第71話 恩師の気持ち
ミロカロスを召喚してから10分位経ったかな?
今俺の眼前にはミロカロスの背中に乗って湖爆走してる水の精霊がいるわけだが……そろそろモンモランシ領に向かわないと駄目だ。
「ハク! そろそろ行くぞ?」
「ホァ……」
「もう終わりか……」
いや、俺が悪者みたいになってるのは何でさ。
俺サービスでハクのこと召喚したんだけど……。
「また来るからその時に遊べばいいだろ?」
「……呼び出す者よ」
「ん? 何ですか?」
「何か入れ物を持っていないか?」
「あぁ、それなら水の入ってた水筒がありますけど……それがどうかしましたか?」
「少し貸せ」
俺が水筒を馬に乗せていた荷物から出すと、精霊は腕を伸ばして俺からそれを奪った。
まぁ特に高いものでも重要なものでもないからいいんだけど……。
「欲しかったのなら言ってくれれば「違う」?」
「これに我の分体を入れる」
「へ?」
この精霊今何て言った?
分体を入れる?
何の?
水の精霊の?
俺が思考整理している間に精霊は自身の腕を半ばまで切り取り、水筒に入れた。
直ぐに腕は元に戻ったが、自分の姿で腕が突然取れると流石にいい気分ではない。
「えっと……理由を聞いてもいいですか?」
「呼び出す者の領には湖があるだろう」
「え? あ、はい」
「そこに分体を混ぜろ。
そうすれば我はそこに移動することが出来る」
……いや、だから何でそんなことをしたがる?
確かにメリットは大きいし、色々助かるかもしれないけど。
「だから理由を……」
「そんなものは、我が呼び出す者を気に入ったからだ」
「それは光栄ですね」
絶対ポケモンと会う機会増やすためだな……。
まぁでも基本こっちにいるみたいだし問題ないか?
「分かりました。 領に帰ったら湖に混ぜます」
「うむ、それでよい」
「(心なしかホッとしてないか?)それでは今日はここでお暇させてもらいます。
早ければ明日にでもモンモランシから人が来ると思いますので、その時はよろしくお願いしますね?」
「うむ、わかった」
俺はミロカロスを還して、湖を後にした。
俺の背中に向けて精霊が呟いたのにも気づかずに……。
「また会おう、レッドよ」
そう一言つぶやいて水の精霊は湖の中へと戻って行った。
寄り道はしたが、予定していた時間よりも少し早めにモンモランシ領に着いた俺を待っていたのは、仁王立ちしたマルギッテさんだった。
どうやら契約の件でいてもたっても居られなかったらしい。
俺が水の精霊と契約の渡りを付けたことを話すと、彼女は珍しく純粋な笑みを浮かべて、俺の手を握り「ありがとう」と一言礼を告げた。
その後は、そのまま屋敷の客間に連れて行かれ、契約が切られてからどれだけ苦労していたかという話を2時間ほど語られた。
なんか途中から娘自慢の割合が少し増えてたけど……。
契約については、明日マルギッテさんが湖に行くらしい。
約束の秘薬各種は実家に送っておいてくれるとの事。
「ところで、レッド」
「何でしょう?」
「貴方は学院の教師になったそうですね。
うちの娘はどうですか?」
「僕が担当しているのが水の授業って言うのもありますが、優秀ですよ?
特に秘薬に関する知識は僕も敵わない位です」
「そうですか」
相変わらず娘を溺愛しているな……。
少しぼかしてギーシュのことを話してみるか?
「そういえばモンモランシに最近仲の良い男子生徒「へぇ」が出来まして……」
おっと、急に寒気がしてきたぞぉ。
っていうか俺を睨んでいるのは気のせいか?
「それで貴方はそれを見て、何をしているのですか?」
「へ? 何を……ですか?」
「そうです。
家の可愛い娘を誑かしている男なのでしょう?
ならもちろん何か対策をしているのでしょう?」
「いや、モンモランシ嬢と彼はまだ唯の友人ですし、いい子ですよ?
それに今のところ彼女の方に恋愛感情は無いはずです(っていうか今は一方通行なんだけど)」
「そうですか……。
ですがもし……もし家の娘を傷つけたりした場合は……」
続く言葉が気になるような気にならないような……とりあえずギーシュ、早まった真似をするなよ!
原作でサイトがやったようなことをしたら、お前の命は多分デンジャラスなことになる。
「そういえば……この間来た手紙に貴方のことが書いてありましたね」
「え?」
「何でもクラスにいるスタイルの良い女性にデレデレしていたとか……。
娘は自分が兄の様に慕っている貴方のそんな姿を見て大層不快な思いを感じた様です」
ここで矛先が俺に来るのか?!
っていうか忘れてた!!
あの後フォロー入れようと思ってたのに、ギーシュとタバサの修行や偶に部屋に侵入してくるルイズ嬢への対処で忙しくてすっかり……。
あぁこれはヤバいな。
「久しぶりに手合わせをしましょうか。
ここ数年で貴方が何処まで強くなったか楽しみです」
「ははは……お手柔らかに頼みます」
その後俺は手合わせと言う名の何かで、ボロボロにされてしまった。
なんとか直撃を貰うこともなく終えることが出来たが、魔法の余波で軽い怪我や服が破れてしまったりした。
ただ……精神状況は大分ヤバい。
延々と水で絨毯爆撃されれば心もすり減るさ。
禍々しい笑顔で魔法を放つ姿はさながら魔王だったよ。
手合わせが終わった後は自分で治療をしたんだが、魔法じゃ怪我は治っても疲労はどうにもならない。
流石にここで休むと疲労から帰れそうに無かったので、早々とモンモランシ領を立ち去った。
「私の本気に気を失わずに耐えますか……流石ロジャー殿のご子息。
あの子になら……」
あれ?いや……まだ大丈夫。
モンモンフラグは立っていないはずだ!
むしろ変なフラグが……。
ここからアンケートです
各話に題名があった方が良いとの意見がありました。
俺としては確かに作品確認がやりやすくなるという点ではいいのですが、題名で本文のネタばれしてしまう可能性があるのです。
どちらが良いでしょうか?
①あった方がよい
②なくても問題ない
このどちらかを選んで一言に書いてくれれば、最終的に多い方にします。
どうかご協力お願いします。