第十五歩
私は今ケーキを選んでいる。
そこはこの町では有名な喫茶店で、立地からなのか学校帰りの学生の憩いの場としても人気の高いお店だ。
名を『翠屋』という。
最近もテレビで映っていたこのお店に実は私は来たことがなかった。
一度は行ってみようと思っていたのだが、なんだかめんどくさくて結局来ることはなかった。
そして、ここのメニューの豊富さもあり今は何を買おうかすごく悩んでいる。
やはり悩むなら、脱出手段どうしようとか、幻術をどのように使って逃げようとかよりずっとケーキ何買おうと悩んでいる方がいい。
なんて言うのかこうほっこりした気分になる。
「あの、店員さん。」
「さっきから悩んでいたみたいだけど決まったのかい?」
ここのマスターさんが聞いてくる。
ここのマスターさんはなんて言うかすごくかっこいい。
雰囲気からしてさわやかで、イケメンとはこの人に捧げる言葉なのだろうと思う。
「いえ。
悩んでたら、決められなくなっちゃいまして、お勧めとかってあります?」
「今日のお勧めはシュークリームかな。
もしコーヒーが大丈夫なら、今日はいい豆が入ってるからコーヒーもお勧めだよ。」
「じゃあシュークリ—ム4つとコーヒーお願いします。
そのうち3つは持ち帰りでおねがいします。」
「わかったよ。
ちょっと待っててね。」
マスターさんが笑顔で返してくれる。
間違いない。
この人はイケメンだ。
誠実でさわやかな雰囲気。
将来はこんな大人になりたい。
きっと自分が子供のころにこの人に出会ったなら、将来の夢は間違いなく喫茶店のマスターっていうぐらいにかっこいい。
私はひそかにこのマスターさんの様な人間像を自分の将来の目標に決めることにした。
そのあと出てきたシュークリームもコーヒーも今まで食べた中でも最高においしい部類で大満足だった。
家族にもお土産として買って、意気揚々と帰路に就いた。
side零
俺は現在本局にいる。
理由は春休みの事件のせいでめちゃくちゃ忙しいからだ。
実際始業式の日からあまり学校にも顔を出せていない。
春休みの事件でガジェットが出現したのは確認できた。
つまり今回の事件はスカリエッティのせいだ。
はっきり言おう。
strikersまであんまり動くなよ!
だってそうだろ。
あと何年あると思ってるんだよ!
このままじゃstrikersが始まる前に過労死してしまう。
第一あのジュエルシードを盗んだって明らかにナンバーズの奴の能力じゃん。
さすがにもう名前は覚えてないが確か、メガネだ。
そう思うとなんだか腹たってくる。
あのマッドサイエンティストの居場所が分かれば逆に襲撃してやりたい気分だ。
本当にやってられない。
「あの零さん。
その書類とってもらっていいですか。」
「わかった。
これか?」
「あ、ありがとうございます!」
そう言って手渡すと声をかけてきた、女性局員が赤面しながら満面の笑みで受け取る。
これがなのは達ならどれだけいいことか。
別に目の前の女性局員が駄目と言ってるわけではない。
俺はそうヒロインたちに誠実でありたいのだ。
まあそれでも、同僚たちへの対応もちゃんとする。
俺は主人公。
味方の誰からも愛され、敵からは恐れられる存在なんだから。
士郎さんがうまく表現できませんでした。
どうか作者の技量不足を許してください