今日は踏んだり蹴ったりな一日でした。
パソコンが途中でフリーズして書いてる途中だった原稿の半分が飛ぶわ、大学生の生命線とも言える履修申告がそのせいでエラー起こしたまま時間切れになって、全部申告修正の時に書き直ししなきゃならないわ………
これで、留年決定とかしたらかなり絶望します。多分。
長々と愚痴を書いて申し訳ありません。
だがっ!私は、更新を諦めない!
第十一話
Side ミオ・ダンタリオン
ある日届いた手紙を見て、私は一気に憂鬱になった。
「面倒………」
だが一方で利点もある。その上、参加を勧めたのは兄だ。
「断れない………」
だが、まさかとは思うけど、ここで結婚相手を探させるつもりかもしれない。
無論断るつもりでいるが。当面の間、男には興味がない。
……いや、剣太には興味がある。人との接触を避けていた私に最初に話しかけてくれた人。
計算高く、勇気もある。どこか強く優しいのに抜けがある人。
……彼となら婚約してもいいかもしれない。彼も本が好きだし少なくとも悪いものではないだろう。眷属との結婚というのもあるといえばあることだし、どうせ私は当主の座と関係ないのだ。
まあそんな事を妄想しても手の中にあるそれは消えてなくなったりはしないのだが。
「……はぁ」
目の前にある複数枚の
Side end
「仮面舞踏会?」
「……そう」
かなり嫌そうにミオは頷いた。こういうの騒がしいの嫌いそうだもんな、うちのご主人は。
「にぎやかなのが好きな貴族が時たまやるんだよ、こういうの」
「それって上級悪魔クラスだけのものじゃないのか?」
「……今回は特別」
聞いた所によると、様々な眷属、主人との交流によって、自分の立場とかを確認するためだとか。また、主人達の間では、眷属悪魔を交換するトレードについて、眷属に隠れて話し合う事もあるらしい。
「……私は絶対にトレードに乗るつもりはないけど」
断言してくれるとはまたありがたいね。
「はっきり言ってただのばか騒ぎみたいなものだけど、社交界に慣れるっていうメリットもあるんだ。特に剣太」
「え?俺?」
アイカが言葉を俺に向けた事に少しびっくりした。
「そう。すでに上級悪魔の私を上回っている君は、遠からず上級悪魔になるだろう。多分十年以内に」
「……そうなった時の準備のため」
なるほど、先の事まで考えてくれてるんだな。
という事で行く事になった。
「ところで、ダンス、出来る?」
「「「………いいえ?」」」
「出来るぞ」
「あ、セリアも元は貴族だもんね。………他の三人は………」
「………特訓」
一週間後の仮面舞踏会まで、しばらくミオ、アイカ、セリアによるダンスの特訓が続いた。
ぞろぞろと同じタイミングで入ったら仮面を付けている意味がないので、それぞれバラバラに入る事にする。
俺は黒のスーツに黒のYシャツ、ダークブルーのネクタイに、顔の上半分を覆う黒い仮面を装備して会場に入った。
中は人でいっぱいだった。踊っているのも結構いるが、それを眺めて談笑しているものも多い。
さて、どうするか。
あえてどっちにも参加せず、テーブルに載った食べ物をある程度いただいた後、飲み物を持って踊っているのを眺める事にした。
主の性格が移ったのか、どうもこういった集まりは好きではない。
「ちょっといいかな?」
いきなり横から声がした。そちらに振り向くと、
赤い仮面を付けた美女が微笑みかけてきていた。髪はいわゆるプラチナブロンドというやつだった。エリーゼの金髪とセリアの銀髪の中間ぐらい、と言った所か。胸の部分を大胆に開いた真紅のドレスを身に纏っていて、目のやり場に少し困った。
「え、ええ。何か?」
「いや、君は一人で居心地が悪そうだったのでね。私と同じだな、と思ってつい話しかけてみたんだ。……外れかな?」
「……いいえ、当たってますよ。新米の眷属悪魔なので、こういった場所は初めてなもので。どうしたものかな、と」
「なるほど、ちなみに駒の種類を聞いてもいいかな?」
「騎士ですが」
「ふふ、なるほど。私の胸をあまり見ようとしない辺りは騎士道の賜物と言った所なのかな?」
「紳士としての礼儀かな、と。ご結婚されていたりしたら、旦那様に申し訳ないですし」
「残念、私は独り身さ。婚約の話もないし、ね」
「それはまた意外ですね。あなたのような美女に話がないなんて。見た所お若いですが、貴族ってその歳でももう婚約とかされているものでは?」
「ふふ、世辞でも嬉しいよ」
その女性は笑みをこぼした後、話し始めた。
「私の家は名家だったのだ。だが、以前あった三大勢力の大戦で魔王が滅びた当時、戦争継続を唱える魔王派……現在の旧魔王勢力と、戦争の休戦を唱える反魔王派……現在の主流派に別れた時に当初魔王派についてしまってね。しかも途中勢力が傾いたと見るや裏切って反魔王派に移ってしまったんだ。そのことから、また有利になった方につくのでは、裏切るのではとコウモリ扱いされてね。役に立つし爵位もあるから家を取り潰しにされていないだけさ」
話すときの顔に、どこか諦めみたいなものがあった。
「だからそんな家の者など受け入れたくない……ですか?」
「そういうことだ……軽蔑したかな?」
少し不安そうな、あるいは何かを諦めているような目で彼女は俺を見つめた。
「いえ、別に。新参者なので疎いだけかもしれませんが、それはあなたがやった事ではないのでしょう?親兄弟の罪を着せられる必要はどこにもないのでは?」
俺の率直な意見に一瞬、嬉しそうな顔をして、すぐに苦い笑みに変えた。
「そう言ってくれると嬉しいが、それがまかり通るのが悪魔の社会というやつなんだ。名誉を失い、信頼を失えばそこに待っているのは没落だけだ。当主となった兄は頑張っているようだが、あまり上手くいってないようだ」
自嘲するように続ける。
「もう私に残っている道は、一生独り身か、私を軽蔑する男の愛人になるくらいしかない。この仮面舞踏会に来たのもただの気晴らしだ。仮面をしていれば、身分を知られる事もないだろう?……少し喋りすぎたようだ。私はこれで失礼するよ」
そう言って立ち去ろうとする、まだ名前も聞いていない女性の背中には、絶望と諦念と……寂しさしかないように思えて。
だから俺は、
「あ、あの!」
声をかけずにはいられなかった。
「ん?なにかな?」
振り返った女性に向けて言う言葉を考える。
この言葉はある意味最低だ。言うことで嫌われる可能性は十分にある。もし上手くいったとしても、主に迷惑をかけるかもしれない。
でも、言わないで後悔するより、言って後悔した方がましだ………!
女性の耳元に近づき囁く。
「一生独り身か、あなたを軽蔑する男の愛人になるかくらいしか、あなたに残された道はないと言いましたよね」
「………ああ」
「もう一つ、あなたを軽蔑しない、あなたを大事にする男の元に行くという道はないのですか?」
「……何が言いたいんだ?」
ためらいを飲み干す。魔剣たちは内側から俺の応援をしてくれている。
俺が望むのは……
「俺はいずれ、そう遠くないうちに上級悪魔になります。そして駒を受け取った時………」
しっかりと仮面の中の目を見据える。
「あなたを俺の眷属の、女王にしたい」
「………な、なにを」
「金はないかもしれない、あなたを一番には出来ないかもしれない。でも、俺はあなたを軽蔑しない。あなたを大事にします」
「………っ」
一度俯いて、もう一度顔を上げた女性の目には怒りがあった。今のは愛人宣言みたいなものだ。怒って当然だろう。
「同情か?それとも憐憫か?いずれにせよこと……」
「そういうのもあるかもしれません。でも、折角きれいな顔しているんだから明るく笑っていてほしいし、辛そうな顔を見ると見捨てたくない。そっちの方が理由として遥かに重いです」
言葉を遮る。……俺こんな口説き文句生まれて初めてどころか転生する前すら言った事ねえよ。何やってんだ、俺。
「どう、ですか」
じっと顔を見つめ、返答を待つ。また女性は俯いた。美しい髪の下から声がこぼれる。
「君は馬鹿だ」
「そうですね」
「大馬鹿者だ」
「そうかもしれません」
「私を愛人にするつもりでいる、最低な鬼畜野郎だ」
「え、そこまで!?いやまあ確かにそうかもしれませんけど!」
「でも、私は嬉しい」
顔を上げた女性は微笑んでいた。目には涙が一杯で、顔は真っ赤になっている。
「後悔するかもしれないぞ?」
「やらないで後悔するよりやって後悔した方がましです」
「私を囲った事で君を侮辱する奴が出て来るかもしれない」
「そうなったら相手をするだけです。成り上がりってことで侮辱される事もあるでしょうから大して変わりませんよ」
「一番ではないにせよ………私を、大事にしてくれるのだな?」
「……はい」
「正妻が文句を付けて来たらどうする?」
「そんな狭量な妻、こっちから願い下げです」
「……本当に私のことを、軽蔑しないでいてくれるか?」
「もちろん。約束します」
「なら、私も約束しよう。」
その女性は顔を赤らめて笑んでいた。
「君が上級悪魔となった時、真っ先に君の元に行き、君から女王の駒を授かる事を。そしてこれからその時まで、君の女王としてふさわしくなるべく努力をする事を、ここに誓おう」
「……はい。これからよろしくお願いします」
「敬語はやめてくれ。……っと、自己紹介がまだだったな。……いったん外に出るか」
庭園に出て仮面を外し、お互いに名乗りあう。
「ミオ・ダンタリオン眷属、騎士の立花剣太」
「アガリアレプト侯爵家当主の妹、ティレイア・アガリアレプト。いずれ君の女王になる女だ」
名乗りあった後、お互いの連絡先を交換した。
「よし、帰りましょう」
「敬語はやめてくれと……ああ、まだ私の方が身分が高いからしょうがないか。っと、ちょっと待ってくれ」
ティレイアさんが呼び止めたので振り返ろうとする
「はい?どうしたんで……」
いきなり、ティレイアさんの顔が迫って来て、
唇に、何か柔らかいものが………って!
「てぃ、ティレイアさん?」
「ふぁ、ファーストキスだ。しょ、処女を捧げるわけにはいかないが、これくらいは約束の証として捧げても構わないだろう!?」
「あ、そ、そうですね!」
お互い少し意識してしまい顔をそらしながら会場に戻る。
後に魔剣達に聞くと「初々しい恋人みたい」だったそうな。
まあこんないちゃいちゃラブラブで今回の仮面舞踏会が終わればよかったのだけど。
現実は非情であった。剣呑な事態はまたすぐそばに迫って来ていた。
……やっぱり俺、こういう星の元に生まれているんだろうか?
仮面を付けて会場に二人して戻ると、とある一角で騒ぎが起きていた。
野次馬気分で覗き込んでみると、
仮面を外した我が主と、同じく仮面を外した、なんか高飛車そうなドリルヘアーの女性がにらみ合っている。
「よろしいですわ、ならば決闘です!」
「………望むところ」
……こうして、俺の隣にいる未来の愛人から不安そうな目を向けられているなか、一週間後に俺達は高飛車ドリル……エスピーナ・サレオスとレーティングゲームを行う事になった。
………あれー?何が起こったのー?
主人公が初めてマジで女の人を口説きました。そしてさらにフラグをたてました。家族以外の女性とまともに会話した事もない作者なので、口説き文句がかなりあれかもしれませんが、そこは見逃して下さい。
そうそう、途中で主人公の独白にネタを入れました。
修羅場?やりますよ、もちろん。
次回、レーティングゲーム準備編。
まだその領域までいってないと思うんですけど………
R-15って、どれぐらいで表示した方がいいんでしょうか?
ひょっとしてもう引っかかっていたり?