卒論終わりました。ひゃっほーと思ってたら次は期末テスト(ゼミ以外で6単位、つまり授業3つ分単位が必要)、更には内定先から取れと言われた資格の試験が待ち構えています。完全に暇な時間って、どうやったら作れるのでしょうか?
えーっと、そうですね。とりあえず意外だったという感想の多かった、教官達の反応について。
………「逆にこれ、どう勝てと?」という話になる訳です。
現状でのスペックを鑑みた場合、なのはが解説した通り、射撃は通らないし双剣などでの殴り合いは普通にやったら敗北します。
勝つ手段として転移を使うのは勿論可能ですし、そうすればどうにか勝てるでしょう。しかしそうなると、次から戦う相手にその手札があると学習されてしまうというリスクを当然孕みます。
彼が唯一持つジョーカーと言っても過言ではない転移を使うか、どうか。
究極的には、今後の本選も見据えた手札の出し惜しみについての議論になる訳ですな。未来を予見することが出来ない以上、そこの部分は何とも言えません。
で、転移を使わないで勝つために編み出した方法ですが、倫理的なあれこれはさておき、戦闘において有効ではありました。実際勝ちましたし。つまり、教官二人が説教するためには転移を使わずにアレ以外のもっと倫理的な勝ち方で、かつレーヴェに実現可能なプランを持ち合わせていることが前提となります。まさか「いっそ潔く負けろ」という訳にもいきませんし。
……精々、「口じゃなくて頭蓋骨零距離連射」程度しか浮かばないのではないかと。
呼吸を乱すことまで狙うという彼の手段と比べてどこまで有効かは私にも分かりませんが。
色んな意味で、なのはやヴィータが想定する管理局員の「戦場」と、DSAAにおける「試合」は違う、というのが大きいのでしょう。
………という説明を全然入れていなかったから分かりにくかったんですね。申し訳ありません。もっと表現力を上げなければ。
>グラスハートさん
要するにアレです、フラグです。
………次年度のDSAAの回想編で主人公だけハブだと悲しいじゃないですか。
>ジム3さん
はい、親友戦ですね。
アイツも牙を研ぎ続けていますよ。
………何が怖いって、そのうち私の夢に出てきて殴り掛かってきそうなのが私は一番怖いです。
>羊羽さん
イクスについては眠るまでにある程度話をして、ヴィヴィオを介して友達になった……程度の感覚で大丈夫です。
まあレーヴェは怖がられますよねー。悪鬼羅刹みたいなオーラを感じることでしょう。これで実年齢が中等部いってないくらいなんだからなお怖いと思います。
アーダルベルトさんへの罰については後々外伝的な感じで書くかなーと思います。
その61 やがて獅子に挑むモノ
Side オリヴァルト・アスラシオン
「おっと!」
とりあえず一歩下がる。突っ込んでくるギルさんの盾に弾丸のほとんどが弾かれ、そのまま攻撃が……!
かちっ。
「……ん?」
走り寄りながら剣を僕に振り下ろそうとした瞬間、足下からの音にギルさんは顔をしかめ、
『Mine Burst』
「があっ!」
下から襲う散弾が直撃。そのまま吹き飛ばされた。
言うまでもなく、僕が用意した罠である。
ギルバート・アウリオン
LP15000→14500
対陸戦魔導師としては魔法による地雷……埋伏術式は非常に優秀なトラップとして働く。
空中機雷と比べて魔法を隠蔽しやすいのも利点としてある。さらに足下を常に気にしなければならないということは、
「どこだ、どこにある……!」
「秘密です」
相手のスピードが落ちるということでもある。いかに相手の防御魔法が強かろうと、地雷を無視して突撃してくれば、こちらに来る前には脆いものとなっている。
しかし堅いなあ。やっぱりベルカの騎士甲冑にダメージを貫通させるのは難しい。
……僕もベルカの騎士の生まれだから、人のことは言えない………はず、なんだけど、ウチは元々家訓にもあるように普通の騎士とはコンセプトが違う。レーヴェの場合は兄のベルさんが正統派で引き継いでるけど、やっぱりレーヴェ自身は機動力重視で装甲は薄い。レーヴェにこれが当たってたら1500はダメージを与えられただろう。……もっとも彼は発動する前に転移で逃げそうだけど。
この点については結構前々から二人で話し合ってて、はやてさんの家でシグナムさん達に稽古の際にボコボコにされた後は毎回「いかにベルカ騎士の防御を破るか」が議題に上がっていた。……途中ではやてさんが乱入してきたときはいつの間にか「いかに甲冑を脱がしてシグナムさん達を裸にして胸を見るか」にすり替わってたけど。自分のモノだけでは満足できないんだろうか。
………なお、ヴィータさんとシグナムさんに発覚した瞬間、はやてさんは全ての責任を僕らに追わせて遁走。僕らは更なる稽古という名の地獄を見たのであった。いつかはやてさんには報復しようと思う。
………話が大幅にそれた。
地雷は大量にばらまいたし、発動を終えた後またその場に再び作り出しているので、
「な、さっき発動したはず……!?」
「もう一回用意しました」
また吹き飛ばす。
射撃魔導師による対騎士戦術。僕はそれを磨き上げてきた。
レーヴェに、勝つために。
ギルバート・アウリオン
LP14500→14000
「……はは。以前とはまるで別人だ……。こちらもやられてばかりではいられないな!」
ギルさんの剣に魔力光が宿る。
『Vortex Attack』
魔力で斬撃を飛ばしてきた。フェイトさんのアークセイバーには劣るがかなりの速度。仕方ないのでプロテクションで防ぐ。
が、そこにギルさんが飛び込んできた。
なぜだ? 罠を設置していたはずなのに……。
一瞬の思考の空白。それが仇となった。
(先にヴォルテクスアタックで攻撃をしてきたのは、地雷を潰すためでもあったんだ!)
気付いた時にはもう遅く、ギルさんはそのまま突進、盾を思い切りぶつけてくる。
『Shield Bash』
「ぐ………!」
オリヴァルト・アスラシオン
LP15000→12500
とんでもないパワー。さすが正統派騎士といった所か………!
バリアバーストで無理矢理距離を取る。
「閃光よ」
『Radiant Sword』
しかし、どうやら逃がしてくれないらしい。魔力で形成された10本の剣がまっすぐこちらに襲いかかってくる。一気にとどめを刺すつもりか。
全く。
「こんな所で手札の一つ目を切ることになるとはね」
『この人相手では今更だと思いますが』
『全部切らないで済むといいね』
相棒達からの冷たい言葉にちょっと傷つきながら、魔力弾を生成。数は20。タイプは全て誘導弾。
向かってくる剣一本に弾丸一発をそれぞれ向かわせる。威力や込めた魔力量を考えると、まともにぶつかったら相殺も出来ずに突っ切られるだけだ。
だから意識を集中させる。正面からぶつからないよう精密に操作。剣の表面を螺旋運動をして滑らせるように魔力弾で削り取り、同時に軌道を乱す。威力の弱くなった剣はそのまま僕の横をすり抜けていった。
そうやって魔力弾の半分が攻撃を防ぐ間に、もう半分は突撃を敢行せんとするギルさんヘと向かわせる。
防御魔法に当たってしまう前に押しとどまって逃げ、風切り音を奏でながら奔る剣を避けて、僕の思考操作で動く弾丸は執拗に隙を狙う。
「ええい、鬱陶しい! 邪魔だっ!」
『End All』
しびれを切らしたギルさんの剣に光が宿る。
おそらくはブリッツアクションを絡めた高速の剣閃。縦横無尽に振るわれるそれは、
「なっ……!?」
しかし、全ての弾丸を撃ち落とすには足りなかった。最も、5発も落とされてしまったのは僕の未熟さなのだろうけれど。
大技の隙を突いて残った5発の弾丸が鳩尾や側頭部等の急所に殺到した。
Side end
Side ウェンディ・ナカジマ
「うわあ………」
思わず声を上げちゃったッス。なんスかあの弾丸操作。もはや神業に近いッス。
「何アレ………誘導弾ってあそこまで精密操作出来るものなの?」
ルーお嬢様もびっくりしてるみたいッスね。気持ちはすっごいよくわかるッスよ。あんな真似、アタシじゃとても出来ないスから。
「うーん、今の私でもあのレベルの操作はがんばって8発が限界かな。多分彼と同じ年齢のときだったらまるで出来なかったと思う」
お、教導官やってるなのはさんでもそうなるんスか。どうしてリヴァはあんな真似が出来るんスかね?
意外そうな顔をしていると、なのはさんは困ったように笑いながら、
「彼の強さの理由。解説、しようか?」
「「「「是非!」」」」
その場の人間の大部分が即答したッス。まあ当然ッスね。
「小さい頃からの練習で大規模な|マルチタスク《複数同時並行処理》が得意って言うのもあるけど、何よりも必要性と慣れから、じゃないかな」
なんだかもの凄く違和感のある言葉が聞こえたッス。
「必要性と慣れ………?」
「私みたいな大出力の砲撃って言う牽制がほぼない上で、近接格闘戦が得意じゃないし、防御魔法の厚みも薄いから、相手を寄せ付けないだけの射撃技術が戦闘でいるという必要性。レーヴェくんとの戦いや騎士同士の高速近接戦闘を常日頃見ていることからある程度の動体視力と反射神経を身につけたって言う意味の慣れ。私の場合は魔力量の多さのおかげで、近接に入られたときは十分に堅い防御があったし、牽制と決め技として砲撃があった。けどリヴァくんは圧倒的なマルチタスクと射撃技術、あとは精々バインドだけで勝負する必要があった。ティアに近い性質があるけど、リヴァくんの場合は幻術っていう切り札を持っていないんだよね。………もちろんあの技があるとはいえ、一番威力の高い攻撃でも砲撃と比べると単純な威力は一歩劣る」
ああ、術式合成ッスね。アタシも最初に見たときはびっくりしたもんッス。
「つまり射撃だけで相手を封殺しなきゃいけない、騎士だろうと魔導師だろうと。今使ってるようなトラップ術式の開発は、実はそのスタイルのための補助のためだったんじゃないかな」
「じゃあリヴァがアレを勉強するために来たのも………」
ルーお嬢様も考え込もうとして、次のなのはさんの言葉で中断したッス。
「だから、多分本領を発揮してはいないんじゃないかな。相手の攻撃を設置したトラップと射撃で迎撃するパッシブなスタイルじゃなくて、積極的に相手を罠へ誘導して、射撃で封殺するアクティブなスタイルにはなってないから、ね」
さっすが教導官、わかりやすい解説どうもッス。
納得してからアタシ達はリヴァの戦いに目を戻したッス。
Side end
Side オリヴァルト・アスラシオン
ギルバート・アウリオン
LP14000→10000
クラッシュエミュレート:重度脳震盪、軽度呼吸困難
「く………」
ふらつくギルさん。ライフがかなり残っているとはいえ、クラッシュエミュレートを考えればもう限界だろう。おそらくは、遠距離の狙いも定められない程に視界が揺らいでいるはずだ。
そう思ったが、甘かった。
「奔れ………光よッ!」
『Shining Wave』
ギルさんの宣言通り、光の波が迫ってくる。やや緩めの追尾型だ。
(ぎりぎりで引きつけて回避すれば………!)
刹那の思考、けど魔力弾制御のための極度の集中から来る疲労と、ダメージの影響で思った通りの行動は出来なかった。
「ぐっ……!」
オリヴァルト・アスラシオン
LP12500→11000
右に跳んで交わしたけど、左脚を持ってかれた。立つことは出来るとはいえ、走って行動するのは無理かな、これは。
そこに再び、ギルさんが迫ってくる。そうだ、それは分かっていた。遠距離攻撃の手段を持っているとはいえ、シグナムさんのシュトゥルムファルケンのような高威力の代物じゃない以上、とどめを刺すのは近接しかない。
「とどめだッ!」
『Rune Saber』
輝く刃が迫り来るのを目にして、僕は、
「残念ながらそうはいかないと思いますよ」
笑みを浮かべて答えた。
同時に、宙に現れた魔力の鎖がギルさんを縛り上げる。
「バインドッ……!?」
「足下ばかり気にしすぎましたね」
僕の罠は|全て《・・》地面に埋まっていると勘違いさせて、動けない所にとどめを刺すのは必ず正面から距離を詰めてくると推測して、そして、ようやくここまで来た。
右手に持った|赤い杖《フェネクス》をギルさんの額に軽く押し当てる。
杖の先に魔力で形作られ小さな杭、否、釘が現れる。
それを向けられたギルさんは肩をすくめ、「やれやれ」とため息をついた。
「男子三日会わざれば刮目してみよ、だったか。全くもって成長とは恐ろしいな」
「ライバルの歩みが速すぎるんですよ、ついていくのに必死です」
軽口で答え、その魔法が発動する。
「これにて詰みです」
『Nail Shot Full Auto』
この魔法は|釘打ち機《ネイルガン》を模したものだ。近接戦闘における隠し球の一つ。単純に飛ばすことも出来るが、零距離での威力がやはり魅力といえる。レーヴェの『桜花狂咲』を参考にしたこの技は、突き刺さった後に爆発する。
杭ですらないただの釘でも、頭脳を直接狙えば一撃必殺の槍と化す。
「………ッ!」
七発ほど突き刺さって爆発する頃にはもう、僕の勝利が確定していた。
ギルバート・アウリオン
LP10000→0
段上を降りると、既にレーヴェは戦いを終えた後だったらしい。
「どうやって勝ったんだい?」
「普通に、近接戦で詰めた。ヒット&アウェイが基本のようだったから、連続した攻撃に弱いのだろうな」
あっさりと話す彼の姿はやはり、余裕があった。まったく、どうやったら越えられるのやら。
「そうそう、結局ベルさんに話を聞くことは出来たのかい」
「『面白そうだったから』だそうだ。あとで白兎の人たちに恥ずかしい写真なり秘密なりでもばらまいてやる」
「……やりすぎないようにね」
まあ僕も被害者だから、そんなに強く言うつもりはさらさらないけど。
さて、次はいよいよ予選の最終戦。
大舞台に出るためには気をよりいっそう引き締めないと、ね。
Side end
さて今回の話ですが。
つまり、リヴァはハメ殺し系射撃魔導師。もっと別の言い方をすると、なのははマスタースパーク型の魔理沙、リヴァはスターダストレヴァリエ型の魔理沙。……余計分かりにくくなった気がするし東方やったことほぼなくて二次からのイメージですけどね!あ、3D弾幕動画かっこいいです。
参考までにこの人のステータスをば。
ギルバート・アウリオン
コンセプトは正統派のオールラウンダー型騎士。DDFFにも出てきたFF1の主人公だったり、アリアンロッドの戦士だったり、TOSの主人公のお父さんだったりをモデルにしています。最後の部分の要素が、名前しかなかったのがちょっと反省点。次はもっと活躍するといいなあ(棒)
ギルバートにしたのはFFシリーズの中で筆者の記憶に残っているサブキャラだったからです。吟遊詩人だっていざというときは頑張るのです。戦士関係ないというツッコミはやめてくださいね!
という訳で次回は予選最終。レーヴェの方に視点が戻ります。
…………え、アリスト・アルテッツァですか?
リリなのシリーズの命名方法に従ってつけただけの(ry