08話 偉大な先人?の言葉
魔法を習い始めて1年が経ち、6歳になった。
魔法の素質で土系統がなかったことで数日凹んでいたけど、そんなときある人の言葉が頭をよぎった。
「アニキは死んだ。もう居ない。だけど、俺の背中に、この胸に、1つになって生き続ける!」
この台詞を言った人は何度も何度も絶望の縁に立たされたが、その度に前の自分よりも進化してその絶望を打ち破っていた。
・・・それなのに俺はどうだ!?
自分が思っていたことが出来無くなったくらいでこんなに無気力になったりして。
確かにプラモはもう作れないだろう。
だけどあの勇姿、活躍する場面は俺の心の中で永遠になっているんだ!
そう!まさに俺と一つになって生き続ける!
作れないなら・・・俺が、俺自身がその勇姿を体現してみせる!いや、必ずする!
それに刹那もこう言ったじゃないか!
『俺がガンダムだ!』、と。
俺がガンダムを!グレンラガンを!他のロボットも!このハルケギニアに体現してやる!
魔法と俺のヤル気と根気でそれを可能にしてみせる!
そんな大それたことを心に抱いて休まず練習をしましたが、俺とキュルケはいまだにドットクラスです。
・・・まあ、原作の魔法学院も生徒のほとんどがドットだったと思うので、そんなに簡単にクラスが上がるとは思ってなかったけど。
でも原作開始時点で確かルイズが16歳、キュルケがそれより年上で17〜8歳だったと思うのであと10年くらいの時間があるんですよ。
その10年で原作組に付いて行っても死なない程度に強く成ってればいいかな・・・くらいで考えています。
ちょっと志低いか?
どうせなら“ハルケギニア最強”でも目指してみるか?チートは無いけど、志を高く持っていても損はないだろう!
ちなみに今更ですがツェルプストー家のキュルケの双子として生まれた時点で原作組には関わらないという選択肢はなくなりました。
だって、キュルケが原作組だしね。
だったら逆に思いっきり関わって、その中で上手く生きていきていこうかなと考えています・・・出来るかな?
そこで自分やキュルケを守る手段としての魔法をよく知っておこうという考えになった。
以下、今できる魔法がどういうものかを自分なりに考えた結果です。まあ、ドットだしできることは少ないけどね。
コモンマジックについて。
まず最初に習った『ライト』は光源を生み出す魔法だ。
この光源、実は触れても熱くないんです!
飛んで行けとイメージすると1メイルくらい飛んでいくが、すぐに消える。
おそらく俺からの魔力を元にして光を生み出しているんだろう。
だから、俺からの魔力の供給がなくなれば消えるってことかな。
そして『ライト』はいまではイメージすることで光源の明るさをかなり調節できるようになった。
最大で目がくらむくらいで、最小が豆電球くらい。
次に『レビテーション』は物を浮かす魔法だ。
いまは自分と同じくらいの重さのものしか浮かすことができない。
浮かせられる高さは約2メイルくらいが限界だな。
この魔法は浮かせたい物に地面と反発する魔力を帯びさせることで浮かせ、移動させるときは行きたい方向と逆の向きに対して反発する魔力を帯びさせると良い感じで動かす事が出来る。
このイメージで『レビテーション』を行う時に漠然と(浮かべー)とイメージするより、より強い力が出せる。
このゼロの使い魔の魔法は基本イメージでどうにかなるので今のところこのイメージが俺にとって“物が浮いていても不思議ではないイメージ”として一番強いものなのだろう。
・・・まあ、イメージでどうにかなるって言っても限度はあるけどな。
次の『ロック』、『アンロック』はドアや箱のカギを開け閉めする魔法だ。
この魔法はカギ自体の構造を知らなくても良いみたいで、どんなものでも『ロック』と言えばカギが閉まるし、『アンロック』と言えばカギが開く。
しかし、この魔法は意外な欠点がある。
それは自分より強いメイジがかけた『ロック』を『アンロック』で外せないことと、逆に『ロック』をかけても自分より強いメイジが『アンロック』を行うとカギが開いてしまうことだ。
因みに同じランクのメイジがかけた『ロック』を『アンロック』で開けることは可能だ。
これは母さん達やキュルケと実験して分かったことだ。
・・・まあ、あまり使わないとは思うけど。
次に『ディテクトマジック』は魔力を探知したり、なにか物を調べたりする時に使う魔法だ。
今はまだ大まかなことしかわからないが、人にかけるとその人の構造や魔力の流れとかが分かったり、物にかけるとその物の構造や物質が分かり、周囲の空間にかけると隠れている人やそこにかけられた魔法を見抜くことができるようだ。
かくれんぼを姉さん達とやった時に使われたんだけど、まじチート!無理ゲーだった。
それからかくれんぼで『ディテクトマジック』は禁止にした。
というか、遊びのときは魔法そのものを禁止にした。
しかし、物や人の構造が分かってもそれがどのような機能を持ち、どのように働いているのかとかは分からないので、水の回復魔法とかで最初に使う時は自分の体の構造と異なっている場所を探すことだけに使われているらしい・・・もったいない。
あと『念力』とかいう魔法がある。
これは主に扉を開け閉めしたり、遠くのものを取ったりするのに使うんだけど、最初は『レビテーション』との違いが分からなかった。
『念力』と『レビテーション』は両方とも物を浮かせたり、動かしたりできるが、『念力』は俺が動かしたり、持ち上げられる物しか動かしたり、浮かせたりすることしかできないが、動きはかなりスムーズでそこそこ早い。
それに対し『レビテーション』は『念力』より重い物を浮かせることができるが、動きがゆっくり。
このことから『念力』は“手の延長のような魔法”だという結論に至った。
まあ、軽いものは『念力』、重いものは『レビテーション』を使うといった感じになるだろう。
系統魔法について。
火の系統は『ファイアーボール』を主に練習している。
というか今ドットなので他にできることがない。
しかも今の精神力では直径30サントの火球を20個くらい出したところで尽きる。
・・・ドットは精神力も少ないのだ。
ただ先生が言うにはランクが低いと精神力が少ないというよりも魔法の精神力消費が激しいということらしい。
精神力はほぼ一定であり、それも最終的なランクを決める重要な要素の一つという話だ。
毎日魔法の練習をしている時、ちょっとしたことを思いつき自分で出した火球を触ってみた。
自分で出したんだし熱くないかな?とタカをくくっていたのがまずかった。
・・・めちゃめちゃ熱かった!
「あっじいーーーー!!」
と叫んで、転げ回った。
すぐに先生や家の中から母さん達が飛んできて、文字通り『フライ』で。
で、すぐに『ヒーリング』と秘薬で直してくれたので痕も残らなかったが、当然めちゃくちゃ怒られた。
母さん達の言いつけで夕飯抜きにされた。
夕飯を抜かれたのはいいとして、キュルケに泣かれたのでバカなことをしたと、深く反省した。
水の系統はまだあまり練習していない。
精々『コンデンセイション』をして水の扱いに慣れる程度である。
しかしこれがかなり難しく、以前調子に乗りすぎて水の玉を大きく作りすぎて、水の玉が割れて、頭から水浸しになったことが数回あった。
それでまずは水の基礎中の基礎である『コンデンセイション』のコントロールから!と、水の玉を作っても割れないように訓練している。
ある程度コントロールできるようになった時、この水の玉の表面がかなりの弾力を持っていたので、もしかしたら水の上を歩けるかも!と今思えば浅はかな考えで噴水の水に向かって『コンデンセイション』を唱え、上に乗っかった。
成功したかって?・・・もちろん無理だった、落ちた。
すぐに近くにいた姉さん達に救出された。
また母さん達に怒られた。
怒られている最中、父さんが遠い目をしていた・・・まさか父さんも同じことをやったことがあるのか?
風の系統は使える魔法が『フライ』、『ウインド』、『ストーム』の3つになった。
『フライ』は1年経った今では走るのと同じくらいの速度で飛べるようになり、おそらく精神力が続く限り上昇することができるだろう。
どこまで上昇できるか試したいが、やったら今度は怪我だけではすまない気がするので止めておいた。
『ウインド』は2〜3メイル離れたろうそくの火を辛うじて消せる程度で、あまり進展はしていない。
ちなにみ庭で『ウインド』の練習をしていたら、母さんが通りかかって、わざとでなないのだが、運悪くスカートめくりのようになってしまった。
中は見えなかったが、母さんが「わるい子ね。」みたいな目で俺を見た。
誤解なんだ!母さん!
・・・と、まあ、そういうことがあって以来、練習は誰もいないことを確認している。
『ストーム』は最近先生に教えてもらった。
ドットスペルだがその中でも難しいもので竜巻を作る魔法なのだが、俺がやっても精々小さなつむじ風程度のものしかできず、攻撃としては全然使えないものだった・・・要練習だな。
それとも風の系統の素質がその程度なのか?
それを判断するのは難しいところだが、まだ決めつけるには早すぎるだろう。
以上が今の状況かな、まだまだだね!
系統魔法で水は思いっきり補助系の魔法って感じだし、風は一番魔法の種類があってもちろん補助系の魔法もある。
土も『錬金』とかあるけど、火は攻撃系の魔法しかないんだよね。
まあ、聞いたところによると火の攻撃以外の魔法は明日教えてもらう予定の『ファイアーウォール』くらいか?でもこれもある意味戦闘用だろう。
・・・よし!なんか考えてみよう!