第八歩
私は前日に行われた作文はその時間内に書きあげることはできなかった。
しかし、その作文もその日のうちに完成させた。
きっとそれのおかげであろう学校に向かう足取りが軽い。
そう何も怖いものなんかないぐらいに。
きっと今日は良い一日になるのではないだろうか。
今日は気分がいいし帰りにケーキでも買っていこう。
そんなことを考えながら、歌いだしそうな気分で登校するのであった。
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「先日行われたテストを返却します。
このテストでの90点以上を出席番号順にを拾っていくと・・・97、92、100、93、95ですね。
何問か課題と同じ問題でしたが全体的によくできていました。
点数も70点台以上が過半数でしたし。
ちなみに追試者はいません。
では名前が呼ばれたらとりに来てください。」
今は数学の授業。
現在はこの教科を含めれば国語を除いた4教科が返却されている。
前世の記憶や、勉強の成果か、今のところ、全教科満点採れている。
まあさすがに、中学レベルの英語や理科で間違うようなことはない。
社会も、今回の範囲が地理であることが幸いし苦労することなく点数を採ることができている。
これがもし歴史ならこうはいかなかったと若干安どしているのが本音であるが。
「鈴木裕也君。」
自分が呼ばれる。
先生のところに行きテストを受け取った。
やはり100点。
「さすがですね。
これからも頑張ってください。」
私は苦笑で返した。
先生にそう声を掛けられるがはっきり言ってしまうとあまりうれしくはない。
この気分を表すとしたら、市民マラソンに参加して、ドーピングして優勝する気分だろう。
達成感が全くない。
理系科目とセンターのために使っていた地理に関しては、簡単な計算問題を解かされてるも同然な状態なのだ。
なんだか周りに悪い気がしてくる。
だが手を抜くのは家族にも、問題を作ってくれている先生にも悪いので絶対にやらないが。
一応解説を聞き、途中から自分に幻術をかけ、幻術内で、その時間を自習時間として過ごした。
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国語。
私にとってこの教科は唯一周りと競うことのできる教科だ。
漢文と古文のテストなら話は違ってきてしまうが、中学2年生ではほとんどない。
そして、今回は現代文のみ。
どれぐらいとれているか素直にちょっと緊張していた。
「じゃあテスト返却するぞ。
ちなみに追試者は2人な。
じゃあ名前呼ぶぞ。」
その言葉に緊張がさらに高まる。
心臓が早鐘を打つように鼓動する。
「佐藤。」
私の一つ前が呼ばれる。
もはや心臓が飛び出そうに緊張する。
「鈴木。」
自分の名前が呼ばれる。
「なあ、鈴木。
俺はお前に言いたいことがあるんだ。」
先生の反応にさらに緊張が高まり、心臓が飛び出るような心地がしてくる。
「おまえさ、国語のテスト手を抜いたりしてないよな?」
その言葉に思わず首をかしげてしまう。
先生は続ける。
「ほかの教科の点数は聞いてるぞ。
さすがだと言える。
けどさ、なんでほかに比べて国語はこんな低いわけ?
まあ深くは言わないけど。」
一瞬死刑宣告かと思った。
そしてテスト用紙を見る。
そこにはこう書かれていた。
『51』
私は安どのあまり思わず崩れ落ちそうになる。
周りはその反応に追試かと思ったらしいが私は周りに自分のテストを見せ違うことを示す。
周りはそれで察してくれ、一緒に喜んでくれた。
私はこのクラスになれたことをその日初めてよろこんだ。
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世界の悪意が見える。
今はそんな気分だ。
理由は簡単だ。
ときは放課後。
それはとある人物によりかけられた言葉に起因する。
「裕也君。
ちょっとお話いいかな?」
そうなのはによる呼び出しだ。
・・・私、今日死ぬのだろうか?