第29話 決意
あの後マルギッテさんから言い渡された遅刻の罰則は、訓練内容の濃密化という俺にとって悪夢の様な内容になった。
避けることが許されない弾幕、それを壁を作って耐えろとの耐久訓練。
的の中心に100発連続で水球を当てる精密射撃訓練、尚失敗したら最初から。
前に突破できなかった流水の壁の突破を目的とした威力向上訓練。
etcetc……。
因みに水系統の魔法は先ほどの雨で大分使いやすかったです……これは不幸中の幸いだ。
訓練の濃密化の結果、見事お泊りとなりました!!
着いたのが遅かったのが一番の理由だったのだけど、まさか泊りになるとは……母さんには連絡済みだそうだ。
元から泊める気だったのだろうか?
「今日の訓練はここまでとします」
「ありがとう……ございました!」
「すぐに夕食となります。
それまでに身体の汚れを落としてきなさい」
「ハイ!」
そう言ってマルギッテさんは屋敷へと戻った。
俺は疲れた体を引きずりながら、風呂へと向かった。
「彼は良い軍人になりそうですね。
これからが楽しみです」
ところで広いお風呂は、一人で入ると微妙に怖くありません?
頭を洗っているとき、後ろに誰かいるんじゃないだろうか?と思ったことは無いだろうか?
俺はホラー映画とか大好きだが、基本怖いもの見たさ的な意味合いで見てたから、そんなビクビクしながらの風呂になったことが結構あった。
思い出して怖くなることも結構しばしば……今まさにその状態な訳だけど。
広い風呂に一人きり、幾ら明るくても広い空間に一人っきりというものは不安になるものだ。
無音の中で時折響く水の音、水は出ていない口を開いた獅子の像。
落ちつかない、とっても落ち着かない。
あ〜ちょっとぐらいなら召喚してもいいかな?!
俺が入ってるって知ってるなら誰も入ってこないだろうし……。
俺は生前こんな広い風呂に一人で入った経験などない。
ドリュウズ家では、使用人が背中を流すために最低でも一人いる。
恥しいが母さん曰くまだ子供なんだから甘えときなさいだそうだ。
……俺一人でオーク討伐とかやってたんだけどなぁ。
まぁ助かってたって言えなくもないんだが。
「(でもバレたら困る……でも怖い……困る怖い困る怖い困る怖い怖い怖い怖いコワイコワイKO・WA・I!)
限界だ、呼ぶね! 来いポッチャマ!!」
「ポチャ!」
なんか凄い召喚速度速かった気がするが、火事場のクソ力的な何かだろう。
それにしてもやっぱり自分以外の人?がいると怖さは消えるな。
ポッチャマは広い風呂の中で泳ぎまわっている。
訓練と水の精霊のおかげで疲れた精神は、ほんのり癒された。
まぁ次の瞬間それも儚く消えたわけだが……。
「えっと……なんですかそれ?」
「は?」
何故か目の前にはモンモンがいた。
「……いつから見てたのかな?」
「なんかブルブル震えながら叫んだ辺りから……」
俺詰んだ……く、口封じしか!?
「(いやまだ大丈夫だ!カトレアさんの時みたいに黙ってもらえるように頼もう)
あのねモンモ「娘よ!中にはレッドが!………」ン……」
サヨウナラ皆様、俺は今日綺麗な川を渡ります。
予想外に早く会いそうだね管理者……。
俺は呪文を唱えているマルギッテさんを見た後、顎を水弾で撃たれ気を失った。
BAD END……
まぁそんなこともなく、目は覚めたわけだが目の前には顔を赤く染めたモンモンと、目がトンデモないことになっているマルギッテさん、そしてソファーで飛び跳ねるポッチャマがいた。
うん………夢かな?
むしろ夢であってほしい。
確かに最近召喚の秘匿が緩かった気がするが、このタイミングでばれるか……しかも両親じゃなくこの人に。
この人の行動を予想できない。
俺の能力を知ったら王宮に報告する?それともアカデミー?
いや母さんの親友らしいから、それは無いと思いたい!
「さぁ状況整理は出来ましたか?」
「何のことでしょうか?」
「この状況で惚けるか……貴様は確かに一人で風呂に向かったはずだ。
それは使用人が証明している。
ならこの……なんだ?
……生き物はなぜあの場にいた!」
「(どうする……どうすればいい)それは……」
「お母様、レッドさんはこのポッチャマっていう生き物を召喚したのですわ」
「……普通にバラしましたねモンモランシ嬢」
「え? 隠していたんですか?」
えぇ隠していたんです……サモンサーヴァントでもなく生物を呼びだす魔法は存在していないはず。
なら召喚っていう時点でかなり怪しまれるだろう。
実際マルギッテさんの眼がさっきの比じゃない。
殺気に近いものを感じる。
これは喋らないと不味いか?
いや!この際母さんと父さんを呼んでもらおう。
何時か話さなければならなかったことだ……転生のことも話そう。
それで勘当されたら……旅にでも出よう。
俺は覚悟を決め、マルギッテさんの方を見た。
「父さんと母さんを呼んでください」
「何故だ」
「この事は父さんと母さんも知らないから……話すならあの二人に話してからじゃないと話せません」
「………わかった」
マルギッテさんは近くにいる使用人を呼び、耳打ちした。
すると使用人は走って部屋を出て行った。
この状況についてこれていないモンモランシ嬢は、俺とマルギッテさんを交互に見ながら不思議そうにしていた。
問題のポッチャマは……爆睡していた。
あの後マルギッテさんから言い渡された遅刻の罰則は、訓練内容の濃密化という俺にとって悪夢の様な内容になった。
避けることが許されない弾幕、それを壁を作って耐えろとの耐久訓練。
的の中心に100発連続で水球を当てる精密射撃訓練、尚失敗したら最初から。
前に突破できなかった流水の壁の突破を目的とした威力向上訓練。
etcetc……。
因みに水系統の魔法は先ほどの雨で大分使いやすかったです……これは不幸中の幸いだ。
訓練の濃密化の結果、見事お泊りとなりました!!
着いたのが遅かったのが一番の理由だったのだけど、まさか泊りになるとは……母さんには連絡済みだそうだ。
元から泊める気だったのだろうか?
「今日の訓練はここまでとします」
「ありがとう……ございました!」
「すぐに夕食となります。
それまでに身体の汚れを落としてきなさい」
「ハイ!」
そう言ってマルギッテさんは屋敷へと戻った。
俺は疲れた体を引きずりながら、風呂へと向かった。
「彼は良い軍人になりそうですね。
これからが楽しみです」
ところで広いお風呂は、一人で入ると微妙に怖くありません?
頭を洗っているとき、後ろに誰かいるんじゃないだろうか?と思ったことは無いだろうか?
俺はホラー映画とか大好きだが、基本怖いもの見たさ的な意味合いで見てたから、そんなビクビクしながらの風呂になったことが結構あった。
思い出して怖くなることも結構しばしば……今まさにその状態な訳だけど。
広い風呂に一人きり、幾ら明るくても広い空間に一人っきりというものは不安になるものだ。
無音の中で時折響く水の音、水は出ていない口を開いた獅子の像。
落ちつかない、とっても落ち着かない。
あ〜ちょっとぐらいなら召喚してもいいかな?!
俺が入ってるって知ってるなら誰も入ってこないだろうし……。
俺は生前こんな広い風呂に一人で入った経験などない。
ドリュウズ家では、使用人が背中を流すために最低でも一人いる。
恥しいが母さん曰くまだ子供なんだから甘えときなさいだそうだ。
……俺一人でオーク討伐とかやってたんだけどなぁ。
まぁ助かってたって言えなくもないんだが。
「(でもバレたら困る……でも怖い……困る怖い困る怖い困る怖い怖い怖い怖いコワイコワイKO・WA・I!)
限界だ、呼ぶね! 来いポッチャマ!!」
「ポチャ!」
なんか凄い召喚速度速かった気がするが、火事場のクソ力的な何かだろう。
それにしてもやっぱり自分以外の人?がいると怖さは消えるな。
ポッチャマは広い風呂の中で泳ぎまわっている。
訓練と水の精霊のおかげで疲れた精神は、ほんのり癒された。
まぁ次の瞬間それも儚く消えたわけだが……。
「えっと……なんですかそれ?」
「は?」
何故か目の前にはモンモンがいた。
「……いつから見てたのかな?」
「なんかブルブル震えながら叫んだ辺りから……」
俺詰んだ……く、口封じしか!?
「(いやまだ大丈夫だ!カトレアさんの時みたいに黙ってもらえるように頼もう)
あのねモンモ「娘よ!中にはレッドが!………」ン……」
サヨウナラ皆様、俺は今日綺麗な川を渡ります。
予想外に早く会いそうだね管理者……。
俺は呪文を唱えているマルギッテさんを見た後、顎を水弾で撃たれ気を失った。
BAD END……
まぁそんなこともなく、目は覚めたわけだが目の前には顔を赤く染めたモンモンと、目がトンデモないことになっているマルギッテさん、そしてソファーで飛び跳ねるポッチャマがいた。
うん………夢かな?
むしろ夢であってほしい。
確かに最近召喚の秘匿が緩かった気がするが、このタイミングでばれるか……しかも両親じゃなくこの人に。
この人の行動を予想できない。
俺の能力を知ったら王宮に報告する?それともアカデミー?
いや母さんの親友らしいから、それは無いと思いたい!
「さぁ状況整理は出来ましたか?」
「何のことでしょうか?」
「この状況で惚けるか……貴様は確かに一人で風呂に向かったはずだ。
それは使用人が証明している。
ならこの……なんだ?
……生き物はなぜあの場にいた!」
「(どうする……どうすればいい)それは……」
「お母様、レッドさんはこのポッチャマっていう生き物を召喚したのですわ」
「……普通にバラしましたねモンモランシ嬢」
「え? 隠していたんですか?」
えぇ隠していたんです……サモンサーヴァントでもなく生物を呼びだす魔法は存在していないはず。
なら召喚っていう時点でかなり怪しまれるだろう。
実際マルギッテさんの眼がさっきの比じゃない。
殺気に近いものを感じる。
これは喋らないと不味いか?
いや!この際母さんと父さんを呼んでもらおう。
何時か話さなければならなかったことだ……転生のことも話そう。
それで勘当されたら……旅にでも出よう。
俺は覚悟を決め、マルギッテさんの方を見た。
「父さんと母さんを呼んでください」
「何故だ」
「この事は父さんと母さんも知らないから……話すならあの二人に話してからじゃないと話せません」
「………わかった」
マルギッテさんは近くにいる使用人を呼び、耳打ちした。
すると使用人は走って部屋を出て行った。
この状況についてこれていないモンモランシ嬢は、俺とマルギッテさんを交互に見ながら不思議そうにしていた。
問題のポッチャマは……爆睡していた。