第17話 伝説の力と新たな出会い
ある日俺は管理者が言っていたことを思い出した。
装備する時に存在力の大きいポケモンは装備する時に俺の外見が少し変わってしまう可能性があるということを。
これに関して実験できるが、流石に森じゃないとできそうにないな。
早くドームの錬成を出来るようにならないとな!
今日もまた森に来たわけだが、1時間ほど空手の鍛練のしてから今日の本命を試すことにした。
近くに湖があったはずだから、そこでやれば水鏡で俺の見た目が変わったかどうかも確認しやすいだろう。
ところで存在力の大きいポケモンって伝説とかだよね。
その中でレベル的に高くないのはBWの3犬とマナフィ、3鳥、エスパー3匹、ギラティナだけど、ギラティナのは危ないかな?
今中で変化が小さそうなのは、マナフィとかかな?
よしマナフィで試してみるか!
「(頼むぞマナフィ)装備!」
今までの装備と違い、俺自身が召喚された様に光に包まれていく。
光が晴れたそこには髪が青く染まり、額に赤い宝石がついた俺がいた。
変化はこれだけか……?
俺は少し拍子抜けしていた。
だが見た目の変化はそれだけだった……が問題はそこじゃなかった。
俺は自分の変化を確認し終えた後、立ちあがって湖から離れようと一歩踏み出した次の瞬間、俺を中心に湖に波紋が生まれた。
「えっと……どういうことだ?」
俺はその場で軽く足踏みをした。
それに合わせるように波紋が増えていく。
これは俺の動きに合わせて水が動いているのか?
なら他の動きならまた違う動きするのか?
俺は俄然興味が沸いてきた。
「よっしゃ! 色々試してみよう!!」
先ず先ほどは軽い足踏みしてみたが、強くならどうなるか?
俺はその場で震脚した。
そうすると先ほどとは比べるのが馬鹿馬鹿しくなる位に大きい波が対岸を襲う。
波で木が若干しなったりしたが、折れるほどの威力は無かったようだ。
それと魚が何匹か陸上に打ち上げられてしまった。
可哀想だったのでとりあえず一匹一匹手で戻したのだけど、湖の水が少し減ってしまった気がする。
あまり気にしないことにしてもう一つ試してみることにした。
足で波ができる。
なら手なら水はどう反応する?
俺が軽く手を振ると手の先から水が出てきた。
「え? 湖からじゃないのか?」
突然爪のあたりから水が出るようになった俺の体に疑問を覚えつつ、思いっきり振り下ろしてみた。
ザパッ!という音がして、目の前がモーゼの十戒状態に。
「何これ怖い……」
手から水の月牙天衝がでてきたよ?
ここブリーチの世界じゃないよ?
湖に一瞬道ができ、40メートルくらい先にある木が縦に真っ二つになっている。
「俺……伝説甘く見てたよ。
マナフィでこれなのか?
カイオーガとかどうすんだよ!」
俺は一気に頭が痛くなった。
とりあえずマナフィを戻し、近くにある木にもたれかかる。
余裕があれば多重装備も試してみたかったけど、俺の心が持ちそうにない。
だって手を振り回せば水の刃が飛ぶんだよ?
味方いるとこじゃまず使えない。
俺に対軍戦闘しろってことか?
そんなのは主人公のサイト君だけでいいよ!
5万対1とかヤバいでしょ……自重しなければどうにかできるかもしれないけど、それやったら対軍どころか対国になりそうだ。
伝説はやっぱり使い道が少なそうだ。
俺は心を鎮めるために、空手の型を練習し続けた。
目指せ愚地独歩!! 火炎放射をまわし受け出来るようになりたい。
俺はいつもの倍の時間頑張った……さっきのことを忘れるかのごとく。
俺は夕方になって、疲れた体を引きずって家に帰ろうとしていたんだが、そこで想定外の出来事が起こった。
森の入口付近に半死半生の女性が裸で倒れていたのだ。
流石に放っておくことも出来ず駆け寄ると、女性は小さな声で何かを言っている。
「い……たい……のね」
良く見ると背中に大きな三本の爪痕があった。
他にも体の何箇所か火傷もあるようだ。
あれ? 今の俺、怪我があるとはいえ女性の裸を凝視してる変態っぽくね?
その事実に慌てて眼をそらしながら、女性に声を掛けた。
「大丈夫ですか?」
「………」
どうやら女性は気絶してしまったようだ。
このままでは危ないと思い、自分の上着をその女性にかぶせて背負うと、女性特有のやわらかさを背中に感じたが極力気にしないように湖の近くまで運ぶ。
湖についた俺はとりあえず背中の傷口に水を掛けて洗い流した。
水を掛けた際に、女性は顔を顰めていたけどまだ起きそうにない。
現状で俺に出来るのは……装備を使った治療と召喚して治療しかないんだけど、レベルが高くないポケモンなら見た目も変わらない装備の方が向いていると思い、装備で治療することを決めた。
「(頼むぞ‘タブンネ’)いやしのはどう」
初めて使う技だけど、HP半分回復って言うぐらいだから大丈夫だろう。
発動させた瞬間は何も起こらなかったけど、ちょっとずつ肉が盛り上がっていく。
大分グロテスクだったが、3分くらいで背中は元どうりになった。
次に見た目デカイ鈴の‘チリーン’を装備して状態異常回復の技‘いやしのすず’を発動した。
何個かあった火傷も治ってほぼ完全な状態になったであろう女性を確認した俺は、静かにその場から離れようとしたのだが、それは女性の声によって防がれた。
その場を離れようと後ろを向いている俺に女性は「まつのね!」と一言。
俺はそこで気絶が睡眠に含まれることが分かって、それも‘いやしのすず’が直してしまったことに思い至った。
「(自業自得ってやつか)何でしょうか?」
「貴方が治したのね?」
「……はい。
そうですがお礼などは結構なので!
僕帰ります!!」
強引に帰ろうとしたが、病み上がりとは思えない動きで立ちあがって俺の肩をガシっと掴んだ。
「だからまつのね!!」
「いえ、僕門限があるんで!!」
帰ろうとする俺、帰そうとしない女性。
そんなやり取りを何回か繰り返した俺たちは、片や病み上がり、片や疲労困憊でその場に座り込んだ。
段々冷静になってきた俺は何でこんなに逃げたがってたのか考え直してみた。
装備をバレたくないから逃げるというのが逃げる理由だった。
あれ?なら大丈夫なんじゃないか?
少し安心した俺は、女性と話をしてみることにした。
「なんであんな怪我をしていたんですか?」
「そうなのよ! きゅいきゅい!!
あいつったらちょっと縄張りの上を通っただけで私の背中を引っ掻いたのよ!」
「あいつって?」
「火竜よ!
まったくあいつのことを思い出すと今でも腹が立つのだわ!」
火竜に追われて、逃げ切れるって普通にすごいな……結構凄腕のメイジなのかな?
「それであなたは何で私を直してくれたの? きゅいきゅい」
「いや流石に目の前で死にかけの人が倒れてたら助けるよ?」
「貴方いい人なのね!」
彼女はそう言って抱きついてきた。
流石に大人の女性に包容されると、恥しいな。
「と、とりあえず離れてください」
「? わかったのね」
なんとか離れてもらえたが流石に時間が気になってきたので女性に一言言って帰ろうとすると、彼女が
「イルククゥ!」
「え?」
「私の名前なのね!イルククゥ!!」
「あ……うん」
「貴方の名前は?」
「あぁ僕の名前はレッド。
レッド・ド・ドリュウズ」
「れっど……レッドね!
覚えたのね!きゅいきゅい!!
今度会う時にお礼をするのね!」
彼女はそう言って飛んで行ってしまった。
箒とか使わないのか?
まぁいいか!
なんか嵐のような女の人だったな。
「あ!! 上着返してもらってない!!!
はぁ……母さんに怒られそうだな」
なんか帰る前からほんのり憂鬱だったが、見ず知らずの女性とはいえ命を救えたことはいいことだと思ったので少しいい気分でもあった。
それにしてもあの口調どこかで……。
〜イルククゥ side〜
「あ!上着返すの忘れたのね……でもこの服いい匂い。
それに精霊の気配がするのね。
あの子エルフじゃないのになんで?
次に会ったときに聞こっと!」
イルククゥの頭の中ではレッドという男の子の顔が思い浮かんでいた。
今度会ったときにお礼をすると約束した男の子のことを……。
「お礼は何がいいかなぁ?」
イルククゥは笑顔を浮かべていることに気付かずに空を散歩していた。
彼との再会の日は遠い。
〜side end〜
ある日俺は管理者が言っていたことを思い出した。
装備する時に存在力の大きいポケモンは装備する時に俺の外見が少し変わってしまう可能性があるということを。
これに関して実験できるが、流石に森じゃないとできそうにないな。
早くドームの錬成を出来るようにならないとな!
今日もまた森に来たわけだが、1時間ほど空手の鍛練のしてから今日の本命を試すことにした。
近くに湖があったはずだから、そこでやれば水鏡で俺の見た目が変わったかどうかも確認しやすいだろう。
ところで存在力の大きいポケモンって伝説とかだよね。
その中でレベル的に高くないのはBWの3犬とマナフィ、3鳥、エスパー3匹、ギラティナだけど、ギラティナのは危ないかな?
今中で変化が小さそうなのは、マナフィとかかな?
よしマナフィで試してみるか!
「(頼むぞマナフィ)装備!」
今までの装備と違い、俺自身が召喚された様に光に包まれていく。
光が晴れたそこには髪が青く染まり、額に赤い宝石がついた俺がいた。
変化はこれだけか……?
俺は少し拍子抜けしていた。
だが見た目の変化はそれだけだった……が問題はそこじゃなかった。
俺は自分の変化を確認し終えた後、立ちあがって湖から離れようと一歩踏み出した次の瞬間、俺を中心に湖に波紋が生まれた。
「えっと……どういうことだ?」
俺はその場で軽く足踏みをした。
それに合わせるように波紋が増えていく。
これは俺の動きに合わせて水が動いているのか?
なら他の動きならまた違う動きするのか?
俺は俄然興味が沸いてきた。
「よっしゃ! 色々試してみよう!!」
先ず先ほどは軽い足踏みしてみたが、強くならどうなるか?
俺はその場で震脚した。
そうすると先ほどとは比べるのが馬鹿馬鹿しくなる位に大きい波が対岸を襲う。
波で木が若干しなったりしたが、折れるほどの威力は無かったようだ。
それと魚が何匹か陸上に打ち上げられてしまった。
可哀想だったのでとりあえず一匹一匹手で戻したのだけど、湖の水が少し減ってしまった気がする。
あまり気にしないことにしてもう一つ試してみることにした。
足で波ができる。
なら手なら水はどう反応する?
俺が軽く手を振ると手の先から水が出てきた。
「え? 湖からじゃないのか?」
突然爪のあたりから水が出るようになった俺の体に疑問を覚えつつ、思いっきり振り下ろしてみた。
ザパッ!という音がして、目の前がモーゼの十戒状態に。
「何これ怖い……」
手から水の月牙天衝がでてきたよ?
ここブリーチの世界じゃないよ?
湖に一瞬道ができ、40メートルくらい先にある木が縦に真っ二つになっている。
「俺……伝説甘く見てたよ。
マナフィでこれなのか?
カイオーガとかどうすんだよ!」
俺は一気に頭が痛くなった。
とりあえずマナフィを戻し、近くにある木にもたれかかる。
余裕があれば多重装備も試してみたかったけど、俺の心が持ちそうにない。
だって手を振り回せば水の刃が飛ぶんだよ?
味方いるとこじゃまず使えない。
俺に対軍戦闘しろってことか?
そんなのは主人公のサイト君だけでいいよ!
5万対1とかヤバいでしょ……自重しなければどうにかできるかもしれないけど、それやったら対軍どころか対国になりそうだ。
伝説はやっぱり使い道が少なそうだ。
俺は心を鎮めるために、空手の型を練習し続けた。
目指せ愚地独歩!! 火炎放射をまわし受け出来るようになりたい。
俺はいつもの倍の時間頑張った……さっきのことを忘れるかのごとく。
俺は夕方になって、疲れた体を引きずって家に帰ろうとしていたんだが、そこで想定外の出来事が起こった。
森の入口付近に半死半生の女性が裸で倒れていたのだ。
流石に放っておくことも出来ず駆け寄ると、女性は小さな声で何かを言っている。
「い……たい……のね」
良く見ると背中に大きな三本の爪痕があった。
他にも体の何箇所か火傷もあるようだ。
あれ? 今の俺、怪我があるとはいえ女性の裸を凝視してる変態っぽくね?
その事実に慌てて眼をそらしながら、女性に声を掛けた。
「大丈夫ですか?」
「………」
どうやら女性は気絶してしまったようだ。
このままでは危ないと思い、自分の上着をその女性にかぶせて背負うと、女性特有のやわらかさを背中に感じたが極力気にしないように湖の近くまで運ぶ。
湖についた俺はとりあえず背中の傷口に水を掛けて洗い流した。
水を掛けた際に、女性は顔を顰めていたけどまだ起きそうにない。
現状で俺に出来るのは……装備を使った治療と召喚して治療しかないんだけど、レベルが高くないポケモンなら見た目も変わらない装備の方が向いていると思い、装備で治療することを決めた。
「(頼むぞ‘タブンネ’)いやしのはどう」
初めて使う技だけど、HP半分回復って言うぐらいだから大丈夫だろう。
発動させた瞬間は何も起こらなかったけど、ちょっとずつ肉が盛り上がっていく。
大分グロテスクだったが、3分くらいで背中は元どうりになった。
次に見た目デカイ鈴の‘チリーン’を装備して状態異常回復の技‘いやしのすず’を発動した。
何個かあった火傷も治ってほぼ完全な状態になったであろう女性を確認した俺は、静かにその場から離れようとしたのだが、それは女性の声によって防がれた。
その場を離れようと後ろを向いている俺に女性は「まつのね!」と一言。
俺はそこで気絶が睡眠に含まれることが分かって、それも‘いやしのすず’が直してしまったことに思い至った。
「(自業自得ってやつか)何でしょうか?」
「貴方が治したのね?」
「……はい。
そうですがお礼などは結構なので!
僕帰ります!!」
強引に帰ろうとしたが、病み上がりとは思えない動きで立ちあがって俺の肩をガシっと掴んだ。
「だからまつのね!!」
「いえ、僕門限があるんで!!」
帰ろうとする俺、帰そうとしない女性。
そんなやり取りを何回か繰り返した俺たちは、片や病み上がり、片や疲労困憊でその場に座り込んだ。
段々冷静になってきた俺は何でこんなに逃げたがってたのか考え直してみた。
装備をバレたくないから逃げるというのが逃げる理由だった。
あれ?なら大丈夫なんじゃないか?
少し安心した俺は、女性と話をしてみることにした。
「なんであんな怪我をしていたんですか?」
「そうなのよ! きゅいきゅい!!
あいつったらちょっと縄張りの上を通っただけで私の背中を引っ掻いたのよ!」
「あいつって?」
「火竜よ!
まったくあいつのことを思い出すと今でも腹が立つのだわ!」
火竜に追われて、逃げ切れるって普通にすごいな……結構凄腕のメイジなのかな?
「それであなたは何で私を直してくれたの? きゅいきゅい」
「いや流石に目の前で死にかけの人が倒れてたら助けるよ?」
「貴方いい人なのね!」
彼女はそう言って抱きついてきた。
流石に大人の女性に包容されると、恥しいな。
「と、とりあえず離れてください」
「? わかったのね」
なんとか離れてもらえたが流石に時間が気になってきたので女性に一言言って帰ろうとすると、彼女が
「イルククゥ!」
「え?」
「私の名前なのね!イルククゥ!!」
「あ……うん」
「貴方の名前は?」
「あぁ僕の名前はレッド。
レッド・ド・ドリュウズ」
「れっど……レッドね!
覚えたのね!きゅいきゅい!!
今度会う時にお礼をするのね!」
彼女はそう言って飛んで行ってしまった。
箒とか使わないのか?
まぁいいか!
なんか嵐のような女の人だったな。
「あ!! 上着返してもらってない!!!
はぁ……母さんに怒られそうだな」
なんか帰る前からほんのり憂鬱だったが、見ず知らずの女性とはいえ命を救えたことはいいことだと思ったので少しいい気分でもあった。
それにしてもあの口調どこかで……。
〜イルククゥ side〜
「あ!上着返すの忘れたのね……でもこの服いい匂い。
それに精霊の気配がするのね。
あの子エルフじゃないのになんで?
次に会ったときに聞こっと!」
イルククゥの頭の中ではレッドという男の子の顔が思い浮かんでいた。
今度会ったときにお礼をすると約束した男の子のことを……。
「お礼は何がいいかなぁ?」
イルククゥは笑顔を浮かべていることに気付かずに空を散歩していた。
彼との再会の日は遠い。
〜side end〜