第三十八歩
5月2日。
今日は連休前の最後の登校日。
ここ数日、高町なのはは今までとは一転してこちらに接触を図ろうとはしてこなくなった。
しかし、アリサ・バニングス、月村すずかの両名に関しては、普通に話かけてきている。
これは何かの前触れなのだろうか?
もしや、何か事を起こす前だから接触を絶っているのではないだろうか?
そんな思考を少しして、すぐにその考えをすぐに放棄した。
そんなの理由は簡単だ。
何か行動を起こすつもりなら、むしろいつも道理に接して油断を誘わなければ、意味がない。
もしかしたら、この行動自体が何かの作戦なのかもしれない。
いままで過度に接触し、私を自分たちが疑っていることを示し、精神的に追い詰めて、一時的に接触をなくし、精神的に油断を誘うのが狙い。
もしくは、急な状況の変化により、こちらを動揺させるのを狙っているという可能性もある。
簡単にいえば押してダメなら引いてみろというとこだろうか。
まあどう転んだにしろ私にできるのはこの5名に対して警戒を怠らないことだけだ。
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「ところであんた、なのは達に何かした?
あの3人にあんたの話を振ったら、なのはを筆頭になんだか反応が微妙なんだけど。」
今は休み時間。
アリサが何か疑うような顔をしながらこちらにやってくる。
それに便乗するかのようにすずかもこちらにやってきて続けた。
「それはちょっと私も気になっていたんだけど、何かあった?
喧嘩している風でもないし・・・。」
私はすぐさま警戒態勢に入った。
これは明らかにこちらに揺さぶりをかけに来ている。
さすがにここまで早く行動をしてくるとは思っていなかった。
おそらくここから少しずつこちらの情報を引き出そうと話を誘導してくるだろう。
ならばそうさせないようにうまく流していくしかない。
「いや、自分には心当たりがないよ。
それに横に本人いるんだし直接聞いてみたらいいと思うけど。
そこのとこどうなんですかなのはさん。」
教科書を入れ替えているなのはに私は話を受け流した。
私の予測だとおそらく何か話しずらいないようなら、必ずたらいまわしのようになって勝手に終わるだろう。
そう思っての策だ。
「えっ!?
別にそんなつもりはないかな!
どう思うフェイトちゃん?」
やはり始まった。
なんだかいままで負け続けていたような感じがしていたので、なんだかちょっと気分が良くなった気がする。
「ん?
そうかな。
私はあんまり意識してないけど・・・。
はやてはどう?」
「うちも何もあらへんよ?
どちらかというとそれはなのはちゃんだけやないかと思うんやけど・・・。
そこのところどう思う、ワトソnいやすずかちゃん。」
「無理にぼけなくてもいいと思うけど。
そうだね。
言い方は変だけどなのはちゃんが怪しいかも。
どう思う?
ホームズ役のアリサちゃん。」
「結局あんたも乗るのね。
まあ確かになのは、あんただけは確実ね。
もうここいらで白状しちゃったらどう?」
「いやぁ・・・。
実はちょっとお仕事の方がうまくいってなくて。
ちょっと気落ちしちゃってて、少し上の空だっただけだから気にしないで。」
その言葉でアリサとすずかは何かを察したような顔をした。
「わかったわ。
なら何も言わないけど、無理はするんじゃないわよ。
一応言っとくけどあんたら2人もだからね。」
「りょうかいだよアリサちゃん。」
「了解や。」
「大丈夫だよ。」
そこでチャイムが鳴り、このお話はお開きになった。
しかし、今の会話の終わり方に、アリサとすずかの表情。
確実にあのなのはの発言の中には重要な意味合いがあった。
しかしそれは何だ?
一番の候補はあのバイトという発言だがおそらくあのビーム関係。
もしかしたら、あの中になにか暗号的な意味合いが隠されている可能性もある。
だが一つだけ確定情報としてわかったことがある。
あの5人は全員なのは側の関係者だということ。
そして、もし、あの最後のが暗号会話ならばもうすぐ何か仕掛けくるのかもしれない。
おそらくカウントダウンはもう終わりに近付いている。