07話 人生っていうのはままならないものだな・・・orz
俺とキュルケがコモンマジックを習ってから3日経った。
その間、朝は先生からコモンマジックのロック、アンロックなどを教えてもらい、昼からは母さん達に見てもらいながらフライの練習をしていた。
その甲斐あって、俺は小走り位の速度でフライができるようになったし、キュルケも俺より少し遅い速度だが自在に飛べるようになった。
今日はとうとう魔法の系統を調べる日だ。
俺、“ある系統”に素質があることが分かったら、やりたいことがあるんだよね。
「今日は系統の素質を調べたいと思います。いいですか?ヴァルムロート様、キュルケ様。」
「「はい!」」
“あの系統”の素質があるならば俺の夢は広がりまくりだ!
「魔法の系統には火、風、水、土の4つがあります。これを四大元素といいます。これにあと伝説の虚無という魔法があるのですが、これはまあ、いいでしょう。」
「なんでいいの?」
「そうですね、キュルケ様。虚無は伝説の中にしか存在しないと言われているからです。いままであの始祖ブリミルにしかできなかったとされています。だれもできないのだから、今は考えなくてもいいと思われます。わかりましたか?」
・・・でもこの時代でルイズを含めて虚無を使える人が何人か出てくるんだよな。
「はい。わかりました。」
「では、お二人がどの系統に素質が御有りになるかを調べてみましょう。」
「どうやって調べるのですか?」
「はい。実は魔法が使えるメイジは簡単なものなら自分の素質のない系統をも使うことができます。例えばこの間教えた風の系統の『フライ』や火の系統の『発火』などがそれにあたります。ですから、自分がどの系統の素質があるかは、ドットスペルのもっとも簡単なものを唱えてもらって、それが発動するかどうかで調べます。わかりましたか?」
やはり適正はなくとも一応全ての系統の魔法を使えることが出来るのか、これで夢に一歩近づいたかな?
「「はい!」」
とうとう本格的な魔法使いデビューだ!
恐らく火は問題ないとしても他の系統がどれだけ扱えるのかが問題だな。
特に“あの系統”が、な。
先生はうなずくと一本のろうそくを取り出した。
そして地面にろうそくを置くと『発火』と言ってろうそくに火をつけた。
「まずは風の系統の素質があるかを調べます。お二人のお母様は風の系統の方ですし、かなり早く『フライ』を習得されたので、もしかしたら風の素質があるかもしれませんね。では『ウインド』とろうそくに向かって唱えてください。風がろうそくの火を消すイメージをしてください。まずはヴァルムロート様からどうぞ。」
「はい!」
そう言えば母さんの系統も火かと思い込んでたけど違ったんだな・・・風の系統のメイジだったのか。
しかし今は目の前のことに集中しよう!
・・・風がろうそくの火を消すイメージで。
「『ウインド』!」
そう唱えると杖の先からぴゅううと風が起こり、ろうそくの火を揺らして、そして消した。
「はい。次はキュルケ様。」
「はい!・・・『ウインド』!」
そうキュルケが言うとそよ風が吹いたがろうそくの火を消すことはできなかった。
火が消えなかったのでキュルケが少し涙目になると、先生は少し慌てて次の素質調べに移った。
「は、はい。では次に水の素質を調べます。『コンデンセイション』と唱えてください。ちょっと私がやってみますね。・・・『コンデンセイション』」
先生が唱えると目の前に小さな水の玉ができて、どんどん大きくなり、最後には直径30サントの水の玉ができた。
「これは空気中の水を一つの場所に集める魔法です。水の系統の魔法はこれが基本となります。では、ヴァルムロート様、キュルケ様。今度は同時にやってみてください。」
「「はい。」」
空気中の水蒸気を一か所に集めるようにして今のように水の玉を作るイメージでスペルを唱えた。
「「『コンデンセイション』!」」
そう俺とキュルケが唱えると、俺の方は直径3サントの大きさの水の塊ができた、先生がやったみたいに完全な球体ではなく表面がぐねぐねしていて、少ししたら弾けてしまった。
キュルケの方はほとんど反応していないようだった。
「・・・はい。では次に土の素質を調べますね。」
きた!
この系統の素質があったら俺は・・・!
「今度は『アースハンド』と地面に向かって唱えてください。これもまず私はやってみますね。・・・『アースハンド』」
そうすると地面からにょきっと土でできた人の手のようなものが生えてきた。見た感じ、なかなかホラーな感じだった。
キュルケも少し引いていた。
「では、このように地面から手が出てくるイメージでやってください。」
俺は前世でやったことのあるゲームの中でこんなモンスターがいたなと思いながら、それをそのままイメージしてみた。
「「『アースハンド』!」」
すると、キュルケの方はもこっとほんの少し土が盛り上がった。
「・・・。」
俺の方はというと・・・全く反応がなかった。
「・・・はい。では最後に火の素質を調べましょう。旦那様は火のスクウェアなのでお二人もかなり素質が高いと思いますよ。」
「父上は火のスクウェアだったのですか。」
この世界のメイジには4つのランクがあり、いくつの魔法を同時かけることが出来るかでそのランクが決まる。
1つしか出来ないのが“ドット”、2つかけることが出来るのが“ライン”、3つかけることが出来るのが“トライアングル”、そしてメイジの最高峰の4つの魔法をかけることが出来るのが“スクウェア”だ。
因みに魔法をかけるとは、例えば『火』の魔法にもう一つ『火』を加えるとその分威力が高くなったりするし、『水』に『風』をかけると氷を作って攻撃出来たりすると言った一つの系統では出来ないことが出来るようになる。
ということで父さんがメイジでも極少数しかいないスクウェアだったのは驚きだ。
「おとうさま、すごーい!」
キュルケも娘の前ではデレデレの父さんがそんなにすごいとは思っていなかったのか、素直に驚いていた。
「そうなんです!スクウェアクラスに成るには素質がなければ成れるものではないですからね!私も旦那様のようなすごい人に仕えられて、うれしいです!」
俺達が父さんのことをすごいすごいと言っていると先生が興奮した様子で語った。
「「・・・」」
俺達は先生のその様子に呆気に取られて何も言えなくなった。
「おっほん。」
俺達の視線に気付いた先生は場の空気を戻す為に一つわざとらしく咳をした。
「・・・では他の系統のものより少し難易度は上がりますがお二人なら出来ると思うので『ファイアーボール』と唱えてください。ではまず私がやってみせるのでよく見ておいて下さい。・・・『ファイアーボール』」
そう先生が唱えると、杖の先から直径30サントの大きさの火の玉が現れ、10メイル飛んで地面に落ちて爆発した。
爆発したところは焦げて少し穴ができていた。
「では、今のように火の玉ができてある程度飛んで地面に落ちるイメージでやってみてください。ちゃんと地面に落とさないと少し危険ですかね。間違っても人に向ってやってはいけませんよ!」
「「はい!」」
俺達は元気よく返事をするとお互いを見た。
「じゃあ、いくよ。キュルケ。」
「うん!」
「「『ファイアーボール』!」」
俺達は全く同時にスペルを唱え、そして杖を振った。
そうすると、俺の杖の先に拳大の火の玉が出来て、どんどん小さくなりながら5メイルくらい飛んだところでポンっと音を立てて空中でなくなった。
キュルケの方は同じくらいの大きさの火の玉ができ、4メイル程ふわふわ飛んだ後地面に落ちて、小さく爆発した。
爆発した地面は少し焦げたくらいだった。
「・・・はい。わかりました。」
「先生。僕達の系統の素質はどんな感じですか?」
「どーなの?」
「はい。ヴァルムロート様は風、水、火の素質がありますね。風は弱いですが、水と火はかなりの素質を秘めていると思われます。風の方も今後の訓練しだいでしょうか。キュルケ様は風、土、火の素質があります。風と土はわずかですが、火の素質はヴァルムロート様と同等であり、キュルケ様の方がおそらく繊細な操作ができるようになります。キュルケ様は火だけを伸ばしていった方がいいかもしれませんね。」
そう聞いて俺は土下座するような格好で両膝と両手を地面につけた。
「ばる、どうしたの。わたしのほうがひのそしつがあったのがいやなの?でも、おなじくらいなんだし、いっしょにがんばろ!」
キュルケは俺が火の系統が思ったより無かったことを残念がっていると思ったようで、俺を励ましてくれた。
しかし俺は全く別のことを考えていた。
(くそっ!なんてことだ!まさか“土の系統”の素質がないなんて!これじゃあ、俺のプラモ計画が実現できないじゃないか!!せっかく、土の素質があったら、あっちで作れなかったレイズナーやレッド・ミラージュやオメガモンなどのプラモや、グレンラガンやサーバインみたいなプラモ化してないものとか、アルトアイゼンやヒュッケ・バインやグルンガストなどのスパロボのオリジナルのロボットなどなどを錬金したり、あわよくばゴーレムとかにして、コクピットとか作って、乗り込んで「ヴァルムロート、行きまーす。」とかやりたかったのに!!神のばかーーーー!!!!!!)
そんなことを俺は心の中で叫んでいた。
読んで頂きありがとうございます。
ということでヴァルの系統が決まりました。
まあ、前と同じなので特に変わったとことは規制の作品のプラモの名前を消したところですかね。
何人かの方に「ギガドリルブレイクはやりますか?」というご意見を頂きました。
土系統の素質が皆無なので『錬金』でドリルを作ることは出来ませんが、他の方法で『ギガドリルブレイク』を作中に出したいと思っています。
ご意見・ご感想があれば良ければ書いてみてください。