第151話−決断と焦燥
ブルックはとりあえず、双子岬を目指す、という事でエース達の船に同乗する事になった。
アスラの戦艦メルクリウス号は最新の技術で……というか、船底に海楼石を敷き詰める事で、カームベルトを比較的安全に踏破可能になっている。
無論、偶然海王類に出くわす可能性はゼロではないが、1体や2体程度ならば海軍本部中将クラスの相手ではない。
この為、アスラはリヴァースマウンテン、ひいては双子岬を経過せずに海軍本部へと帰還する一方、普通にグランドラインに入る予定のエース達は必ず双子岬を通過する。どうせ通り道なら、という訳だった。
割とブルックは皆に溶け込んでいた。
ルフィはブルックが音楽家と聞いて、自分の仲間にとなれ、と海軍に勧誘していたが……ブルックの夢を叶えるという意味では海軍では自由に航海を続けるという訳にはいかない。
海軍は命令を受けて航海を行なうからだ。
エース達はエース達でブルックを勧誘している。
話を聞いている内に、ブルックが音楽だけでなく、航海術にも優れた知識を持っている事が分かったからだ。
何しろ、ブルックは彷徨っている間、する事がなかった。
最初は音楽を練習していた。
ピアノを、バイオリンを、様々な楽器を練習し、演奏していたのだが……何しろ、ブルックはこの体になってから睡眠の必要性も食事の必要性もなくなった。そうなるとやりまくって……15年もした頃には船にある音楽でソラで弾けないものがなくなった。
続いて手を出したのは書物だった。
船に積んであるような書物だ。娯楽本などは他の船を探してもごく僅かで、殆どは航海に関する本だ。
読んで、勉強して、分からない所は読み直して……気付けば20年余り。自らの、ルンバー海賊団の船だけでなく、霧の海を彷徨う他の船からも回収して手に入れた本をも読み……すっかり知識に関しては航海術も身につけていた。
まあ、さすがに実地の経験が皆無なのは仕方ないが、ブルックにはグランドラインの前半を航海してきた経験がある。航海術をここまで取得している者が他にいない為、エース達としては単純な戦力としてだけでなく、航海術を取得した人間(?)をこれからグランドラインを旅する為に確保したい所だ。
ブルックとしてはそれは構わないのだが、問題が2つ。
1つは仲間であるラブーンの存在だ。
ラブーンが双子岬に無事戻ってきていれば問題はない。
だが、問題は戻ってきていなかった時だ。
その時はブルックは待つ事を決めている。果たして、その時エース達はどうするのか、という問題がある。
2つめはブルックの目的はグランドライン一周なのに対して、エース達はそれぞれにまた目標が異なる。ただ……。
「う〜ん、俺も未だ目的がはっきりしてないしな……グランドライン一周に付き合うのもいいかもしれない」
「そうだな、それもいいかもしれない」
「まあ、俺は構わないぜ。別に俺の目指すものは影響ないしな」
「私の目的にも別に影響ありませんね」
「まあ、折角だし付き合うさ。……それに世界を回ればひょっとしたら」
いざ考えてみると、別に付き合って不都合がある訳でもない。
エース達はグランドライン一周を目指すか、という話になりつつあった。
ルフィはそれを羨ましがっていたが……。
一方、それを聞いて鋭い視線を一瞬向けたのがアスラだった。
……グランドラインを一周するという事はただの冒険では済まない。
ひとつなぎの大秘宝——ONE PIECE。
グランドラインを制覇するという事は、それを手にする危険がある故に、世界政府はONE PIECEの存在を消してきた。……それが今の世界をひっくり返す危険があるが故に。
彼らは白ひげがそうであるように興味はないのかもしれない。
だが、ここで大きな問題がある。
【海賊王ゴールド・ロジャーの子が、再びグランドラインを制覇する】
エースの出自がここで影響してくる。
無論、これを知る者は僅かだが……1人危険な相手がいる。すなわち、革命軍総司令官ドラゴン。ガープの息子であり、ルフィの父である彼ならば当然、エースが我が子ではない事を知っている。
ならば、誰の子なのか。
ガープはこれまで幾人もの海賊と戦い、その中には殺めた者も多数いるが、その子を引き取った事は1度もない。いや、無論海軍の施設に預けたような例はあったが、子として引き取った者はいない。薄情と言うなかれ、そんな事をしていてはきりがないからだ。
では、何故エースだけ?
……考えすぎかもしれない。けれど、可能性は、ある。
(くそ、こう悩む事になるのであれば、あの時ブルックを粉々に砕いておくべきだった、か?)
原作の登場キャラだから、再び会わせてやりたいと思った話だったから、そう思ったから手を出した。
けれど、ルフィ達ではなくエース達との出会いが、エース達にグランドライン一周を考えさせてしまうとは……エース達だけならばグランドライン一周を止める手は幾らでもあった。
だが、ブルックを止める事は難しい。
そして、今更エース達を止める事も、ブルックを砕く事も難しい。
この時宿った焦燥はアスラの胸を焦がし続ける事になる。……あの瞬間まで。
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ルフィではなく、エースだからこそグランドライン一周は拙い
ブルックの夢だからこそ、それを阻むのは難しい
そんな感じに書けてたら幸いです
……同じ海の事に関して、現実では物凄く言いたい事が起きましたが、政治的な事なのでこれ以上は黙っておきます
しかし、やはりやらかしたか……
↓闊亥袖縺ッ縺ェ縺縺九b縺励l縺ェ縺
だが、ここで大きな問題がある。
【海賊王ゴールド・ロジャーの子が、再びグランドラインを制覇する】
エースの出自がここで影響してくる。
無論、これを知る者は僅かだが……1人危険な相手がいる。すなわち、革命軍総司令官ドラゴン。ガープの息子であり、ルフィの父である彼ならば当然、エースが我が子ではない事を知っている。
ならば、誰の子なのか。
ガープはこれまで幾人もの海賊と戦い、その中には殺めた者も多数いるが、その子を引き取った事は1度もない。いや、無論海軍の施設に預けたような例はあったが、子として引き取った者はいない。薄情と言うなかれ、そんな事をしていてはきりがないからだ。
では、何故エースだけ?
……考えすぎかもしれない。けれど、可能性は、ある。
(くそ、こう悩む事になるのであれば、あの時ブルックを粉々に砕いておくべきだった、か?)
原作の登場キャラだから、再び会わせてやりたいと思った話だったから、そう思ったから手を出した。
けれど、ルフィ達ではなくエース達との出会いが、エース達にグランドライン一周を考えさせてしまうとは……エース達だけならばグランドライン一周を止める手は幾らでもあった。
だが、ブルックを止める事は難しい。
そして、今更エース達を止める事も、ブルックを砕く事も難しい。
この時宿った焦燥はアスラの胸を焦がし続ける事になる。……あの瞬間まで。