33話 日本独自の遊びっぽいけど違ったモノ
次の日、早速ワイバーンによって被害が出たという村に向かって出発した。
しばらくするとバサッバサッと何かが風を切る音と共に何かが数度太陽を遮り、馬車に影を落としていった。
俺とキュルケが何事かと窓から上を見るとワイバーン隊が馬車の上を通り過ぎ、そのまま馬車を置いて飛んでいくところだった。
その様子を馬車の窓から顔を出して見ていたが、父さんにはしたないと言われてしぶしぶ姿勢正しく座り直した。
「ねえ、お父様?今ワイバーンがすぐ上を通って行ったけれど、どうして一緒には行かないの?」
道が大きくカーブしているところで窓から米粒のように小さくなったワイバーン隊の姿を横目で見ながらキュルケが父さんに尋ねた。
それを聞いた父さんは少し笑い、「私が子供のころ、その質問を父に・・・お前たちからすれば祖父にしたな。まさか自分の子供に同じ質問をされるとはな・・・」と言うと、少し芝居がかったような口調で答えた。
「一緒に行動してもいいのだがそれだとワイバーンの体力を大きく削ることになるのだ。今飛んで行ったのを見ただろう?あれがワイバーンにとって移動しやすい速さであって、馬車に合わせて遅く飛ぶのはワイバーンにとって大変なことなのだ。」
そう言い終わると、父さんは「っと、私も父から教わったものだ。」と笑った。
それに馬車と一緒に移動しないことはワイバーンの体力だけでなく、ワイバーンを操る騎手にも配慮していると父さんは付け加えた。
それはワイバーンを馬車並の速度で飛ばそうとすると、浮力を得る為かその翼を普段より大きく羽ばたくように動かさなければいけないらしく、その時の上下運動は普段とは比べものにならないくらい激しいものになるらしい。
いくら熟練した騎手といえども長くその状態を続けていると次の日にまで響くダメージを主に内臓と尻に負いかねないらしい。
それを聞いて俺は今回の目的地がかなり遠い場所にあるのだと考えた・・・というか、まだ目的地を聞いていないことに気が付いた。
「父さん、目的地まではどれくらいの時間がかかるんですか?」
「ん?教えていなかったか?」
「ええ、教えてもらっていませんわよ。お父様。」
俺の質問とキュルケの言葉を聞いて、三拍くらい置いて父さんが俺たちに目的地の場所について何も言っていないことに気が付いたようだ。
俺とキュルケに今回の討伐に参加するか聞いたのが昨日のことだし、もしかしたら参加しないかもと思っていたので話すのを忘れていたのかもしれない。
「そうだったか、すまんな。今回の目的地である村にはまず途中の町で一泊したのち、朝出ればその日の昼には村に着くだろう。」
距離的には村まで約百リーグといったところだろう。
いままで討伐に行くようになってから一番の遠出だな、と思った。
「父さん、いままで家の領でワイバーンなんて出たことあったのですか?」
俺がそう尋ねたのは、ワイバーンはこのハルケギニアに四種しかいない竜種のうちの一種だし、ツェルプストー領ってトリステインとガリアの二か国と接している所で人間関係的には複雑——とはいってもガリア側は一部を除き森や山なので政治的な問題はこれまで起こらなかったらしい——なところだが、土地的には比較的平地が多いのでそんな竜種がいそうなイメージを持っていなかったからだ。
「ああ、家の領地にもワイバーンはいるぞ。ガリアとの国境付近に、だが。ただ普段は山や森の奥に方にいてめったに村の近くまではこないのだが・・・しかも今回は群れでやってきている。何かあるのかもしれんな・・・」
父さんはそういいながらあごひげを触った。
父さんは今回の件に関しては何か思うところがあるのかもしれない、と思った俺と同じくそう考えただろうキュルケが率直に父さんに尋ねていた。
「お父様、何かって何でしょうか?」
「私にもわからんな。ワイバーンなどの竜種は自身のテリトリーを持ち、そこに入らなければほとんど襲ってくることはなく、そもそもそのテリトリーから外に出ることはほぼないと言ってもいいのだがな。それが群れごと移動してくるとは・・・」
それを聞いて俺は、縄張りとか、その辺は竜種でも野生動物って感じだな・・・と落胆した気持ちになってしまった。
俺自身前世でのゲームやアニメの影響で竜種に関して少し期待——というか憧れ——があり、縄張り争いなどという普通の生き物と同じようなことをしてほしくなかったと勝手なことだが思ってしまう。
ただ、竜種といえどこの世界に生殖し繁殖している生物で自然の中で生きているのだから野生動物であることにはわかっているつもりだし、竜種が普通のザコ敵として登場しているゲームも数多くやっているし、そもそもこの世界で人が竜種を使い魔でなくとも使役できている時点で推して知るべしということなのだが・・・それでも、竜種は特別というイメージというものがあった。
そんな感じで俺の中の竜種のイメージが音を立てて崩れていっている時に、俺の心理状況とは正反対の明るい声をキュルケが出していた。
「うふふ。それはもしかしたら別のワイバーンの群れとテリトリーを争って、負けたのでこちらにやって来た弱い群れかもしれないということよね。」
「・・・そうだといいのだがな。」
父さんはそう言い切るキュルケを少し苦笑いしながら言葉を絞り出していた。
俺としてはイメージの崩壊が終わったので頭を切り替えた。
「・・・楽観視は危険ですし、気を引き締めていこう。」
「そうね。」
「そうだな。」
俺の言葉に二人は真剣な顔で答えた。
その後は取り留めのない話などしながら中継地点の町に着くまでの時間を潰した。
中継地点の町に着くと、そこはそこそこの大きさの町だった。
とはいっても“ハルケギニアにおいて”そこそこ大きな町だ。現代の日本と比べてはいけない・・・仮に比べたら、人口的にはどこの田舎?というくらいの規模だ。
キュルケは女性のメイジと一緒に町に繰り出していった。
俺も誘われたが大勢の女性の中に男が1人とか罰ゲームに近いものがあるし、そもそも女性の買い物は長いので付き合うのがとても大変だ。
そんな理由から俺は遠慮させてもらった・・・それに俺にも用事があるし。
俺は家のワイバーンが繋いである小屋に行った。
そこでは数人のメイジがワイバーンの世話をしており、その中にカズハット隊長もいた。
「カズハット隊長、今いいですか?」
俺が声をかけるとワイバーンをブラッシングしていたカズハット隊長がその手を止めて、こちらを向いた。
「これはヴァルムロート様、すぐに終わらせますので少しお待ちください。」
そう言ってカズハット隊長はブラッシングする速度を速めようとしたので、俺は慌ててそれを止めた。
「いえ、外で待っているのでしっかりワイバーンの世話をしてあげて下さい。明日は頑張ってもらわないといけないですからね。」
「はい。分かりました!お前達もいつも以上に世話をしてやれ!」
「「「「はっ!了解しました!」」」」
小屋にいたメイジ達がブラシを持ったままビシッと挨拶を決めると、さっきよりも入念にブラッシングを始めた。
どことなくワイバーンも先程より気持ちよさげだった。
「あ、いや・・・」
俺としてはしっかり世話しろとは言ったがそれでもある程度早めに終わらせて欲しかったのだがそういうことを言える雰囲気ではなくなってしまった。
「まあ、いいか。それでは外にいるので終わったら出てきてください。」
俺はそう言って小屋を出た。
十分経過・・・
俺はその間、暇だったのでその場で少し町並みの観察を行った。
そこで分かったことはこのハルケギニアにおいて中級都市と言っていいくらいの大きさの町であっても、やはり糞尿は道脇に捨てられているということだ。
ワイバーン小屋は大通りに接していて、その大通りの向こう側——とっても四メイル程度しかない大通りだが——に建っている民家の窓の下には糞尿が山になっていた。
「この町も家の外に糞尿を捨ててるのか。大通りは広くて風が通る分まだましだが・・・」
ワイバーン小屋の横の道から少し入っただけで風通りが悪いためか、そこはまるで掃除されていない公衆便所の中にいるような不快なアンモニア臭が漂っていた。
そこで改めて俺はハルケギニア全土、とはいわないがせめて自分の領地だけでも糞尿事情を解消しないといけないと新たに心に決めた。
二十分経過・・・
俺はワイバーン小屋の前で突っ立ていた。
時折、小屋の扉の隙間から中を覗いたがまだワイバーンの世話は終わらないようだ。
ブラッシング自体は終わっているようだが、今度は爪の手入れでもしているのか皆黙って一心不乱にワイバーンの爪を研いでいたので俺をそっと覗くのを止めた。
「・・・まだ終わらないのか。早く終わらないかな?でも俺が言っちゃたから、いまさら早くしろとか言えないしな。待つか・・・」
俺は小屋の壁に寄りかかり、時折臭うアンモニア臭に顔をしかめながら空を流れる雲を見て時間を潰した。
三十分経過・・・
空を見上げすぎて首が痛くなってきたので、首を左右に動かすとコキッコキッと音を立てた。
「痛てて。それにしても暇すぎる・・・俺も買い物について行けばよかったかも・・・」
ここまで時間がかかるなら別のことをして時間を潰せばよかった思いながら、面白いものはないかと改めて大通りを見渡した。
するといつからいたのかは分からないが、離れた所で子供が数人でなにやら遊んでいる姿が目に入った。
「何やってんだろ?」
俺はその子供達にゆっくりと近づいて行った。
ここから見えるぶんには何かを地面に投げているようだ。
かなり近づいたところで俺は子供たちに声をかけた。
「なあ、何やってるんだ?」
「なんだよ?」
声をかけられてめんどくさそうな声を出しながら顔を上げたり、振り向いた子供たちの表情が俺の姿——というか服装——を見て表情が一変した。
「こいつ貴族の子供だ!」
一人の子供がそう言った途端に何かに弾かれたように全員俺から一歩離れるように距離をとった。
「き、貴族が何の用だ・・・ですか?」
「あわわわ・・・」
「どうしよ、どうしよ・・・」
子供の中には今にも泣き出しそうな子がいたりして、なにやら俺が悪いことをしているような気分になってしまう。
確かにいきなり平民、それも子供が貴族に声をかけられたらこうもなるかな?と考えながら、俺はなるべく怖がらせないように出来る限り優しい声を出した。
「そんなに怖がらないでくれ。何やってるか気になっただけだから。」
俺の言葉に他意はないと感じてくれたのか子供たちはそれぞれ顔を見合わせると一人の子供が一歩前に出ると地面に手を伸ばし、そこにあったモノを手に取った。
「これ、やってたんだよ・・・」
そう言って恐らくこの中で一番年上だろう——それでも俺よりも年下っぽいが——リーダー格の少年が遊んでいたものをおずおずと手を伸ばし“それ”を見せてくれた。
手の中の“それ”は丸っこい円錐の胴体をしていて、その円錐の先の方にも短い棒が付いている木で出来たものだった。
それを一目見た俺は電撃が走ったような感じを受けた。
なにせそれは俺自身は日本にしか無いものだと勝手に思っていたもので、まさか異世界で同じようなものをみるとは思わなかったからだ。
「これって・・・コマか?」
「え?貴族の子供なのにコマを知っているのか!?」
俺がコマを知っていると分かると少し子供たちの警戒心が弱まった気がした。
しかし、子供たちの反応からどうやら子供達がやっていたのはコマで間違いないようだ。
その時俺は表面上はニコニコとしていたが、内心は困惑していた。
こんな感じに・・・
しかしコマって日本のものではなかったのか?
それともハルケギニアだからか?ゼロ魔の作者は日本人だしそれが影響されて!?
いや、もしかしたらコマって実は世界中にあったのかも知れないってことか!?でも、それは今の俺には知る術はないけどぉ・・・
念のために遊び方を聞いてみたが、紐をコマに巻きつけてそれによって回すこととかも日本のコマそっくりだった。
そして遊び方はコマを地面に円を描いてその中で回して、最後まで回っていた人のコマが勝ちというものらしい。そしてはみ出ても負けらしい・・・ベイブレードみたいに積極的に戦わせるわけじゃないようだ。
初めは驚いたがここにコマがあることに変わりないので、これはいい暇つぶしを見つけたと俺は目を輝かせた。
「なるほど・・・なあ、俺にもやらせてくれないかな?」
「え!?貴族なら金で買えばいいだろ?あそこで売ってるぜ。」
子供が指さす方向に雑貨屋のような店があった。
恐らくあの店でコマの道具を売っているのだろう。
俺はポケットに手を入れて、お金があることを確認した。
「そうか。ちょっと買ってくる。」
俺は小走りでその店に向かった。
店に入ると亭主、というかおばちゃんだったが俺が入ってきたことに腰を抜かすほど驚いていた。
中を見渡すと雑貨の隅にコマを見つけることが出来た。
コマを一つとって代金を払おうとすると「貴族から代金はとれない」みたいなことを言っていたが、俺はそれは悪いからと言ってポケットから金貨を一枚取り出し、台に置いて店をでた。
俺はコマを持って子供たちの所に戻り、さっそく遊びに混じった。
最初は貴族である俺に遠慮してぎこちなかったが、一緒に遊んでいるうちにすぐに仲良くなった。
周りの大人たちは平民の子供に混じって遊ぶ俺を見て奇妙なものをみるような視線を向けていたが俺は気にせず遊んだ。
そうして遊んでいるうちに俺は教科書とかの挿絵で見たあるものを思い出した。
「・・・そうだ!お前らちょっと待ってろ。」
そういうと俺は雑貨屋で桶と安い布と紐を買った、というか代金は先程支払った金貨の釣りがあったのでそれで支払った。
後々考えるとそれでもまだ釣り合わないくらいにお釣りがあったと思うが、募金したと思えばいいだろう・・・あっ!こういうのが貴族が経営に大雑把な原因なのかもしれないし、俺もなんだかんだでそれに毒されていっているのかもしれない。気を付けないと!
そして戻った俺は桶の上に布を被せ、周りを紐でくくって、最後に布を押さえてくぼみを作った。
子供たちは不思議そうに俺の作ったものを覗きこんでいた。
「にーちゃん、これでなにをやるんだよ?」
「なに、これ?」
子供たちが不思議に思っているところだったので俺は不敵な笑みを浮かべながらすくっと立ち上がると、作ったものを指さした。
「ふっふっふっ・・・これはな、コマを戦わせる土俵だ!」
「「「「どひょう?」」」」
俺が言った“土俵”という言葉に子供たちは一斉に首を傾げた。
どうやらコマはあっても相撲はないようだ。
「土俵っていうのは、まあ、場所のことだな。戦いの場所だからあえて言えば戦場、かな?ここでコマを回すとコマ同士がぶつかり合って地面でやるよりも激しくコマ同士を戦わせることが出来るんだ!」
俺がそう説明していくと子供たちの目がどんどん輝いていった。
俺の作った土俵でコマ遊びがさらに楽しいものになると分かったようだ。
「おお!すごいな、さすが貴族!」
「ふっ、まあな。さっそくやってみようぜ!」
「おう!」
俺が作ったコマの土俵はなかなかの評価だ。
みんな楽しそうに遊んでいるし、もちろん俺も楽しく遊んだ。
「・・・ヴァルムロート様、何をしているのですか?」
俺がコマ遊びに夢中になっていると後ろから声をかけられた。
振り向くと少し呆れ顔のカズハット隊長が立っていた。
「あ、カズハット隊長。ワイバーンの世話は終わったのですか?」
「はい。」
「そうですか。」
俺はこのコマ遊びの時間が終わることを少し残念に思いながら、コマをポケットにしまった。
「お前ら俺はこれで失礼するぜ。」
俺は振り返って子供たちに分かれを告げた。
すると、すっかり打ち解けた子供たちが少し悲しそうな顔になった。最初にすごい警戒されていたことを考えればこの短時間に我ながらよくここまで仲良くなったものだなと思う。
「え、もう行っちゃうのかよ。これ、どうすんだ?」
リーダー格の子供が土俵を見つめてそう言った。
「土俵はお前らにやるよ。あ、貴族がみんな俺みたいだと思うなよ。俺は貴族でも変わり者だからな。貴族にはちゃんと接しろよ。」
土俵は持って帰ると荷物になるし、そもそも作った時点でこの子供たちにあげるつもりでいた。
さらに初めて会ったであろう貴族が俺だったので、貴族に対して変な先入観——主に慣れ慣れしくしても、多少の無礼をしても笑って許してくれる——を持たないように子供たちの為を思って「貴族にはちゃんと接しろ」と言った。
「・・・そんなの初めから分かってるよ。にーちゃんが変わってるってことぐらい。」
「まあ、分かってたか。それじゃな、バイバイ!」
「「「「バイバイ〜!貴族のにーちゃん!」」」」
子供たちとの別れ際にみんな手を振っていたので俺も手を振って別れた。
カズハット隊長との話は宿に戻ってすることにしたので宿に向かって歩いている途中でカズハット隊長が話し始めた。
「ヴァルムロート様、先ほどの子供達はなんですか?」
カズハット隊長の声には少し困惑した様子が見えた。
自分が待たせている間に俺が平民の子供と混じって遊んでいたから驚いているのかもしれない。
もしかしたら待たせたことで自分を責めているのかもしれないな。
「ああ、コマ遊びやってたから混ぜてもらっていました。」
「・・・そうですか。お待たせしたようですみません。」
俺はなんでもないようにあっけらかんとした様子で答えたがカズハット隊長は往来だというのに俺に深々と頭を下げた。
俺はすぐさま頭を上げるように言った。
「いやいや大丈夫でしたから!それに楽しく過ごせたので問題ないですよ!」
もしかしたら嫌味に聞こえたかもしれないが、楽しかったのは事実だ。
カズハット隊長は顔を上げると、少し声の大きさを抑えて話始めた。
「それでお話とは何でしょうか?」
ここは人が行き交う大通りであり、俺の話が他の人に聞かれたらまずいものかもしれないという配慮だろう。
しかし、俺の話は別に他人に聞かれでも問題ないことなのでその場で話すことにした。
ただ、もしかしたら、人に聞かれて問題あるようなら俺がこの場では話さないし、問題ないようなら話始めるということで俺の話の重要度や秘匿性を探ったのかもしれない。
「はい、父に聞いたのですが、家にも銃があるそうですね。管理はカズハット隊長がしていると聞いたので。」
「確かに銃は兵舎の倉庫に保管してありますが、どうするのですか?」
カズハット隊長の返事はすでに普通の音量になっていた。
俺が話すことが人に聞かれても問題ないとカズハット隊長も分かったからだろう。
「ちょっと銃を見せて欲しいな、と思いまして。」
「まあ、見せるくらいならいいですけど・・・はっ!もしかして、使おうなどとは考えていませんか?」
今回のワイバーンの討伐で銃を使うことを提案したこともあり、父さんからカズハット隊長にも俺が銃に興味を持っていることが伝わっているのだろう。
俺の真意を確かめるように俺の目を見て、カズハット隊長が尋ねてきた。
「いえっ、考えてませんよ。見せてもらうだけです。」
「・・・本当ですね。」
「ええ、本当です。」
俺自身も銃に興味ないわけではないが、今回は見せてもらうだけと考えているのは本当だ・・・今回は、な。
「・・・分かりました。それでしたらヴァルムロート様とキュルケ様の誕生会の後にお見せできるように手配しておきましょう。」
「・・・たんじょうかい?」
カズハット隊長から予想外の言葉が出たのでその言葉をオウム返しした。
「ええ、討伐から帰ったらすぐに誕生会ですよ。・・・ご自身の誕生日を忘れてましたね。」
「あはは・・・」
カズハット隊長はやれやれと少し呆れたような顔をして、俺はそれを笑って流すしかなかった。
「はあ、ではそのように手配しておきますから、準備が出来たらお呼びします。」
「よろしくお願いします。」
「しかし、それ位の話でしたら先ほど来られた時にされたら良かったのではないですか?」
カズハット隊長の言葉の意味を少し考えた。
俺の話は他人に聞かれても問題ないものだし、この程度の話ならワイバーンの世話を行いながらでも出来ただろう、と。
「・・・あ!・・・そう、でしたね。」
そう考えると俺のあの待っていた時間はなんだったんだ?と思いたくなったが、あの子供たちとコマ遊びしたのは無駄ではなかったと思い直した。
なにせそのおかげで久しぶりに童心に戻れたのだから・・・体は子供なんだけど、ね。
遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。
今年も良かったらこの二次創作を読んでみてください。
一月は欲しいゲームは無いし、冬アニメは私が見たいものが特にないので作業がはかどりそうです。
ただ、二月はマクロスのゲーム出るし、三月にはスパロボUXがでるのでそれまでにどれだけ進めるかが問題ですけど・・・早く、改変じゃなくて新作書きたい・・・フーケ編にアルビオン編書きたいよう。
BBSのところで「キュルケが兄弟にダーリンと言っているのが変」という御意見がありましたが、ぶっちゃけこれは近親相姦上等モノ(実際の行為はないけど)なのでそういうのが苦手な方にはあまりお勧めできないのが残念です。
本当に最初の構成ではよくありそうな“弟に迫ってくる悪い虫は私が全部焼き払う!”みたいなキャラ設定だったのですが、調べたら昔の王族とか位の高い貴族とかって普通に近親婚とかしてるので、まあ、そうなってしまったというか・・・。
いや、初めから兄弟設定じゃなくてゲルマニアの別の貴族の子供でよかったというのもありますが、それだとヴァリエール『家』と絡みにくいのです(ツェルプストー家はヴァリエール家と因縁があるからイベントさえあればさっさと接近出来るしね!)。それがないと、ちょっと後々困るっていうか、まあ、積むっていうか。
無理の少ない設定に出来ないのは私の力不足とするところです。
そんな感じで今の状態なのでキュルケの言動や行動を大目に見れるなら、続きを読んでみてください。
続きがない?
・・・頑張って続き、書きます。