第37話 新技習得
夏休みも終わり、また学院に戻った俺。
久しぶりの学校は全く変わりなく、ギトーの残念な授業、時代先取りコルベール、生徒のことを分かってる様で分かっていないシュヴルーズ、そして見ず知らずの水属性メイジ先生の授業を受けながら学院での時間は過ぎ去っていく。
原作において水属性の先生なんていなかった気がするんだが、この先生普通にいい先生なんだよ。
ミスト先生の授業は分かりやすいし、生徒にも親身になって教えてくれる。
……でもこの学園で個性の無い先生なんていないわけで、ミスト先生は授業中普通に寝る。
まぁ寝るのは主に生徒達が何かやっているときだし、危ないことをするといつの間にか起きてきてフォローする。
問題はあるけど、いい先生なので結構人気はある。
後夏休みが終わってからちょっと経った頃に、カトレアさんの誕生日があったわけだが、今回はパーティに行けなかったので手紙と一緒にプレゼントを送った。
手紙の内容を要約すると、「行けなくてごめんなさい、プレゼント贈るから勘弁してくれ」って言う内容なわけだが、割と早く返信が来た。
「毎年プレゼントありがとうございます。
今回いらっしゃれなかったことは、本当に残念でした。
出来れば会って直接会って話したかったです。
ルイズのことで相談もあったのですが……。
もしルイズの誕生日に来れるようでしたら、その時に話を聞いてもらいたいです」
ここ数年のルイズ嬢は確かに可笑しい。
情緒不安定だし、魔法という言葉に過剰反応する。
………流石にまだ’ゼロ’と揶揄されているわけではないけれど、魔法を上手く使えないことに苛立っているのだろう。
どうするか……このまま全くフォローしないというのも一つの手なんだが、流石にそれは罪悪感が沸く。
確か原作ではフーケ戦で変な意地を張ったりしていたし、もしあの場でフーケがルイズ嬢を殺してしまったら未来は完全に狂うだろう。
なら爆発を利用することくらいは助言しておくとしよう。
俺はとりあえず次のルイズ嬢の誕生日は無理にでも行かなきゃダメになったな。
「フレイムウェイブ!!!」
「(ついに来た!!パワーウェイブキターーーーーーーーーーーーー!!)」
俺は夏休みが終わったのと同時に、テリーとの訓練を再開させた。
夏休み中もしっかり訓練を続けていたようで、格闘技と魔法に磨きが掛かっていた。
そしてついに俺が意見を出した魔法が完成したと聞き、見せてもらったわけだが……これは良い!!
この魔法は地面から高さ1メートルくらいの炎の刃を出してそれを敵の方に飛ばす技。
まぁ見せ技に近いけど、誘導できるので相手に飛ばれない限りとても有効だ。
これの進化版のパワーゲイ……フレイムゲイザーはまだ使えないとのこと。
流石に地面から2メートル以上の火柱を上げるには火力が足りないらしい。
もしこれが使えるようになったら一段と強くなるんだろうなぁ。
因みにウェイブは波、ゲイザーは間欠泉という意味を持つことを教えて技の名前にしてもらった。
ここは外せなかった……テリーが苦笑いしていた気がしたが気のせいだろう。
バーンナックルも使ってほしいが、あれの再現は難しい。
あれは手に気を纏って、蟷螂拳や八極拳の箭疾歩を行う技。
手に纏う気を炎に変えれば出来なくはないんだろうが、確実に大火傷する。
故にテリーにも伝えてないし、教える気もない。
俺自身中国拳法に関して深く知らないしね。
「レッド、お前は何か進展したのか?」
「僕? 俺は鎧通しが微妙に出来るようになったよ。」
「何だそれ?」
「あ〜本来なら剣の名前なんだけど、一撃目に肘鉄や掌底を胴体に当て、その上からもう片方の手で攻撃を加えることで相手の内部に衝撃を通す技かな?」
最初ネタで練習してたんだけど、意外とファンタジー補正って馬鹿にならない!
流石にまだ気とかは認識出来ないし、使えるかどうかも分からないけどね。
まぁ簡単にそれっぽい事は出来る。
手の平を心臓の辺りに乗っけてその上から拳を叩きつければ、一瞬心臓が止まる。
直接殴っても出来るんだろうけど、これを使えば衝撃が放射状に広がるから後に響くダメージを与えることが出来る。
「極めれば本当に鎧の上からでも人の心臓を止めることが出来るんだ」
「怖い技だな……」
「まだ実戦で使えるレベルじゃないから、未完成ではあるけどね」
あぁ忘れてたけど、モモヨ(コジョンド)を装備して発勁を使うと普通に似たようなことが出来るんだけどね……対人戦には向かないけど。
一回人の大きさ位の岩に使ってみたんだけど、岩の攻撃した向かい側が爆発した。
こんなの人に使ったらグロい事にになるわ!!
「他には何かないのか?」
「魔法もちょっと使えるの増えたかな?」
「へ〜見せてくれよ!」
「いや……これはちょっと見せれないかな?
俺の切り札になりそうだから」
「見てぇーーーーー!!」
「駄目です!」
まぁ水の魔法だから見せれないって言うのもあるんだけどね。
切り札になりえるっていうのは本当なんだけど……。
ウォーターカッターって知ってるかな?
あれって高圧力で水を噴出させることで、鉄すら切断する事が出来るというものなんだけど……。
あれを水の魔法で再現してみたわけだ。
水に圧縮に圧縮を加えていき、小さく一部分だけ圧縮を解く。
すると水がビームのように飛んでいく。
岩くらいなら簡単に切断できる威力で……。
まぁ欠点としては大量に水を使うため溜めが長い事と、めっちゃ精神力を喰うこと。
精々日に二回が限度。
しかも真似もやろうと思えば出来るから大っぴらに使えない。
まさに切り札って感じ?
「あ! そろそろ講義の時間じゃないか?」
「そうみたいだな、今日の先生誰だっけ?」
「あ〜……ギトー先生かな?」
「げ! 俺アイツ苦手なんだよ〜」
「ふっ飛ばされかけたもんね」
「はぁ〜」
「いいから行くよ!!」
「行きたくねェなぁ……」
俺はテリーを引きずりながら部屋へと戻った。
そういえばギトーって何で教師になったんだろう……。
子供好きって言うわけじゃないだろうし、今度聞いてみるか。
あぁポケモンが出したい!!
早く使い魔召喚まで進めたい……。