第121話 空中都市
無事?アルビオンに着いた俺は、取りあえず一旦温まってから情報を集めることにした。
因みにレイアは普通に預けている。
暖かい飛竜用の宿舎で、肉を食っているだろう……。
「さてと、取りあえず情報収集するとしますか」
取りあえずこの港で話を聞いておくか。
お? さっきの人じゃないか!
「すいません!」
「ん?あぁ君はさっきの……もう暖まったようだね」
「先ほどはありがとうございました!
ところで少し聞きたいことがあるのですが」
「私に答えられることなら良いですけど」
「貴方はここで桃色の髪をした少女と男性二人を見ませんでしたか?」
「う〜ん……見てないなぁ」
「そうですか……ありがとうございます」
……あぁそういえば、ウェールズが空賊に扮してルイズ達を人質にするんだっけ?
ってことはもう既にルイズ達は城に居るのか。
なら先にタバサ達を探すか。
「では青い髪の少女と赤い髪の美女、金髪の青年を見ませんでしたか?」
「あぁ、それだったらちょっと前に見たなぁ」
「そうですか!
それで彼らが何処に行ったか分かりますか?」
「確か宿を探すとか言ってたと思うけど……」
「ありがとうございます!」
俺は彼にチップを渡すと、宿を探すことにした。
港の周りを少し散策すると宿自体は意外と早く見つかったのだが、ここにタバサ達はいるんだろうか?
流石に受け付けに聞いても、守秘義務とかで答えてくれないだろう。
ならここでちょっと張るか。
一応ガリア用の仮面を持ってきたから、これを付けてればタバサは俺の存在に気付くだろう。
ということで俺は一先ずこの宿に部屋を取ることにした。
「い、いらっしゃいませお客様」
「部屋を頼む」
「滞在期間はどれ位になりますでしょうか?」
「一泊二日で頼む」
「分かりました。
それではお部屋の方へ案内させていただきます」
カウンターで手続きを終えた俺を、ボーイが部屋へと案内する。
それにしても意外と良い宿だな。
アルビオンは木材が豊富と言うだけあって、所々に木の彫像等が置いてあったりする。
「お客様のお部屋はここになります。
ごゆっくりとしていってください」
「ありがとう」
「後お客様に一つお教えしておくことがあります。
最近はあまり治安がよろしくないので、夜の外出は控えた方がよろしいと思います」
「不要な厄介事を引き寄せる気はないからな……そうさせてもらおう」
「それでは私はこの辺りで失礼します」
「ありがとう、これは少ないがチップだ」
「ありがとうございます!」
ボーイが帰った後、俺は取りあえず仮面をつけたまま、宿で昼食をとることにした。
宿の食堂は学院よりは小さいが、結構立派なところだった。
既に何人かの宿泊客が席について、食事をしているようだ。
ん? 何やらあそこに人だかりが出来ているな。
行ってみるか。
「どうしたんですか?」
「うぉ!? なんで仮面なんか付けてんだ?」
「少し顔に傷がありまして……」
「そうか、大変だな」
「ところでこの人だかりは何なんですか?」
「あぁ、あそこの女の子が凄まじい勢いでハシバミ草を食べててなぁ。
あんな苦いものをよくあんなにたくさん食べれるもんだと皆で見てたんだ」
ハシバミ草をたくさん食べる女の子……まさか?!
俺は人垣をかき分けて、中心へと向かった。
するとそこには頬をハムスターの様に膨らませながら、ハシバミ草を頬張る青髪の少女がいた。
「……何やってるんだタバサ」
「もきゅもきゅ……んっ、食べる?」
「後でな。 他の連中は?」
「お出かけ」
「そうか……俺もこの宿に居るから、何かあったらこの部屋に来てくれ。
後明日で良いんだがギーシュに使い魔を使って、ルイズを探すように伝えておいてくれ」
「どうして?」
「ワルド子爵とかいったか?
奴がどうも怪しくてな」
「でも彼はグリフォン隊隊長……」
「だからと言って絶対安全とは言えないだろう?」
まぁ彼がレコンキスタだと知っているから言っているんだけどな。
流石にそこまで話すと何で知っているのか聞かれてしまうだろうから言えないけど。
「……分かった、伝えておく」
「頼んだ。
じゃあ俺も昼飯食うとするかな」
そう言って俺はこの場所から立ち去ろうとしたが、何かに袖を掴まれたようだ。
……いやまぁ、誰の仕業か分かってるんだけどな?
「離してくれないか?」
「ここ」
「いやな?
ここで一緒に食べたらキュルケ達と会うかもしれないだろ?」
「二人は当分戻ってこない。
買い物行った後に外で昼を済ますって言ってたから」
「いや、だからと言って………分かった分かった。
分かったから睨むな」
なんか罪悪感沸くじゃないか……。
っていうか周囲の視線が断るなんてありえないって言ってるんだよ。
特に俺が最初に話しかけた人の顔が特に……。
でもまぁ腹減ってたのは事実だし、早く食べれば大丈夫だろ。
そして俺はタバサの正面に腰を掛けた。
「食べたら俺は部屋に戻るからな?」
「分かった」
そう言ってタバサは自分と俺の中間あたりにハシバミ草のサラダを置き、小皿に自分の分のサラダをとりわけ始めた。
取りあえず俺も食うとしますか!