第142話 極秘ミッション開始
朝にけたたましいプロペラ音で俺は目を覚ました。
どうやらサイトがゼロ戦に乗ってタルブに向かったようだ。
一応確認のために俺はコルベール先生がいるであろう中庭に向かう。
中庭に着くとそこには泣いているシエスタと、心配そうに空を見るコルベール先生が立っていた。
あれ?
あんまり記憶にないんだけど、サイトがタルブ行く時ってシエスタ見送りに来てたっけ?
とりあえず状況を聞いてみよう。
「どうしたんですか?」
「あ、あぁレッド先生でしたか……」
「何やら彼女泣いていますが?」
俺は一旦シエスタの方に視線を向け、コルベール先生に視線を戻す。
そうすると彼は少しだけ顔を歪めた。
「レッド先生はタルブ村が今どのような状況か知っていますか?」
「戦場になるかもしれないということくらいなら知っていますが……」
「それでは彼女の故郷は知っていらっしゃいますか?」
「そういうことですか……しかし言っては何ですが、そのことは少し前から話に出ていたはずでは?」
「確かにそうですね、ですが彼女の泣いている理由はそれではありません」
「では?」
「もし好意を抱いている人が戦場に特攻するのを止められず、見送らざる得ないとしたら……レッド先生ならどうしますか?」
確かにキツいな。
しかもこの世界だと戦闘機がどんなものか知られていないし、ルイズ嬢が虚無であることも……ってそう言えばルイズ嬢はどうしたんだ?
「サイトがタルブに行ったんですか……でもどうやって?!」
「昨晩私と一緒に燃料を作ったあの‘ぜろせん’で……ですよ。
あの機体は彼の話を聞いた限り、鳥よりも早く飛べると言っていたので、そう簡単に堕ちることはないでしょう」
「ですが!」
「それに、彼の主人も後ろに乗っているので尚更です」
「ルイズ嬢が?!」
やっぱり乗ったのか。
俺も後を追った方がいいかな?
でもレコンキスタに俺がバレたら?
「私も最初止めたのですが、使い魔だけを戦場に送るわけにはいかないとはっきり言われてしまい、一瞬言葉に詰まっている間に飛び立ってしまったのです」
「そう……ですか」
「私たちに今できることは、彼らが無傷で帰ってくることを祈るだけです」
正直今すぐタルブに行ってレコンキスタの連中を排除したいところだけど、タルブを襲撃している奴らがいなくなったところでレコンキスタにダメージはそこまで大きくない。
それどころか俺の能力がバレたりしたら、かなり厄介なことになってしまう。
俺はどう動くべきか……幸い今日は休日だ。
今俺が取れる行動は二つ。
一つ目は後を追って影から援護。
二つ目はコルベール先生の言うとおり、無事を祈る。
まぁ答えは決まっているわけなんだけどな。
ワルドがいないことがどう影響するかわからない。
もしかしたら原作よりも敵が多くて、数に押し切られてしまうかもしれない。
それだけは避けたい。
まずはタルブに行くとしよう。
俺はコルベール先生に部屋に戻ることを告げ、頭の中でどう援護するか考え始めた。
部屋に帰ってきた俺は、まず緑色のローブを羽織った。
緑色の理由は、確か記憶が正しければタルブを襲ったのは竜騎士の部隊だったはず。
なら上空から見たときに背景と同化するには、緑が一番いいからだ。
俺にカクレオン並みの偽装能力があればそっちの方がいいんだけど、あの子持ってないしなぁ。
とりあえず今俺が考えているのは地上からサイコキネシスで竜を行動不能にするっていう方法だ。
空中で動けなくなった竜は重力に従って、地面に叩きつけられる。
上に乗っているのがメイジならフライで飛ぶかもしれないけど、飛んだら飛んだで杖を壊してしまえばそのまま落下するだろう。
その時に頭から落ちるように少し力を加えれば……これが俺の考えている援護方法だ。
流石にガンガン落としていくとバレるだろう。
でもサイトが機銃を撃ったときに惜しくも逃した相手だったら?
それなら周りから見ればどこかに当たって堕ちていくように見えるだろう。
まぁゼロ戦が後ろを取られたり、危機的状況に陥った場合は話が変わるけどな。
その場合は攻撃される前に落とす。
竜の口を強制的に閉め、羽を折る。
そして杖を折る、又は弓の弦を切る、又は剣を落とす。
これで仲間が助けない限り落下死は免れないだろう。
「援護方法が決まったところで、動き始めるか」
タルブへの道は知っている。
後はどうやって行くかだけど……またアレか?
正直森の中を超高速で走り抜けるのは結構厳しいんだよなぁ。
でも他の奴じゃあ間に合わな……いや、一匹いるな。
頭が疲れるけど、かなりの速度で移動できる方法を持つ奴がいる。
初代で出会っては逃げられ、出会っては逃げられを繰り返したあの特攻が高い思い出深い一匹。
あの技なら見える範囲への移動なら文字通り一瞬で出来る。
俺は剣と杖を持ち、一回深呼吸した。
「よし、これで準部は整った」
さぁ妹分と友人を援護しに行くとしますか……バレずに影からこっそりとね。
そして俺はケーシィとユンゲラーとフーディンを装備して、テレポートでの移動を始めた。
初代のフーディン、ゲンガーの強さは異常
特にゲンガーは俺のメインメンバーだった
一匹で四天王全抜きしてたのは懐かしい思い出
修正