第82話 動き始める王宮
もう使い魔召喚の時期が近づいてきていた。
教師全員が学院長室に集められ、一年の進捗状況をそれぞれが報告していく。
ちなみにコルベール先生が進行役となって会議は進む。
「先ずはミス・シュヴルーズ、お願いします」
「私からですか……。
とりあえずギーシュ君の成長が目覚ましいですね。
彼もラインに成り、ゴーレムの数や操作も成長しています」
「そうですか……グラモン家の子息なだけありますね」
確かに土のメイジとしてはギーシュが頭一つ分抜けている。
一年生に土メイジがあまり多くないのもあるけど、やっぱり模擬戦とかしてるから魔法の効率化が大きい。
「では次にギトー先生」
「風のメイジとしては、まだまだですね。
唯一タバサという生徒がトライアングルクラスなだけあって、いい腕ですが……やはり私程ではありません。
他に見込みがあるのはヴィリエという生徒ですが……やはりまだまだ」
いや、そんなこと聞いてない。
っていうかタバサ嬢とお前が戦ったら、多分お前負けるぞ?
やっぱり実戦経験の数は馬鹿に出来ないからな。
「では次はレッド先生」
「目覚ましい成長をしている子はモンモランシーですかね。
まだドットクラスではありますが、何か光るものを感じますね。
そして攻撃魔法に関してはタバサ嬢がやっぱり頭一つ抜けています」
やっぱり実戦で磨いた魔法は違う。
最近は防御魔法の訓練もしているんだけど、今まであまり使うことがなかったのか、攻撃魔法ほどの練度は感じられない。
モンモンは授業で習うようなことよりも、秘薬の知識に特化している。
俺も夏休みで少し学んできたけど、やっぱり彼女の知識量は半端じゃない。
偶に分からないことがあるときは、個人的に話を聞きに行く時が………こんな話はどうでもいいか。
「最後に私ですが、私の発明に対する生徒たちの反応が悪いのが気になりますけど、皆さん頑張っていますね。
魔法の成績的には、やはりキュルケさんが一番高いです。
学科ではルイズさんが高いんですが……」
「あぁ彼女ですか……私の授業でも学科の成績は高いですね」
「ですが如何に学科が良くても、コモンスペルしか使えないなんて落ちこぼ「ギトー先生」フン」
「彼女に関しては今後に期待しましょう。
爆発と言う二つ名に恥じない爆発を起こすことが出来るのですから、いつか頭角を現すでしょう」
やっぱりギトーとは分かりあえそうにないな……。
っていうかコルベール先生も大変だな。
学園主任的な立場だから、まとめ役しないといけない。
故にギトーの発言のフォローもしなければ駄目。
……俺には出来そうにない。
だってギトーも俺のこと気に入らないみたいだし、今も睨んでる。
「なんにせよ以上が進捗状況に成ります。
学院長何かありますか?」
「ん? うむ、順調のようでなにより」
学院長……話聞いてなかったな?
今学院長の使い魔モートソグニルが足元を走っていったから、覗きでもしてたんだろう。
……後でミス・ロングビルに話しておこう。
「それでは次に使い魔召喚の儀について話し合いたいと思います。
先ず誰が立ち会うかですが……」
コルベール先生は教師の顔を一人一人見渡していく。
シュヴルーズは引き攣った笑顔……見た目キモい使い魔出たりすることもあるしな。
ギトーはそっぽを向いて腕を組んでいる。
俺は学院長の奇行を見ていた。
いや、だって若干上を見ながらニヤニヤしている爺がいれば気になるでしょ?
コルベール先生は深くため息を一回ついて、学院長の方を見た。
「使い魔召喚の儀は私が監督することにします。
いいですね、学院長」
「ふぉ?! いいんじゃないかの?」
「それではそう言うことで」
その後は各自の近況状況やらを報告する時間になり、解散するまでそれほど時間は掛からなかった。
俺も他の先生達の様に部屋を出ようとすると、学院長が俺を呼びとめた。
「えっとなんでしょうか?」
「いやの? お主ボガード領で火竜倒したじゃろ?」
「(うわぁ……嫌な予感がする。
とりあえず惚けとこう)人違いじゃないですか?」
「ふむ……人位の大きさの岩の7つ目があるゴーレム、ボガード家と懇意の土属性魔法が使える若いメイジ……それがお主ではないと?」
「………」
「まぁ、いいのじゃが。
一応伝えておこうと思っての」
「……何をでしょうか?」
「王宮がそのメイジを探しておっての?
どうやらシュバリエの称号を与えたいとのことらしい」
うわぁ……いらないわぁ。
って言うかやっぱり目を付けられたか。
もし姫がルイズ嬢に俺のことを聞いていたら………ヤバいな。
まぁ直接俺に召集が掛からないから、それは無いんだろうけど、ヤバいことには変わりない。
とりあえず自分からバラす必要はないだろう。
「そんな名誉なことを避けるなんて、そのメイジには余程の事情があるのでしょう。
もしそのメイジがここにいたら、きっと王宮には自分のことを知らせないでくれと頼むでしょうね」
「そうかの……お主がそう言うのならば、そう言うことにしておこう。
話はこれで終わりじゃ」
「そうですか、それじゃあ失礼しました」
「うむ……しばらく目立つ行動は避けた方が無難じゃぞ?」
「……心掛けます」
火竜討伐はやり過ぎだったのか?
もしかしてバジリスクの時から目を付けられていたとか?
考えていても分かんないな……でも原作開始が近いし、もっと考えて行動しないとな。
もう遅いのかもしれないけど……自分に降りかかる脅威を少しでも少なくするために!!
ヤバい……どんどんギトーが教師として最低になっていく。
まぁいっかw
でも原作かぁ……イベント早見表とかないかな?
時系列が結構分かんないんですよね。
特にタバサ外伝の辺り。