更新遅れてすみません。最近忙しく、家に帰ってくるのが23時とかがありまして死んでました。大学生の間にもう少しスタミナをつけたいところです。
………ま、昨日は「きみが誘う境界線」を読んでただけなんですけどね!
戦闘終了。アルマロスさんが体のいい説明役になってきている………。
第二十六話
「おやおや、もう終わりかい。つまらないなあ」
いきなりのその声に俺は鈴音さんを突き飛ばして距離をとらせ、即座に剣を構える。
剣を向けた先にいたのは……一人の少年だった。歳は俺よりもやや上くらいだろうか。金髪の髪の下、碧眼と紅い唇は冷笑を浮かべている。剣を帯びていて、ベルト辺りに吊っていた。
「お前は………?」
「初めまして、と言っておこうかな」
そいつは芝居がかった仕草で一礼した。
「『
「……アーサー王の不義の子………その子孫か」
最後にはアーサー王に対して謀反を起こし、相打ち同然で死んだんだったか。
反英雄チームでモードレッドを名乗るってことは、チームの他のメンバーも裏切り者やら厄介者で有名な奴の子孫ばかりなんだろう。
にしても、やはり禍の団が関わっていたか。
「………あいつらにオーフィスの蛇を与えたのはてめえか」
「察しがいいね、その通りだよ。京の妖怪は三大勢力も注目しているから手出しが難しいけど、注目度の低いここを抑えると何かと役に立つかな………ってね。もっとも期待外れだったけど。いや、ある意味で期待以上だったのかな?」
にやにやとそいつは笑みを浮かべ続ける。
「君は禁手に至ったし、これでこの地も三大勢力との関わりを深く持つことになった。鬼を取り入れ、戦はさらに激化するだろうね。楽しみだ」
「てめえに楽しむ時間なんざあるか………よ!」
声とともに魔剣を生み出し、斬り掛かるが、相手は剣を抜いて斬撃を防いだ。
それと同時に魔剣にビシリ、とひびが入る。どうやらあいつの剣の方が格が上らしい。今作った剣はそれほど出来がいいと言える物ではなかったけれど、それでも普通の魔剣よりは強いはずだ。
あれは………。
「万全の状態ならともかく、禁手も維持できないほどに疲れた君が一対一でどうにかなるとでも思ったのかい?」
「……チッ。だが俺の剣が防げたのは、てめえの剣技のおかげってだけじゃねえだろ。その剣……名のある魔剣だな?」
舌打ちしつつ探りを入れる。それに対しモードレッドはあっさりと答えを返した。
「そうだよ、これは魔剣クラレント。アーサー王を殺した……主君殺しの魔剣だ」
モードレッドがアーサーとの一騎討ちの時に使った剣だっけか? エクスカリバー持ったアーサーとほぼ相打ちだったことから、ある程度の力はあるんだろうな。
「ま、もう増援が来るみたいだし、今回は挨拶みたいなものだ。こちらもこれで退散させてもらうよ。………いずれまた会おう、立花剣太……若手悪魔の眷属騎士の中で、聖魔剣の木場祐斗と並び称される最優の剣士」
そう言って奴は去った。え、その評価初耳なんだが。
リリィが追おうとするのを止める。
「深追いは危険だ。チームと言っていた以上、仲間がいるのはまず間違いない」
「……わかりました」
こうして鈴鹿の里で起きた事件は幕を閉じた。
穏健派が生き残ったものの、里の被害は甚大だった。だが鈴鹿さんは「また立て直せばいい」と笑い飛ばした。器の大きさが半端ないという意味で、この人が里の長であったのは里に住むもの達にとってラッキーだったのだろう。
一方、俺は相当居心地が悪かった。何せ敵対していたとはいえ里の同族を大量に殺した男である。
が、鈴音(さん付けしないでくれと言われた)が、鈴鹿さんとミオが協定の内容をある程度詰めている間、朝から晩まで俺の側にしずしずと控え、俺が質問をしたら笑顔で答える様子を見て、他の鬼達も話しかけてくるようになった。
「断剣の旦那、刀で芸はできやすかい?」
「え、飾り切りとかだったら出来るけど。……ていうか"断剣"て何?」
「一刀であらゆるものを断ち斬る旦那なんで。……見せていただけやすか?」
「じゃあ、リンゴとお皿持ってきて」
皿と林檎はすぐさま持って来られた。
まずは皿を床におく。
そして林檎を上空へと放り上げ、刀を構える。
ズババババババババババババ!!!!!
目の前に来た瞬間、無数の突きと斬撃を繰り出す。
床に落ちた時にはウサギさん林檎が八羽。
「「「「わぁーーーー!」」」」
子供達にあげると大喜びされた。
こうして俺も打ち解けるようになった。
で、大体協定の交渉が終わった日。
明日は新学期始業式ってことでお別れである。
鈴鹿さんと鈴音……姉妹は言葉を交わし抱擁した後、笑顔で別れを告げた。長い命だ、この先で会うこともあるだろう。
小烏丸天国は受け取り、そのまま鈴音に渡した。俺達にはあまり必要ないし、通連と会わせて三刀流とかできると面白いだろうからな。鈴音の先祖帰りの元の鬼と縁があるそうだし。
他の鬼たちも笑顔で見送ってくれた。
帰ってきて最初にあったのはアルマロスさんのレクチャーだった。
曰く、俺の禁手、『万象断つ魔剣』というのは、
一度に断てる概念は一つだけ、当然一本のみしか使用できない。
維持可能時間は何を断つ剣かによって違うが基本的に短い。世界と深く関わるものであればあるほど短く、それを使って何かを断とうとすれば時間はどんどん縮んでいく。例えば「気配」なら1時間半で常時断ち切っている状態なら実際は10分ほど、「空間」なら30分。ものによって変わるが何かを断とうとするごとに3分から10分削られる。
禁手中、魔剣解放は使えない。つまり範囲攻撃は不可ということだ。
また「気配」を断っても気の流れや、空気の動きから動きを読まれることはある。しっかりと知覚していれば気配は無くても分かる。グレモリー眷属の木場くらいならそれが出来る。この前は相手がそういうものに鈍かったからどうにかなっただけ、なのだそうだ。
なんだこの高性能で超使いづらい禁手。
「常時発動が厳しく、普通の魔剣との使い分けが必要ということです。禁手で空間を切り裂いて相手のすぐ側に転移し、即座に普通の魔剣へと切り替えて攻撃………と言った具合にね」
そう言ってアルマロスさんは話を締めくくった。これから使用時間を増やしていくことも必要らしい。
そうそう、禁手に至った影響か、強い魔剣を呪文とか無しで取り出せるようになった。新しい属性を考えるのも手かもな。
で、新学期。
「坂上鈴音です! 立花剣太さまの内縁の妻です!」
「またかぁああああああああああああああ!」
俺の平穏な学生生活はどこに消えたのだろう。
そんなものは、ない。
さて、これから少し更新速度が遅くなります。……というか今までが奇跡なのですが。
次回からまた新しい話に移ります。……完結まで遠いなあ。八月までに終わらせるつもりなのですが。