第14話−子供への対応
「馬鹿ですか、貴方は」
相手が中将である事は分かってても、そう言いたくなった、いや言ってしまった自分を許して欲しい。
分かってはいるんだ、これが今の自分にとっての現実の世界であり、そうである以上、佐官が将官の批判を行うのはよろしくないと。けれど、まあ、これはオフでの発言って事で勘弁してもらいたい。
……どうしても言いたくなったんだ、ガープ中将の行動をいざ見ると。
ガープ中将の息子、孫、養子。
いずれも中将自身は立派な海兵に、と望みながら、誰一人として海軍に入る事はなかった。
その理由を何となく知る事が出来た気がした。
中将の子育て孫育ては過激というのさえ生易しい。というか、間違った方向へ全力全開投球という感じだ。
最初の騒動は、孫を鍛えると称してどこぞの無人島に放り出そうとした時だ。
……1歳の子供を、だ。
幾等見張りというか、危険と思った時介入する為の人間をつけるとはいえ、何を考えてやがるのか。ちなみに、自分が知った理由は単純だ、ガープ中将、俺に頼んできたのだ。その介入というか見張り役を。
それで嫌な予感がして、まさか……と思いつつ確認してみると、エースは山の上の山賊に預けたのだという。それも、なんちゃって山賊ではない、窃盗・詐欺・略奪・人殺しまでやって来たれっきとした山賊だったらしい。
もう、しない事を誓う事と、孫を育てる事を条件に見逃してやったというが……絶対まだやってるだろう。彼らの住居は山の上。そうなると、畑などを耕す事は困難だ。
無論、森の恵みや動物を狩る事は出来るだろうが、てっとりばやいのは間違いなく山賊家業だ。
さて、そんな処に子供を放り込んだとして、果たしてどうなるだろうか?
ガープさんはどう考えてるのか知らない。
或いは、犯罪者の手口をきっちり学んで将来に役立てろとか、或いはああいう奴らの行動見てれば、ああいう仕事が良くない仕事な事を理解するだろう、と考えているのか……いや、これだとガープさんが連中が未だ犯罪してるのを知った上で見過ごしてる事になってしまうな、そうすると、素直に厳しい環境の中に放り込む、という事だろうか……。
しかし、だ。
現実はどうだろうか?
……まあ、普通に考えて手伝いという形で犯罪の道へ引きずりこまれるのがオチだろう。
鍛えたいのなら、普通に海軍の支部で信頼出来る人間にでも預けなさいよ……。
そもそも人格の形成は幼少時の経験や体験が大きな影響を与えているとされている。
基本的に愛情を注がれてるかどうか、などは主観的なものなので、親と子の認識は一致しない事がある……正に今のガープさんがやってる事だろう。
小さい頃は目に見える形での愛情を注ぐ事が重要……まあ、こういうのは本とかでも溢れてた元の世界なら昨今割とよく知られてる事だった訳だが……これらを踏まえて、今のガープ中将の行動を見てみれば……。
・幼い頃から、1人ジャングルに放り出す
・幼い頃から、親と引き離して、全然関係ない犯罪者に預ける
……うん、大人になったエースやルフィがあんな明るい性格になったのが信じられないぐらいだね!いや、漫画で読んだ幼少時のエースの様子を見る限り、本来はもっと危険な人物になっていたはずだ。……山賊ダダンの処でも愛情を注がれていたようじゃなかったようだしね……。
少なくとも、『お爺ちゃんのいる海軍に入りたい!』って思える要素の欠片も見当たらない。
という訳でそこら辺ガープ中将に説明した訳だが……。
「なあに、大丈夫じゃ!儂の孫じゃからな!」
そういう問題じゃねえんだよ……!
という訳で、冒頭の発言へと遂になってしまった訳だ。
そして、今、自分はというと、山賊ダダンのアジトへと向っている。
ついてきているのはアリスのみ。
まあ、このぐらいの自然環境なら、熱帯ジャングルで走り回って、獲物を狩っていた自分らは何ら問題ない。普通の人の感覚で言えば、平地を走るのと大差ない速度で……いや、まあ、基本の速さが違うけど、とにかく高速で森の中を駆け抜けてゆく。
『とにかく、1度エース君連れ戻してきますから、その間絶対ルフィ君、放り出したりしないで下さいよ!』
ガープさんは約束は破らない人だから、『わかったわかった』と、いい加減そうな返事でも、その辺は大丈夫だろう。
この島は大きい。
『不確かなものの終着駅』、元の世界でも同じようなものがあった。有名なのが、というか正にフィリピンのスモーキーマウンテンだ。そんなものが出来るには、それだけのゴミを排出するだけの存在が必要だ。フーシャ村1つで賄えるような量のゴミではない。
結構大きな町がある……だからこそ、ストリートチルドレンのような生活をしていても、何とかなってしまうのだろう。
時折、方向を確認しつつ、コルボ山の山賊のアジトへと向う。
さすがに目立つような所に作られてはいないので、時折足場を形成したり、月歩で上空へと昇り、建物を探す。
ガープ中将に場所を聞いてはいたが、あの人そこら辺いい加減だからなあ……。
それでも、無事到着出来た。
ここに来るまでに、猛獣とかもいたんだが、アリスが睨んだらこそこそ逃げていった。
(ゴンゴン)
と扉をノックする。
剃の速度で玄関前に降り立ったから、見張り台からもろくに見えていなかった筈だ。お陰で、なにやら中では慌てたような音がする。
ガチャリ、と扉が開くと、完全武装で身を固めた山賊達が立っていた。
先頭に立っているのが、原作でのエースとルフィの仮親だったダダンだろう。
「一体どこの誰……って海軍!?」
「……海軍本部アスラ大佐だ。聞きたい事がある」
って言ったんだけど、パニックに陥ったのか連中武器を抱えて向ってくる。
まあ、さすがに東の海。
原作のフーシャ村で、1千万に満たない賞金首がシャンクス相手にでかい顔してた事考えると、この程度か……無論、瞬殺した。怪我なんて負わせてない。グランドラインではこういう事は船長クラスは出来るような奴は限られていた……まあ、あそことここを比較するだけ無駄だが。
「え〜と、すいません、それで何の御用でしょうか?」
えへへへ、とばかりに愛想笑いをしている面々。
勝てないと見るや、この変わり身はまあ、こちらとしては有難い話ではある。手間が省ける。
「エースはどこだ?」
「へっ?」
「ガープ中将から預けられている子供がいる筈だ。どこにいる?」
俺がそう言うと、やばい事がばれたかと思ったのだろう。
連中、自分達は何も知らないだとか、預けられてるだけだとか、必死に言い訳し出した。……別に、お前らがどうこうって事じゃなく、子供の教育に悪いから、ただ単に村に連れ戻しにきただけだと言ったら掌返したように、あっさり教えてくれたが。
どうやら、エースはエースって事らしく、既に彼らには手に負えなくなりつつある、という事だろう。
何でも予想通り、森に入ってまだ帰ってきていないらしい……とすると……。
「『不確かなものの終着駅(グレイターミナル』か、どっちだ?」
確かエースが資金集めをはじめたのは5歳の頃から……そろそろいてもおかしくない時期、か……。
ダダンから場所を確認すると、俺はそちらへ再び走り出した。アリスも音もなくついてくる……匂い大丈夫かな。スモーキーマウンテンもそうだけど、自然発火してるゴミ山なんて悪臭の巣だろう。
……あ、山賊ほったらかしだった。
まあ、いい。見逃してるのは、中将本人だ。責任も自身で取ってもらおう。
「馬鹿ですか、貴方は」
相手が中将である事は分かってても、そう言いたくなった、いや言ってしまった自分を許して欲しい。
分かってはいるんだ、これが今の自分にとっての現実の世界であり、そうである以上、佐官が将官の批判を行うのはよろしくないと。けれど、まあ、これはオフでの発言って事で勘弁してもらいたい。
……どうしても言いたくなったんだ、ガープ中将の行動をいざ見ると。
ガープ中将の息子、孫、養子。
いずれも中将自身は立派な海兵に、と望みながら、誰一人として海軍に入る事はなかった。
その理由を何となく知る事が出来た気がした。
中将の子育て孫育ては過激というのさえ生易しい。というか、間違った方向へ全力全開投球という感じだ。
最初の騒動は、孫を鍛えると称してどこぞの無人島に放り出そうとした時だ。
……1歳の子供を、だ。
幾等見張りというか、危険と思った時介入する為の人間をつけるとはいえ、何を考えてやがるのか。ちなみに、自分が知った理由は単純だ、ガープ中将、俺に頼んできたのだ。その介入というか見張り役を。
それで嫌な予感がして、まさか……と思いつつ確認してみると、エースは山の上の山賊に預けたのだという。それも、なんちゃって山賊ではない、窃盗・詐欺・略奪・人殺しまでやって来たれっきとした山賊だったらしい。
もう、しない事を誓う事と、孫を育てる事を条件に見逃してやったというが……絶対まだやってるだろう。彼らの住居は山の上。そうなると、畑などを耕す事は困難だ。
無論、森の恵みや動物を狩る事は出来るだろうが、てっとりばやいのは間違いなく山賊家業だ。
さて、そんな処に子供を放り込んだとして、果たしてどうなるだろうか?
ガープさんはどう考えてるのか知らない。
或いは、犯罪者の手口をきっちり学んで将来に役立てろとか、或いはああいう奴らの行動見てれば、ああいう仕事が良くない仕事な事を理解するだろう、と考えているのか……いや、これだとガープさんが連中が未だ犯罪してるのを知った上で見過ごしてる事になってしまうな、そうすると、素直に厳しい環境の中に放り込む、という事だろうか……。
しかし、だ。
現実はどうだろうか?
……まあ、普通に考えて手伝いという形で犯罪の道へ引きずりこまれるのがオチだろう。
鍛えたいのなら、普通に海軍の支部で信頼出来る人間にでも預けなさいよ……。
そもそも人格の形成は幼少時の経験や体験が大きな影響を与えているとされている。
基本的に愛情を注がれてるかどうか、などは主観的なものなので、親と子の認識は一致しない事がある……正に今のガープさんがやってる事だろう。
小さい頃は目に見える形での愛情を注ぐ事が重要……まあ、こういうのは本とかでも溢れてた元の世界なら昨今割とよく知られてる事だった訳だが……これらを踏まえて、今のガープ中将の行動を見てみれば……。
・幼い頃から、1人ジャングルに放り出す
・幼い頃から、親と引き離して、全然関係ない犯罪者に預ける
……うん、大人になったエースやルフィがあんな明るい性格になったのが信じられないぐらいだね!いや、漫画で読んだ幼少時のエースの様子を見る限り、本来はもっと危険な人物になっていたはずだ。……山賊ダダンの処でも愛情を注がれていたようじゃなかったようだしね……。
少なくとも、『お爺ちゃんのいる海軍に入りたい!』って思える要素の欠片も見当たらない。
という訳でそこら辺ガープ中将に説明した訳だが……。
「なあに、大丈夫じゃ!儂の孫じゃからな!」
そういう問題じゃねえんだよ……!
という訳で、冒頭の発言へと遂になってしまった訳だ。
そして、今、自分はというと、山賊ダダンのアジトへと向っている。
ついてきているのはアリスのみ。
まあ、このぐらいの自然環境なら、熱帯ジャングルで走り回って、獲物を狩っていた自分らは何ら問題ない。普通の人の感覚で言えば、平地を走るのと大差ない速度で……いや、まあ、基本の速さが違うけど、とにかく高速で森の中を駆け抜けてゆく。
『とにかく、1度エース君連れ戻してきますから、その間絶対ルフィ君、放り出したりしないで下さいよ!』
ガープさんは約束は破らない人だから、『わかったわかった』と、いい加減そうな返事でも、その辺は大丈夫だろう。
この島は大きい。
『不確かなものの終着駅』、元の世界でも同じようなものがあった。有名なのが、というか正にフィリピンのスモーキーマウンテンだ。そんなものが出来るには、それだけのゴミを排出するだけの存在が必要だ。フーシャ村1つで賄えるような量のゴミではない。
結構大きな町がある……だからこそ、ストリートチルドレンのような生活をしていても、何とかなってしまうのだろう。
時折、方向を確認しつつ、コルボ山の山賊のアジトへと向う。
さすがに目立つような所に作られてはいないので、時折足場を形成したり、月歩で上空へと昇り、建物を探す。
ガープ中将に場所を聞いてはいたが、あの人そこら辺いい加減だからなあ……。
それでも、無事到着出来た。
ここに来るまでに、猛獣とかもいたんだが、アリスが睨んだらこそこそ逃げていった。
(ゴンゴン)
と扉をノックする。
剃の速度で玄関前に降り立ったから、見張り台からもろくに見えていなかった筈だ。お陰で、なにやら中では慌てたような音がする。
ガチャリ、と扉が開くと、完全武装で身を固めた山賊達が立っていた。
先頭に立っているのが、原作でのエースとルフィの仮親だったダダンだろう。
「一体どこの誰……って海軍!?」
「……海軍本部アスラ大佐だ。聞きたい事がある」
って言ったんだけど、パニックに陥ったのか連中武器を抱えて向ってくる。
まあ、さすがに東の海。
原作のフーシャ村で、1千万に満たない賞金首がシャンクス相手にでかい顔してた事考えると、この程度か……無論、瞬殺した。怪我なんて負わせてない。グランドラインではこういう事は船長クラスは出来るような奴は限られていた……まあ、あそことここを比較するだけ無駄だが。
「え〜と、すいません、それで何の御用でしょうか?」
えへへへ、とばかりに愛想笑いをしている面々。
勝てないと見るや、この変わり身はまあ、こちらとしては有難い話ではある。手間が省ける。
「エースはどこだ?」
「へっ?」
「ガープ中将から預けられている子供がいる筈だ。どこにいる?」
俺がそう言うと、やばい事がばれたかと思ったのだろう。
連中、自分達は何も知らないだとか、預けられてるだけだとか、必死に言い訳し出した。……別に、お前らがどうこうって事じゃなく、子供の教育に悪いから、ただ単に村に連れ戻しにきただけだと言ったら掌返したように、あっさり教えてくれたが。
どうやら、エースはエースって事らしく、既に彼らには手に負えなくなりつつある、という事だろう。
何でも予想通り、森に入ってまだ帰ってきていないらしい……とすると……。
「『不確かなものの終着駅(グレイターミナル』か、どっちだ?」
確かエースが資金集めをはじめたのは5歳の頃から……そろそろいてもおかしくない時期、か……。
ダダンから場所を確認すると、俺はそちらへ再び走り出した。アリスも音もなくついてくる……匂い大丈夫かな。スモーキーマウンテンもそうだけど、自然発火してるゴミ山なんて悪臭の巣だろう。
……あ、山賊ほったらかしだった。
まあ、いい。見逃してるのは、中将本人だ。責任も自身で取ってもらおう。