第40話 使い魔召喚の儀
ついに念願の使い魔召喚の儀式だ!!
学院長室に呼び出された後、訓練場所を変えたが特に監視が着くわけでもなく、予想よりも緩い警戒で拍子抜けした(因みに学院長たちは教師に引きぬくために、悪印象を与えたくないと思い監視を緩くしています)。
まぁここまで色々あったような、なかったような気がするけども、それはいつか語るとしよう。
とりあえず訓練の結果だけは説明しておく。
テリーはなんとか魔法の制御技能をアップさせたために、フレイムゲイザーとバーンナックルが出来るようになった。
バーンナックルはやっぱり使いどころが難しいみたいだけど……。
俺があげた手袋はかなり喜んでもらえた。
俺としてはハーフフィンガーグローブにしたかったんだけど、使用方法を考えると普通の手袋に耐火効果を付けたものを贈った。
若干値は張ったが、いい出来だったと思う。
それから俺とテリー以外に訓練仲間が出来た。
それは……。
「兄さん! 僕を置いていかないでくれよ!!」
「悪い悪い! 早くレッドと組み手したくてな!」
「いや……それぐらい待ってあげなよ」
テリーの弟、アンディ・ド・ボガードだ。
兄のテリーから俺の話は良く聞いていたらしく、入学早々俺に会いに来た。
テリーにあまり似てない落ちついた子だ。
アンディは格闘技の基礎をテリーに習ったらしく、空手の基礎はある程度出来ていた。
だけど俺がアンディの技で知っているのは残影拳位だ。
故にとりあえず残影拳は使えるようになってほしいと思って肘打ちを鍛えています。
実際ムエタイをやっている人の肘や膝は人の皮膚を切れる。
それを教えると肘を鍛え始めてくれた。
流石にテリーには勝てないようだが、それなりに強くなってきているとは思う。
「そういえば兄さん達は、今日使い魔召喚するんじゃなかった?」
「そうなんだよ! 何が出てくるか楽しみだな!」
「力み過ぎて失敗しないようにね?」
「何だよレッド! お前は楽しみじゃないのか?!」
「いや、楽しみだけどテリーを見てると落ち着いてきちゃってね」
「あぁわかります! 兄さんを見てると自分が落ちつかないとって思いますよね!」
「アンディ……お前覚えておけよ?」
「に、兄さん……言葉の綾じゃないか、落ちついて落ちついて!」
「仲いいなぁ……」
こんなゆったりした朝を過ごし、ついに使い魔を召喚する時間になった。
「我が名はテリー・ド・ボガード。五つの力を司るペンタゴン。
我の運命に従いし、"使い魔"を召還せよ!!」
その言葉と共に光が現れ、そこから徐々に姿を現すテリーの相棒。
何を出ててくるのかと目を輝かせているテリーの前に召喚されたのは、小さめの火竜。
小さいとは言っても、テリーと同じくらいの大きさはある。
これから成長するだろうから、成長さえすればかなりいい使い魔になってくれるだろう。
「では契約をしてください」
「OK! 我が名はテリー・ド・ボガード。五つの力を司るペンタゴン。
この者に祝福を与え、我の使い魔となせ!」
テリーは普通に口づけをして契約を成した。
契約を終えた火竜はテリーに頭を擦りつけ、満更でもないようだ。
周囲の生徒達は、火竜を召喚したテリーに羨望やら嫉妬やらのまなざしを送っている。
さて次は俺の番か……少し緊張するな。
「では次、レッド・ド・ドリュウズ君!」
「ハイ!」
「どんな使い魔が出てくるか楽しみにしていますよ」
「?」
なんで俺にそんな声を掛けてくるのか意味を測りきれなかったので、首を傾げた。
だがテリーと目が合ってサムズアップされたので、俺も覚悟が決まり、召喚のための準備を始めた。
杖を構え、精神を集中する。
今から呼び出す俺の相棒に向けて、心から来てくれと願う!
「我が名はレッド・ド・ドリュウズ。五つの力を司るペンタゴン。
我の運命に従いし、"使い魔"を召還せよ。」
目の前が強く光り、ゆっくりと俺の相棒が姿を現していく……出てきたのは二メートルくらいの人型。
真っ白の石の身体に所々オレンジ色のが混ざり、頭部と思わしき部分には七つの眼のようなもの。
俺は出てきたものが想定外だったため思考が停止した。
「レジロック………」
出てきたのはレジ三体の中で最も物理攻撃力が高く、防御の種族値も高いレジロックだった。
まさか伝説級のポケモンが出てくるとは思わなかった俺は興奮と共に混乱していた。
「レッド君……早く契約を!」
コルベール先生はこの見た目普通のゴーレムに、若干の不気味さを覚えた様で、契約を急ぐように告げた。
周囲にいる生徒達は「何だよ、唯のゴーレムか」「実はアイツが錬成したゴーレムだったりしてな!」とか好き勝手言っている。
だが俺にそんな声が耳に入っていなかった。
まるでそうすることが運命づけられていた様に、俺は呪文を唱え始めた。
「我が名はレッド・ド・ドリュウズ。五つの力を司るペンタゴン。
この者に祝福を与え、我の使い魔となせ!」
俺は身をかがめてくれたレジロックに口づけをして、契約を交わした。
レジロックの胸に刻まれた使い魔のルーンに何が書いてあるか分からないが、俺はこれから長い間相棒となる彼に告げた。
「召喚に応えてくれてありがとう。
これからよろしく頼むな!」
レジロックは静かに頷いた。
とりあえず授業が終わったら名前を付けよう。
俺は相棒に付ける名前を考えながら、その後の時間を過ごしていった。
〜コルベール side〜
何だあのゴーレムは……。
生徒達は気付かなかったようだが、レッド君を馬鹿にした声が聞こえた瞬間とんでもない威圧感が出たぞ?!
しかも握っていた拳から砂が出てきていた……岩が砕けて砂になったのか?
そんな力で人の身体を掴まれたら?
私はその想像を途中で止めた。
昔見た赤い光景を思い出しそうになったからだ。
「(まぁ、レッド君に手を出さない限り暴れることは無いでしょう)」
私は対応を先送りし、次の生徒の召喚を見守ることにした。
〜side out〜
ドリュウズを召喚しようと思ったんだけど、実はもうレベル100のドリュウズがボックスにいるので遠慮しました。
どうせなら持っていないポケモンがいい!
持っていないポケモンで、でか過ぎず弱くないポケモン、尚且つ地面か岩とくればこれだ!!!
ということでレジロックを召喚しました。
電磁砲や破壊光線を自力で覚え、馬鹿力も覚えるこの子は大分強い使い魔になりそうです。
久しぶりのポケモン登場に俺のテンションは有頂天だぜ!!