09話 ハルケギニアの歴史 〜ゲルマニアの歩み〜
「ご機嫌麗しゅうございます。ヴァルムロート様、キュルケ様。では、今日の授業を始めましょう。」
「「はい。お願いします。」」
天気のいい昼下がり、俺とキュルケは家庭教師の先生にハルケギニアについて習っていた。
俺とキュルケに家庭教師が付いたのは魔法を教わり始めたのとほぼ同じ時期だった。
家庭教師は2〜3日に1回来て、昼の3〜4時間座学を教えてくれる。
家庭教師が来て、最初に習ったのはハルケギニアの文字だ。
これまでは絵本くらいしか文字に触れる機会が無かったので、この時初めて一つ一つの文字についてちゃんと習った。
ハルケギニアの文字は見た目が英語に似ていた。
日本語とは似ても似つかないし、初めは覚えられるのか不安になったが、そこは「見た目は子供、頭脳は大人」を地で行く、というか肉体はそのまんまの年齢だったので覚えるの早かった。
まるでスポンジが水を吸収するかのように知識をどんどん吸収していった。
そうそう、俺今日本語で考えているように見えるけど、実はこれハルケギニア語なんだよね。
すごいね、子供!聞いてるだけで言葉を覚えちゃうんだから。
だけど、ハルケギニアにない言葉は日本語のままだけどね。例えばグレンラガンとか。
そのうちに、単語を習って、簡単な文章を読めるようになった。
昔は母さん達やメイドさんに絵本とか読んでもらっていたが、それも自分で読めるようになっていった。
絵本などの簡単な本なら読めるようになったので、今度は家の書庫に行って本を読んでみようと考えた。
しかし・・・全然読めなかったね。
まず第一に習ってない単語が多すぎて、何が書いてあるのか分からなかった。
試しに辞書を父さんに貸してもらって読んでみようとしたけど、今度は辞書の方に何が書いてあるか分からなかった。
その時俺は転生前に英語で書いてある英語のための辞書を使ったことがあるけど、辞書では英語の単語の意味が英語で書いてあるので、その文章の中の英語の言葉の意味を調べるために、英和辞典を使わなければいけなかったことを思い出した。
今の俺では覚えている単語数が少なすぎた。
というわけで、いまは大人しく家庭教師の勉強に教えてもらっているし、地道に分からない単語を少しずつ家庭教師や母さんや姉さん達に聞いて覚えていっているところだ。
文字の勉強を進めつつ、他の勉強の一つとして簡単なハルケギニアの歴史を習った。
ハルケギニアの歴史は6000年前から始まっていた。
そう、始祖ブリミルが現れてからの歴史だ。
教えてもらった歴史の中のブリミルは伝説化しているようで、6000年の間話が伝わる際に話に尾ひれどころか背びれや胸びれが付いてすごいことになっていた。
話半分で聞き流していたが、いくつか本当だと思われる話があった。
ブリミルが現れる前にもハルケギニアに人は住んでいたが、魔法は使えなかったが、エルフは先住魔法を使用していた記録があること。
このころの記録はあまり残ってないらしいが専門家などの研究により、ある程度は分かっているようだ。
その中で魔法を使えない当時の人達のエルフに対する態度が「触らぬ神にたたりなし」と言った感じで、魔法という対抗手段がない分、今よりも大きな恐怖の対象だったようだ。
そしていつからともなくブリミルなる人物が現れて、人に系統魔法を教えたこと。
6000年前の記録に前触れなくブリミルという人物の名前が挙がるようになったそうだ。
どこで生まれたとか、どこで育ったとかの記録は一切ないらしい。
今日、ブリミル教では「ブリミルはいきなりこのハルケギニアに降り立った」と教えているらしい。
宗教にもなってるし、神みたいな存在だな・・・いや、実在した人物だから現人神なのかな。
この人物が系統魔法に適正のある人達に系統魔法を教えて回ったと記録にあるようだ。
しかし、虚無は教えたという記録はないらしい。
人々に魔法を教えたブリミル本人は系統魔法と虚無魔法、両方使用可能であったであろうということ。
ブリミルは強力な使い魔を連れて系統と虚無、両方の魔法を使っていたという話が口伝の伝説として多くの地方に残っていたようだが、実際はどうなのかな?伝説の中にブリミル1人でエルフの大軍を追い払ったとかあったし。
ブリミルの3人の子供が作った国が今のトリステイン、ガリア、アルビオンであり、ブリミルの弟子が作ったのがロマリアであること。
これは今でも続く王家がそうなのだから、本当なんだろう。
でも、なんでブリミルの弟子が作ったロマリアのブリミル教がブリミルの子孫の各国王家よりでかい顔してんのかな?
俺って転生前から行きすぎる宗教は胡散臭いと思っているんだよね。
ただ生活の一部として宗教があって、なにか遭った時に心の支えになる、くらいでいいと思うんだ。
例えば、地球のキリスト教なんて、キリストが実際いたかもわからないし、一神教で最後にキリスト教の人のみ神が救うとか、人類全て救わない神なんて器量が少ないんじゃないのか?
それに、ア○リカのキリスト教徒なんて半分以上が進化論を信じてなくて、神様が生物を全て作ったて信じてて、嘘の進化論を教えるから子供を学校に通わせないとかいう人まで出る始末、宗教に頼ってたら人の進歩なんてないね!と思ってた。
・・・まあ、日本人はとくに宗教に疎いからそのせいかもしれないし、日本なんか付喪神とか八百万の神とかどんだけ神いるんだよ!って感じだったしな。
そんなわけで転生した今でもブリミル教にあまりいい感情を持ってないんだよな。
そういえばアニメでブリミル教が異端審問・・・ごっこだったが、やっている場面があったし、恐らくこの世界でも異端と見なされれば審問にかけられるんだろうな。
審問って言っても地球の昔のヨーロッパの魔女狩りみたいにいちゃもんつけて死刑だろうな。
アニメのやつも熱したでかい鍋に入ってみろって言ってたな。
信仰があれば無事に済むとかいう無茶ぶりだったような・・・。
・・・ブリミル教に睨まれないように用心していかないとな。
そうそう、俺がいるこのゲルマニアって国はブリミルの子孫が興した国じゃないんだよね。
都市国家とか周辺の地域が集まってできた国だそうだ。
しかも、他の国との決定的な違いは“金があれば魔法が使えない平民でも貴族になれる”らしい。
新興国なことと金で貴族の位が買えることなどからゲルマニアは他の国より低く見られてて、なにかにつけて「だからゲルマニアは野蛮なんだ」とか言われてるらしい・・・ばからしい。
あと俺今、7歳なんだよね。
7歳といえば日本では小学1年生、算数の足し算とか引き算とか簡単な計算を習ってる時だと思うんだけど、まだ数字を習ったくらいで全然算数を習う感じがない・・・これからやるのかな?
算数だったらそんなに違いがないと思うから、文字を習うよりはるかに簡単だと思うんだよな。
早くやらないかな、算数。
読んで頂きありがとうございます。
サブタイトルは教科書っぽく書いてみました。
宗教関係の微妙な話をちょっと過激に書いていますが、私が言いたいことは「だが、愛も超越すればそれは憎しみとなる。行き過ぎた信仰が内紛を誘発するように!」と某ハムさんが言っていることと同じですね。
まあ、これはちょっと極論ですけど・・・程々がいいと思いますよ。
ご意見・ご感想があれば良ければ書いてみてください。