第122話 念には念を
なんとかタバサとの食事を終え、部屋に戻ることが出来た俺。
いやぁハシバミ草も肉と一緒に食べれば、凄く良いアクセントだった。
ピーマンの肉詰めを思い出したよ。
「さてと、じゃあどうしようかねぇ」
俺は明日起こるであろうワルドの行動をどうするか考えていた。
流石にルイズとの結婚云々はないから、手紙とウェールズをどうにかするだけか?
いや……でも原作だとどうだった?
あの時サイトが来なかったらヤバかったんじゃないか?
俺の頭を渦巻いているのは、原作通りにいくかどうか分からないこの状況で俺がどう動けば被害が少なくて済むかと言うことだ。
表立って動けば目をつけられる。
かと言って動かないとルイズとサイトがどうなるか分からない。
どうする……危機感を感じないままに後ろから襲われれば、サイトはルイズを助けに行くのに間に合わない。
不確定要素ばっかりだな。今日の内に首都に移動するか?
……そうだな、そうした方が良さそうだ。
「折角部屋借りたんだがな……」
まぁしょうがないだろう。
タバサと何時会えるか分からなかったからな。
さてと、じゃあレイアを迎えに行くとしますか!
俺はタバサに一言言ってから宿を後にした。
レイアは宿舎で普通に寛いでいた。
俺が入った瞬間顔を上げてこっちを見て、近づいてきた
「首都に用事が出来たんだ……飛べるか?」
「ギュイ」
「そうか、じゃあ行こうか」
俺は宿舎の管理人に料金を支払って、レイアを連れて宿舎を後にした。
またあの寒い中飛ぶのか……一応防寒具は買っておいたけど、こんな装備で大丈夫か?
大丈夫だ問題な……ゲフンゲフン、きっと大丈夫だ!
「早めに首都に行って、城の近くの宿を探さなきゃいけない。
明日何が起こるか分からないからな」
「ギュイ?」
「あぁこっちの話だ」
再び俺は鞍に乗り、レイアが羽ばたき始める。
あぁ、やっぱり顔は寒い。
仮面付けようかな……いやあれはガリア用だから極力つけない方がいいんだよな。
ヘイ=レッドがバレル可能性は極力減らさなければならないし。
ガリアに目を付けられるのだけは避けたい。
考え事をしていると、気付けば首都が見えてきた。
「お、意外と早く着いたな」
「ギュイギュイ」
「首都にそのまま降りるのは駄目だから、あの森に降りてくれ。
それと明日迎えに来るから、この辺りで一泊してくれると助かる」
「………グルルルル」
「嫌なのは分かるが、我慢してくれ!
今度霜降り肉持ってきてやるから!」
「……ギュイ?」
「本当だ!」
「………ギュイ」
なんとか機嫌を直してくれたか。
一応暖を取れるように、木を何本か錬金して掘立小屋を作ったからこれで我慢してくれ。
そうしてやっと俺は首都に入ることが出来た。
「それにしてもやっぱり首都は慌ただしいな」
レコンキスタが攻めてくるからな……国民も不安が大きいだろう。
ポケモンをフルで使えば、レコンキスタからこの国を守ることも出来るのかもしれない……でも俺は見知らぬ他人のために命を掛けるほど人間が出来ていない。
俺はアルビオンがどうなるか知っていながら、ルイズ達にしか目を向けることはない。
ウェールズ王子が死ぬであろうこと、そしてその亡骸がレコンキスタに操られることも知っていながら、俺は……いやこの事について考えるのは止そう。
取りあえず宿を探さないとな。
王宮の近くには結構な数の宿があったが、何処も宿泊客は殆どいなかった。
取りあえず門が見える宿の一室を取り、明日の朝から門を見張って、ワルドが動き始めたら後をつけようと思っている。
ルイズを呼び出すなり、ウェールズを呼び出すなりして門から出てくるだろうからな……。
ルイズの危機にサイトが間に合わない様だったら、俺がワルドを……まぁどちらにせよ俺はワルドをここから逃がすつもりはない。
危険は極力排除したいからな。
「よし、ここが良さそうだな」
俺は良い場所に立っている宿屋に入り、カウンターへと向かった。
やはり客は少ないようで、閑散としている。
「あ、ご宿泊ですか?」
「あぁ」
「それではここに御記名ください」
俺はサトシと記入しておいた。
この世界に置いて、アニメ版ポケモンの主人公の名前を知ってる人はいないだろう。
因みに俺はアニメ版ポケモンは小さい頃しか見てなかった。
サトシの最初のポケモン、ピカチュウがかみなりを使った時は強すぎるだろと子供ながらに思ったもんだ。
だってゲーム版なら最初Lv5スタートだぞ?
他にもアニメ版は色々とおかしい部分があったりするんだよな……イワークにスプリンクラーの水を掛けて、感電させるとかね。
それが有りだったらジムの壁壊してそれ相手にぶつければ大ダメージじゃね?とか思った俺は悪くないはず。
……思考が逸れたな。
「はい、ご確認いたしました
それではサトシ様のお部屋にご案内させていただきます」
ふぅ、今度こそゆっくりできるかな?
明日はかなり忙しそうだしな……今の内にしっかり休んでおこう。