第70話 精霊再び
ギーシュとタバサ嬢に訓練を付け始めて約四ヶ月。
ギーシュは何とかアイガの腕を少し欠けさせる事に成功した。
その時の喜びっぷりは尋常じゃなかったよ。
ちゃんを約束は守って、モンモランシーに紹介したけど……いきなりのことだったしポカンとしてたのが印象的だったな。
タバサ嬢に教え始めたマインゴーシュは、流石にまだ完全とはいえない。
おそらく実戦ではまだ使い物にならないだろう。
でも俺の昔の剣を渡したときジッとその剣を見つめていたのには何か意味があったのだろうか?
あと俺が一応手本としてやって見せたときに、タバサ嬢がギンッという音で行うものを、シャオンという音で行っていたためか、微妙に目が輝いていたように思える。
そして今俺は学院長室にいる。
その理由は……。
「オールド・オスマン。
では僕は夏休みの間帰郷しますので、何かあったら連絡してください。
急ぎ戻ってきますので」
「うむ、できれば早く戻ってきてもらえると助かるのぅ」
「分かってますよ。
でも少し寄る所があるので……」
「出来ればで構わんよ。
レッド君とてまだ十八歳じゃしの」
「それではまた」
「気をつけての?」
俺は夏休みに色々予定が入っているのを学院長に伝えると、そのまま馬に乗って学院を離れた。
「ふぅ、今回は行く所が多いな。
まずはモンモランシ領かな?」
俺は以前水の精霊に渡りをつけて欲しいと言われていたので、今回その事についてマルギッテさんと話し合うため彼女の領へと向かっている。
一応精霊に挨拶した方がいいのかな?
「せっかく通り道だし、挨拶していくとするか!」
俺はそのまま馬を走らせて、湖へ向かう。
しばらく馬を走らせて、着いた湖は相変わらず静寂に包まれている。
「でもどうやって呼び出せばいいんだ?
湖に入るっていうのはちょっとなぁ」
俺がそう呟くと、前と同じように湖の中からスライム状の俺が出てきた。
何度見ても微妙な気持ちになるな。
「久しぶりだな、呼び出す者よ」
「お久しぶりです」
「此度は何の用で来た」
「昔貴方と契約を結んでいた一族がいたと思います」
「あの単なる者か」
「その一族が貴方と再び契約を結びたいと言ったらどうしますか?」
「……あの者は我を使役しようとした。
その傲慢さには敬いが感じられぬ。
故にかの一族に再び手を貸すのは断る」
「どうしてもですか?」
「しかし条件次第では考えなくもない」
おい……まさかとは思うが……。
「カイオーガを「またか!!!」良いではないか」
「あの後どれだけ大変な事になったと思ってるんですか!!」
「知らん」
「(この野郎……)突然の集中豪雨でアカデミーが怪しんでたらしいんですよ!!
あんなこともう勘弁して欲しいです!」
「そうか……なら先の話も受け入れられん」
何だこの子供みたいな奴。
でもそれはそれで困る。
水の精霊との契約を再度結べるようになった場合にもらえる事になっている、水の秘薬各種は後々必要になるはずだ。
それに精霊の涙があれば精神干渉系の効果を打ち消す秘薬が作れるはずだ。
それがあればいざと言うときに……。
「どうにか他の子じゃ駄目ですか?」
「………スイクンとマナフィを召還したなら、かの一族と話し合う場を設けても構わん」
カイオーガよりはマシだけど、それでも伝説級2匹か……。
っていうかやっぱり水属性のポケモンか。
ここら辺が限界かな?
「分かりました。 ただし先ほどの約束違えないでくださいよ?」
「分かっている」
なんか心なしかウキウキしてないかこの精霊。
まぁ前回あんだけカリスマブレイクかましたから何となくこれから先の展開は読めるんだけどな。
「(なるようにしかならんよな)来い! マナフィ、スイクン!」
「おぉ」
湖の手前に光る球体が二つ表れ、その中から別世界において幻と呼ばれる蒼海の王子とオーロラの化身が姿を現す。
二匹は俺の方に近づいてきて、それぞれ挨拶した。
スイクンは頭を軽く垂れて一礼、マナフィは片言ながらに「こんにちわ?」と首を傾げながら言った。
「え? 喋れるのか?」
「ちょっと」
「そっか……それは嬉しいな。
取りあえず今日呼び出したのはあそこにいる精霊と少し遊んで欲しいんだ」
「それだけ?」
マナフィは再び首を傾げる。
まぁいきなり言われれば戸惑うか……でもスイクンは大分理解しているな。
俺の話を聞いて一歩後ろに下がった辺りよく理解していると思う。
頑張れスイクン!!
「あぁそれだけだ。
但し周囲に影響のない程度にしてくれよ?」
「わかった」
二匹ともやることはわかったみたいだから、大丈夫だろう。
水の精霊も近づいてきたマナフィを腕に抱えてご満悦みたいだし……。
なんか「くるしい」って聞こえた気がするが、気のせいだろう。
スイクンが俺を見ている気がするのも気のせいだろう。
しばらく水の精霊は二匹と戯れていた(ほぼ一方的に)が、マナフィが疲れて眠ってしまったので、そろそろ終わらせる事にした。
「水の精霊さ〜ん?」
「なんだ! 今撫でるのに忙しい!」
「(いや……もう撫で続けて10分以上経ってるんだが?)
マナフィが疲れてるみたいだから還してあげていいか?」
「そうか……ならしょうがないな」
目に見えてテンション下がったな。
はぁ……しょうがない今回もおまけしてあげるか。
「ありがとうな二人とも。
戻れ!マナフィ、スイクン!」
「あぁぁぁぁ」
凹んでるみたいだけど、これで機嫌直してくれよ?
「来い! ハク!!」
「え?」
二匹と入れ替わるように出てきたのは6メートルもある龍。
美しい鱗と染みひとつないミルク色の体は、見るものを魅了する。
俺が呼んだのはポケモンの中で最も美しいとされる水ポケモン。
「ミロカロスは、流石にサービス過ぎるかな?」
「…………美しい」
この子は俺がレベル1のヒンバスを通信進化させてから手塩にかけて育てた子だ。
故に思い入れも結構ある。
「おいでハク」
「ホァーーーー」
身体を引きずりながら俺にゆったりと巻きついてくるハクは凄く可愛い……デカいけど。
頭を俺の頬に摺り寄せてくるこの子はとても可愛い……デカいし鱗が微妙に痛いけど。
それより水の精霊が口を小さく開けて動かなくなっているのが気になる。
「ハク、あそこの精霊のところに行ってあげてくれ」
「ホァ?」
「あの人の為に呼び出したようなものだからね。
俺と遊ぶのはまた今度にしよう。
今度俺のお気に入りの場所で遊ぼう」
「ホァ!」
「元気のいい返事だ」
俺はハクの頭を軽くなでると、水の精霊の方へとハクを促した。
水の精霊を取り囲む様に、とぐろを巻くハクは本当に伝説の龍のようだ。
「あ、え?」
「ホァ」
「我も触れてよいのか?」
「ホァ!」
おっかなビックリしながらハクを撫でる姿は、本当に人と変わらない。
……見た目が俺じゃなくて女性の姿だったらヤバかったかも知れないな。
俺はそんな馬鹿なことを考えながら、嬉しそうにハクを撫でる精霊を見守った。
ポケモン出した!!
しかも好きなポケモン出した!!
よし少し満足したぞ!
しばらく水の精霊は二匹と戯れていた(ほぼ一方的に)が、マナフィが疲れて眠ってしまったので、そろそろ終わらせる事にした。
「水の精霊さ〜ん?」
「なんだ! 今撫でるのに忙しい!」
「(いや……もう撫で続けて10分以上経ってるんだが?)
マナフィが疲れてるみたいだから還してあげていいか?」
「そうか……ならしょうがないな」
目に見えてテンション下がったな。
はぁ……しょうがない今回もおまけしてあげるか。
「ありがとうな二人とも。
戻れ!マナフィ、スイクン!」
「あぁぁぁぁ」
凹んでるみたいだけど、これで機嫌直してくれよ?
「来い! ハク!!」
「え?」
二匹と入れ替わるように出てきたのは6メートルもある龍。
美しい鱗と染みひとつないミルク色の体は、見るものを魅了する。
俺が呼んだのはポケモンの中で最も美しいとされる水ポケモン。
「ミロカロスは、流石にサービス過ぎるかな?」
「…………美しい」
この子は俺がレベル1のヒンバスを通信進化させてから手塩にかけて育てた子だ。
故に思い入れも結構ある。
「おいでハク」
「ホァーーーー」
身体を引きずりながら俺にゆったりと巻きついてくるハクは凄く可愛い……デカいけど。
頭を俺の頬に摺り寄せてくるこの子はとても可愛い……デカいし鱗が微妙に痛いけど。
それより水の精霊が口を小さく開けて動かなくなっているのが気になる。
「ハク、あそこの精霊のところに行ってあげてくれ」
「ホァ?」
「あの人の為に呼び出したようなものだからね。
俺と遊ぶのはまた今度にしよう。
今度俺のお気に入りの場所で遊ぼう」
「ホァ!」
「元気のいい返事だ」
俺はハクの頭を軽くなでると、水の精霊の方へとハクを促した。
水の精霊を取り囲む様に、とぐろを巻くハクは本当に伝説の龍のようだ。
「あ、え?」
「ホァ」
「我も触れてよいのか?」
「ホァ!」
おっかなビックリしながらハクを撫でる姿は、本当に人と変わらない。
……見た目が俺じゃなくて女性の姿だったらヤバかったかも知れないな。
俺はそんな馬鹿なことを考えながら、嬉しそうにハクを撫でる精霊を見守った。
ポケモン出した!!
しかも好きなポケモン出した!!
よし少し満足したぞ!