第23話 鬼教官
何事もなく終わったルイズ嬢の誕生会。
あの後何故かルイズ嬢が俺の傍に来て、ヴァリエール領のいい所とかを説明してくれたりした。
カトレアさんは他の貴族の子息にアプローチを受けていたが、笑顔ではぐらかしていた。
そりゃあ男の子はあの胸に目いくわな……俺も中学の時だったらあんな感じでガッついてた気がするしね。
今回も門の前まで見送りに来てくれたヴァリエール一家に別れを告げ、馬車を走らせた。
いつも通りの帰り道、流石に疲れて眠気に苛まれていた中、父さんが俺に話しかけてきた。
「レッド、お前も後4年で学園に通う年になるな」
「学園?」
「あぁ話してなかったか、貴族の子供は14歳から16歳までの約3年間、学園に通って魔法や一般常識を学ぶのだ。
まぁ他にも他の貴族との接点を作るという意味合いも大きいのだがな。
お前ももうすぐ11歳だからな、そろそろ準備位しておいて損は無い」
「(あぁ原作で舞台になった場所か……)そうなのですか」
「それにお前はそこに入る前に、既に水と土のラインになってしまっている。
お前は目立ちたくないのだろう?」
「……はい」
「ならばせめて属性はどちらか一つと言うことにして置いた方がいい。
それかドットということにして置きなさい」
「そうですね、そうしておきます」
「あぁそれと、学園では指輪やマインゴーシュではなく杖を使った方がいい。
軍人でもない限り、貴族は剣をあまり持たないからな。
指輪を発動体として使えば、実戦経験者ならお前の実力に気付いてしまうかもしれない。
バレたくないなら細心の注意を払った方がいいだろう」
「はい、父さん」
父さんはそういうと、馬車の壁に寄りかかり目をつぶった。
それと入れ替わるように母さんが俺に話しかけてきた。
「学園に関してはお父さんが言ってしまったから、私は何を話そうかしら?」
「いや……何もなければ話さなくてもいいのでは?」
「そんな! 酷い!!
お父さんとはあんなに楽しそうにお話して、私とはお話してくれないなんて!!」
いつの間にか父さんの眼が俺を貫いている。
いや父さん勘弁してください。
俺疲れてるんです……その殺気は今の俺には耐えきれません。
「そんなことありませんよ?! じゃあ母さん誕生パーティは楽しめましたか?」
「う〜ん……いつも通り自慢話が多くてあまり楽しくなかったわ。
私の領地では〇〇が豊富でしてとか、私の息子など既に火のドットになったのです!とか聞いていて面白くない話ばっかり」
「そうですか……」
「でもカリーヌ様が貴方に興味を持っていたみたいよ?
なんでも二人とはいえその年で山賊を倒すなんて将来有望だとかなんとか」
「(流石ヴァリエール家、諜報部も一流ですか)それは……ありがたいお言葉ですね」
「今度是非その力を試してみたいとかも言っていたわね」
「(勘弁してくれ!!あんたスクウェアクラスだろ!!)それは光栄ですが、そこまで手を煩わせるのは悪いですからお断りしたいですね」
「そう? いい経験になると思うんだけどなぁ」
母さんはニヤニヤしながら俺を肘で小突いた。
母さん貴方俺が目立ちたくないの知ってるでしょうが!!
俺の信条、のんびりライフを根底から崩す気ですか!?
「冗談よ、でも興味を持たれているのと、山賊退治を知られているのは事実よ?
一応そういったのは父さんの管轄ということではぐらかしておいたけど、完全に調べられてるみたい」
「(やっぱりか……どうしようかな)」
「何にせよヴァリエール家の子女たちに手を出さない限り、貴方に直接手を出してくることは無いと思うわよ?
まぁ模擬戦くらいはさせられるかもしれないけれど……」
「(あの人と模擬戦やったら俺は死ぬな)なら大丈夫ですね、カトレアさんやルイズ嬢は俺にとって高嶺の花みたいなものですから」
「そうなの? てっきり私はカトレアさんのことを好きなんだと思っていたのに」
「友達としては確かに好きですが、女性としては……まだ分かりません」
「そう……急ぐことは無いけれど、カトレアさんは人気があるから早くしないと誰かに取られちゃうわよ?」
「(っ!!)流石に遊べなくなるのは寂しいですね」
何だ今の不快感?
俺はその後母さんと何を話したかも覚えていないほど、上の空だった。
俺にとってカトレアさんはどんな存在だ?
友人? 親友? それとも……。
答えの出ない問いにイライラしつつも、疲れから来る睡魔に襲われ、俺は馬車の中で眠りについた。
翌朝
一晩寝ると昨日の不快感は消え、何だ気のせいだったかと安堵していた俺に、母さんからお出かけのお誘いが来た。
どうやら母さんの魔法の先生だった人に会いに行くらしい。
「どんな人なの?」
「う〜ん、なんて言えばいいのかな? いい人だけど嫉妬深い人?
でも他人には結構怖い人だった気も……」
「(何だそれは……)そうなんだ」
「何で俺を連れていくの?」
「そろそろ貴方に魔法で教えることが無くなってきてしまったから、彼女に助言をもらおうかなって思って」
「彼女ってことは女性なんだ……」
「そうよ〜、私と学園で同級生だったの!
懐かしいわねぇ」
「同級生なのに先生だったの?」
「彼女の方が水メイジとしての位が高かったから、コツを良く教えてもらってたから、ふざけ半分で先生って呼んでたら定着しちゃって……」
そう気恥しそうに母さんは言った。
母さんも青春してたんだなぁと感じた会話だった。
「ところでその人の名前は?」
「彼女の名前はマルギッテ・シェーン・ラ・フェール・ド・モンモランシ」
「……え?」
「だ・か・らマルギッテ・シェーン・ラ・フェール・ド・モンモランシ!」
ここにきてまた原作一家かよ・・・・・・。
まぁモブキャラだったはずだからまだ少しは気が楽かな?
それにモンモンとか言ったっけ?
あの子もまだ6歳のはず……原作開始まで会わなければ俺のことなんか覚えていないはずだ。
OK!! 落ち着いた!!
「そろそろ着くわよ?」
そんな母さんの声を聞きながら、俺は今度こそ接点を少なくしようと心に強く誓った。
何事もなく終わったルイズ嬢の誕生会。
あの後何故かルイズ嬢が俺の傍に来て、ヴァリエール領のいい所とかを説明してくれたりした。
カトレアさんは他の貴族の子息にアプローチを受けていたが、笑顔ではぐらかしていた。
そりゃあ男の子はあの胸に目いくわな……俺も中学の時だったらあんな感じでガッついてた気がするしね。
今回も門の前まで見送りに来てくれたヴァリエール一家に別れを告げ、馬車を走らせた。
いつも通りの帰り道、流石に疲れて眠気に苛まれていた中、父さんが俺に話しかけてきた。
「レッド、お前も後4年で学園に通う年になるな」
「学園?」
「あぁ話してなかったか、貴族の子供は14歳から16歳までの約3年間、学園に通って魔法や一般常識を学ぶのだ。
まぁ他にも他の貴族との接点を作るという意味合いも大きいのだがな。
お前ももうすぐ11歳だからな、そろそろ準備位しておいて損は無い」
「(あぁ原作で舞台になった場所か……)そうなのですか」
「それにお前はそこに入る前に、既に水と土のラインになってしまっている。
お前は目立ちたくないのだろう?」
「……はい」
「ならばせめて属性はどちらか一つと言うことにして置いた方がいい。
それかドットということにして置きなさい」
「そうですね、そうしておきます」
「あぁそれと、学園では指輪やマインゴーシュではなく杖を使った方がいい。
軍人でもない限り、貴族は剣をあまり持たないからな。
指輪を発動体として使えば、実戦経験者ならお前の実力に気付いてしまうかもしれない。
バレたくないなら細心の注意を払った方がいいだろう」
「はい、父さん」
父さんはそういうと、馬車の壁に寄りかかり目をつぶった。
それと入れ替わるように母さんが俺に話しかけてきた。
「学園に関してはお父さんが言ってしまったから、私は何を話そうかしら?」
「いや……何もなければ話さなくてもいいのでは?」
「そんな! 酷い!!
お父さんとはあんなに楽しそうにお話して、私とはお話してくれないなんて!!」
いつの間にか父さんの眼が俺を貫いている。
いや父さん勘弁してください。
俺疲れてるんです……その殺気は今の俺には耐えきれません。
「そんなことありませんよ?! じゃあ母さん誕生パーティは楽しめましたか?」
「う〜ん……いつも通り自慢話が多くてあまり楽しくなかったわ。
私の領地では〇〇が豊富でしてとか、私の息子など既に火のドットになったのです!とか聞いていて面白くない話ばっかり」
「そうですか……」
「でもカリーヌ様が貴方に興味を持っていたみたいよ?
なんでも二人とはいえその年で山賊を倒すなんて将来有望だとかなんとか」
「(流石ヴァリエール家、諜報部も一流ですか)それは……ありがたいお言葉ですね」
「今度是非その力を試してみたいとかも言っていたわね」
「(勘弁してくれ!!あんたスクウェアクラスだろ!!)それは光栄ですが、そこまで手を煩わせるのは悪いですからお断りしたいですね」
「そう? いい経験になると思うんだけどなぁ」
母さんはニヤニヤしながら俺を肘で小突いた。
母さん貴方俺が目立ちたくないの知ってるでしょうが!!
俺の信条、のんびりライフを根底から崩す気ですか!?
「冗談よ、でも興味を持たれているのと、山賊退治を知られているのは事実よ?
一応そういったのは父さんの管轄ということではぐらかしておいたけど、完全に調べられてるみたい」
「(やっぱりか……どうしようかな)」
「何にせよヴァリエール家の子女たちに手を出さない限り、貴方に直接手を出してくることは無いと思うわよ?
まぁ模擬戦くらいはさせられるかもしれないけれど……」
「(あの人と模擬戦やったら俺は死ぬな)なら大丈夫ですね、カトレアさんやルイズ嬢は俺にとって高嶺の花みたいなものですから」
「そうなの? てっきり私はカトレアさんのことを好きなんだと思っていたのに」
「友達としては確かに好きですが、女性としては……まだ分かりません」
「そう……急ぐことは無いけれど、カトレアさんは人気があるから早くしないと誰かに取られちゃうわよ?」
「(っ!!)流石に遊べなくなるのは寂しいですね」
何だ今の不快感?
俺はその後母さんと何を話したかも覚えていないほど、上の空だった。
俺にとってカトレアさんはどんな存在だ?
友人? 親友? それとも……。
答えの出ない問いにイライラしつつも、疲れから来る睡魔に襲われ、俺は馬車の中で眠りについた。
翌朝
一晩寝ると昨日の不快感は消え、何だ気のせいだったかと安堵していた俺に、母さんからお出かけのお誘いが来た。
どうやら母さんの魔法の先生だった人に会いに行くらしい。
「どんな人なの?」
「う〜ん、なんて言えばいいのかな? いい人だけど嫉妬深い人?
でも他人には結構怖い人だった気も……」
「(何だそれは……)そうなんだ」
「何で俺を連れていくの?」
「そろそろ貴方に魔法で教えることが無くなってきてしまったから、彼女に助言をもらおうかなって思って」
「彼女ってことは女性なんだ……」
「そうよ〜、私と学園で同級生だったの!
懐かしいわねぇ」
「同級生なのに先生だったの?」
「彼女の方が水メイジとしての位が高かったから、コツを良く教えてもらってたから、ふざけ半分で先生って呼んでたら定着しちゃって……」
そう気恥しそうに母さんは言った。
母さんも青春してたんだなぁと感じた会話だった。
「ところでその人の名前は?」
「彼女の名前はマルギッテ・シェーン・ラ・フェール・ド・モンモランシ」
「……え?」
「だ・か・らマルギッテ・シェーン・ラ・フェール・ド・モンモランシ!」
ここにきてまた原作一家かよ・・・・・・。
まぁモブキャラだったはずだからまだ少しは気が楽かな?
それにモンモンとか言ったっけ?
あの子もまだ6歳のはず……原作開始まで会わなければ俺のことなんか覚えていないはずだ。
OK!! 落ち着いた!!
「そろそろ着くわよ?」
そんな母さんの声を聞きながら、俺は今度こそ接点を少なくしようと心に強く誓った。