24話 二兎追う者は果たして何を得られるのか?
先日レイルド先生から2つ同時に使える魔法が存在することを教えてもらったので、今出来る魔法で出来ないかいろいろ試してみることにした。
「じゃあ、まずは『フライ』」
俺は地面から1メイル程度浮き上がった。あまり高く飛んでもし『フライ』が切れ、地面に落ちて怪我するは嫌だからな。
「まずはコモンマジックから試してみるか。『ライト』」
杖の先に光源が現れた。明るさは普段とあまり変わらないようだ。
「おお!本当に出来るのか!すげえ!次は、『ディテクトマジック』」
俺を中心に半径3メイルの範囲を探知した。・・・何も無かったけど。
「『ディテクトマジック』の効果範囲をもっと広げられないかな?・・・まあ、それを考えるのはまた今度だ。次は、『レビテーション』」
その辺に落ちている小石を動かしてみた。
「問題ないな。じゃあ、『念力』」
これもその辺に落ちている小石を動かしてみた。
「よし。これも出来るな。・・・もしかして、『フライ』中に『レビテーション』や『念力』で自分を動かしたらもっと早く飛べるんじゃね?」
やってみた。
だめだった。
「出来んか・・・。」
どんな感じだったかと言うと、走っている時に自分服を自分の腕で引っ張っているようなものという例えが一番近いかもしれない。
「それじゃあ、次は系統魔法だな。最初はこれだ。・・・『ファイアーボール』」
俺は放った『ファイアーボール』は弧を描き地面に当たり爆発した。
「よっしゃ!じゃあ、次は・・・『フレイムボール』」
しかし、魔法は発動しなかった。
「え!?なんで魔法が出ないんだ?ちゃんとイメージしたつもりだったのに・・・もう少し『フレイムボール』のイメージを強くしてみるか・・・『フレイムボール』!」
今度は『フレイムボール』がちゃんと発動し、火球が飛んでいった。
「よし、って!?うわっ!」
しかし『フライ』が切れて俺は地面に落ちてしまった。
「おかしいな?『フライ』はちゃんと飛んでいるイメージをしたままだったのに、なんで落ちたんだ?」
試しにもう何回か『フライ』で飛んで『フレイムボール』をやってみたが、『フライ』は維持できるが『フレイムボール』が発動しないのと、『フレイムボール』は発動するが『フライ』が切れるかで、『フライ』と『フレイムボール』を同時にすることは出来なかった。
「なんでだろ?『フライ』中に普通に『フレイムボール』をイメージしただけだと『フレイムボール』は発動しないし、かといって『フレイムボール』のイメージを強くすると今度は『フライ』が切れる・・・『フライ』中に『フレイムボール』は出来ないのか?」
「・・・いや、そう決めるのは早急だ。他にもいろいろ試してから考えをまとめよう。」
「次はこれだ。『ファイヤーウォール』!」
すると地面に炎の壁が現れた。
「・・・出来るには出来たが、イメージしたのより壁が低いな。それになんか火の勢いが弱い気がする。」
「そういえばあまり意識してなかったけど、『ファイヤーウォール』って『火』をかけ合わせることで大きな壁になっていくような気がする。ちょっと試してみるか。・・・まあ、『火』をかけ合わせるっていっても俺のイメージだし、実際そうなってるか分からないけどな。」
「とりあえず『火』1つの時は『ファイアーボール』位のイメージで、それ以降は1つ前のイメージに足していく感じにしよう。」
『火』が1つの場合:壁の高さは1メイル位で、壁は少し薄い、向こう側が少し見える。火の勢い少し弱い。
『火』が2つの場合:壁の高さは2メイル位で、壁はさっきより厚い、向こう側は見えない。火の勢いは強い。
『火』が3つの場合:壁の高さは2.5メイル位で、壁は厚い。火の勢いも強い、ガスバーナーみたいに、ゴオオオって感じだ。
「ほう。やっぱりイメージの違いが出るな。まあ、『フレイムボール』も『ファイアーボール』を強くしたイメージだし、当然と言えば当然か。」
「しかし、これをやってみて分かったけど、俺が普段イメージする『ファイヤーウォール』って『火』は2つの場合だったんだな。1番使いやすいのかな?」
「でも、『フライ』中に出たのは『火』が1つの場合とほぼ同じだったな。イメージは2つの場合の時と同じだったはずなのに。」
「よし。今度は『水』の魔法を使ってみるか。・・・まずは『コンデンセイション』」
すると、俺の目の前に小さな水の玉が出来たかと思うとどんどん大きくなって最終的には直径1メイル位のもの水の塊が出来上がった。
「これは出来るのか。じゃあ、これはどうだ。『ウォーターボール』」
説明しよう!『ウォーターボール』とは、『コンデンセイション』で集めた水の塊から大小様々な水の玉を発射する水のラインスペルだ!威力は圧力を強く加えてやれば直径20サントの水の玉一発で大人が2~3メイル吹っ飛ぶ位の威力だ!・・・たぶん。人には試したことは無いからな。
集めた水の塊から水の玉は発射されず、水の塊は不安定にぐねぐね動いただけだった。
「これも出来ないのか。じゃあ・・・」
ほかにも『水』の系統魔法を試してみたが、『スリープクラウド』はそよ風に吹かれれば消える位の小さなものしか出来ず、『アイスウォール』と『ウォーターシールド』は共にドットスペル程度のものしか出来なかった。
“ドットスペル程度のもの”としたのは『アイスウォール』と『ウォーターシールド』はどうやら『ファイヤーウォール』と同様にかけた数によって大きさが変わるようだった。まあ、『水』はラインランクなのできちんと試せたわけではないが。
「後は『風』か。すでに『フライ』という風の系統魔法を使ってるんだけど、出来るのかね?まあ、ものは試しだ!『ウインド』」
風がびゅうっと吹いた。威力は精々スカートめくりが出来るくらいだろう・・・はあ。
「お?出来るのか。ではこれは?『ストーム』」
小さな風の渦が出来た。砂が少し巻き上げられていた。
「・・・『風』は他にできるものがないんだよな。『風』はドットランクだし。」
「うーん、出来る魔法と出来ない魔法があるな。・・・俺のイメージが足りないのかな?DBやOOの空中戦みたいなのをイメージしながらやってるんだけどな。他に考えられることは・・・」
そして『フライ』と他の魔法の同時使用について次のようなことを考えた。あくまで俺の考えであって本当かどうか分からないし、間違っている可能性の方が大きいだろう。
?俺の集中力が足りてない説
いかにアニメや漫画を見ていて、それを基にイメージを膨らますことは出来ても、実際に体験したことでないので、そういうところで集中力に欠けるということ。つまり集中力を上げることが出来ればラインやトライアングルの魔法も使えるかもしれない。
?“今”はドットスペルまでしか使えない説
そもそも『フライ』は『風』の系統魔法で、俺は今『風』がドットランクなので『フライ』との同時使用の際は他の魔法もドットまでしか使えないということ。しかし、『風』のランクが上がればそれに応じて使える魔法のランクも高くなるかもしれない。
これだったら『風』のスクウェアメイジが最強だよな。・・・はっ!まさかこれも『風』最強説の一因なのか!?
?“今”はドットスペルまでしか使えない説2
こっちの考えは同時使用できる魔法はその魔法を使うメイジの最低ランクに制限されるということ。なにが言いたいのか分かりにくいが、俺の場合は『火』はトライアングル、『水』はライン、『風』はドットなので、魔法の同時使用の際はドットスペルまでしか使えないということ。
でもこの考えだと俺は『土』はほぼ0なので、同時使用は出来ないということになるんだけど。・・・まあ、ほぼ0で、完全に0ってわけじゃないから出来るのか?
?『フライ』中ではドットスペルまでしか使えないんだ説
単純に『フライ』という魔法を使用している間は他の魔法はどんなメイジだろうがドットスペルまでしか使えないということ。
もしこれだったら『フライ』中に魔法を使う意義みたいなものが薄れるな。
「あ、そう言えば、『フライ』は空中で突っ立てるだけだったな。動きながら出来るかどうかもやってみるか。」
やってみた。
『フライ』で地面スレスレを飛び回りながらいくつか魔法を試してみたが、『フライ』の姿勢を保てず何度か地面に着地してしまうことがあった。
「・・・さらに難しくなったな。『フライ』の移動をイメージしながら、魔法のイメージもしないといけないからな。これは?の“俺の集中力が足りてない説”が1番ありそうか?まあ、『風』のランクが上がればおいおい分かるかもな。」
俺は地面に降りると「ふう・・・」と自然に息が漏れた。
「・・・まあ、『フライ』に関してはこんなものかな。次は他の魔法で同時使用が出来ないか試してみよう!」
そうして俺は魔法の練習や剣の鍛錬の合間にいろいろと魔法の組み合わせを行なっていった。