アットホーム殺人現場
2話
不時着した宇宙船から連行されたグレイのように、両脇を抱えられて3人に訓練室へ連れてこられました。
というか道中すれ違った機動六課の方々は俺の耳と尻尾を見ても驚かない様子。
疑問に思ったがその答えは簡単だった。
なんとここに着くまでにお仲間に出会ったのだ。
聞けば、ザフィーラとアルフって名前らしい。
犬耳と尻尾を付けたイケメンさんと美人さんだった。
犬耳と尻尾を付けたイケメンさんと美人さんだった。
大事なことなので2回言いました。
何でも八神さんとフェイトさんの使い魔ってやつらしい。
あ、ザフィーラさんは違ったかな……? まぁいいや。
彼らみたいなのがいるから、あからさまに人外でも別に気にならないんだそうだ。
「ん?
てことは俺ってもしかして人間に見られていないのか?」
「私の周りには九本尻尾が生えててて、耳が頭にある状態で人間だぞって主張してる人はいなかったなぁ」
「だ、大丈夫!!
龍也は人間だよ!!」
遠回しに人外発言な高町さん。
何か必死に否定するフェイトさん。
ただ単に、今の自分が人間にカテゴライズされるのか、妖怪なのかを知りたかっただけなので反応に関しては実際どうでもいい。
そして八神。
貴様にはさん付けすらもったいない。
妖怪厨二患者と1人で呟いて1人で笑いを堪えるのはやめてもらおうか。
○ ● ○ ● ○ ●
「じゃあ始めようか」
目の前には目を輝かせたフェイトさん。
八神と高町さんは監視室があるらしく、そこに向かった。
「やる気ですねフェイトさん」
「相手が怪しかったら斬れば分かるってシグナムが言ってたからね!」
オーケー、まだ見ぬシグナムさんは泣くまで説教だな。
斬られたらどう考えてもその後は無いだろうが。
「大丈夫、非殺傷設定だから。
死ぬことはないよ。死ぬほど痛いかもだけど」
おいこら待て、今なんて言った。
そうこうしている内に周りはなんたらシミュレーターで市街地みたいになっている。
フェイトさんがセットアップって言うと服が変わった。
そして準備万端って感じに空に飛んで待機した。
さてっと……
「何故浮いてるし」
魔導師なんだから飛んで当たり前じゃない。
そんな事をのたまうフェイトさん。
あなた魔法が使えるんですか。
初耳なんですが。
ということはここは魔法使いの巣窟ですか。
何か周りが突然市街地になりだした時からやな予感はしてたんだよ。
そんな技術、第三東京でしか観たことないもん。
しかも画面越しに。
しかし、魔導師か……リアル魔法少女を見れても嬉しくないのは何故。
ん? まて。
そういや俺はそもそも力の使い方なんて知らないぞ。
多分、きっと、恐らくオッサンを信じるなら魔法とか気も使えるんだろうが。
信じる対象を大きく間違っている訳で。
仮に使えるとしても未知の力。
自転車も乗り方を知らないと倒れる訳で。
「飛ばないの?」
飛べないの。
「なら、やろうか!」
そんなワクワクしながら言わないでください。
こうなったら、俺がやることはただ1つ。
「タイムを要求すr……」
「それじゃ、はじめ!!」
オワタ。
どこからともなく聞こえてきた高町さんの澄んだ声で詰みが確定した。
歩兵を相手にB29から爆撃とか無敵すぎる。
腹を括る。
もうフェイトさんの攻撃を避けるしか手はない。
何か攻撃の予兆があるはずだ。
そこから回避ルートを導きだす。
無かったらフルボッコ祭りの幕開けだ。
「シュート!!」
きた、予兆きた!!
まさか魔法名を叫んでくれるとは。
実際は何を言っていたのか遠すぎて分からなかったが、何かをシュートしてきた。
何あれ、弾?
ともかく黄色い光の弾が前方上空から降り注ぐ。
前から来るのなら回避は容易い。
少し体を屈めて……全力で右に跳ぶ!!
ズウゥゥゥゥゥゥン
重低音が鳴り響いた。
恐らく彼女の放った弾が地面に炸裂したのだろう。
だが見事に回避した俺はその光景を見ることが出来ない。
何故なら俺は、先ほどいた場所から右に50m程先にあったビルの壁にめり込んでいるからだ。
頭から腰まで埋まって、外には下半身だけが出ている状態。
どうしてこうなった。
「……!! ……!?」
外で何かを言っている声は聞こえるがいかんせん壁の中。
全く聞き取れない。
だが、なんか焦ってるから俺の姿を見失ったのだろう。
今のうちに壁から抜けだして状況を把握する。
というか実際は考えるまでもない。
『全力で』跳ぶ事により50mをほぼ一瞬で移動した。
この体は、正しく最強だったのだ……!!
頭さえ追いつけば。
さっきまで一般人をやっていた俺に、50mを一瞬で移動するような動きをしても見えるはずがにぃ。
つまり、最強のボディー+俺の脳味噌で、あたいったらさいきょーね!!になった訳だ。
謎が解けたところで、壁から這い出る。
攻撃避けてるのにケガするとかどういうことよ。
「あ、いた!!」
あ、見つかった。
フェイトさんが何か杖に力を溜めているご様子。
光景としては、波動砲・発射・5秒前みたいな感じ。
俺消滅フラグ。
まずいまずいまずい。
くそっ、生きたバグキャラの称号を得たあの筋肉ダルマだって言ってたじゃないか。
全ては気合でなんとでもなるって。
気合を入れろ俺!
何か出ろ俺の中の何か!
筋肉ダルマよ、俺に力を!
全力でいくぞ!!
「 適 当 に 右 パ ン チ 」
全力なのに適当とか、というツッコミは聞きません。
必死なんだよ、俺も。
しかも右手からちゃんと俺の中の何かがでた。
俺呆然。
気合って凄いね、本当に何でもできる。
太いビームみたいなのがフェイトさんに迫った。
おかげで大魔法チックな何かを中断させることに成功。
フェイトさん、余裕で俺の渾身の適当に右パンチを回避してるけど。
でも結構驚いている様子。
けどすぐこちらに向き返った。
さて、ここからどうしたものか……
「お?」
フェイトさんの立ち位置を見る。
空中に浮いてはいるものの、彼女の後ろには丁度いい高さのビルがある。
これを見て俺はティンときた。
おもむろにフェイトさんを見上げ、指差し、叫ぶ。
「フェイトさん!!
今のを避けるとはなかなかやるね!!
じゃあこれは避けれるかな!?」
案の定、俺の言葉に警戒している。
さっきの適当に右パンチみたいなのが来ると思っているのだろう。
だがそれこそが俺の思惑よ。
完全にフェイトさんの注意がこっちに向いたところで、全身に力を込める。
イメージするのは、以前友人から聞いたとらハっていうゲームの主人公が使うっていう技。
さっきのやつもノリでいけたんだし、魔法じゃないし、ならばこれも出来るはず……!!
流石最強、本当にできた。
視界がモノクロになる。
世界が止まって見える。
実際は俺が速く動きすぎているだけ。
でも今回は壁にめり込む愚は犯さない。
何故なら、思考スピードも速くなっているから。
俺は今、神の速さで走りだす……!
目指すはフェイトさんの後ろのビル。
何をしているかって?
目の前にいた敵がいきなり後ろに現れてビックリ作戦だ。
なんて脳内解説をしている間にビルに到着。
見上げる。
「………………」
中に入って階段を全力疾走した。
屋上に到達。
フェイトさんの後ろ姿が見える。
もらった……!
フルボッコしかないと思ってた俺にも未来があったよ!!
この距離で右パンチなら当たるはず。
俺はフェイトさんに向かって駆け出し、モノクロの世界から脱出した。
「消えた……? ……っ!? 後ろ!?」
「うおおおぉぉぉぉぉおおお!!!」
今頃気づいても遅いぜフェイトさん。
もう既に俺はあなたの後ろで頭を抱えてゴロゴロと転がりながら悶え苦しんでいるのだから。
いや、忘れてたんだよね、あの技ってば脳にあり得ない負担をかけるって。
しかもさっき自分で言ってたよね。
体に頭がついていかないって。
因みに俺の叫び声は気合を入れて攻撃するためのモノではなく。
突如襲ってきた頭痛に苦しむ悲鳴だったりする。
頭が、割れるように、痛い。
「…………」
無言でこちらを見つめてくるフェイトさん。
いつの間に取り出したのか黄金の刀身の剣を振り上げながらゆっくりと近づいてくる。
そして俺の目の前に立った。
えっと……死ぬことは無いんですよね?
そうなんですよね?
アッ————————————!!
二次創作って言う事で細かい描写は妄想に任せてみるテスト。
戦闘シーンなのにほとんど戦闘していない。
何故なら魔法名とか分からないから。
そして主人公ハッスルは厨二病への片道切符だから。