみたんですが、一瞬嬉しそうにするんだよ?
でもすぐに元通りの膨れ顔になってしまう。
「どうしたら許してくれるんだ?」
「……ニャ」
そういうとニューラは俺に向かって両手を広げた。
これは……抱き締めろってことか?
上等!! 思う存分抱きしめようじゃないか!!
「よし! じゃあ今日は二人でごろごろしてようか」
「ニャ!」
なんとか機嫌を直してくれたニューラに、俺はホッと一息つくことができた。
俺とニューラは暖かな日差しの中、草のベットの上をゴロンと横たわって、日光浴を満喫していた。
「ニャ?」
しかし突然ニューラが立ち上がり辺りを見回し始めた。
「どうしたんだ?」
俺の質問にも反応せず、ニューラは辺りを警戒している。
それから俺にも違和感の正体が分かってきた。
臭いだ……生臭い獣臭がする。
でもここに熊とか魔獣とかはいないはず、何がいるっていうんだ?!
「ニャ!!」
ニューラは突如俺の服を掴んで、後ろに引き倒した。
その瞬間俺の上半身があった部分を何かが通過して行ったのが分かった。
次の瞬間後ろに有った木が、凄い音を立てて折れていくのが見える。
何が起こっている?
その答えはすぐに判明した。
「風竜だと?!」
どうやらあの攻撃の主はこの風竜らしい。
何故こんなところに風竜がいるのかは知らないが、非常に危険な状況に変わりない。
ゴブリンくらいならニューラでも倒せるだろうが、ニューラの2倍以上大きくタフなオークとかには苦戦するだろう。
ましてや竜なんてもってのほかだ!
しかも風竜は上空を飛びまわるため、寒さにも強い。
ニューラでは勝ち目がない……しかし新しくポケモンを召喚する時間はなさそうだ。
ニューラに頼るしかないのか?
「すまないニューラ……頑張ってくれるか?」
ニューラはまるで任せろというが如く、自身の胸と叩いた。
そして戦闘が始まった。
先手必勝と言うが如く特攻をかけるニューラ、大木を切り倒す爪も竜にはあまり効果が無いようだ。
このドラゴンをポケモンで表せば、ドラゴン、ひこうの氷耐性持ちというところか。
ならば弱点は岩、ドラゴン。
ニューラにはやはり厳しいか?
しかしスピードはニューラの方が上だ。
それに向こうはこちらの数倍大きいから、あまり機動性は良くない。
森というフィールドがうまく働いているな……飛ぼうとすると羽が木にぶつかり、もし飛んだとしても木が邪魔で俺たちを補足するのは至難だろう。
そのことに風竜も気づいたのか、ニューラに引っ掻かれながら辺りを見回した。
そして俺に気付いたのか俺の方を見ながら口を開けた。
「これはヤバいな……」
自身の命の危機にそんなことを呟きながら、俺は足が震えてその場を動くことができなかった。
そんな俺をあざ笑うかの様に風竜の口から風の弾丸が、俺目掛けて……今放たれた。
「(これは死んだかも分からんね)」
初めての死の恐怖に俺の頭は全く回らず、静かに死を待つだけだった。
しかし
「ニャーーーーーーーーーー!!!!!」
俺のわき腹に激しい衝撃を受け、俺は横に吹っ飛んだ。
何回か転がってやっと止まったところで、俺がまだ生きていることに驚く。
なんで俺はまだ生きている?
風竜に風の弾を受けて吹っ飛んだはずじゃ……いや何故俺は’横’に吹っ飛んだ?
竜は俺を正面から吹っ飛ばすはずだろう。
ならば何が?
そして俺はやっと気付いた。
さっきまで響いていた戦闘音が消えてることを……
「ニューラ?」
俺は辺りを見回して、ニューラの姿を探す。
そして目に映ったのは血まみれで横たわるニューラと、今にもニューラを喰わんとする風竜の姿。
一瞬で血が滾った。
目の前が真っ赤になるほどの怒り。
俺の所為だ……俺が装備でもしていればニューラはこんなことにならなかった!!
それよりも今はあの糞竜をぶっ潰すことだけを考えよう……
「俺も呼ぶ気はなかったんだけどな……流石に駄目だ耐えきれない。
来い! ラオウ!!」
俺の掛け声とともに目の前に強い光が生まれる。
そこから姿を現したのは600族の一匹、まるで小さなゴジラのような見た目のバンギラス。
体重は200キロを超え、攻撃力が非常に高いポケモンだ。
俺はクリア後の強敵を倒すためにこのポケモンをLv100まで育てていた。
「ラオウ! ストーンエッジだ!!!!」
バンギラスは激しい咆哮とともに、足を踏みならし、風竜の真下からストーンエッジを発動した。
一発目で翼は砕け、二発目で腹を貫通し、三発目で頭部を破壊した。
その後も10数発の石の刃が風竜を襲い、風竜を見るも無残な姿へと変えていく。
全てが終わった時そこにあったのは無数の石と、飛び散る肉片だけだった。
俺はそんなことに目もくれず、ニューラへと駆け寄った。
「ニューラ! 死ぬな!!」
ニューラの体は、もう冷たくなっていた。
俺はニューラの亡骸を抱きしめながら、泣いて謝り続けた。
「ごめん……ごめんな……」
俺が泣き止んだのは夕方になってからだった。
血まみれのニューラをこのままにしておけないと思った俺は、近くの湖で血を流そうと思い、一旦地面にニューラを横たえた。
次の瞬間、ニューラの亡骸は光の粒となり、俺の体の中に入ってきた。
俺は驚いたが頭の中で、たんたんたららーんという場違いな音楽が聞こえた時、希望を見出した。
とりあえずラオウにお礼を言って、戻した所で先ほどの音楽の意味を考えてみた。
(因みにバンギラスは帰るとき一礼して光の中に消えていった……騎士みたいだな)
「(可能性は2つ。 一つ目は俺の願望からなる幻聴。
もう一つは戻すことによってポケモンセンターに戻すのと同じ効果がある。
確かにボックスに戻すことで体力やPPは全回復するが、この場合はまだ分かっていない。
とりあえずわずかに残った可能性を信じることにしよう)」
それにしても今回俺は本当に駄目だった。
装備もしなければ新しいポケモンも召喚しない。
ポケモン召喚は光が発生するため、戦闘の邪魔になる可能性があったためにしなかったというのもあるんだけど、離れて召喚すれば良かっただけじゃないか!
装備に至っては、していない意味が分からない。
俺には覚悟も、実戦経験も足りなすぎる。
父さんに相談してみよう……
俺はゆっくりと、これからのことを考えながら、家に帰って行った。
家に帰って、母さんに帰ってきたことを伝えに行くと、
「お帰りなさいレッ……ド」
「どうしたの母さん」
俺の姿をみて、母さんは固まった。
俺はそんな母さんを不思議に思い、自分の体を見回してみると、血まみれの上着に破れたズボン。
顔も目は赤く、頬っぺたに擦り傷がある。
そんな俺を見て母さんは父さんを急いで呼びに行き、俺はそこにポツンと立っていることしかできなかった。
また謹慎かな?と暢気に思いながら、ニューラの復活を信じた。
後日談
やっぱり謹慎を食らった俺。
まぁ血は死んでいた動物を埋めたということで説明したが、どっちにしろ心配させたことに変わりはないから謹慎らしい。
あと翌日にこっそり部屋の中でニューラの無事を確認するため召喚したら、ニューラは普通にピンピンしていた。
少しだけ涙が出たけど、その後1時間くらいニューラを抱きしめ続けた。
本当に……よかった。
すまんニューラ!!!
そしてありがとうラオウ(バンギラス)!!
……最初普通に伝説出そうと考えて、やっぱ駄目だろと自重しました。
まぁバンギでも十分ヤバいんですけどね?
しかも家のラオウLv100なわけで……じしんは広範囲すぎる、かみくだくは微妙、じゃあ弱点だしストーンエッジだということでブッパしました。
一応今回のストーンエッジは結構自重気味ですよ?
主人公が近くに居るので危ないからね。
今日も俺はあの森に居る。
まぁ今回は実験じゃなくてニューラのご機嫌とりなわけですが……いやぁ昨日寝ている間に還したこと思いのほか納得いかなかったみたいで、ずっとそっぽ向いちゃててどうしようか迷ってるんです。
とりあえず撫でてみたり喉元くすぐってみたりしてみたんですが、一瞬嬉しそうにするんだよ?
でもすぐに元通りの膨れ顔になってしまう。
「どうしたら許してくれるんだ?」
「……ニャ」
そういうとニューラは俺に向かって両手を広げた。
これは……抱き締めろってことか?
上等!! 思う存分抱きしめようじゃないか!!
「よし! じゃあ今日は二人でごろごろしてようか」
「ニャ!」
なんとか機嫌を直してくれたニューラに、俺はホッと一息つくことができた。
俺とニューラは暖かな日差しの中、草のベットの上をゴロンと横たわって、日光浴を満喫していた。
「ニャ?」
しかし突然ニューラが立ち上がり辺りを見回し始めた。
「どうしたんだ?」
俺の質問にも反応せず、ニューラは辺りを警戒している。
それから俺にも違和感の正体が分かってきた。
臭いだ……生臭い獣臭がする。
でもここに熊とか魔獣とかはいないはず、何がいるっていうんだ?!
「ニャ!!」
ニューラは突如俺の服を掴んで、後ろに引き倒した。
その瞬間俺の上半身があった部分を何かが通過して行ったのが分かった。
次の瞬間後ろに有った木が、凄い音を立てて折れていくのが見える。
何が起こっている?
その答えはすぐに判明した。
「風竜だと?!」
どうやらあの攻撃の主はこの風竜らしい。
何故こんなところに風竜がいるのかは知らないが、非常に危険な状況に変わりない。
ゴブリンくらいならニューラでも倒せるだろうが、ニューラの2倍以上大きくタフなオークとかには苦戦するだろう。
ましてや竜なんてもってのほかだ!
しかも風竜は上空を飛びまわるため、寒さにも強い。
ニューラでは勝ち目がない……しかし新しくポケモンを召喚する時間はなさそうだ。
ニューラに頼るしかないのか?
「すまないニューラ……頑張ってくれるか?」
ニューラはまるで任せろというが如く、自身の胸と叩いた。
そして戦闘が始まった。
先手必勝と言うが如く特攻をかけるニューラ、大木を切り倒す爪も竜にはあまり効果が無いようだ。
このドラゴンをポケモンで表せば、ドラゴン、ひこうの氷耐性持ちというところか。
ならば弱点は岩、ドラゴン。
ニューラにはやはり厳しいか?
しかしスピードはニューラの方が上だ。
それに向こうはこちらの数倍大きいから、あまり機動性は良くない。
森というフィールドがうまく働いているな……飛ぼうとすると羽が木にぶつかり、もし飛んだとしても木が邪魔で俺たちを補足するのは至難だろう。
そのことに風竜も気づいたのか、ニューラに引っ掻かれながら辺りを見回した。
そして俺に気付いたのか俺の方を見ながら口を開けた。
「これはヤバいな……」
自身の命の危機にそんなことを呟きながら、俺は足が震えてその場を動くことができなかった。
そんな俺をあざ笑うかの様に風竜の口から風の弾丸が、俺目掛けて……今放たれた。
「(これは死んだかも分からんね)」
初めての死の恐怖に俺の頭は全く回らず、静かに死を待つだけだった。
しかし
「ニャーーーーーーーーーー!!!!!」
俺のわき腹に激しい衝撃を受け、俺は横に吹っ飛んだ。
何回か転がってやっと止まったところで、俺がまだ生きていることに驚く。
なんで俺はまだ生きている?
風竜に風の弾を受けて吹っ飛んだはずじゃ……いや何故俺は’横’に吹っ飛んだ?
竜は俺を正面から吹っ飛ばすはずだろう。
ならば何が?
そして俺はやっと気付いた。
さっきまで響いていた戦闘音が消えてることを……
「ニューラ?」
俺は辺りを見回して、ニューラの姿を探す。
そして目に映ったのは血まみれで横たわるニューラと、今にもニューラを喰わんとする風竜の姿。
一瞬で血が滾った。
目の前が真っ赤になるほどの怒り。
俺の所為だ……俺が装備でもしていればニューラはこんなことにならなかった!!
それよりも今はあの糞竜をぶっ潰すことだけを考えよう……
「俺も呼ぶ気はなかったんだけどな……流石に駄目だ耐えきれない。
来い! ラオウ!!」
俺の掛け声とともに目の前に強い光が生まれる。
そこから姿を現したのは600族の一匹、まるで小さなゴジラのような見た目のバンギラス。
体重は200キロを超え、攻撃力が非常に高いポケモンだ。
俺はクリア後の強敵を倒すためにこのポケモンをLv100まで育てていた。
「ラオウ! ストーンエッジだ!!!!」
バンギラスは激しい咆哮とともに、足を踏みならし、風竜の真下からストーンエッジを発動した。
一発目で翼は砕け、二発目で腹を貫通し、三発目で頭部を破壊した。
その後も10数発の石の刃が風竜を襲い、風竜を見るも無残な姿へと変えていく。
全てが終わった時そこにあったのは無数の石と、飛び散る肉片だけだった。
俺はそんなことに目もくれず、ニューラへと駆け寄った。
「ニューラ! 死ぬな!!」
ニューラの体は、もう冷たくなっていた。
俺はニューラの亡骸を抱きしめながら、泣いて謝り続けた。
「ごめん……ごめんな……」
俺が泣き止んだのは夕方になってからだった。
血まみれのニューラをこのままにしておけないと思った俺は、近くの湖で血を流そうと思い、一旦地面にニューラを横たえた。
次の瞬間、ニューラの亡骸は光の粒となり、俺の体の中に入ってきた。
俺は驚いたが頭の中で、たんたんたららーんという場違いな音楽が聞こえた時、希望を見出した。
とりあえずラオウにお礼を言って、戻した所で先ほどの音楽の意味を考えてみた。
(因みにバンギラスは帰るとき一礼して光の中に消えていった……騎士みたいだな)
「(可能性は2つ。 一つ目は俺の願望からなる幻聴。
もう一つは戻すことによってポケモンセンターに戻すのと同じ効果がある。
確かにボックスに戻すことで体力やPPは全回復するが、この場合はまだ分かっていない。
とりあえずわずかに残った可能性を信じることにしよう)」
それにしても今回俺は本当に駄目だった。
装備もしなければ新しいポケモンも召喚しない。
ポケモン召喚は光が発生するため、戦闘の邪魔になる可能性があったためにしなかったというのもあるんだけど、離れて召喚すれば良かっただけじゃないか!
装備に至っては、していない意味が分からない。
俺には覚悟も、実戦経験も足りなすぎる。
父さんに相談してみよう……
俺はゆっくりと、これからのことを考えながら、家に帰って行った。
家に帰って、母さんに帰ってきたことを伝えに行くと、
「お帰りなさいレッ……ド」
「どうしたの母さん」
俺の姿をみて、母さんは固まった。
俺はそんな母さんを不思議に思い、自分の体を見回してみると、血まみれの上着に破れたズボン。
顔も目は赤く、頬っぺたに擦り傷がある。
そんな俺を見て母さんは父さんを急いで呼びに行き、俺はそこにポツンと立っていることしかできなかった。
また謹慎かな?と暢気に思いながら、ニューラの復活を信じた。
後日談
やっぱり謹慎を食らった俺。
まぁ血は死んでいた動物を埋めたということで説明したが、どっちにしろ心配させたことに変わりはないから謹慎らしい。
あと翌日にこっそり部屋の中でニューラの無事を確認するため召喚したら、ニューラは普通にピンピンしていた。
少しだけ涙が出たけど、その後1時間くらいニューラを抱きしめ続けた。
本当に……よかった。
すまんニューラ!!!
そしてありがとうラオウ(バンギラス)!!
……最初普通に伝説出そうと考えて、やっぱ駄目だろと自重しました。
まぁバンギでも十分ヤバいんですけどね?
しかも家のラオウLv100なわけで……じしんは広範囲すぎる、かみくだくは微妙、じゃあ弱点だしストーンエッジだということでブッパしました。
一応今回のストーンエッジは結構自重気味ですよ?
主人公が近くに居るので危ないからね。