第36話 一時帰郷
久しぶりに会った両親は、何も変わっていなかった。
「やっと帰ってきたなレッド」
「遅かったわね?」
「ただいま!」
特に感動の再会というわけでもないんだけど……やっぱり家は落ちつくなぁ。
帰ってきた瞬間にニューラを召喚したって言うファクターも結構大きい様な気がするけど。
夕食はグラモン家で戴いたので、今は俺の寝室に父さんと母さんが来ている。
「学院での暮らしはどうだ?
何か困ったことは無いか?」
「大丈夫だよ父さん……っていうか俺が精神年齢30超えてるって知ってるよね?!」
「レッドは何処か抜けている部分があるから心配なのよ」
「母さんまで……」
俺は例え母さんより年上の精神を持っていようと、子供には変わらないようだ。
「ところでポッチャマとグラエナは元気?
さっきから姿が見えないけど……」
「あぁグラエナは良い子にしている。
今は夜だから私の部屋で眠っているだろう」
「ポッチャマも一緒ね。
今頃私の部屋で寝ていると思うわ」
久しぶりにポッチャマに会いたかったが……後で寝顔でも見にいくか。
「学院で友達は出来たか?」
「あぁ!そういえば教えてなかったね。
テリー・ド・ボガードっていう子と仲良くなったよ?
今では朝に一緒に鍛錬する仲かな」
「ボガード? あぁボガード伯爵の長男か!」
「知ってるの?」
「あぁ、一緒に仕事をしたことは無いが優秀な火のメイジで、確か二つ名は蒸発だったか?」
「(蒸発?どんな火力だよ……)そうなんだ。
テリーも、もうラインになったから、ボガード伯爵に追いつく日も遠くないかもね」
「そうかもしれないな……」
それから父さんと母さんの質問に答えつつ、夜は更けていった。
俺は久しぶりにニューラと同じベットで、ゆっくりと眠りに着いた。
翌朝
久しぶりに父さんとの訓練を行い、朝食を取った後、俺はいつもの森の中へと向かった。
「懐かしい……まぁ半年弱しか経ってないんだけどな。」
「ニャ!」
俺とニューラは良く訓練していた場所で、寝転がっていた。
実は来た時にセレビィとホロも召喚してるんだけど、あの二人は俺達から少し離れて湖で遊んでいる。
前にまた呼ぶって約束してたから、二人を呼び出したわけだが……ホロは召喚されて早々俺に「セレビィと湖に行っていいか?」聞いてきた。
まぁ別に駄目って言う理由もなかったから普通に許可したんだけど、まさか高速移動使ってまで急ぐとは思わなかったよ。
セレビィの声がドップラーっぽくなってたぞ?
あれは着いた時に目をまわしてるんじゃないか?
俺はそんなことを思いながら二人を見送った。
「これからどうしようか……」
「ニャ?」
「あぁここで何やるかじゃなくて、今からで言うと……6年後か?
ここで父さんの仕事の手伝いをしながら、領地の経営に関わっていくのも一つの選択肢ではあるんだけどな。
でも結局戦争に巻き込まれそうな気がするんだよ……なら積極的に動いてその上で安全を確保した方がいいんじゃないかとも思うわけでさ」
「ニャ〜」
「流石に分からないか……でも考えておかないとな。
未来がどう変わるにしろ、変わらないにしろ、俺は準備を進めておかないとな」
いざという時この国を出る準備を……。
でもカトレアさんはどうなるんだ?
俺は原作を途中までしか知らない。
ルイズ嬢はサイト君がなんとかするだろう……なんか娘を嫁にやるみたいな気分に陥るがな!!
モンモランシ嬢もギーシュがどうにかするはずだ。
だがカトレアさんがどうなったかは知らない。
確かにヴァリエール夫妻に任せていれば安心かもしれない。
でももし、万が一あの二人がいなかった場合に彼女は……。
いや、でもアニメでは元気にトライアングルスペルを使っていたらしいんだよな。
っていうか未だ体調をまったく崩さないところを見るとアニメ版に近いのか?
「あぁどうしたもんか……」
「zzz……zzz……」
確かにいい友達ではあるけど、一緒に連れて逃げるのはどうなんだ?
そこまで深い仲か?
そしてそれを夫妻が認めるとも思えない。
「ふぅ……もうわかんねぇや!」
「zzz……zzz……」
とりあえず内容ぼかして、父さんに相談してみるか。
なんか気付かれそうだけど……。
でも頼りになりそうなの父さん位だしな。
まぁ他にも選択肢はあるっちゃあるんだが……あんまり取りたくない手段なんだよなぁ。
危険は伴うし、下手すれば色んな所から目を着けられそうなんだよ!
俺が悶え始めると横で寝ていたニューラを起こしてしまったらしく、微妙にウザったそうに見られた。
……ごめんなさい。
結局学院を卒業してから考えることにした。
学院卒業してから原作開始まで約4年、その期間で何とか対策を考えよう。
………最悪の事態を想定して。
今できることは自身を鍛えていくことくらいだ。
まだレベル100の完全制御は出来ていないし、伝説系の制御も甘い部分がある。
ディアルガを装備した時、いきなり目の前に穴があいたときはマジで伝説系の怖さを知った。
まわし受けもまだ完璧じゃない……「矢でも鉄砲でも持ってこいやぁ」って言えるレベルにはまだ遠い。
出来るようになったことも少なくないんだけどね?
とりあえず夏休みの間ずっと装備をして過ごしてみよう。
……50レベル位のを。
1日完璧に制御出来たら、レベルを上げていこう。
100までいけたら次は2匹、3匹と増やしていくことにしよう。
「またやることが増えちゃったな……でも夏に出来るところまで頑張ろう!!
学園では自重しなきゃいけないしね!」
「zzz……」
俺は寝ているニューラの背中をゆっくりと撫で続けた。
そして遠くでホロとセレビィの遊ぶ声を聞きながら、俺も眠りについた。
眠い……なんか隣人が朝5時から大音量でエ○ビデオ見始めた所為で強制的に起こされたんです。
……なんで朝に見るんだよ!
っていうかヘッドホンぐらい使え!!!
そんなイライラしながらこの話を書いた……少し癒された。