キュルケのキャラ崩壊始まる?
04話 微熱?のキュルケ
「父上。僕とキュルケはいつから魔法を習い始めるのですか?」
俺がこんなことを父さんに聞いたのはもうすぐ5歳になろうかという時期だった。
なんでもここハルケギニアでは早いところは4歳、遅いと6〜7歳と平均して5歳頃から子供の成長具合を見て魔法を練習し出す年齢を決めるらしいことが分かったからだ。
「そうか。ヴァルムロートもキュルケももうそんな年齢か。我がツェルプストー家では5歳の誕生日を迎えた次の日から魔法を習い始めることになっている。」
「それでしたらもうすぐですね。楽しみです。」
俺としてはもう少し早くから始めてもよかったのだが、キュルケのことを考えれば5歳というのは妥当だろう。
なにせこちらは前世の記憶ありという反則技で子供っぽく振舞ってはいるが、精神年齢はもう大人なんだし、純粋な子供として生まれたキュルケはやはり年相応なんだからしかたないし、俺もそれでいいと思っている。
「ヴァルムロートならもっと早い段階で魔法を教えても良かっただろう。しかしキュルケはまだ少し幼い感じがしたからな。どうせなら双子なのだし、一緒の方がいいと思い、お前たちは5歳からとした。お前だけでも早く始めたかったか?それは悪いことをしたな。」
「いえ。キュルケと一緒がよかったので、それで構いません。お気使いありがとうございます。」
「私はキュルケの方に気を使ったのだが、お前が礼をいうことではないだろうに。」
そう言うと父さんは何かを思い出したように、クックックッと笑いを押し殺しながら、
「お前たちはいつも一緒だしな。なあ、・・・キュルケの未来の夫殿。」
笑っているが父さんの目は笑っているとは言い難いものだった。
そんな父さんに俺は苦笑いをすることしか出来なかった。
そうなのだ。この前母さん達に将来なにになりたい?なんてありきたりの質問をされた時、キュルケが、
「ばるのおよめさん!」
と答えたので、母さん達はきゃーきゃー言っていたが、それを聞いていた父さんが笑っていたが目が笑ってなかった。
ちょっと殺気みたいなものも含んでいたように思う。
ちなみに俺は「父上みたいな人になって父上の後を継ぐこと。」と無難な答えを返しておいた。
この答えに満足したのか父さんからの殺気も収まったようだった。
それ以前からキュルケはブラコンなのでは?と思う行動が多々あった。
例えば、姉上達が必要以上に俺にべたべたしてくるとキュルケが怒ったり、4歳の誕生会の時では初めて同年代の女の子が来たのだが、その子が挨拶をして最後に握手を求められたのでそれに応じようとしたらキュルケがその間に割り込んできた・・・なんてこともあった。
「あれは・・・子供の他愛もない冗談ですよ。」
俺は少し分が悪いかなと思いながら反論を試みた。
「冗談かな?キュルケはなにかあるごとにそう言っているようだが。」
そうなのだ。
俺としてはキュルケにはそう言うことを控えて貰いたいと思っているのだが、軽く注意した程度で辞めるキュルケでは無かった。
しかしキュルケが嫌いなわけではないのであまり強く言うことも出来ずに俺はキュルケに言われたい放題の状況が続いていた。
「・・・父上も姉上達から『大きくなったら、お父様のお嫁さんになるー。』とか、言われたことあるのではないですか?」
俺は少し話の軌道を逸らすために姉さん達の話を振ってみた。
因みに現在姉さん達がそのようなことを言ってるところを見たことはないのだけど。
「そんな時期も確かにあったな。あの時は世界が輝いて、私の前に妖精が舞い降りたのかと思ったくらいだよ。」
父さんはそう言いながら目を閉じて腕を広げて、昔姉さん達に言われた時のことを思い出しているようだった。
(どんだけ自分の娘好きなんだよ!)
「それと同じですよ。ただ、その対象が父上か僕かの違いだけで。」
俺は若干呆れながらキュルケのいいようが一過性のものだと主張した。
「・・・そうか。キュルケは私には言ってくれないのか・・・」
父さんは納得したようだったが対象が自分でないことにひどく落ち込んでいた。
(そこまで落ち込むか?父さんの娘の溺愛もかなりのものだな。・・・前世では嫁や子供どころか彼女もいなかったから俺には分らないのかも。)
「いえ。まだそう決まったわけだはないですよ。・・・たぶん。」
俺はそんな父さんを見ておれず、可能性が低いかもしれないが父さんを励ますために声をかけた。
「そうだろうか?・・・そういえば、今日はキュルケと一緒ではないのだな。めずらしい。」
現在でもほぼ一緒にいる俺とキュルケが今は俺が廊下に一人でいることに父さんは少し疑問に思ったようだ。
「いえ。そうではなくt
俺がそれについて理由を言おうとした瞬間、その理由の方がこちらにやって来た。
「あーー!ばる、みーつけたー!」
「もう逃がさないよ。ヴァル。」
「こんなところにいたのね。覚悟しなさい。ヴァル!」
「ほら。姉さま、やっぱりこっち側にいたでしょ。」
キュルケが廊下の向こうから俺を見つけて指を挿している。
すぐに姉さん達も来て、キュルケと一緒にこちらに向ってスカートをひらひらさせながら駆け足で迫って来た。
「げ!もう見つかった。では父上、捕まってしまうのでこれで失礼します。」
俺はいくら距離があるとはいえ五歳児の体なので体力はあるのだがあまり足が早くないことを自覚じていたので、父さんへの挨拶をほどほどに済ませて早急にこの場から離れようとした。
「う、うむ。まあ、頑張れよ。」
父さんが目を丸くしながらそう言ったのと同時に俺はキュルケや姉上達のいる方とは逆の方向に走り出した。
後ろから、キュルケ達が追ってくる音が響くる。
「それでお前たちはなにをしているのだ?」
父さんは走ってくるキュルケ達になぜ俺を追いかけているかを聞いていた。
「まてー。ばるー。あ、おとーさま、こんにちは。」
「あら、お父様御機嫌よう。」
「待て、ヴァルー。お父様、今急いでいるので失礼します。」
「あ。お父様、オークごっこです。失礼します。」
キュルケ達は父さんに簡単に挨拶をしてそのまま横を通り過ぎていた。
「怪我には気をつけなさい。」
父さんは走り去るキュルケ達にそう言うと自分の書斎に向って歩き出した。
「「「「はーい。」」」」
キュルケ達は誰一人振り向かずに手を振ってそれに答えた。
父さんは娘達のそっけない態度に軽くショックを受けながら、オークごっことは一人のオーク役が他の人を捕まえていくもの(鬼ごっこと同じもの)で数人のオーク役が一人を追いかけるものではなかったはずなのだがと思ったが、走り去っていく娘達を見ながらヴァルムロートがなにかやったのかと思い納得することにした。
読んで頂きありがとうございます。
今回やっていることは鬼ごっこですね。
その最中に父親にあったのでちょっと話をしたという所です。
次は杖との契約ですね・・・次はそこそこ変更しないといけないですね。
名前・・・何にしようか?
まだ考えてなかった・・・。
ご意見・ご感想があれば良ければ書いてみてください。