第12話 自らの力
父さんの修行を受け初めて2年が経過した。
6歳になり、日本だったら小学生になる歳だな。
まぁこんな6歳児は滅多にいるもんじゃないだろうけど……。
そんな俺は今
オークとタイマンしています!!
何でこんな状況かというと……。
〜回想〜
6歳になって、魔法も少し上達した俺。
父さんとの訓練も慣れてきて、少しだけど剣も使えるようになりました。
まぁ大人の剣を子供が受け切ることなんかできないんだが……皆さんマインゴーシュって知ってる?
簡単に言うと受け流すことを主とする剣のことなんですけど、それを使うことで何とかしのいでます。
これができるのも母さんの訓練で反応速度が上がっていたからなわけなのですが、初めてこれを試した時は父さんもビックリしていた。
俺がこれを使っているのは自分の筋力が足りないことがわかってるから試してみたら、シックリきたっていう理由なわけです。
父さんも元々パワーファイターではないので、何とか子供の力でも少し逸らす位はできるレベルというのも使っている理由の一つだ。
父さんとの訓練では魔法を使う余裕なんてないから、どんどん近接技能がアップしていきます。
それでも父さんに未だ一撃も入れたことが無いのでどの程度かは分からないのだが……
母さんの魔法練習もステップアップしてきた。
母さんが放つ水球を俺の水球で撃ち落とすという非常に神経を使う修行に進化してしまいる。
まだ俺は水に関してドットスペルしか使えないから、規模は小さいが自分に向けてハイスピードで飛んでくる水球はなかなか怖いものがあるんだけど。
土はラインになったから、それに伴って錬金も様になってきた。
俺の目標は異能の実験をするための鉄のドームを作ること。
まだ精神力が足りないから大きなものは作れないけど、少しずつ大きなものを作れるように練習しています。
10歳までに出来るといいなぁ。
そんな濃い毎日を過ごしてきたわけですが、この度俺に父さんから個人的な依頼を頼まれました。
父さんの話を聞くに、領地内にはぐれオークが出たらしく、それを討伐してきてくれとのこと。
ラインの俺にとってオーク一体ならそれほど苦戦はしないだろうし、ポケモンの力を借りたらまさしく楽勝だろう。
でも今回俺はポケモンの力を借りる気は無い。
ポケモンに頼ってばっかりだと、自分はポケモンに依存してしまう。
それは駄目だ! 彼らが俺を守ってくれるように俺も彼らを守れるようにならないといけない。
いくら戻せば回復するとはいえ、痛みは感じるのだから……。
故にこの任務を俺は剣と魔法だけでやり遂げるつもりだ。
そんな決意を秘め、父さんに依頼を受けることを伝える。
用意を終え、オークがいると報告があった場所に向かおうとすると、父さんと母さんが見送りに来てくれた。
「気をつけて行けよ? 決して油断するな!」
「本当に一人で行くの?」
「大丈夫だよ母さん、今まで父さんと母さんに鍛えてもらってきたんだから!」
「危なくなったらすぐ逃げるのよ? 命あってこそなんだから……」
「うん!」
そうして俺はオークのいるとされる洞窟へと向かっていった。
距離はそう遠くなかったが、俺のよく行く森の深い部分にあるため夜に行くには危険が大きい。
故にそれなりに急ぎ、しばらくして問題の洞窟前へとたどり着いた。
「さてどうしたものか……。
とりあえず洞窟から引っ張り出すか」
俺はそこらへんにある木の枝を折り、火をつけて洞窟内に放り投げた。
それを何回か繰り返し、洞窟の外まで煙がでてくる位になった時、豚のような鳴き声が聞こえてきた。
地面の振動からどんどんこちらに近づいてきていることが分かる。
これから命のやり取りをすることを考えて、胸の鼓動が速くなってくる。
緊張、恐怖、不安。
これらが入り混じって落ち着かない自分の心を無理矢理鎮めて、いつオークが出てきても大丈夫なように準備した。
杖を抜き、剣に手をかける。
そうしてついにオークが出てきた。
〜回想終了〜
体長2メートル弱で、オークとしては大きな個体ではないが俺にとっては巨人みたいなもんだ。
煙で鼻と目をやられたらしく、涙を流しながらブヒブヒ言っている。
俺は先手必勝と、現状一番攻撃力が高い魔法を使うことにした。
「ロックスピア!!」
俺の言葉とともに、オークの周りから四本の鋭い岩がオーク目掛けて隆起した。
四方を囲むように飛び出た石の槍は、オークの肉をたやすく貫通した。
まだ息があるようだが、もうじき死んでしまうだろう。
案外早く倒せてしまい、少し気が抜けてしまったのか、俺は周囲の気配を探るのを忘れてしまった。
その結果……もう一匹オークがいたことに気がつくのが遅れてしまった。
振り向いたときにはオークが走ってきており、魔法は間に合わないと判断し、急ぎ剣を投げることでオークに牽制をする。
剣は手に刺さり、オークは足を止めたがその手に持っていた棍棒が俺目掛けて飛んできた。
「グッ!!」
なんとか直撃は避けたが肩にかすり、しばらく左手が使えそうにない。
左手で使う剣はもう投げてしまっているので問題は無いが、非常に痛い!
しかし俺は痛みに耐えながら、手の痛みに怯んでいるオークに魔法を放った。
「ロック……スピアァ!!」
俺の放った魔法を避けることができなかったオークは、4本の石の槍に胴体を貫かれ、上半身と下半身が分断された。
もう油断はできない他にもオークがいるかもしれないと警戒して、しばらく辺りを見回していたが、辺りに気配はなく、やっと任務が完了したことを理解する。
気が抜けて尻もちをついてしまったが、自分が生きていることを実感し、そして先ほどの自分の失態を後悔した。
危うく死ぬところだった……俺はまだまだみたいだ。
周囲を見渡してみると石の槍に支えられながら死んでいるオークと、上半身と下半身が分かれてしまっているオークが転がっていた。
周囲には生臭い臭気が漂い、地面はオークの血で染まっていた。
自分は今命を奪った。
前に風竜を殺した時はラオウがやってくれたので実感は湧かなかったが、今回は違う。
自分が一人でこの二匹を殺したのだ。
いくらオークだからと言ってこのまま死体を晒すことは無いと思い、オークの耳を切り取って布に包み、オークの死体を一か所にまとめて錬金で埋めた。
こうして領地にやってきたはぐれオークは土に還った。
肩の痛みに鈍い痛みを感じながら、俺はゆっくりと帰路に着く。
父さんに油断するなと言われてたのに、油断しちゃったな。
まだまだ修行不足か……もっと頑張ろう!!
そう新たな決意をしつつ、夕日に照らされながらレッドは歩を進める。
家に帰った俺は、母さんに怪我の理由を聞かれ、2時間の説教説教された後に今後の訓練強化が確定した。
黒い笑顔を浮かべた母さんに、俺はさっき立てた決意が少し折れそうになっていた。
……お手柔らかにお願いしますお母様。
父さんの修行を受け初めて2年が経過した。
6歳になり、日本だったら小学生になる歳だな。
まぁこんな6歳児は滅多にいるもんじゃないだろうけど……。
そんな俺は今
オークとタイマンしています!!
何でこんな状況かというと……。
〜回想〜
6歳になって、魔法も少し上達した俺。
父さんとの訓練も慣れてきて、少しだけど剣も使えるようになりました。
まぁ大人の剣を子供が受け切ることなんかできないんだが……皆さんマインゴーシュって知ってる?
簡単に言うと受け流すことを主とする剣のことなんですけど、それを使うことで何とかしのいでます。
これができるのも母さんの訓練で反応速度が上がっていたからなわけなのですが、初めてこれを試した時は父さんもビックリしていた。
俺がこれを使っているのは自分の筋力が足りないことがわかってるから試してみたら、シックリきたっていう理由なわけです。
父さんも元々パワーファイターではないので、何とか子供の力でも少し逸らす位はできるレベルというのも使っている理由の一つだ。
父さんとの訓練では魔法を使う余裕なんてないから、どんどん近接技能がアップしていきます。
それでも父さんに未だ一撃も入れたことが無いのでどの程度かは分からないのだが……
母さんの魔法練習もステップアップしてきた。
母さんが放つ水球を俺の水球で撃ち落とすという非常に神経を使う修行に進化してしまいる。
まだ俺は水に関してドットスペルしか使えないから、規模は小さいが自分に向けてハイスピードで飛んでくる水球はなかなか怖いものがあるんだけど。
土はラインになったから、それに伴って錬金も様になってきた。
俺の目標は異能の実験をするための鉄のドームを作ること。
まだ精神力が足りないから大きなものは作れないけど、少しずつ大きなものを作れるように練習しています。
10歳までに出来るといいなぁ。
そんな濃い毎日を過ごしてきたわけですが、この度俺に父さんから個人的な依頼を頼まれました。
父さんの話を聞くに、領地内にはぐれオークが出たらしく、それを討伐してきてくれとのこと。
ラインの俺にとってオーク一体ならそれほど苦戦はしないだろうし、ポケモンの力を借りたらまさしく楽勝だろう。
でも今回俺はポケモンの力を借りる気は無い。
ポケモンに頼ってばっかりだと、自分はポケモンに依存してしまう。
それは駄目だ! 彼らが俺を守ってくれるように俺も彼らを守れるようにならないといけない。
いくら戻せば回復するとはいえ、痛みは感じるのだから……。
故にこの任務を俺は剣と魔法だけでやり遂げるつもりだ。
そんな決意を秘め、父さんに依頼を受けることを伝える。
用意を終え、オークがいると報告があった場所に向かおうとすると、父さんと母さんが見送りに来てくれた。
「気をつけて行けよ? 決して油断するな!」
「本当に一人で行くの?」
「大丈夫だよ母さん、今まで父さんと母さんに鍛えてもらってきたんだから!」
「危なくなったらすぐ逃げるのよ? 命あってこそなんだから……」
「うん!」
そうして俺はオークのいるとされる洞窟へと向かっていった。
距離はそう遠くなかったが、俺のよく行く森の深い部分にあるため夜に行くには危険が大きい。
故にそれなりに急ぎ、しばらくして問題の洞窟前へとたどり着いた。
「さてどうしたものか……。
とりあえず洞窟から引っ張り出すか」
俺はそこらへんにある木の枝を折り、火をつけて洞窟内に放り投げた。
それを何回か繰り返し、洞窟の外まで煙がでてくる位になった時、豚のような鳴き声が聞こえてきた。
地面の振動からどんどんこちらに近づいてきていることが分かる。
これから命のやり取りをすることを考えて、胸の鼓動が速くなってくる。
緊張、恐怖、不安。
これらが入り混じって落ち着かない自分の心を無理矢理鎮めて、いつオークが出てきても大丈夫なように準備した。
杖を抜き、剣に手をかける。
そうしてついにオークが出てきた。
〜回想終了〜
体長2メートル弱で、オークとしては大きな個体ではないが俺にとっては巨人みたいなもんだ。
煙で鼻と目をやられたらしく、涙を流しながらブヒブヒ言っている。
俺は先手必勝と、現状一番攻撃力が高い魔法を使うことにした。
「ロックスピア!!」
俺の言葉とともに、オークの周りから四本の鋭い岩がオーク目掛けて隆起した。
四方を囲むように飛び出た石の槍は、オークの肉をたやすく貫通した。
まだ息があるようだが、もうじき死んでしまうだろう。
案外早く倒せてしまい、少し気が抜けてしまったのか、俺は周囲の気配を探るのを忘れてしまった。
その結果……もう一匹オークがいたことに気がつくのが遅れてしまった。
振り向いたときにはオークが走ってきており、魔法は間に合わないと判断し、急ぎ剣を投げることでオークに牽制をする。
剣は手に刺さり、オークは足を止めたがその手に持っていた棍棒が俺目掛けて飛んできた。
「グッ!!」
なんとか直撃は避けたが肩にかすり、しばらく左手が使えそうにない。
左手で使う剣はもう投げてしまっているので問題は無いが、非常に痛い!
しかし俺は痛みに耐えながら、手の痛みに怯んでいるオークに魔法を放った。
「ロック……スピアァ!!」
俺の放った魔法を避けることができなかったオークは、4本の石の槍に胴体を貫かれ、上半身と下半身が分断された。
もう油断はできない他にもオークがいるかもしれないと警戒して、しばらく辺りを見回していたが、辺りに気配はなく、やっと任務が完了したことを理解する。
気が抜けて尻もちをついてしまったが、自分が生きていることを実感し、そして先ほどの自分の失態を後悔した。
危うく死ぬところだった……俺はまだまだみたいだ。
周囲を見渡してみると石の槍に支えられながら死んでいるオークと、上半身と下半身が分かれてしまっているオークが転がっていた。
周囲には生臭い臭気が漂い、地面はオークの血で染まっていた。
自分は今命を奪った。
前に風竜を殺した時はラオウがやってくれたので実感は湧かなかったが、今回は違う。
自分が一人でこの二匹を殺したのだ。
いくらオークだからと言ってこのまま死体を晒すことは無いと思い、オークの耳を切り取って布に包み、オークの死体を一か所にまとめて錬金で埋めた。
こうして領地にやってきたはぐれオークは土に還った。
肩の痛みに鈍い痛みを感じながら、俺はゆっくりと帰路に着く。
父さんに油断するなと言われてたのに、油断しちゃったな。
まだまだ修行不足か……もっと頑張ろう!!
そう新たな決意をしつつ、夕日に照らされながらレッドは歩を進める。
家に帰った俺は、母さんに怪我の理由を聞かれ、2時間の説教説教された後に今後の訓練強化が確定した。
黒い笑顔を浮かべた母さんに、俺はさっき立てた決意が少し折れそうになっていた。
……お手柔らかにお願いしますお母様。