第80話 水魔法演習
夏休みが終わってから2週間が経過した。
正直未だにルイズとキュルケに訓練のことがバレていないのは奇跡だと思う。
まぁ、別にばれても問題ないとは思うんだけど……言う必要もないかなって思っているので話していない。
モンモンにはギーシュ経由で知られてしまったために、偶に見に来るようになった。
でもそう言う時に限ってギーシュ失敗するんだよ……何でクリエイトゴーレムで下半身だけ作り出すとか愉快なミスかますんだよ。
モンモン笑ってたけど、俺としては苦笑いだよ。
カッコいいところを見せて、モンモンを惚れさせるんだ!
応援しているぞ!!
今日は俺の授業で実習をするから、現在中庭にいます。
やっぱり自分の今までの成果がはっきり分かるから、貴族の子供たちは期待半分不安半分と言ったところかな?
「今日はこれから水の魔法のみを使って模擬戦をしてもらいます。
但しライン以上の魔法の場合水の属性が入っていればOKとします。
後模擬戦とは言っても二人一組になって片方が離れた位置に壁を作り、もう片方がそれを打ち破るというだけの単純なものです。
水魔法に適性の無い子達もしっかり見学して、水の特性を見て感じてください」
「「「「「はい」」」」」
「それでは水属性のメイジは前に出てきてください」
俺の声で一列に整列していた生徒たちの中から9人の子が出てきた。
その中にはタバサ嬢の姿もある。
「特に組む人は指定しませんが、出来れば力の近い人と組んでくれた方が良い経験になると思いますよ?」
俺の言葉を聞いて、徐々に二人組が出来て行く。
そして4組のチームが出来た時残っているのはタバサ嬢だけだった。
「あぁ、そういえば奇数でしたね……ならタバサ嬢は僕と組みましょうか」
「分かった」
「それではしっかり距離を取ったら、各自始めてください。
見学している人達も巻き込まれないように気をつけてくださいね?」
そうして中庭に散らばっていく生徒達。
そしてこの場に残ったのはルイズ嬢、キュルケと他数人である。
因みにギーシュはモンモンのところに直行していた。
「さて、どっちが最初に攻撃側にしますか?」
「先攻」
どうやらタバサ嬢が先攻らしい。
なら俺が最初守りか。
「……本気でいく」
「それはちょっと……」
「あんたの本気なんて兄様に掛かれば簡単に「少し黙っときなさい」何よ!!」
「タバサは水と風のトライアングルクラスなのよ……だから二人の集中を削ぐようなことを言うのはやめなさい」
「え?」
俺が嫌がっているのも聞かずにタバサ嬢は詠唱を開始した。
ルイズとキュルケの声が聞こえたが、それどころじゃない。
気を抜いたら容易く壁を破られそうだ。
「(よりによってトライアングルスペルかよ)スパイラル・シールド!」
「ウィンディ・アイシクル」
タバサ嬢が本気で放った無数の氷の矢は、俺の水の壁に向かって飛んでいく。
しかしそんな簡単に突破させない?
「なにあれ?! タバサの魔法が外側に逸らされていく……」
「流石兄様!……でもなんであんな状態になってるの?」
タバサ嬢にも見せたことないから、少し目を見開いてるな。
さてと、そろそろ答え合わせと行きますか。
「タバサ嬢、このまま撃っててもあんまり意味ないよ?
そこら辺で一回止めない?
止めてくれたらこの壁の説明「分かった止める」するよ」
……興味津々みたいだね。
まぁ他の二人も近づいてきたけど、ついでに説明しとくか。
「それじゃあ説明しようか。
とりあえずあれは簡単に言うとウォーター・シールドの改造魔法なんだ。
制御が大変だから一応トライアングルスペルになるのかな?」
「あれがウォーター・シールド!?
そんなはずないじゃない!
なんで唯の水の壁で氷の矢を防げるのよ!」
「だから改造っていってるのに……(それに水に圧を掛けた状態で受ければ何本かは防げるんだけど)」
「どんな改造?」
タバサ嬢は直球だな。
まぁその方が話しやすいんだけどね。
「簡単なことだよ。
遠くから見てたからわからなかっただろうけど、あのウォーター・シールドは前方が若干球面になっている上に、前面の中心から外側に向けて水が高速で流れ続けているんだ。
外側に向けて流れた水も壁の内部を通って循環しているから水はあまり使わないんだけど、欠点としては前面からの攻撃しか防げないことかな?」
「十分でしょ……」
「あれは私にも使える?」
やっぱりそうなるかぁ……まぁ問題ないか。
「大丈夫だと思うよ?
今度教える」
「分かった、待ってる」
「そこ!! 二人だけの空気になるんじゃないわよ!」
「いいじゃない、そんなだから胸も大きくならないのよ」
「むむむ、胸は関係ないじゃない!!」
なんかいきなり賑やかになったけど、今授業中なんだけどなぁ。
とりあえず他の生徒達も大丈夫そうだし、しばらく放っておいてあげるか。
あれもコミュニケーションの一種だしな。
タバサ嬢もなんか考えているみたいだし、俺はここから他の生徒たちのことを見ることにしよう。
原作キャラを上手く表現できているだろうか……