第137話 同衾
翌日、俺は念のためサイトが追い出されていないか確認しに行った。
あのイベントの時にルイズはおそらく部屋に居ただろうから、きっと大丈夫だろう!
「……おはようサイト」
「……おはようレッド」
「おはようございますレッドさん」
うん、状況を確認しようか。
俺中庭へ→なんかテント発見→とても嫌な予感がビンビンだが念のため確認→サイトがテントから出てくる。
ここまではまだ予想できたんだ……でも何でテントからシエスタが?!
サイトの出てきたテントから出てくるシエスタ。
「サイト……君もしかして」
「や、ヤってないぞ?!」
「やる?」
「だとしたら何故シエスタがそこから出てきたんだい?
いや、それ以前に何故君はテントで寝ていていたんだい?」
「それは……昨日色々あって外で寝ることになったんだ」
「色々って……いや、何も聞かないでおこう」
正直予想はつくし、それにしても何でバレたんだろう?
まさかあの後サイトを探しにでも行ったんだろうか?
「外で寝た理由は分かった……でもシエスタがそこで寝ていた理由が分からないよ?」
「信じてくれレッド!
俺は手を出していないんだ!!」
「そんなにはっきり否定しなくても良いじゃないですか……」
「手を出す云々じゃなくて、僕は理由を聞いているんだけど?」
「それは……」
サイトの話を聞いてみると、まずルイズに頭を冷やすように一晩外で過ごすように言われテントを張ったらしい。
原作と違ってあそこまで怒らなかったのか?
まぁそれは置いといて、なんか眠れなくてテントの中で寝転がっているとシエスタが来たらしい。
その後サイトはシエスタと夜中まで話し続けていた。
しかしサイトは途中眠気を堪えきれず、寝落ちしてしまったらしい。
で朝起きてみると横にシエスタが居たと……。
「シエスタ、君は何故サイト君のテントへ?」
「昨晩サイトさんとお風呂に入った時にカチューシャを忘れてしまって、それを取りに戻るとテントが見えたので近寄るとサイトさんがいたので……」
「そこまでは納得できたんだけど、なぜ朝まで居たのかな?」
「サイトさんが寝てしまったすぐ後、私も眠気が耐えきれなくなって眠ってしまったんです。
それで起きたら朝になってました」
あり得なくはないのか……まぁ別に二人がやることやってたとしても、サイトがルイズ嬢の使い魔を止めなければ問題はない。
だけど、一応忠告しておくかな?
「理由は分かった。
しかし僕はここの先生として君たちに注意をしなければならない」
「「……はい」」
「まずサイト、女性と学院内で混浴するとはどういう事ですか?
しかも外でなんて、良くないですね……君はルイズ嬢の使い魔なのだから、君が問題を起こすとルイズ嬢にも迷惑が掛かる。
それは君の望むことなのですか?」
「違う!!」
「なら、今後の行動はもっと気をつけてください」
サイトは自分の立場がどういうものか、改めて理解したようだ。
これで少しは物事を考えてから行動できるようになって欲しい。
「次にシエスタ、君は夜に男性の寝床に向かうと言うことが、どんなことかしっかり理解した方が良い。
前例がないから分かりませんが、貴族の使い魔と閨を共にしたとなると、どんな罰が下るか分からないのですから……」
「……はい」
「今回は他の先生に報告しませんが、もし次同じ事があった場合は学院長に報告して公正な罰を受けて貰います」
「「はい」」
「……別に二人が付き合うということになっても、私は文句を言いません。
ですがここは学院、貴族の子息たちの学舎なのです。
そこで淫行を行うと最悪親御様が出てくる可能性があります。
そうなればヴァリエール家の使い魔であるサイトは大丈夫でしょうが、シエスタは……分かりますね?」
「そ、そんな……分かった!
気をつける!!」
「分かりました……」
サイトとシエスタは最悪の状況を想像出来たようで顔を青くしている。
俺としてもこういう脅しみたいな形で言いたくはなかったが、これも事実だから……二人には気をつけて欲しい。
「どうやら二人とも分かって貰えたようで良かったです」
「レッド……教えてくれてサンキュウな?」
「ご心配かけてすみません」
二人が俺に頭を下げてきた。
俺は謝罪が欲しい訳じゃない。
唯俺を友人と言ってくれるサイトと、シエスタにちょっとした注意をしただけだ。
「まぁ今度から気をつけてくださいね?」
「「はい!」」
その後は少しだけ雑談すると、シエスタが仕事の時間になったために学院へと戻っていった。
この場には俺とサイトしか居ない。
さぁて、少しだけ追加説教しますか!
「サイト」
「ん? どうしたんだ?」
「君は昨日ルイズ嬢を怒らせたようだね。
今回は、まぁ少しお説教して終わりにしてあげるけど、もし君がルイズ嬢を本気で悲しませた場合……僕は君を許さないよ?」
「……あぁ、分かってる」
「分かってるなら良いんだ……さっきも言ったけど僕は君とシエスタが付き合うのに何の文句もない」
「いや、俺たちはそんな関係じゃないですよ?!」
「いやぁ、ごめんごめん。
少し下世話だったね」
ほんと……俺何言ってんだろ?
俺何様だよ……あぁぁぁ自己嫌悪!!
その後は特に話すこともなく部屋に戻って用意をすると、そのままいつも訓練する場所へと向かった。