第116話−CP9:カク&カリファ
CP9のBW潜入組の残る2人、カクとカリファはコンビを組んでいる。
これが同時に、というのであれば恣意的なものを疑わねばならなかったが、カリファがまず、ミス・マンデーとなった。ちなみに他に候補として原作の彼女がいたのだが……やりあって勝てる訳がない。
一応手合わせはしたのだが、すぐに彼女が負けを認める事になった。
その後、偶々それまでのMr.8が『事故』で亡くなった事から下から新たにカクが昇進する形で現在のMr.8に収まり、2人でコンビを組む事になった。
彼らがやる事が賞金稼ぎであり、海賊とて好きでやられる奴がいない以上、社員の中には返り討ちにあう者も当然いる。
それ故に、こうした死亡は決して珍しい事ではなく、場合によっては内部情報が洩れる事を防ぐ為の暗殺すら行なわれる為に、前Mr.8の『事故』死も疑問がもたれる事はなかった。
さて、BW所属の賞金稼ぎ達は大きく分けると2つに分かれる。
片方は原作のウイスキーピークが代表例だろう。
同じ組織に所属している利を活かし、集団でのチームを組み、海賊を油断させ大勢で襲う。
これだと1人当たりの儲けは確実に減る。
だが、反面安全性は格段に増す。
もう片方はその真逆だ。
1人ないし2人程度のチームで海賊を狩る。
これだと危険性は格段に増す事になるが、反面、上手く行った時の儲けは前者を大きく凌ぐ。
どちらが正しいという訳ではない。
敢えて言うなら、どちらも正しい。
自分の力量を把握し、自分が生き残れる道を選ぶ。如何に大金を稼いでも自分が死んでしまっては意味がないし、反面、力があるのに何時までも安全に小銭を稼いでいては上に上がれない。
無論、カクとカリファのコンビは後者だ。
「悪いのう、ここでお前さん達の旅は終わりじゃ」
グランドラインに入ってきた後、極めて幸運にも比較的トラブルなく進んできたのだろう。
前半の海を半ばすぎようかという所まで来ながら、未だ2000万に届いてない賞金首を前にカクはそう告げた。別に格好付けなぞではなく、死屍累々と呼ぶ有様が相応しい周囲の光景を見れば、むしろ当然の言葉と分かるだろう。
「くそ……!なめやがって!」
言うなり、目の前の男の姿が変わっていく。
ほう、と感心したような声をカクは上げる。どうやら、本気で運が良い海賊だったようだ、まさか悪魔の実まで手に入れていようとは。
「これが俺の……ワニワニの実モデル:メガネカイマンだ!」
ふむ、とカクは顎に手を当てる。
目の前には完全に服を着たワニと化した海賊がいる。
「……いいじゃろう」
言いつつ、カクもまたその姿を変える。
「なら、ワシも見せてやろう……これがワシの悪魔の実の能力。ゾオン系古代種、ゾウゾウの実モデル:マンモス、じゃ」
カクが悪魔の実の能力を使ったのは別に面白半分でも、相手に合わせてやった訳でもない。もちろん、見せびらかしたかった訳でもなく、純粋な意味合いがある。
カクは悪魔の実の能力者となってまだ日が浅い。
【生命帰還】の技を用いて、獣人とでも呼ぶべき姿になっているが、失敗して完全にマンモスの姿になってしまった事も1度や2度ではない。
平時なら問題はない。
問題は戦闘時だ。
如何に格下が相手であろうとも、戦闘では緊張がそれなりに発生もするし、強者が相手となればギリギリの所で制御出来ないと困る。故に能力者となってからは、カクは積極的に悪魔の実の能力を使う事にしている。もちろん、BWの目がない所限定だが。
「鼻銃(ビガン)!」
鋭く伸びた鼻が相手に突き刺さり、結局それだけで戦闘は終わった。
「……カリファ、どうじゃ?」
周囲を警戒していたカリファがしばらく耳を澄ませていたが、問題ないと首を縦に振る。
「大丈夫そうですね。周囲に意識のある存在はいません」
カリファもまた、悪魔の実の能力者だ。
カリファの食った悪魔の実はパワパワの実。身体能力を一種類強化する事が出来る。今はそれで、周囲の確認をしていたのだった。
「どうです?慣れましたか?」
最近は、2人して悪魔の実の欠点と利点を洗い出すと同時に、それに慣れる為に実戦を積み重ねている。
今日のような相手は雑魚だったが、中には億に迫る相手もいた。
「……以前よりは大分マシになったようじゃのう。とにかく、ルッチが新世界側に回る以上ワシらはこちらの海の事を探らにゃならん」
先だっての情報で、Mr.6ことルッチが新世界へ異動する事が確定した。
確かに、重要拠点の情報を探るという意味では嬉しい話だが、喜んでばかりはいられない。
幾等重要拠点の幾つかを新世界に移したからといって、今現在で尚、一番クロコダイルが狙っている可能性の高い場所がアラバスタ王国であるという事実は変わらない。
当然、グランドライン前半の海には前半の重要性があり、そちらの調査も怠れるものではない。
「……こっからは余り目立たないよう気をつけにゃならんのう」
「そうね、潜入組が全員新世界へ行って、こっちが全然探れない内に手遅れになりました、じゃ笑い話にもならないわ」
確認しあいながら、2人は再び任務へと戻っていった。
今回はカクとカリファでした
次回はフクロウにするか、ブルーノにするか、クマドリにするか……
以下は2人の悪魔の実について
カク
【ゾオン系古代種ゾウゾウの実モデル:マンモス】
イメージ的には某キン肉マンのマンモスマン的なイメージが近い
獣人化すると手足の肥大化(筋力の増大)などが起ると共に、鼻が伸び、長大な牙が生える
この牙を用いての6刀流並の技を用いれないか試行錯誤している
パワーや頑強性に優れる分、敏捷性は劣る
カリファ
【超人系パワパワの実】
肉体の何か一種類の力を強化する事が出来、例えば嗅覚を強化すれば猟犬さえ越える嗅覚を、視覚を強化すれば夜闇さえ見通す
また、筋力を強化する事で強大な力を発揮する事も出来る
反面欠点としては、常に何か強化しておかねばならず、完全なOFFは出来ない(通常は解毒作用を強化している)
切り換えが自分の意志によるもので、自動では起きない為、突発的な事態、例えば視覚強化中の閃光弾などを喰らえば酷い事になる
また、一種類しか強化出来ない為、筋力を強化して強大なパワーを発揮した場合、その直後に筋繊維の断裂、耐えられなくなった骨の骨折や脱臼などが起る為、激痛に見舞われる事になる
また、治癒能力強化によって、治癒が完了するまで、そうなった部位がしばらく使用不可に陥る事もある