第52話 相棒との日常
オールド・オスマンが学院に戻った後、家では家族会議が開かれていた。
広間の大きなテーブルに見える人影は3人と3匹。
俺と両親、そしてアイガ、ポッチャマ、グラエナだ。
もちろん議題は学院長が持ってきた話。
「レッドはどう考えているんだ?」
「迷ってるかな……貴族の子息達との繋がりが出来るのもいいと思うんだけど、やっぱり父さんの仕事を手伝うっていうのも魅力的なんだよね」
「そうか……折角オールド・オスマンも考える時間を1年もくれたんだから、しっかり悩んでから決めるといい。
ところでもし教師になるとしたら、水のトライアングルであることは隠すのか?」
「気付かれるまでは話す気ないかな……二つの属性のトライアングルなんて目立ちそうだし」
「相変わらず目立つのを嫌っているみたいだな」
「当然!」
俺は胸を張ってそう言った。
父さんと母さんは苦笑していたけど……。
その後俺は部屋に戻って、今日の出来事を思い返す。
「俺が教師ね……面白そうではあるんだけどな」
でもやっぱり原作は怖い。
正直装備さえしてしまえばまず負けることは無いんだけど、不意打ちされれば分からないからな。
まぁこれでも父さんとの訓練のおかげで、気配を探知することはある程度出来るようになったけど……流石に遠距離から魔法で狙撃されたら危ないかもしれない。
もし原作に関わることになったら常にツボツボ装備しようかな……いやいや! まだ関わると決まったわけじゃない!!!
「そうだ! まだ俺のゆったりのんびり暮らすという夢は、壊れていないはずだ!!」
「……ジ」
アイガは何か言いたそうにしているが、気のせいだ。
絶対気のせいだ……きっと!
それからしばらく、特に何もない日々が続いていた。
まぁ鍛錬をしたり、漫画とかの技をなんとか再現しようとしてみたり、ポケモンと戯れたりはしていたんだけどね。
これはそんなある日の話。
俺は久しぶりにアイガと遊ぶため、森へと来ていた。
遊ぶと言っても、どっちかと言えば訓練に近いんだけどね。
「今日はどうするか……ダーツでもする? それとも組み手?」
「ジー………。」
アイガは悩んでいたようだけど、どっちか決めたらしく、目の前に細い石の針を作り出した。
「OK、ダーツね! じゃあ準備しようか。」
俺は近くの木に錬金を掛けて、ダーツの的を作り出した。
まぁダーツと言っても本格的なものではなく、夜店とかで見かける的当てに近いものだ。
中心に近いほど点数が高く、最高は100点で外に外れていくほどに80、50、30、10と点数は下がっていく。
しかしこのままだと簡単すぎて面白くない。
故に的に紐を通して動かす。
片方がやっているときにもう片方が操作することによって、縦横無尽に動く的が出来上がる。
「じゃあ今日は3回の合計点で勝負だ!」
「ジ!」
「表、裏どっち!」
俺はポケットから銅貨を取り出して、アイガに尋ねると表を選んだ。
「じゃあ俺は裏か。 それじゃ、よっと!」
コインはくるくると回りながら、真上に飛んでいく。
そして数秒後落ちてきたコインを、手の甲でキャッチした俺はゆっくりと結果を確認した。
「表か……じゃあアイガが先行だな」
「ジジ!」
アイガが近くの地面から石を浮かせると、ロックカットで石を削って弾を作る。
俺はそれを確認しながら的をどう動かすか考えていた。
そしてアイガは用意が出来たのか、俺の方を向き頷きを一回。
「じゃあ行くぞ!」
俺は掛け声と共に的に軽くレビテーションを掛けて、まるで生き物のように動かす。
これは射撃の訓練にもなるという優れた遊びなのだ!!
……品評会の時に味をしめたから続けているわけなんかじゃないんだからな!
しばらくアイガは様子を見ていたのだが、やがてなんとなく動きが読めてきたようで、一発目の弾丸を的目掛けてはなった。
ギッという甲高い音がして的に突き刺さる石の弾丸は、的の中心を逃さなかった。
「100点か……もうちょっと動きを考えないと駄目みたいだなぁ。
じゃあ次だ!」
俺はアイガの弾を的から引き抜いて、的に空いた穴を埋めた。
紐で繋がれることで、的の動きがある程度制限されてしまう……なら次は速さを重視してみよう。
自身がレビテーションを使って出せる限りのスピードを出して、的を動かす。
「(アイガ、これをどう狙う?)」
「………ジ!」
アイガは目を一瞬点滅させて、俺の動かす的よりも速い弾丸を放った。
すると中心は外したようだけど、80点の部分に当たり、そのまま的を貫通していった。
「残念! 貫通したから10点マイナスだ」
「ジ〜……」
このダーツは力加減も訓練の一部のため、貫通したり的を壊してしまうとマイナスになってしまう。
まぁそれでも現状170点……高得点だな。
「じゃあ次で最後だ」
俺は貫通した的を再び直し、今度は緩急をつけて動かしていく。
最初も緩急をつけていたつもりだったんだけど、あれじゃ温かった。
今度は最高速から低速、低速から最高速の繰り返しでいくと狙いにくいはずだ!
「ジ!」
と思ったのだが普通に低速になった瞬間を狙われて、ど真ん中を撃ち抜かれた。
「270点かぁ……これは無理臭いな」
「ジジ!」
結局その後やった俺の点数は100、50、80と合計230点と40点差で負けてしまった。
なんか腰に腕を当てて胸を張っているアイガがウザい……。
「くっそ! 次こそ勝つからな!!」
「ジ〜ジ〜」
今のところ戦績は58戦5勝53敗と、かなり負け越している。
いつか常勝出来る様になるんだろうか……いや、なって見せる!!
負けっぱなしは悔しいしな!
オールド・オスマンが学院に戻った後、家では家族会議が開かれていた。
広間の大きなテーブルに見える人影は3人と3匹。
俺と両親、そしてアイガ、ポッチャマ、グラエナだ。
もちろん議題は学院長が持ってきた話。
「レッドはどう考えているんだ?」
「迷ってるかな……貴族の子息達との繋がりが出来るのもいいと思うんだけど、やっぱり父さんの仕事を手伝うっていうのも魅力的なんだよね」
「そうか……折角オールド・オスマンも考える時間を1年もくれたんだから、しっかり悩んでから決めるといい。
ところでもし教師になるとしたら、水のトライアングルであることは隠すのか?」
「気付かれるまでは話す気ないかな……二つの属性のトライアングルなんて目立ちそうだし」
「相変わらず目立つのを嫌っているみたいだな」
「当然!」
俺は胸を張ってそう言った。
父さんと母さんは苦笑していたけど……。
その後俺は部屋に戻って、今日の出来事を思い返す。
「俺が教師ね……面白そうではあるんだけどな」
でもやっぱり原作は怖い。
正直装備さえしてしまえばまず負けることは無いんだけど、不意打ちされれば分からないからな。
まぁこれでも父さんとの訓練のおかげで、気配を探知することはある程度出来るようになったけど……流石に遠距離から魔法で狙撃されたら危ないかもしれない。
もし原作に関わることになったら常にツボツボ装備しようかな……いやいや! まだ関わると決まったわけじゃない!!!
「そうだ! まだ俺のゆったりのんびり暮らすという夢は、壊れていないはずだ!!」
「……ジ」
アイガは何か言いたそうにしているが、気のせいだ。
絶対気のせいだ……きっと!
それからしばらく、特に何もない日々が続いていた。
まぁ鍛錬をしたり、漫画とかの技をなんとか再現しようとしてみたり、ポケモンと戯れたりはしていたんだけどね。
これはそんなある日の話。
俺は久しぶりにアイガと遊ぶため、森へと来ていた。
遊ぶと言っても、どっちかと言えば訓練に近いんだけどね。
「今日はどうするか……ダーツでもする? それとも組み手?」
「ジー………。」
アイガは悩んでいたようだけど、どっちか決めたらしく、目の前に細い石の針を作り出した。
「OK、ダーツね! じゃあ準備しようか。」
俺は近くの木に錬金を掛けて、ダーツの的を作り出した。
まぁダーツと言っても本格的なものではなく、夜店とかで見かける的当てに近いものだ。
中心に近いほど点数が高く、最高は100点で外に外れていくほどに80、50、30、10と点数は下がっていく。
しかしこのままだと簡単すぎて面白くない。
故に的に紐を通して動かす。
片方がやっているときにもう片方が操作することによって、縦横無尽に動く的が出来上がる。
「じゃあ今日は3回の合計点で勝負だ!」
「ジ!」
「表、裏どっち!」
俺はポケットから銅貨を取り出して、アイガに尋ねると表を選んだ。
「じゃあ俺は裏か。 それじゃ、よっと!」
コインはくるくると回りながら、真上に飛んでいく。
そして数秒後落ちてきたコインを、手の甲でキャッチした俺はゆっくりと結果を確認した。
「表か……じゃあアイガが先行だな」
「ジジ!」
アイガが近くの地面から石を浮かせると、ロックカットで石を削って弾を作る。
俺はそれを確認しながら的をどう動かすか考えていた。
そしてアイガは用意が出来たのか、俺の方を向き頷きを一回。
「じゃあ行くぞ!」
俺は掛け声と共に的に軽くレビテーションを掛けて、まるで生き物のように動かす。
これは射撃の訓練にもなるという優れた遊びなのだ!!
……品評会の時に味をしめたから続けているわけなんかじゃないんだからな!
しばらくアイガは様子を見ていたのだが、やがてなんとなく動きが読めてきたようで、一発目の弾丸を的目掛けてはなった。
ギッという甲高い音がして的に突き刺さる石の弾丸は、的の中心を逃さなかった。
「100点か……もうちょっと動きを考えないと駄目みたいだなぁ。
じゃあ次だ!」
俺はアイガの弾を的から引き抜いて、的に空いた穴を埋めた。
紐で繋がれることで、的の動きがある程度制限されてしまう……なら次は速さを重視してみよう。
自身がレビテーションを使って出せる限りのスピードを出して、的を動かす。
「(アイガ、これをどう狙う?)」
「………ジ!」
アイガは目を一瞬点滅させて、俺の動かす的よりも速い弾丸を放った。
すると中心は外したようだけど、80点の部分に当たり、そのまま的を貫通していった。
「残念! 貫通したから10点マイナスだ」
「ジ〜……」
このダーツは力加減も訓練の一部のため、貫通したり的を壊してしまうとマイナスになってしまう。
まぁそれでも現状170点……高得点だな。
「じゃあ次で最後だ」
俺は貫通した的を再び直し、今度は緩急をつけて動かしていく。
最初も緩急をつけていたつもりだったんだけど、あれじゃ温かった。
今度は最高速から低速、低速から最高速の繰り返しでいくと狙いにくいはずだ!
「ジ!」
と思ったのだが普通に低速になった瞬間を狙われて、ど真ん中を撃ち抜かれた。
「270点かぁ……これは無理臭いな」
「ジジ!」
結局その後やった俺の点数は100、50、80と合計230点と40点差で負けてしまった。
なんか腰に腕を当てて胸を張っているアイガがウザい……。
「くっそ! 次こそ勝つからな!!」
「ジ〜ジ〜」
今のところ戦績は58戦5勝53敗と、かなり負け越している。
いつか常勝出来る様になるんだろうか……いや、なって見せる!!
負けっぱなしは悔しいしな!