第13話 再会
あの激戦からから早一ヶ月……まぁ激戦って言うほどではないか?
それは置いといて、あれから一カ月が経った。
母さんからの訓練強化宣言はマジだったらしく、母さんの訓練水球の弾数が1.5倍になり、父さんはゴーレムとの同時攻撃を仕掛けてくるようになった。
……俺死ぬよ?
特に父さんのゴーレムが素敵仕様なため、非常に困ってます。
原作でギーシュが使っていたような美しさなどは無く、ただ人型が木刀を持っているという簡易なものなのだが、30メートル以内ならどこにでも出現させることが可能らしく、いきなり後ろに現れて奇襲をかけてきたりする。
しかも木刀だから普通に当ててくるし、いくら反射神経が良くなっていたとしても、前後同時に攻撃されたらなかなか避けるのが難しい。
まぁ父さんの方は真剣なので優先的に避けるが……でも木刀だって当たり所悪かったら死ぬんですよ?!
痛いし……まぁ訓練後に怪我が酷い場合、母さん特性の薬を使用するので割と大丈夫なんですが。
そんな厳しい訓練を受けていた訳だが、その日の訓練終了の時父さんがサラッと言った。
「3日後にカトレア様の誕生日会が開かれる。
だからプレゼントでも用意しておけ」
「へ? もうそんな時期でしたっけ?」
「あぁ、もうそんな時期だ」
カトレア様の誕生会、それは基本普通の誕生会だが俺にとっては違う。
カトレア様は俺と会うたび、新しいポケモンを見たがるので結構大変なのだ。
強面のポケモン…………大丈夫のような気がするけど却下。
Lvが高いポケモン……威圧感が半端じゃないので却下。
毒系のポケモン…………もちろんアウト。
大きい又は重い奴………同じくアウト。
こんな感じで結構慎重にならなくちゃいけない。
因みに今まで見せたのはムクホーク、ピィ、ソーナノ、ピチュー、ピンプクの5体。
ムクホークは想定外だったけど、基本可愛いポケモンを見せることにしている。
そして俺にとってもう一つ困ることがある。
それは桃髪ツンデレくぎゅうの存在だ。
去年の誕生日の時に初めて会ったのだが、あのときはまだ1歳で言葉もあまり話せなかった。
それから1年、おそらくある程度話ができるようになっているはず。
彼女はエレオノール様のように、ツンデレに目覚めていないために人懐っこいのだ。
俺が初めて会った時も特に怖がることもなく、俺に手を伸ばして来た。
まぁ……可愛かったからしばらく戯れていた訳だが。
だが100歩譲ってカトレア様と親交を持つのはいいさ。
彼女は原作上前線に立つような人でもないし、穏やかな性格をしている。
しかしルイズ嬢は違う。
彼女はこれから先虚無に目覚め、国家間の戦争に巻き込まれていく。
俺の素敵のほほんライフを根本から崩すような運命を持った女の子なのだ。
故にあまり深く関わりたくない。
俺はモブでいい。
そんなドキドキの誕生会が明日に迫った夜。
俺は未だ、カトレア様へのプレゼントを考えていなかった。
前世で女の子に誕生日プレゼントを贈った回数なんて数えるほどしかなく、どんなものを贈ればいいのか分からなかったからだ。
故に今まで4回の誕生会で母さんに教わりながら俺が作った、手作りのぬいぐるみを贈るというのが常だった。
しかし今回は訓練がハードになったため製作時間が取れなかったのだ。
「どうしよう……花は流石に10歳には早いだろう。
貴金属は俺そんな金持ってないし。
いや待てよ……錬金で何かを作ったならどうだ?
錬金は基本原子配列をいじくった物みたいだから鉄みたいな重たい鉱石じゃなく、別のもので像を作って贈るのなら元手もかからないし、失礼にもならないはずだ」
そうと決まれば即行動。
俺は静かに窓から外に出て、錬金を始めた。
やるからにはクオリティの高い物を!!
というオタク根性全開で作業に取り組む俺。
それをたまたま窓から見つけた母さんは小さく笑いながら「頑張りなさい男の子」と呟いていた。
翌朝
目の下に隈を作り、ついさっき出来た像を包んだ箱を持って俺は馬車の中に居た。
結局朝までかかってしまった像作成だが、結構の自信作が出来上がったと思う。
像のモデルは昔カトレア様にも見せたことのあるピカチュウの進化前であるピチュー。
実は昨日の夜一回呼び出して、ポーズを取ってもらったりしながら作った一品だ。
取ってもらったポーズの中で図鑑に表示されるポーズが気に行ったので、それを像にしたものなのだが大丈夫だろうか?
受け取ってもらうからには、喜んでもらいたいからな!
因みに材質は透明度の高い石英でつくったのでガラスみたいにも見えるが、あくまで水晶だから強度もしっかりしている。
まぁ大変だったのは水晶の不純物をどける作業だったわけだが……。
なんにせよこっちの世界で水晶像なんてあまり見かけないから喜んでくれるといいなぁ。
そんなことを考えている俺を乗せた馬車はヴァリエール領への道を進んでいった。
相変わらず大きいなぁ、ヴァリエール邸を見たときの俺の感想は毎回これだった。
前方に門が見えてきて、ゆっくりと開いていく。
門があいた所に人影が2つ。
公爵夫人とカトレア様だ。
「ようこそドリュウズ殿」
「お久しぶりレッド君!」
カトレア様はまだ原作ほど体が弱くないらしく、こうやって外出もすることができる。
それでも遠出とかはできないようだが……。
「お久しぶりですカリーヌ殿」
「久しぶりですカトレア様。
お誕生日おめでとうございます」
そういうとカトレア様は小さく頬を膨らませて、
「様付けは止めてって言っているのに……」
と少し拗ねてしまったようだ。
可愛らしいとは思うが、俺の精神年齢は22+6歳なわけで、娘を見ているような気分になる……娘居なかったけど。
そんな感じで世間話をしながら客間へと案内される俺と両親……ではなく両親のみ。
俺は真っすぐカトレアさm……カトレアさんの部屋へと連れて行かれた。
「今日はどんなポケモンを見せてくれるの!?」
と少し興奮気味のカトレアさんに俺はまず
「とりあえずそれは少し後にして、先にプレゼントを渡すよ」
「プレゼント! 今度はどんなお人形かしら♪」
「今回は人形ではないのです」
「そうなの?」
俺は嬉しそうにプレゼントを待つカトレアさんに萌えつつ、プレゼントの入った箱を渡して開けるように促した。
カトレアさんは恐る恐る箱を開けると突如動きが止まった。
なんだ!? なにか失敗したか?!
と内心びくびくしながら
「どう…かな? 気に入ってくれた?」
「凄く……綺麗」
どうやら気にいってくれたようだ。
それでこそ頑張った甲斐があるというもの。
「ありがとうレッド君!!」
「うおっと!」
余程嬉しかったのか俺に抱きついてきたカトレアさんの体温を感じつつ、今の状況公爵か夫人に見られたら俺死ぬなとか考えていた。
あの激戦からから早一ヶ月……まぁ激戦って言うほどではないか?
それは置いといて、あれから一カ月が経った。
母さんからの訓練強化宣言はマジだったらしく、母さんの訓練水球の弾数が1.5倍になり、父さんはゴーレムとの同時攻撃を仕掛けてくるようになった。
……俺死ぬよ?
特に父さんのゴーレムが素敵仕様なため、非常に困ってます。
原作でギーシュが使っていたような美しさなどは無く、ただ人型が木刀を持っているという簡易なものなのだが、30メートル以内ならどこにでも出現させることが可能らしく、いきなり後ろに現れて奇襲をかけてきたりする。
しかも木刀だから普通に当ててくるし、いくら反射神経が良くなっていたとしても、前後同時に攻撃されたらなかなか避けるのが難しい。
まぁ父さんの方は真剣なので優先的に避けるが……でも木刀だって当たり所悪かったら死ぬんですよ?!
痛いし……まぁ訓練後に怪我が酷い場合、母さん特性の薬を使用するので割と大丈夫なんですが。
そんな厳しい訓練を受けていた訳だが、その日の訓練終了の時父さんがサラッと言った。
「3日後にカトレア様の誕生日会が開かれる。
だからプレゼントでも用意しておけ」
「へ? もうそんな時期でしたっけ?」
「あぁ、もうそんな時期だ」
カトレア様の誕生会、それは基本普通の誕生会だが俺にとっては違う。
カトレア様は俺と会うたび、新しいポケモンを見たがるので結構大変なのだ。
強面のポケモン…………大丈夫のような気がするけど却下。
Lvが高いポケモン……威圧感が半端じゃないので却下。
毒系のポケモン…………もちろんアウト。
大きい又は重い奴………同じくアウト。
こんな感じで結構慎重にならなくちゃいけない。
因みに今まで見せたのはムクホーク、ピィ、ソーナノ、ピチュー、ピンプクの5体。
ムクホークは想定外だったけど、基本可愛いポケモンを見せることにしている。
そして俺にとってもう一つ困ることがある。
それは桃髪ツンデレくぎゅうの存在だ。
去年の誕生日の時に初めて会ったのだが、あのときはまだ1歳で言葉もあまり話せなかった。
それから1年、おそらくある程度話ができるようになっているはず。
彼女はエレオノール様のように、ツンデレに目覚めていないために人懐っこいのだ。
俺が初めて会った時も特に怖がることもなく、俺に手を伸ばして来た。
まぁ……可愛かったからしばらく戯れていた訳だが。
だが100歩譲ってカトレア様と親交を持つのはいいさ。
彼女は原作上前線に立つような人でもないし、穏やかな性格をしている。
しかしルイズ嬢は違う。
彼女はこれから先虚無に目覚め、国家間の戦争に巻き込まれていく。
俺の素敵のほほんライフを根本から崩すような運命を持った女の子なのだ。
故にあまり深く関わりたくない。
俺はモブでいい。
そんなドキドキの誕生会が明日に迫った夜。
俺は未だ、カトレア様へのプレゼントを考えていなかった。
前世で女の子に誕生日プレゼントを贈った回数なんて数えるほどしかなく、どんなものを贈ればいいのか分からなかったからだ。
故に今まで4回の誕生会で母さんに教わりながら俺が作った、手作りのぬいぐるみを贈るというのが常だった。
しかし今回は訓練がハードになったため製作時間が取れなかったのだ。
「どうしよう……花は流石に10歳には早いだろう。
貴金属は俺そんな金持ってないし。
いや待てよ……錬金で何かを作ったならどうだ?
錬金は基本原子配列をいじくった物みたいだから鉄みたいな重たい鉱石じゃなく、別のもので像を作って贈るのなら元手もかからないし、失礼にもならないはずだ」
そうと決まれば即行動。
俺は静かに窓から外に出て、錬金を始めた。
やるからにはクオリティの高い物を!!
というオタク根性全開で作業に取り組む俺。
それをたまたま窓から見つけた母さんは小さく笑いながら「頑張りなさい男の子」と呟いていた。
翌朝
目の下に隈を作り、ついさっき出来た像を包んだ箱を持って俺は馬車の中に居た。
結局朝までかかってしまった像作成だが、結構の自信作が出来上がったと思う。
像のモデルは昔カトレア様にも見せたことのあるピカチュウの進化前であるピチュー。
実は昨日の夜一回呼び出して、ポーズを取ってもらったりしながら作った一品だ。
取ってもらったポーズの中で図鑑に表示されるポーズが気に行ったので、それを像にしたものなのだが大丈夫だろうか?
受け取ってもらうからには、喜んでもらいたいからな!
因みに材質は透明度の高い石英でつくったのでガラスみたいにも見えるが、あくまで水晶だから強度もしっかりしている。
まぁ大変だったのは水晶の不純物をどける作業だったわけだが……。
なんにせよこっちの世界で水晶像なんてあまり見かけないから喜んでくれるといいなぁ。
そんなことを考えている俺を乗せた馬車はヴァリエール領への道を進んでいった。
相変わらず大きいなぁ、ヴァリエール邸を見たときの俺の感想は毎回これだった。
前方に門が見えてきて、ゆっくりと開いていく。
門があいた所に人影が2つ。
公爵夫人とカトレア様だ。
「ようこそドリュウズ殿」
「お久しぶりレッド君!」
カトレア様はまだ原作ほど体が弱くないらしく、こうやって外出もすることができる。
それでも遠出とかはできないようだが……。
「お久しぶりですカリーヌ殿」
「久しぶりですカトレア様。
お誕生日おめでとうございます」
そういうとカトレア様は小さく頬を膨らませて、
「様付けは止めてって言っているのに……」
と少し拗ねてしまったようだ。
可愛らしいとは思うが、俺の精神年齢は22+6歳なわけで、娘を見ているような気分になる……娘居なかったけど。
そんな感じで世間話をしながら客間へと案内される俺と両親……ではなく両親のみ。
俺は真っすぐカトレアさm……カトレアさんの部屋へと連れて行かれた。
「今日はどんなポケモンを見せてくれるの!?」
と少し興奮気味のカトレアさんに俺はまず
「とりあえずそれは少し後にして、先にプレゼントを渡すよ」
「プレゼント! 今度はどんなお人形かしら♪」
「今回は人形ではないのです」
「そうなの?」
俺は嬉しそうにプレゼントを待つカトレアさんに萌えつつ、プレゼントの入った箱を渡して開けるように促した。
カトレアさんは恐る恐る箱を開けると突如動きが止まった。
なんだ!? なにか失敗したか?!
と内心びくびくしながら
「どう…かな? 気に入ってくれた?」
「凄く……綺麗」
どうやら気にいってくれたようだ。
それでこそ頑張った甲斐があるというもの。
「ありがとうレッド君!!」
「うおっと!」
余程嬉しかったのか俺に抱きついてきたカトレアさんの体温を感じつつ、今の状況公爵か夫人に見られたら俺死ぬなとか考えていた。