60話 原作開始前日!
「え~、皆さんは2年生になったわけですが、これはまだ“仮”。明日行う進級試験をみごと成功したのち、晴れて名実ともにこのトリステイン魔法学院の2年生に進級できるわけです!」
コルベール先生が教壇に立ち、授業最初の挨拶をしている。
フィオの月、地球でいえば4月にあたる月に新入生の入学式が行われて、俺達は自動的に1学年上がって2年になった。
ただコルベール先生がいうにはまだ2年生(仮)ということらしい。
「ミスタ・コルベール。いいですか?」
「なんですか?ミス・モンモランシ?」
コルベール先生の言葉を遮って、金髪ドリル頭の女子生徒が手を挙げた。
「進級試験とは何を行うのですか?」
「それを今から説明しようと思っていたのです。知っている人のいるかも知れませんが・・・ずばり!“召喚の儀”です!」
「召喚の儀か・・・。」
俺はようやくここまで来たのかと思い、声を漏らした。
アニメはこの召喚の儀から始まる、つまりこれからとうとう原作に突入するということだ。
「はい!ミスタ・コルベール、その召喚の儀はどうやってするんですか?」
俺の横に座っているキュルケが元気な声で質問した。
去年学院長に抗議したおかげか俺とキュルケ、カトレア、ルイズはみんな同じクラスだ。
タバサも勿論同じクラス、というかキュルケの隣に座っている。
「ええ、それも今から説明していきますよ。・・・ということで今日の授業は明日の召喚の儀について教えますぞ。まずこの召喚の儀が何をすることかの説明からしましょうか。召喚の儀とはつまり“使い魔”を召喚する行為ですぞ!使い魔はこれからの将来を共にするパートナー、メイジの半身と言ってもいい存在です!使い魔はこの世界のあらゆる生物から選ばれて皆さんの前に姿を現すでしょう。使い魔の召喚は神聖なものですからやり直しは認めません!なので皆さん自分の前に来た使い魔がどのようなものであれ、ちゃんと受け入れてあげましょう!分かりましたね!」
教室にいる生徒は自分たちの今後の学園生活やその後の将来にまで深く関わる話をしているコルベール先生の言葉を真剣に聞いているのだろう、黙って頷いた。
生徒が頷いたのを見たコルベール先生は話の続きを始めた。
「そうは言っても選ばれる使い魔は比較的自分に合った生物が選ばれるようになっているようなのでそこまで心配することではないと思いますが。」
「ミスタ・コルベール、自分に合った使い魔が選ばれるということは美しい僕には美しい使い魔が選ばれるとうことでしょうか?」
バラを加えて無駄にポーズを決めた男子生徒、ギーシュがコルベール先生に尋ねていた。
「ミスタ・グラモン・・・私が言う自分に合ったとは容姿のことでは無くメイジとしての系統の話ですぞ。ミスタ・グラモンは土のメイジでしたね、土のメイジには土に関連した生物ですからジャイアントモールやジャイアントウォームといったものが一般的ですね。」
「じゃ、ジャイアントモール・・・・ジャイアントウォーム・・・モグラにミミズだと、いやそんな訳ない、きっともっと優雅な・・・」
ギーシュがガックリと肩を落として席に座り、ぶつぶつと何やら呟いているようだった。
そんなギーシュを見て、横に座っているモンモランシがさっと一人分横に移動していた。
「他にも火ではサラマンダーやレッドスコーピオン、風はフクロウやバクベアー、水はスキュラやブルースネイクなど皆さんに合った生物が召喚されるでしょう。本人の素質もありますが運がよければ竜種が召喚されることもあるかも知れませんぞ!」
コルベール先生がそう言うと教室の中が一気にざわめき出した。
「私には何が来るかしら?火のメイジだから火竜・・・とは言わないまでもいいものが来て欲しいわね。ダーリンは何が来ると思う?」
まあ、原作通りだとキュルケにはサラマンダーだろうが、俺には何がくるのか予想もつかないでいる。
それに予想がつかないのは原作で使い魔がいるかも分からないカトレアさんも同様だ。
「さあ、コレばかりは召喚してみないと検討がつかないな。・・・カトレアさんは何が来たら嬉しいですか?」
「そうね・・・。可愛いのが来たら嬉しいわね!ルイズは・・・あら?どうしたの?」」
カトレアさんがルイズに話題を振ったがルイズは下を向いたまま答えなかった。
「どうしたの?ルイズ?」
カトレアさんが優しくルイズに話しかける。
「ちぃ姉様・・・私はちゃんと使い魔を召喚出来るでしょうか?今までもちゃんと魔法を成功させたことが一度もありませんし・・・進級出来なかったらどうしよう・・・」
魔法をこれまで一度も成功させたことがないルイズには魔法を使うことが進級試験というのは深刻な問題だろう。
そんなルイズに最初に声をかけたのはキュルケだった。
「だ、大丈夫よ!全てのメイジが出来るんだからいくらゼロと言われてるルイズにだってきっと出来るわよ!」
「また・・・ゼロって言ったぁ。」
いつもはルイズをからかっているキュルケだが空気を読んだのかルイズを励ました。
「・・・だ、ダーリンもそう思うでしょう?」
が、励ましている最中にもどんどん落ち込んでいくルイズに耐えかねたのか最後は俺に話を振ってきた。
「・・・お義兄様ぁ。」
確かアニメでは「コモン・サーヴァントが一番得意なの!」みたいなことを虚勢を張っていたような気がしたが、今のルイズは心を許せる人が周りにいる為か虚勢を張る必要が無くてそれによって弱さがもろ見えているような感じなのかな?と、泣きそうな目で見上げてくるルイズを見て思う。
まあカトレアさんを治療してからルイズにはツンデレのツの字も見当たらないようになっていたし・・・性格、変えてしまったかな?
いや!でも!サイトの前ならきっとツンデレになる!
・・・はず?
しかし今はそんなことを考えても仕方ないので、とりあえずルイズを安心させようと試みる。
「大丈夫!キュルケも言った通りメイジ全員が出来るものなんだからルイズにも絶対出来るよ!もし出来なかったら・・・そうだな。僕も一緒に留年するよ!」
「お義兄様!?」
「ダーリン!?」
「ヴァルムロートさん!?」
するとルイズだけでなく、キュルケやカトレアさんまでも驚いて声を挙げた。
まあ、留年すると言ったら誰でも驚くか・・・。
「・・・お、お義兄様に迷惑はかけられません!私、頑張ります!」
ルイズは胸の前でグッと手を握り締めた。
そしてルイズの目には強い光りが宿っているように見えた。
そんなルイズの様子を見たキュルケとカトレアさんは嬉しそうに微笑んだ。
しかし俺は成功するのが分かっているので騙しているようで少し申し訳ないような気分になっていた。
「はいはい!皆さん!静粛に!静粛に!召喚の儀の続きを説明しますぞ!」
コルベール先生が注意すると生徒達は一斉に静かになった。
自分の将来を決める大事な儀式の説明なので皆普段にも増してコルベール先生の話に耳を傾けたようだ。
「・・・では次は召喚の儀で行うことについて説明します。と言っても行うことは使い魔を召喚することと召喚した使い魔と契約を結ぶことです。使い魔と契約を結ぶことで使い魔の言葉が分かったり、見ているものを共有出来たりしますぞ!」
「おお!」
「それはすごいな・・・」
周りの生徒がコルベール先生の言ったことに驚きの声を漏らす。
「あらあら、それはすごいわ!私も前から家にいる子達がなんて言っているか知りたかったのよね~。」
隣のカトレアさんもそうつぶやいた。
確かに正確には言葉が通じないから何と言っているか分からなかったかもしれないが、カトレアさんと飼っている動物達とは言葉が通じ合っていたように俺には見えていた。
いや、むしろあれは言葉が分かるとかそんなレベルを超越していたように思える。
「召喚の儀で使う魔法は『サモン・サーヴァント』と『コントラクト・サーヴァント』の2つで両方ともコモンマジックです!」
そういうとコルベール先生は黒板に“サモン・サーヴァント”と“コントラクト・サーヴァント”と大きく書いた。
「『サモン・サーヴァント』は使い魔を召喚するための魔法で呪文は“我が名はジャン・コルベール。五つの力を司るペンタゴン。我の運命(さだめ)に従いし、"使い魔"を召還せよ”です。」
コルベールは黒板に書かれた“サモン・サーヴァント”の下に呪文を書いていき、自分の名前の下に線を引いた。
「この下線を引いた私の名前のところは皆さんの名前を唱えて下さいね。」
コルベール先生は自分の大きな杖でコンコンと黒板を軽く叩きながら名前のところを強調した。
「・・・ん?」
俺は黒板に書かれた文字を書き写しながらどこか違和感を覚えたが、それが何か分からなった。
少し気にはなったが、コルベール先生の話はまだ続いているので違和感について考えるのは後回しにした。
「『コントラクト・サーヴァント』は召喚した使い魔と契約する時に使用する呪文です。呪文は“我が名はジャン・コルベール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ”です。」
コルベール先生は黒板に書かれた“コントラクト・サーヴァント”の下に呪文を書き、先程と同様に名前の下に線を引いた。
「ここも自分の名前に変えて下さいね。そしてこの呪文を唱えた後に使い魔に口付けをして下さい。」
口づけとコルベール先生が口にすると教室がざわめいた。
「ミスタ・コルベール!く、口づけ以外に方法はないのですか?」
金髪ドリルのモンモンこと、モンモランシーがコルベール先生に問いかけた。
「そうさ!ミス・モンモランシの口づけは僕のた、ぐえぅ!」
「今大事なところなの、ギーシュは黙ってて!」
モンモランシーの隣にいたギーシュが突然立ち上がり何かを言ったがモンモランシーにすぐに机に抑えつけられた。
「これこれ女性はお淑やかに、ですぞ。あとその質問なのですが口づけ以外の方法はありません。諦めて下さい。」
そうコルベール先生がいうとモンモランシーは「・・・はい。」と小さく返事をして席に座った。
俺は話が中断したその隙に先程書き写した呪文を見ながらどこが変なのか考えていた。
そうしていると『コントラクト・サーヴァント』のほうには違和感を覚えず、『サモン・サーヴァント』の方のみに違和感を覚えることが分かった。
この違和感はなんだろうか?とアニメの冒頭を思い出そうとして、あることに気が付いた。
アニメでルイズはこの呪文でサイトを召喚したか?ということだ。
アニメではなんかもっと変?というかこんなに詩的じゃないというか、もっとこう訴え掛けるような、切実っぽい感じのする台詞だった気がする・・・詳細は覚えていないが。
そして俺は一つの仮説を立てた。
「では続きを・・・『コントラクト・サーヴァント』の呪文を唱えて、口づけを行うと使い魔の体のどこかにルーンが浮かび上がれば契約成功です。そうして晴れて召喚した使い魔が皆さんの使い魔になるということです。何か質問はありますか?」
生徒からの質問はないかと見渡しているコルベール先生に俺はさっと手を挙げる。
「ミスタ・コルベール!質問があります。よろしいですか?」
自分の仮説についてちゃんと聞いておかないといけない。
仮説が正しい間違っているということではなく、ルイズのために。
「ミスタ・ツェルプストーですか?何ですかな?」
「『サモン・サーヴァント』の呪文なのですが、教えて頂いたものと多少変わっても問題なく使い魔を召喚出来るでしょうか?」
「呪文を変えるのですか?・・・まあ、この『サモン・サーヴァント』の呪文自体はそれほど厳格性を求められないもののようですので過去にも呪文を変えた生徒はいましたが・・・」
「前例があるということは呪文を変えても大丈夫ということでしょうか。」
「まあ、そういうですね。ただこの呪文は昔から伝わってきているものなのであまり呪文を変えるということを勧めることはしたくはないのですか・・・」
そんなコルベール先生の言葉は俺の耳の右から左へと通過していくだけで意味を持たなかった。
呪文を変えても意味が似通っていれば問題はないということなのかも知れない、事実アニメでは全く違うような呪文でサイトを召喚出来ていた。
ルイズにはそれとなく自分の呪文を考えるように言っておこう。
「質問に答えて下さり、ありがとうございましたミスタ・コルベール。」
「そ、そうですか。・・・他に聞きたいことがある人はいませんか?」
「・・・はい。」
一人の生徒がか細い声で少し弱々しく手を挙げた。
ギーシュだ。
「ミスタ・グラモン、今度は何ですかな?」
ギーシュは少し言い難そうに質問を切り出した。
「仮に、仮にですよ。使い魔との契約を解除したいときはどうすればいいのですか?」
「契約の解除は基本的には出来ません。そしてすでに使い魔を所持している者は2匹目の使い魔を召喚することも出来ません。ただし例外的に使い魔との契約が切れる場合があります。」
「そ、それはどんな時ですか!?」
ギーシュは机に少し身を乗り出す。
「それは使い魔が死んだ時、もしくは使い魔と契約している人物が死んだ時ですね。もし使い魔が死んだ時は再び使い魔を召喚出来るようになりますが・・・皆さんはそういう自体に陥らないようにして下さいね!」
「も、もし誤って死なせてしまった場合は2匹目の使い魔を召喚しても・・・い、いいのでしょうか?」
「そうですね・・・もし、学院在学中に使い魔を死なせるようなことがあった場合はよほどのことが無い限り名誉あるトリステイン魔法学院の生徒としてふさわしくないと判断されて退学の対象となるということを知っておいて下さいね。さらに他人の使い魔を故意に傷つける行為も同様の処分が下されますぞ。まあ皆さんはそういうことはしないと思っていますが・・・ミスタ・グラモン、これで分かりましたか?」
「は、はい・・・ありがとうございましたミスタ・コルベール。」
「いえいえ。他に質問のある方は・・・いないようですね。時間もそろそろなので今日はここまでとします。何か聞きたいことがあれば火の塔の近くにある私の研究室にいらして下さい。皆さん明日の召喚の儀は頑張って行きますぞ!」
コルベール先生はそう言うと教室から出ていった。
教師がいなくなった教室は一気に賑やかになった。
あちこちで明日の召喚の儀について話題が上がる。
どんな使い魔がいいとか自分の系統と合わせてどんな使い魔が来るか予想している者など様々だ。
「ねえ、ダーリン。どうしてさっきはあんなことをミスタ・コルベールに聞いたの?」
キュルケが先程の俺の行動について聞いてきた。
「ああ、ちょっとね。・・・あ、そうだルイズ。もし明日の召喚の儀が不安ならミスタ・コルベールが教えてくれた呪文ではなく、これを唱えたら絶対に使い魔が自分の元にやって来ると思える呪文を考えておいたらいいんじゃないかな?魔法は系統魔法は勿論のこと、コモンマジックの方も気持ちの持ちようで強さが変動するからね!」
「お義兄様・・・先程の質問は私の為のものだったのですね!分かりました!すごい呪文を考えておきます!」
「あらあら、ルイズったら・・・でも頑張ってね。」
そして俺達は後ろの席に座っていたタバサを誘って、アウストリの広場にお茶しに行った。
話題は勿論明日の召喚の儀のことになり、話題は尽きること無く夕方まで何度もお茶をおかわりしながらわいわいと話した。
因みにタバサにどんな使い魔がいいか聞くと「・・・別に、何でもいい。」とだけ答えた。
夕飯を食べ終わった後、いつもは食後のお茶を飲みながら話をするのだが今日は明日に備えて早めに解散することになった。
キュルケ達は虚無の塔の寮に戻り、俺も自分の部屋に戻ってきた。
「ふう。明日は召喚の儀か・・・ルイズがサイトを召喚してとうとう原作が始まるな!あ、アニメは前日からだったからもう始まってるといえるのかな?」
俺は明日の為に普段なら起きている時間だが明かりを消して早々に布団に入る。
「・・・眠れん。」
しかし明日のことを考えると興奮している為か全く眠気が襲って来る気配が無く、むしろ目がギンギンに冴えてきた。
「眠れない時は羊を数えろというが、もっと建設的なことをしたいな・・・そうだ!明日からに備えて今の俺の現状を整理や今後の展望を考えてみよう!」
俺はゴロッと向きを変えて窓の外の2つの月を見ながら考え始めた。
「まずはこれまでの自分のことだな・・・。」
俺はこれまでの18年プラスアルファのことを思い返す。
俺は元々この世界とは別の世界、地球で普通の一般人として生きてきたのだが、ある日突然神のイタズラ・・・いや、神の不祥事で死んでしまった。
元々死ぬ時期で無かった俺は残りの寿命をポイントみたいなものに変換し、それを使ってその時の記憶を持ったまま転生することにした。
そして俺が転生したのがこの“ゼロの使い魔”の世界だった。
ただ記憶有転生を行ったことで寿命ポイントがほとんど無くなったので肉体的・能力的チートは獲得出来なかったが、恵まれた環境に転生できるように計らってくれると神は言った。
その時の俺は確か原作組に関わらにような家ならば一切関わらずに平凡に生きようと考えていた。
ゼロ魔の結末は知らないが、なにせ原作組がそのまま原作通りに行動してくれれば世界の危機とかは大抵回避されるものだからな。
しかし実際には原作には存在しないゲルマニアの貴族ツェルプストー家の長男、キュルケの双子の弟として生を受けた。
転生した環境が良すぎた弊害かもしれない。
その時俺はキュルケという原作キャラの近くにいると将来必ず戦闘に巻き込まれるだろうと考え、自分を守る為に魔法を鍛えよう!と決めた。
そう決めた時にチートでは無いが火・風・水が最高レベルというかなりの才能を親から受け継ぐことが出来たことは幸運だった・・・これは本当に助かってる、ここだけは神に感謝しよう。
しかしあくまで才能なので磨かなければ意味が無い、ということで魔法の練習をひたすらに頑張った。
その過程でオリジナル魔法を色々考案していくことになったんだけどね。
さらにキュルケと一緒に生活していく内にキュルケの性格に影響を与えてしまったようでアニメと異なる様子を示し始めていた。
例えば・・・男を取替引っ変えしないで交際を申し込んできた奴を全員振るとかね、子供の時の話だけど。
しかしこのキュルケの性格変更は原作に関わらずそのままでいようと考えていた俺には大きな問題だった。
・・・この時までは結構不干渉の姿勢の方が強かったんだよな。
何が問題かっていうと、あのキュルケの性格があったからゲルマニアからトリステインに魔法学院を移し、タバサとも友達になるという展開がキュルケの性格の変更によって今後の展開に大きな変化がもたらされるだろうということが十分に予想出来た。
・・・まあキュルケの双子の弟として生まれた時点で原作に関わらないというのは無理ということだったんだけどね。
俺は覚悟を決めて、むしろ積極的に原作に関わって自分の安全を確保することに決めた。
そしてその為に最初に行なったのが俺の家であるゲルマニアのツェルプストー家の宿命のライバルであるトリステインのヴァリエール家と和解することだった。
ただ長年よく思っていない相手との和解は簡単では無いと思い、まずは国境正常化し関税を下げて、物流を増やし、最終的に互いの収益を挙げることを提案した。
現在ではそれを行なっていて収益を上げることに成功しているが最初の交渉は決裂した。
ただその場に病気を抱えたカトレアさんがいて、その場でカトレアさんの病気を治す約束をすることで渋々ヴァリエール家が和解に応じる形になった。
・・・まあ、終わった後だから笑い事だけどあの約束には俺の命掛かってたからな、俺も必死だったよ。
どうしてそこまで危ない橋を渡ったかというと、ズバリ!ルイズと接触するためだ。
ルイズはゼロ魔のメインヒロイン、もう一人の主人公といってもいい存在だ。
勿論物語の中心にいる存在なので原作に積極的に関わっていこうと考えた俺が見逃すはずがない!
カトレアさんの治療の準備を進めていく内に少しずつルイズと親交を深めていった。
・・・まあ人体実験とか非人道的なこともやったんだけどね。
そしてカトレアさんの治療が終わった頃には俺には養子に出て名前の変わったキュルケとカトレアさんの2人の婚約者が出来ていた。
これは予想外だったね、棚から牡丹餅的な?
その時俺の目標が自分の安全の確保ではなく、家族の安全の確保に変わった。
まあ、やることは変わらないのだけど。
で、そのままだとルイズより2つ年上の俺がルイズより早く魔法学院に入学されそうになったので、カトレアさんの予後観察とお義母さんとなったカリーヌさんとの魔法の訓練で約2年時間を潰した。
なんとかルイズと一緒にトリステイン魔法学院に入学し、タバサと友達になることが出来て、現在に至る。
「・・・って感じかな。結構濃密な18年だったな!でもこれからの方がヤバイかもしれないな。なにせ原作始まったら本格的に戦闘に参加することになるだろうし・・・」
俺は少しの間2つの月を見つめていた。
「ふふ、そういえばいつの間にか月が2つあることが自然になっていたな。じゃあ次は今俺が出来ることを整理してみるか!」
まずは魔法のことから整理しよう。
魔法と言っているがこの世界の魔法は魔力ではなく、精神力を消費して魔法を出している。
俺の今の能力は火の系統はスクウェアクラス、風の系統もスクウェアクラスそして水の系統がトライアングルクラスだ。
使える魔法は火の系統では『ファイアボール』を始めとする既存の魔法はほぼ全て使用可能だ。
風の系統では『ブリズ』が方向転換出来ない欠陥があることを除けば、ほぼ全て使用出来るだろう。
自分の分身である偏在を作る『ユビキタス』は現在2人まで偏在を出すことが可能だ。
水の系統はトライアングルスペルまでなら使用出来る筈だ。
ここまでは普通のメイジと変わらないが俺にはさらに自分で開発・改良したオリジナル魔法と呼べるような魔法を持っている。
と言ってもその全てが前世で俺が好きだったガンダムなどのロボットアニメから発想を頂いている。
最初に開発したのが『フランベルグ』だ。
周囲の空気に火の魔法を使い、熱を加えることで分子を高速で動かして、物体を焼き切る魔法だ。
しかし熱が拡散しまくりなので精神力消費が激しいのが難点だ。
ラインスペルから使用可能だが、ラインスペルでは『ブレイド』よりちょっと強いくらいの威力だが、よりも広い範囲を攻撃することが可能だ。
しかも火のスペルを重ねる毎に威力と攻撃範囲を高めることが出来るという利点がある。
因みに攻撃範囲は現在ラインで1メイルから7メイル位だ。
この魔法の発想元はガンダムのビームサーベルだ。
さらにこの『フランベルグ』を強化しトライアングルスペルにした『フランベルグ改』もある。
この『フランベルグ改』は攻撃力、攻撃範囲そして精神力消費全てにおいて『フランベルグ』を超えたものになっている。
次に開発したのが俺の最大の特徴でこの動乱の世界を生き抜く為に必要不可欠なものになると考えられる魔法『トランザム』だ!
『トランザム』は火と水の系統を複合させたトライアングルスペルの魔法だ。
火の魔法で程よい炎を身に纏い、疑似的な身体的危機をつくることで火事場の馬鹿力による肉体の限界以上の力と速度を引き出し、水の回復によって軽度の火傷や体温上昇など体への影響を多少軽減する一種の能力上昇系補助魔法だ。
これにより『トランザム』を使用すると通常時の2倍から3倍の力を出すことが可能だ。
昔は『トランザム』状態で魔法を出すと威力が安定していなかったが訓練を重ねた現在ではそんなことも無くなっている。
ただし常に精神力を消費しているので現在でも連続使用は3分位が限度で魔法を使えば使うほど短くなっていくし、体の限界以上で動いているので筋肉など体にダメージが出るなどの欠点がある。
しかしこの短所もきちんと理解し、適切に『トランザム』を使用すればそこまで問題にはならない。
まあ、それでも精神力切れたら身動きが取れずに危ない状況に陥るのだけど・・・。
これの発想元は機動戦士ガンダムOOから得たものだが、困ったことに短所までもみごとに再現してしまった。
お義母さんと訓練を始めて『I・フィールド』という魔法を考えた。
これは既存の『エア・シールド』に改良を重ねたものだ。
単に空気の層を作り、攻撃を受け止める『エア・シールド』と異なり、『I・フィールド』はこの空気の層に流れを作り、攻撃を受け止めるのではなく受け流して攻撃をやり過ごすものだ。
これにより『エア・シールド』で防げない攻撃も直撃を避けることが可能となった。
『I・フィールド』も発想はガンダムからだが、俺が思い描いたのはクロスボーンX3のものだ。
複数同時攻撃魔法として『サイフラッシュ』という魔法を開発した。
この魔法はまず『ディテクトマジック』で攻撃対象を決定し、その後魔法で対象を攻撃するというものだ。
これなら例え乱戦になっても敵だけを攻撃することが可能だ。
普通の状態の俺の『ディテクトマジック』の効果範囲は訓練により伸びて今は約30メイルだが、魔法の攻撃範囲が20メイル位なので『サイフラッシュ』の攻撃範囲は約20メイルとなっている。
元ネタを考えると攻撃魔法は風系統のイメージだが実際は攻撃する魔法は何でもよく、風で対象を吹き飛ばすことも出来るし、電撃、火の玉、水の弾などを食らわしたりも出来る。
因みに元ネタはスパロボの風の魔装機神サイバスターのMAP兵器だ。
風は変幻自在だが水もそれ以上に変幻自在だよな?ということで開発したのが『ヴェスミー』という水の魔法だ。
水のコントロールを最大限に活かしたトライアングルスペルの魔法で腰の両側に集めた超圧縮した水の玉から高圧の水の弾を打ち出して攻撃するものだ。
可変速度水鉄砲・・・ヴァルアブル・スピード・水鉄砲、略して『ヴェスミー』という名前だが、撃ち出す水の弾の圧力を変化させることでスピードだけでなく破壊力、貫通力も様々に変化サせることが可能で、さらにマシンガンのように連射することも出来る。
ガンダムのF91の武器であるヴェスパーからヒントを得た。
そして風には『エア・シールド』、水には『ウォーター・シールド』、土には『錬金』で作った壁と防御魔法があるのに対し火の系統にはそういうのが無かったので『チョバム』という魔法を開発した。
構造的には簡単で炎で壁に『ディテクトマジック』を組み合わせたもので、攻撃が当たった瞬間に『ディテクトマジック』で自動的に当たった攻撃と同程度もしくはそれ以上の威力の爆発が起こるようにして攻撃の威力を相殺するという攻撃的な防御魔法だ。
実はこの考えは現実の地球にもあって爆発反応装甲として主に戦車に使用されていることは知っている。
しかしガンダムにもNT-1アレックスという機体がチョバム・アーマーを装備していたので俺はあえてガンダムの方を考えながら開発した。
・・・だってその方が威力も上がるし、俺のモチベーションも上がるからな。
メイジの使う魔法はこの世界では防がれなければ、ほぼ一撃必殺の威力を持っているがその中でも俺はオーバーキルすぎる魔法を開発した。
その威力の高さからまともに使用したのが模擬戦でのたったの1度しかないが『トランザム・ライザー』という魔法だ。
これは一言で言えば、超デカイ『フランベルグ』だ。
元々はスクウェアスペルの『フランベルグ改改』を開発していたのだが上手くいかず、その原因を自身のメイジとしての強さ不足と考えた末、『トランザム』による強制的なメイジとしての強さの引き上げによりなんとか形になったものだ。
その為『トランザム』状態でしか使用できず、ある意味正しい意味での必殺技としてわざわざ名前まで変えて区別するようにした。
威力は『トランザム』状態で使用した『フランベルグ』とは比べものにならないくらい強力で、攻撃範囲も100メイル位になる俺の最大級の攻撃魔法だ。
ただ精神力消費が半端無く多く、使用出来る時間は俺の精神力が十分に充実している時でさえ10秒程度しか持たない。
まあ威力が高すぎるので逆に使う機会は滅多にないだろうが。
『トランザム・ライザー』という名前の元ネタはガンダムOOのダブルオーライザーのライザーソードで『トランザム・ライザー』は元々はダブルオーライザーがトランザムした状態のことだ。
あと偏在を使った合体攻撃も1つある、それは『トゥインロード』だ。
これは一人が火のスクウェアスペルの『ヴォルケイノー』を圧縮し、もう一人が水の『コンデンセイション』を使って大量の水を集めて圧縮し、その火の玉と水の玉を打ち出して接触させることで大爆発を起こす魔法だ。
方法は魔法だが自然現象でも起こりうる水蒸気爆発というものをやってるだけに過ぎない。
因みに水蒸気爆発を簡単にいうと水が液体から気体になると体積の差は1000倍位になるのでそれを瞬間的に行うと爆発のような衝撃が起こる、ということだな。
トゥインロードの元ネタはゼオライマーっていう主人公がラスボスのOVAに出てくる双子の姉妹が使ってくるものだけど、俺がイメージしたのはスパロボJのグレートゼオライマーの一人分身トゥインロードだな・・・グレートゼオライマーはマジチートだったよ。
次に俺の持ち物について整理しよう。
まずはメイジに必須の杖だな。
杖の形はワンドというスタンダードな25サント位の大きさのもので5歳の時に契約した。
契約した時に杖に“グレンラガン”という名前を付けている。
俺と杖を合わせれば無限の可能性を発揮できるといいなと思い、杖にグレンラガンと名付けた。
通常杖に名前を付ける必要はないらしいのだが、杖は魔法を使うための媒体だから杖に愛着がある方が出力される魔法の威力も少しは上がるかもしれない、と思っている。
次は俺の接近戦の主力である『斬艦刀』だ。
斬艦刀は偶然見つけた錆びた日本刀をエレオノールさんに頼んでマジックアイテム化してもらったものだ。
ただマジックアイテムと言っても何か特殊なことが出来るのではなく、ただ形が変わるだけだ。
通常時は日本刀モードで長さ60サント位の普通の片手剣並の大きさで日本刀なので勿論片刃だ。
「伸びろ!斬艦刀!」という合図で斬艦刀が日本刀モードから大剣モードに変化し、戻す時は「戻れ!斬艦刀!」で大剣モードから日本刀モードになる。
『錬金』『固定化』『硬化』などの魔法を使って変形し、その為のエネルギーは土の力を秘めた“土石”を使用しており、3回か4回変形させるとエネルギー切れになる。
大剣モードの刀身は長さ2メイル、幅30サントと身の丈よりも大きなものとなり、それに加えて持つところも1.5倍位に伸びたり、鍔が真ん中から2つに割れて刀身の端に来るように変形する。
因みに大剣モードのときは両刃だ。
さらに持つところには1本の溝が刻まれており、そこに杖をはめ込むことで見かけ上魔法剣としても使用できる。
ただ日本刀モードはいつでも扱えるのに対し、大剣モードは重さは同じだが重心が大きく変わるため存分に振るためには『トランザム』状態でないと難しいところがある。
あと斬艦刀を収める鞘には何重にも『固定化』と『硬化』の魔法がかけられており、かなり頑丈に出来ている。
本来メイジは軍人でもなければ武器を使うことが殆ど無く、特にトリステインでは軍人でないメイジが武器を使うことは野蛮とされているがそんなこと知った事ではない。
因みに俺が斬艦刀を使う理由は『トランザム』状態で『フライ』や『レビテーション』を使っている間は他の魔法を一切使えないのでそのときの攻撃力低下を防ぐためだ。
元ネタはスパロボの参式グルンガスト及びダイゼンガーが使用している参式斬艦刀だ。
次は『ファング』だ。
このファングは斬艦刀の元となった日本刀を買った時に一緒に購入した短剣をこれもエレオノールさんに頼んでマジックアイテム化してもらったものだ。
刃渡り20サント位の見かけは普通の短剣だが、俺が『ディテクトマジック』で標的を設定し「いけ!ファング!」という合図を送るとファングが飛んで行き、標的に刺さるまでエネルギーが続く限りどこまでも追いかけるというある意味最凶の武器と化してしまった。
エネルギーには風の力が宿っている“風石”を使用しているため、ファングは飛ぶことが出来る。
逃走者を逃さない為の追跡用武器なので、主に下半身を目掛けて刺さるように設定されている。
・・・人でなくモノやモンスターでは普通に刺さる場所に勝手に刺さるのかな?
元ネタはガンダムOOに出てくるガンダムスローネツヴァイやアルケーガンダムが使用していた武器でビーム出したり刺さったりと色々出来るものだったな。
武器だけでなく『IFG』というマジックアイテムの防具も装備している。
IFGは“I・フィールド・ジェネレーター”の頭を取ってIFGと名付けた。
形はペンダントでエレオノールさんのセンスが良いのかデザイン性は悪くなく、普通にアクセサリーとしても使用出来る。
名前から分かる通りこのIFGは魔法の『I・フィールド』を発生させる事が出来るマジックアイテムだ。
しかもIFGは斬艦刀やファングの任意に発動出来るものと異なり自動で発動する。
これは不意打ちを受けた時などにその攻撃から装備者を守る為だ。
自動で発動するのは常に周囲に向かって『ディテクトマジック』がかかるようになっていて、一定速度以上の物体や魔法を探知したときに『I・フィールド』が発動する仕組みになっているからだ。
エネルギーは風の魔法を発動させるために風石を使用しているが常に『ディテクトマジック』を使っている状態なので何もしなくても1ヶ月で風石のエネルギーが切れるし、『I・フィールド』が発動しても1度きりのほんの数秒しか持たない。
まあ不意打ちを警戒しているのだから1度防げて、さらに数秒あれば体勢を整えることが出来るので特に問題はない。
後は・・・俺が考えたわけではないのだけど、俺の服は基本的に耐火性を持ったものが多い。
それは普通の服では『トランザム』を使用した時に服が焦げる為、俺が着る服は大体耐火性のあるものになっている。
ただ火竜の血とかを薄めた液体に服を浸して耐火性を持たせているらしいので全体的に服が赤系統になってしまうのが難点かな。
あと一度服の値段を聞いたところ、火竜の血などの高価なものを使っているので一着で家が一つ買える位だそうだが・・・本当だろうか?
「・・・とこんな感じだな。ガンダムOOからヒントを得ているものが結構あるな。俺の戦闘スタイルは早さを重視したもので魔法もドットかラインのスペルの短いものを使うことがもっぱらだな。お義母さんとの訓練と学園での決闘で気配を読むことにも慣れたし、相手の攻撃を避けつつ近づき斬艦刀による接近戦を仕掛けるのがお義母さんとの模擬戦で俺がよく使っている手だな。」
そういえば魔法の『ブレイド』と『フランベルグ』、そして斬艦刀と4つのファングでセブンソードだな、と思ったことがあったな。
「意識したわけではないけど、戦い方もガンダムエクシアっぽいな。」
「とうとう原作が始まるわけだが今後の展開とその時俺がするべき行動は・・・。」
因みに俺のゼロ魔の知識は借りたアニメのDVDとその時にネットからちょこっと得た位だ。
・・・これで半端に介入すると痛い目見そうだな。
ま、まあやってみないと分からないよな!
確かアニメだと・・・まずルイズがサイトを召喚するだろ。
俺がすることは・・・まあ特にないな。
で、次にフーケことロングビルが巨大ゴーレムで宝物庫の破壊の杖ことロケットランチャーを盗みにきて、それを後からロケランを取り返しに行ってついでにフーケを捕まえる。
ここでも特に無いな、ちょっとサポートする位でいいだろう。
多分ロケラン使わなくてもゴーレム倒せると思うけどあんな危ないものはさっさと使ってもらうに限るね!
・・・でもその後もロングビルってレコンキスタになぜか入ってちょいちょい邪魔してくるんだよな。
この時に排除しとくか?
でもそのあとティファが出てくることを考えるとロングビルを殺すのはヤバイな・・・ティファ仲間フラグをへし折る気がする。
じゃあ逆に仲間・・・というかティファのことで脅して今後邪魔にならないようにしてもらうか。
まあ、その辺りはおいおい考えよう。
その後にアホリエッタがアルビオンにウェールズに出したラブレターを回収する為にアルビオンに行くことになるよな。
その時にワルドに会うよな。
・・・そういえばルイズの婚約者なのに1回も会わなかったな。
それでアルビオンにいってウェールズに会って、最終的に指輪をゲットしてくるんだっけか。
俺がやることは・・・道中の露払いくらいだな。
そういえばワルドってその後にゼロ戦に乗ったサイトを邪魔しにくるくらいであっさりルイズの虚無に巻き込まれて生死不明になってるから、ここでこっそり止め刺しても問題ないかな?
まあ、そんな暇があったらだけどね。
でアルビオンを制圧したレコンキスタが今度はトリステインに攻めてくるから学院が休校になっちゃうんだよな。
でその暇な間にゼロ戦を探す、と。
俺は・・・ただついていけばいいか。
レコンキスタにはトリステインの王軍だけでは対応出来なかったと思うからちょっと手伝わないとヤバイよな。
けど他国のメイジである俺が直接手伝うと後々なんかめんどくさそうだけど・・・あ、そういえばアニメでもキュルケとタバサがふつうに加勢してたから問題ないか。
そういえばここで一旦レコンキスタのボスを捕まえるんだよな?・・・その後はどうなったっけ?
まあ、ここまでが1期だったな。
・・・確か双月とか三美姫とかの2期とか3期があったんだよな?
え~と・・・2期がレコンキスタとの戦争で最後にサイトが一旦死んだような?
3期が・・・なんだっけ?ティファがやってきてタバサ関係というかガリアにちょっと行く話だったけ?
やべぇ・・・その時って確かアルトアイゼンとかのスパロボ系のプラモが丁度出た頃で借りたDVD流しながらプラモを作ってたからあんまり覚えてない・・・
でもネットの知識でティファやジョゼフやロマリア教皇が虚無だったり、ジョゼフが狂ったように振舞っているのは殺した弟への劣等感だったり、タバサに双子の妹がいたり、このままいくと地中に溜まった風石により大陸が浮かび上がる可能性があること、その他色々微妙に知ってるんだよな・・・。
「どうするかな・・・」
基本的にキュルケと一緒にいたら大丈夫かな?
・・・あ、でも今のキュルケって俺に付いて来るからダメじゃね?
「う~ん・・・」
俺は布団の中でゴロゴロ転がりながらどうしようかと悩んだ。
しばらくそうやってゴロゴロしていたが、突然俺はガバッと体を起こした。
「・・・良し!細かいことを考えてもしょうがない!半端に行動すると後で痛い目を見そうだからな!あのヒイロだって“自分の感情に従って行動するのは間違いではない”みたいなこと言ってたし!俺もそうしよう!」
俺は吹っ切れて、半ば開き直ってそう自分に言い聞かせるように一人で宣言した。
「それに未来が分かっててそれを自分にいいように変更しようとしたらきっと俺の知っている未来と異なってくる可能性だってある、というかほぼそうなると思うな。だから難しいことはあまり考えず俺に出来ることをやればいいんだ!」
俺はあまり先のことを考えたりせずにその時に最善だと思う選択を取ることに決めた。
「行き当たりばったりになっちゃうけど、本来なら未来が分からないから当然の行動だよな!まあ、ちょっとだけ原作知識を使わしてもらうけどね!・・・ふああぁあ。」
自分の今後の指針を決めて少し安心したのか俺は大きくあくびをした。
自分に眠気が襲ってきたことが分かる。
「あれから結構時間が経ったのか・・・あ、結局いつもと同じ時間位になってしまったな。」
俺は横になって布団をかぶり直した。
「・・・明日、いや時間的にはもう今日と言うべきか?とうとう始まってしまうな・・・小説やゲームの冒頭的に言うなら“運命の歯車が廻り出した”って感じなのかな?」
俺はまだ少しドキドキする心を抑えて目を閉じた。
「そういえば・・・俺の使い魔って何になるんだろう?俺もキュルケと同じでサラマンダーかな?」
<次回予告>
召喚の儀、それは使い魔をどこからか自分の目の前に連れてくる儀式。
キュルケにはサラマンダーが、タバサには風竜がくる。
ルイズはサイトを連れてきた。
カトレアさんは海からある生き物を召喚する。
そして俺の目の前に現れたのは……!
第61話『原作開始!使い魔、君に決めた!』
次は5/14頃の更新を目指して頑張ります。