第十九歩
side はやて
この二日間を通して私たちが得たものははっきり言ってなかった。
それどころか、何もしていないはずの私の体は異様な疲れを感じていた。
気力も根こそぎ奪われてしまい何かしようという気も起きない。
「なのはちゃん、フェイトちゃん。
私はいったいこの二日間何をしてたんやろ・・・。」
「はやてちゃん。
私もわからないの。
それになぜか体もだるいし・・・。
翠屋に何か甘いものでも食べに行こうよ。」
「なのは、はやて大丈夫?」
この中で唯一フェイトちゃんはあまり疲れた様子を見せてはいなかった。
理由は簡単、一番辛かった土曜日を過ごしていないからだ。
私はここでこの二日間を少し振り返ることにした。
土曜日。
この日の割と早い時間に変化は起こった。
裕也君が外出したのだ。
それがいつも通り手ぶらで買い物に行くという雰囲気なら見過ごすことができただろう。
しかし、その日は違った。
いつもより動きやすい服装で、手に何かが入ってるであろう黒い色のバットケースのようなものを持っていた。
何をする気なのだろうか?
私はすぐになのはちゃんに連絡し、サーチャーでの監視を続行した。
そして、裕也君がたどり着いたのは海。
ある意味私たちはここで監視をやめたならこんなことにはならなかったのかもしれない。
そこで、裕也君はケースの中から入っているものを取り出した。
私は確かに、あれを見て何かあるのではと思った。
しかし、それを見たとたんに見なければよかったと思った。
なぜならそのものはあることを物語っていた。
取り出されたのは釣竿。
それを確認したと同時ごろになのはちゃんもやってきた。
私は思った。
なのはちゃんには悪いことをしてしまったと。
そして私はなのはちゃんに今の状況を説明して、監視に戻った。
そこからはある意味地獄だった。
映るのは永遠に続くのではないかと思うほどの静止画。
裕也君は全く動かない。
時折首を動かすがただそれだけ。
そして、その後釣れることもなく帰宅。
隣を見る。
そこには今にも裕也君のところに突撃しそうな表情のなのはちゃん。
私は今日監視したことを後悔した。
日曜日。
この日も午前中に出かけていた。
一応なのはちゃんに連絡する。
もちろんあの忌まわしきぼっこを持ってないことと一緒に。
昨日みたいなことになっても悪いので今日は私が行くことにした。
そしてなのはちゃんの家に着くと、すでにフェイトちゃんもいた。
昨日の夕方に帰ってきたらしい。
フェイトちゃんに今までのことを伝え、裕也君の監視に戻る。
裕也君は今日は林の中に入っていった。
もしかしたら裕也君はアウトドアが趣味なのかもしれない。
林の奥の方に入っていき、裕也君は持っていた手荷物からあるものを出した。
ダーツ盤。
私は自分の目が悪くなったのかと思った。
しかし、そんなことはなくなのはちゃんや、フェイトちゃんも驚いた顔をしていた。
だってそうだろう。
何で室内競技のダーツをわざわざ林の中でやるのだろうか。
私は裕也君という人間がわからなくなった。
その後はある意味昨日とは正反対でずっとダーツを投げていた。
その後、今日もまた何事もなかったように帰って行った。
そして、今に至る。
その後、翠屋でケーキを食べていると、ストーカーないい奴こと零君が現れた。
わたし達は素直に思った。
なんでいつもこうタイミングが悪い時に現れるのだろうか。
そして、ぐったりな状態の私たちに、仲間の素晴らしさを零君がうれしそうに語っていた。
私たちは疲れているのもあり、そして、急にそんなことを語りだした零君を若干気味悪く感じてしまった。
いやむしろ零君はどこかで頭でも強打したのだろうか?
疲れていた私たちは、零君の話が終わり次第解散となった。
あぁ疲れた・・・。
ご意見ありがとうございました。