夏コミ編です。ここに2000文字突っ込みました。
それと、戦いの対策について話し合うとか。
第二十話
「修行終わったぁー!」
修行開始から二週間後、俺は再びダンタリオン家居城へと帰ってきた。
………なぜかティレイアさんがついてきた。
「リリィに君が修行の時間をやや早めに切り上げる理由を聞いてね、私もそのイベントについていかせてもらおうと思ったんだ。無論ミオ殿には許可をもらっている……敵情視察は大事だしね」
最後にボソッと何か付け足したが気にしない。
というわけで夏コミ最終日前日………すなわち夏コミ二日めの昼間に俺たちは転送魔方陣で転移。
すぐに準備を開始した。
「水は1.5L用意しろ!」
「重くない?」
「熱射病で倒れるよりましだ、帽子も忘れるなよ。………下痢止めは持ったか?結構並ぶだろうから水無しで飲めるのにしとけよ」
「りょーかい」
「……なんだろう、今剣太が私達の『王』みたいなんだけど」
「………同感」
「無駄口を叩くな。あとタオルと着替え持ってかないと汗で悲惨なことになるぞ」
「それは嫌ですね……」
「あと折りたたみの椅子。朝早くに並び続ける時に熱い地面に座りたくなければ準備!」
「はーい」
準備終了後、配置確認。
「西は少なめでいいから、ミオとティレイアさんで」
「「了解」」
「企業ブースは二人、エリーゼとフィーナで。終わったら即座に四人とも東の手伝いに来て」
「「わかった」」
「あと、フィーナ、わかってると思うけど……」
「わかってる、コスプレ扱いされても面倒だから髪の毛は黒にしておくわ」
フィーナは青い髪を掻き上げながら答えた。
「まあ、そこは私もだがな」
セリアも頷き、リリィも、裕美の茶色がかった赤毛とは違って朱色に近い自分の髪を見て
「私もですね……」
と呟いていた。
「さて、残りの激戦区……東館は俺、セリア、リリィ、ティナの四人で行く」
「「はーい」」
あれ?返事が 一人足りないような………
「またあそこに行けというのか………」
セリアさんはガタガタ震えていらっしゃった。
「え、えーと?」
「……そんなに酷いの?」
「壁サークルの列に並んでいるときの暑さだけでも死にそうになるというのに、中に入っても人がごった返していて蒸し暑い。その上中だと人の流れを上手く見極めながら歩かねば悲惨なことに………、さらに問題なのが東と西の連絡通路だ。息が詰まる……何故か妙に呼吸しづらくなって喉が凄まじく渇くんだ」
ガタガタ。
曰く言いがたい表情を皆がしたところで、
「あ、そうそう。私、この壁サークルの同人誌欲しいな。イラストレーターさんが好きなんだよね」
「ここもお願いしてもいい?」
アイカと裕美の能天気な声が響き、皆の心が一つになった。
「「「「「「「「欲しけりゃお前達もついて来い!」」」」」」」」
夕食を食べ終わった後、しばらく時間を潰してから、認識阻害魔法掛けて、電車も使わずに飛んだり跳ねたりして東京ビッグサイトに到着。悪魔の身体能力ってこういう時便利だよね! 近隣の住民や店舗の皆さまに迷惑をかけないし!
サークルチケットを持たない人達が並び始めたのを見計らって、近くに降り立ち、並ぶ。
たちまち後ろに列が出来上がるのを見て皆びっくりしていたが、そのようなことは一切関係ないとばかりに、携帯椅子を展開した俺は睡眠に入った。
リア充扱いされると視線が痛いというのもあるが(実際ただのリア充です)、今のうちに寝ておかないと後で体力が尽きるというのが一番の理由だ。
夜が明けて、太陽が高く昇って来た頃。俺たちは立ち上がり移動を開始した。ごたつきながらも途中で上手く分散し、俺はセリア、リリィ、ティナと、少し列に揉まれて離れた場所で夏コミ………夏のコミックマーケットの開始を待つ。
「これよりコミックマーケット最終日を開始いたします…………!」
パチ、パチ。
パチパチパチパチパチパチパチパチ……………!
そのセリフに皆が拍手する。
そして、軍隊のように整然とした動きで皆が歩き始めた。
『西館制圧完了。これより東館の支援に向かう』
『企業ブース、現在限定品狙いで「カヤクタス」に並び中。団扇ゲット』
『こちら東館、眼前でA-17a売り切れ。無念………!』
携帯電話のメールで連絡して連携を取る。さすがにトランシーバー全員分の用意はできなかったのだ。
……そして。
『これでだいたい大きなところはコンプ完了。一端休憩』
『東6の入り口付近で』
『了解』
「………死ぬかと思った」
「……毎年二回私は三年前からこれに付き合っているんだが?」
「………死ぬ、疲れた……」
「なんか携帯電話の歩数計機能見たらさ……二万歩いってるんだけど」
疲れきってる女性陣を見て俺は一言。
「よし、じゃあ俺は何か他に面白そうなの島サークルで探してくるわ。荷物番頼む」
「……どうしてそんな余裕あるんですかー?」
「日頃の訓練の賜物だ」
「日頃の訓練はこのためのものだったの………?」
基本的に戦闘訓練であるが、夏コミ会場は戦場と評しても過言ではない。
俺はそのまま別のサークルを見に行った。
………俺がいない間に、俺の荷物を物色しようとしていた少女達に気づかぬまま。
「むう、こ、これは………」
「望んでくれたら私だってこんなこといくらでもしてあげるのに……」
「二次元ゆえでしょう、多分。そうじゃなきゃ手を出してるはずです」
「………彼、巨乳好きなのでしょうか?」
「胸をぺたぺた触りながらこっちを凝視するな。こんなものもあるぞ」
「この服、今度作ってみようかしら………」
何冊か面白そうなのを買ってほくほく笑顔だった俺は帰って来た時に彼女達が顔を赤らめていることに気づかなかった。
さて、楽しい楽しい夏コミも終わり、帰って来た次の日、一日体を休めると、最終調整に入った。
実戦訓練をそれぞれ行ったり、アルマロスさんに稽古つけてもらったり。
そして魔王様主催のパーティーで、ミオがドリルとにらみ合ったり、ドリルが俺に怯えたり、そんなことを一切気にせずに俺の腕をティレイアさんが取ったり。
………後にテロが起きたと知ることになるのだが、原作組が頑張ってくれたので大した問題にはならなかった。
赤龍帝が禁手に至ったことも聞いた。
そして、グレモリー眷属対シトリー眷属の観戦。
シトリー家の『僧侶』と思われる女性が、グレモリー眷属の回復に介入して、回復をダメージへと『
「この『反転』って………」
「サハリエルが提供したものでしょうね。まだ研究段階なのですが……全くあいつは。恐らくですが、これはあなた達との試合では使用禁止になるでしょう」
フィーナの呟きにアルマロスさんが説明を付け加えてくれる。
「この女王の神器も厄介」
ミオが神器、『
「鏡が破壊された時に相手に衝撃を倍にして返すカウンター神器、か。私が一番相手にしたくない存在だな」
セリアがそう漏らす。パワーキャラなのだ、当たり前だろう。ティナが意見する。
「セリアさんにとっては『兵士』の一人が使っていた力を吸い取る神器『
「そう考えると私の担当はそれ以外、か。まあ、グレモリーの『僧侶』のようにニンニクにやられるような真似はしないつもりだが」
セリアは嘆息した。
「『女王』は俺が担当した方が良さそうだ。『騎士』の相手も多分俺。『戦車』の相手はセリア、兵士二人の相手はこっちの兵士とリリィ。僧侶は多分後詰めだろう。フィーナ達の援護を考えると、今回みたいなルール場の縛りがあってももなんとか勝てるレベル、かな。王は……多分その後次第だろう」
こくり、と、ミオは頷いた。
さて、グレモリー家が辛勝して、敗北したシトリー家が後で俺達と試合、か。…………勝ちたいな。
………ちなみに、であるが。
皆、赤龍帝が新たに生み出した、女性のおっぱいの声を聞くとかいう技『
……チームが俺以外全員女子なので現実逃避がしたかったのだろう。多分。
はっきり言って夏コミの描写は作者の独断と偏見であります。集団で行くときのファンネル的には作者は西から基本回る役回りなので。もっといいとこあるよ、もっと酷かったよという方は感想で。今年もあの地獄へ突っ込むぞー!
反英雄達の今回のテロへの参加は見送らせました。監視が基本だったみたいですし、ここで参加させてもな、という感じで。
そして次は再びレーティングゲーム編。……用事があるので更新が遅れるかもしれません。
感想誤字脱字等あればよろしくお願いします。