第48話 湖に響く歌声
実家はやっぱりいいなぁ……。
とりあえずこの家において、俺があまり隠しごとをしなくても大丈夫という点が最も大きい。
学院ではポケモンのことも話せなければ、魔法も土のラインまでしか使えないという縛りつき。
お蔭で水の魔法が衰えている可能性がある。
ということでいつもの森にGO!
家でもいいんだけど久しぶりに行ってみたいしね!
そうして久しぶりに来た森は、前来た頃と何も変わっていない……。
俺は水の魔法の訓練のために来たので、湖へと向かった。
因みに今回アイガはお留守番。
岩の属性を持つアイガは水との相性が良くないからね。
それじゃあとりあえず万が一流れ弾に当たっても大丈夫なように貯水持ちのポケモンを呼ぼう。
呼んだことがない子がいいかな……ラプラスにしよう!!
育てていたから愛着もあるしね。
ラプラスは一応Lv100の子と50位の子がいるんだけど、100の子は貯水じゃなくてシェルアーマーだからから50の子にしよう。
「来いラプラス!」
すると湖の上に光が現れ、そこから3メートルの首長竜が現れた。
背中の甲羅とつぶらな瞳がチャームポイント!
ラプラスは周囲を見渡して俺を見つけると、目を輝かせて俺に近づいてきた。
俺の眼の前まで来ると、背中を向けて首だけ俺の方を向けた。
「俺に乗れって?」
「ラース」
声自体は綺麗なんだけどなぁ……鳴き声がなぁ……。
俺のそんな考えがラプラスに伝わってしまったのか、少し悲しそうな顔になってしまった。
俺は慌ててラプラスの背に乗って首を撫でた。
「ごめんな?
ちょっと聞いたことない鳴き声だったからビックリしたんだ」
「ラー……」
微妙に嘘をついてしまったが、少し機嫌が戻ったから良しとしよう!!
俺はそのままラプラスの背の上で魔法の練習をすることにした。
「何から始めようか……。
とりあえず圧縮から入ろう」
「ラー?」
ラプラスは俺が何をやろうとしているのか理解していないみたいだ。
まぁ、魔法なんてあの世界になかったしな。
ラプラスは最初首を傾げていたが、杖を出した辺りから興味深そうにジッとこっちを見ている。
「アクアボール」
先ずは150センチ位の水球を作り、宙に浮かべる。
そしてそれを徐々に小さく、より小さく圧縮していく。
ここで制御を失敗すると、大変なことになるから結構緊張もしてる。
まぁ今回はそんなに大量な水を圧縮してないからそうでもないんだけど……。
「もっと小さく……」
「ラ〜……」
俺が今考えているのは圧縮した水の玉を出来る限り小さくして、それを口、鼻、耳のどれかにInして解放!って言うのを出来るようにしたい。
対人戦ならかなり有効かつ、大きさが小さければ小さいほど成功確率は上がる。
かなりの精密制御が必要になるから、一度にたくさんの水球は作れそうにないんだけど……。
「まぁ今はこんなところかな?」
「ラー!!」
俺は手の平サイズまで圧縮した水を、ラプラスの頭の周りに周回させて、制御の練習と共にラプラスの機嫌を取ることにした。
いやね? どうせなら歌聞いてみたいじゃん?
機嫌良くないと歌わないって図鑑に書いてあったはずだし……。
人を乗せるのが好きとも書いてあったから、魔法の訓練も甲羅の上でやっているんだけどね。
その後俺はラプラスの目の前で圧縮した水の一部を開放して魔法の噴水作ってみたり、虹作ってみたりした。
途中加減を間違えて、水球が破裂して俺とラプラスに水が掛かりまくったんだが、なんか楽しそうにしてたからOKだ!
虹を作った辺りで気分がノッてきたのか歌を歌い始めた。
「ランラン、ランララランランラン、ランラン、ランララ「ちょっと待った!!!!」」
「ラ?」
あぶねぇ……危うく金色の草原が見えるところだった。
っていうか何で知ってるんだよ。
因みに俺としては青い衣纏った姫様よりも、金色の鎧を纏った姫様の方が好きです。
「とりあえず別の曲にしてくれると俺的にも助かるかな?」(作者的にも助かります!)
「ラ〜」
何か微妙に納得できてないみたいだけど、とりあえず曲は変えてくれるようだ。
でも次に歌い出した曲は……。
「ら〜ららら、ら〜らら、ら〜らら〜ら〜」
「うん、これなら……もんだ………い……な………zzzzzzzzz」
てんてんてれてん!
レッドは全回復した!
周囲はもう赤く染まっている!
……あれって某ふっ飛ばしバトルのピンクの球体が歌うやつだよね。
「………歌ってくれたのは良いんだけど、本当に‘うたう’だったのな」
「ラ!」
いや誇らしげにするところじゃないから!!
まぁ滅びの歌とかじゃなくて良かったよ……。
「今日はもういいけど、今度歌ってくれるなら眠たくならない曲にしてくれよ?」
「ラース!」
首を縦に振ってるから分かっているんだろうけど、出来るのか?
まぁ多分できるんだろう。
出来なかったらまた俺寝ることになるしね。
「さてと、そろそろ暗くなってきそうだから、帰るとしようかな」
「ラ〜……」
「また今度呼ぶからな?」
「ラース!」
俺はそう言ってからラプラスを還す。
そして俺自身も、フライで家へと向かって飛び立った。
あぁ因みにレベル100のラプラスはセイレーンという名前にしています。
歌→人魚?→セイレーンだ!!!
………こんな感じに連想ゲームや直球で名前を付けるのが俺クオリティw
今まで出てきた名前持ちの由来は設定に随時加えていきますので、暇だったら覗いてみてください。