第十二歩
sideなのは
私は現在屋上にいる。
理由は簡単。
裕也君のあの恐怖に染まった眼の真相を知るため。
そして、友達になるためだ。
この屋上を選んだのもちゃんと理由がある。
放課後はほとんど人が立ち寄らないため話しやすいだろうからだ。
それに学校の中でもここはすごく開放的な雰囲気があり、こういう自分をさらけ出すような話はしやすいだろうからだ。
そうこうして裕也君が声を発する。
それと同時にはやてちゃんから念話が届く。
予想外のところからの反応にびっくりしてしまうが、すぐに落ち着き、どちらにも対応できるようにする。
「ところでなのはさん。
話って何?」
≪なのはちゃん今どこにいるんや?≫
裕也君からは予想道理の反応がやってきた。
しかし、はやてちゃんは何を言っているのだろうか?
ここに来る前に事前に屋上で話すことは言っておいたはずなのだけど。
≪屋上にいるけど何かあったの?≫
「えっとね。
ちょっと聞きたいことがあるの。
裕也君に私なにかしたかな?」
≪えっとな、屋上に行く階段のところに張り紙と、立ち入り禁止のコーンがあったんや。
だから別の場所なんかな〜と思ってな。
もしかしてこれなのはちゃんが人が来ないように用意した奴なんか?≫
はやてちゃんからまさかの連絡が来る。
もちろん張り紙やコーンなんて用意していないし、ましてや私たちがここに入ってきたときにはそんなものはなかった。
それに、もし私たちが入った後に設置されたものだとしても、私たちが屋上に来てからまだ5分もたっていない。
おかしすぎる。
そうしている間にも状況は変化し続ける。
「自分は何かされた記憶はないけどなんで?」
裕也くんの顔をみる。
嘘は言ってないようだ。
だとするとあの眼はなんでなんだろう。
≪とりあえずそれは私が用意したものじゃないよ。
ところでその張り紙になんて書いてあるの?
もし危ないことなら早めに切り上げてここから離れなきゃいけないけど。≫
「そうなの?
いつも私が話しかけたときすごく怯えた眼をしていたから。
隣の席だし。
やっぱりそういうのは悲しいから・・・。」
私の言葉に裕也君はこう返してくれた
「そうだったんだ。
ごめんね。
そんなことしてるつもりはなかったんだけど。
実は、昔近所になのはに似たお姉さんがいたんだけど、その人が怖い人だったんだ。
きっとそのせいだね。
あはははは。」
≪えっとな。
屋上の貯水タンクの清掃やって。
予定では後10分ぐらいで業者さんがくるみたいやからもうでないとやばいかもしれんな。≫
この不自然な笑い。
間違いなく裕也君は嘘をついている。
裕也君はうそが下手なようだ。
まあ嘘がつけないのは人としては美点である。
ここまできて嘘をつくなんてよっぽどの事情なんだろう。
これはちょっとずつ仲良くなって聞き出すしかないようだ。
それにタイムリミットも近づいている。
なんだかため息が出てしまう。
「そうなんだ。
そんなことがあったんなら慣れるまで時間かかるかもしれないけどこれから仲良くしようね。
じゃあまた明日ね。」
そうこれからゆっくり仲良くなっていけばいいのだ。
気持ちを切り替えることにした。
とりあえず先生に見つからないように撤収だ。
「うん。
じゃあまた明日ね。」
そう裕也君が返し出て行こうとした時に状況に変化が起きた。
≪えっ!?≫
はやてちゃんのほうに何かがあったのか変な声を上げる。まさかもう先生たちが来ちゃったのだろうか?
それならちょっとまずい。
≪はやてちゃんどうしたの?
もしかして先生たちもう来ちゃった?≫
≪なのはちゃんちがうんよ!
裕也君が下りてくる直前に急に張り紙とコーンが消えたんや!
はっきりいってわけわからへん。
とりあえずなのはちゃんも降りてきてや。≫
張り紙とコーンが突然に消える。
私もわけがわからない。
しかしはやてちゃんが嘘をついているとは思えないし。
まさか裕也君も魔導師でそういう特殊な魔法が使えるとか・・・。
まあ冗談であるが。
けどさすがにそれはないよね?
次回から勘違いが加速し、少しシリアスっぽくなったりならなかったり。