説明回です。
新キャラ登場。
あとがきにアンケートもあるよ!
第八話
目を覚まして最初に見えたのは、知っている天井だった。
「あれ、俺死んだはずなんだけど」
俺の中で眠っているはずの魔剣に何が起きたのか問いかけようとした時、視界の横でガバッと何かが起き上がった。
「ケンタ!?」
「あー、おはよう、ティナ」
何故か涙をうっすら溜めてこっちを見るティナ。ただあのとき死んだんじゃないか……と考えると納得はできるはず。
「俺、ひょっとして転生して悪魔になったのか?」
「……そうよ」
「あー、やっぱりか」
「『やっぱり』じゃないわよ!あのとき、倒れているあなたを見て、心臓が止まるかと思ったんだから」
「実際一回止まったしな」
「茶化さないの!」
そんな会話が聞こえたのか、こちらにやって来る二人分の足音が聞こえて来た。
「ケンタ!目を覚ましたのか!?」
セリアが部屋に飛び込んで来るなりこちらを必死の形相で見る。そして、おそらく安堵でふにゃふにゃとへたり込んでしまった。
フィーナの方は、と見ると、
涙ぼろぼろこぼして嗚咽していらっしゃった。
「ぐずっ、もう、グスッ、目を覚まさないかと思った、ヒック」
そのままこちらに抱きついて来る。
「置いてかないで……そばにいて」
泣きじゃくりながらそう俺に請うた後はひたすら泣き続けるのみだった。とりあえず「ごめん」と謝ってから頭を撫で、ティナの方へ向き直った。
「で、あのあとどうなったんだ?」
ある程度落ち着いていたティナからの説明によると……
あの後、致命傷を負った俺を悪魔に転生させる事で救ってくれたのは本宮だったようだ。フィーナとティナは俺の転生が完了した時に飛び込んで来たらしい。
俺がどうなったのかを詳しく聞くと、すぐに「自分たちも悪魔への転生を」と願ったそうだ。フィーナはもちろん、悪魔と仲の悪いティナの方もその必死さと事情から受け入れられたらしい。
一方で俺の危機を察知したセリアも即座にこっちに
「ヴァンパイアのほうはいいのかよ?」
「かまわん、あんな所で崇拝されている事より、お前の友達でいる事の方が大事だ。種族が変わったせいで疎遠になるのは嫌だったからな」
そういえば、同じ闇に属するものでもヴァンパイアと悪魔ってあまり縁がないんだっけか。「自粛しろ」とか言われかねないもんな。
「で、『明日仲間を紹介するからこっちに来てほしい』って。ハイこれ地図」
とティナは俺に地図を渡して締めくくった。今は朝だ。昨日の時点で明日ってことは、つまり、今日?
「そうね、そうなるわ」
じゃあ急いでいかないとな。
ああ、そういえば。
「お前ら駒は何になったんだ?」
「どうしてそこまで……、いえ、なんでもないわ。私とフィーナは
駒というのは、悪魔が何らかの生物を悪魔に転生させる時に用いるもので、与えられた駒によってある程度の特性が与えられる。また、その駒の種類と数はチェスに則っている。転生をさせる側の悪魔を
セリアに駒を二つ分用いたのは、潜在能力値が高いからだろう。真祖の吸血鬼なのだから当たり前だ。
簡単にいうと、僧侶は魔法特化、戦車は攻撃、防御特化、騎士はスピード特化になるという特性を転生した悪魔に与えるのだ。他の特性は取り敢えず割愛する。
ちなみに、変異の駒というのは、明らかに駒を複数使うであろう転生体が一つで済んでしまったりする特異な現象を起こす駒の事だ。つまり俺の潜在能力はセリアに近いらしい。自分が高評価を受けるのは嬉しい事だ。
「潜在能力という意味ではお前の方が大きいかもしれないがな」
ああ、変異の駒は二駒分とは限らないんだっけ?ますます嬉しいな。
さて、目的地にたどり着いた訳だが、
「なんというか、センスあるな」
豪邸というには少し規模が小さいものの、落ち着いた雰囲気を醸し出す洋邸がそこにはあった。
まあ名門とはいえ、魔王輩出した家とは違うか。グレモリー家は豪邸にしたみたいだけど。
という事で呼び鈴を押す。
ピン、ポーン
「はい、と。やあ、よく来てくれたねえ。とりあえず入りなよ、ミオが待ってる」
扉から顔を出したのは御影愛香だった。まあ当然、お前も悪魔だよな。あの時の口ぶりから考えると、後二人いるはずだけど……、まあいいや、後で考えよう。
勧められるままに中に入ると、思ったよりも広い空間が目の前に広がっていた。
「これは……空間をいじってるのか?」
「……元が人間の君がすぐに気づくとは驚いたよ」
「こいつらとの付き合いも年単位になるしな、慣れた」
「……面白いね、君は」
師匠みたいな事言わんでくれ。
そんな会話をしているうちに、応接間と思われる部屋についた。
中に入ってみると、本宮の他に女の子が二人いた。恐らくこの二人が本宮の眷属悪魔……恐らくは兵士だろう。
「改めて、挨拶を」
本宮はそういってコウモリのような羽をバッ!と出した。同時に他の者達も出したようだ。
「私はミオ・ダンタリオン。72柱の悪魔が一つ、情報を司るダンタリオン家の長女」
「……やっぱりか。それで?どう呼んだらいい?敬語か?」
「学校の時とかは普通でいい。悪魔達の公の場では敬語で」
「了解。まあ気をつけとくよ、
「……あんまり驚かない」
「あのダンタリオンの話の時に凄い勢いで一喜一憂してたからな。前者の方でよかったと思ってるが」
「……そう」
すこし雰囲気が明るくなったように思われる。表情はあまり変わっていないようだけど。
会話を終えた後、今度は御影が自己紹介した。
「アイカ・M・フェレス。ミオの眷属、女王をやってる。これからよろしくね、皆」
「ああ、よろしく」
「こちらこそ」
「ああ」
「はい」
ちなみに上から俺、フィーナ、セリア、ティナの順である。……黒髪三人もいるのかよ。本宮はストレート、御影はポニテ、ティナはショートだから髪型違うけど。
「『時よ止まれ、お前はいかにも美しい』ってやつか?」
「……博識だね。うん、その通りだよ」
やっぱMは「メフィスト」の略か。ドMのMとか言い出されたらどうしようかと思った。
会話が終わると同時に今度は金髪少女が進み出た。どこかおどおどした感じが見受けられる。
「え、エリーゼ・クライン。兵士、二駒分です。えと、所有神器は」
ズズズッと影が伸びる。少しうつむきながらクラインは説明を続ける。
「防御、カウンター系の
……ああ、あの能力ね。たしか相手の攻撃を影で飲み込み、任意の別の影から放つっていう能力だ。遠距離パワー系に対してものすごく強かったはず。
「面白い能力だな」
俺があごに手をやりながら言うと、弾かれたようにクラインは顔を上げた。
「き、気持ち悪いって思わないんですか?影を操るなんて……」
「昔から漫画ではよくあるじゃん。かっこいいし」
影の槍とか、影をまとって獣に変身とか、影で相手の動きを縛るとか。脱げキャラになる可能性もあるがそれもまたよし。
「そう、ですか……」
なんか妙に嬉しそうだった。……なんだろう、後ろにいる三人から突き刺さるような視線を感じる。
と、こんどは赤毛の女の子だ。
「
左手に鱗で包まれたような篭手を出現させた。
「増幅系の
俺たちが挨拶を返すと、本宮がこういって来た。
「私達の仕事は契約を取ってくる事……じゃなくて」
「「「「じゃなくて?」」」」
普通それが基本だと思っていたが。
「私達はそれはサブ。日本の各地で行われる契約の書類を確認し冥界へ送ること。これから手伝ってもらう。よろしく」
「戦闘とかは?」
「こっちに飛んでくる火種はほとんどないけどしっかり訓練をやる」
しっかりした解答だった。主が思っていた通りのいいご主人様で安心した。
上級悪魔になれるかどうかはわからないけれど、
命の恩人であるこの主を守り、仲間とともに戦っていこう。
俺はそう思った。
「とはいえ、最初の敵は……書類なんだよな」
「どうかした?」
「いや、なんにも」
という訳で登場しましたダンタリオン眷属。ちなみに設定ですが、ミオは次期当主ではないです。あと新キャラ二人でダンタリオン眷属は完成です。
さて、アンケートであります。
今回登場した闇夜の大盾と龍の手の禁手のアイデアを下さい。原作の亜種とは違うものにして、なおかつチートすぎないようにお願いします。もうひとつの書いてるやつでも同じですが、最強ものでもパワーバランスを結構重視してますので。
それともう一個。
今後出す新キャラ、一人はもう決まっていますが、もう一人、兵士四駒分のキャラが決まっていません。決まっているのは妖怪にするという事のみです。猫又とか九尾とかすでに出ているキャラ以外でアイデアお願いします。
似たようなアンケートがまたあると思います。
感想誤字脱字等ありましたらよろしくお願いします。